
【一首拾い】 第二十八首 ― 冬の城下町
雪の降る岩村の城下町。
普段は観光客でにぎわう通りも、今日は静かだ。
阿木川ダムへ上る道にも雪が積もっている。
車で来ることをためらう人もいるのだろう。
こんな日は、人の訪れが減り、
通りに並ぶ店もどこか枯れたように見える。
便利になったとはいえ、
やはりここは一段奥まった場所にあるのだと、
あらためて感じる。
観光客が来ないということは、
やはり寂しいのだろうか。
そうではない、外からの人の気配が薄れると、
中にいる人たちの声が近くなる。
店先で交わされるあいさつ。
雪かきを手伝う手。
小さな笑い声。
冬はたしかに静かだ。
人目も減り、草も枯れる。
それでも、
この町には確かな温かさが残っている。
静けさの奥にあるものを、
冬はそっと見せてくれる。
山里は 冬ぞさびしさ まさりける
人目も草も かれぬと思へば
山里は、冬になると人も来ず草も枯れて、いっそう寂しい。
雪が降ると道路が危険な状態となるため、環境客の姿が少なくなる岩村の町に、この歌の風景を思い出しました。