
【一首拾い】 第十五首 ― 寒さを忘れる朝
朝、ツムギの散歩のために外に出る。
まだ早春。
寒い。手がかじかむ。
でもツムギは散歩に出られてうれしそうだ。
こちらを見ながら歩いている。
電柱があったらぶつかりそうな顔で、ぴょんぴょん跳ねるように歩いている。
百人一首に、こんな歌があった気がする。
犬のため
朝早く出て
つなをひく
わがこかわいい
えみふりまきつつ
……いや、そんなわけないか。
よろこんで走るツムギ。
つられて少し走ると、さっきまでの朝の寒さを忘れていた。
君がため 春の野に出でて 若菜つむ
わが衣手に 雪は降りつつ
あなたのために野に出て山菜をつんでいるが、着物の袖に雪が降りかかってくる。
雪の朝、ツムギの散歩に行ったときに、この歌を思い出しました。