
【一首拾い】 第三首 ― 長い川の夜
夜。川沿いの脇道。
昼間は気にもしない道なのに、
暗くなると、足元と川の距離を意識する。
水面は見えにくい。
けれど、確かに流れている音だけは続いている。
この川は、ずっと遠くから来て、
いくつもの川と出会いながら、
やがて海へと注いでいく。
合流して、別れて、また流れる。
川沿いのマンションの灯りが、
一つずつ消えていく。
それぞれに、帰る場所があるのだろう。
私は、いつまで
ひとりで眠りにつくのだろうか。
夜は、思っているよりも長い。
川の流れは、思っているよりも続いている。
それでもきっと、
どこかで誰かと合流するのだと、
流れを見ながら思う。
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む
山鳥の長く垂れた尾のように、長い長い夜を、私はひとりで寝るのだろうか。
この歌の持つさみしさ、人恋しさを、流れる川、消えていくマンションの明かりから思い出しました。