
【一首拾い】 第二首 ― 白さに気づく朝
初夏の朝。川沿いの道。
空はよく晴れていて、光はもう春のやわらかさではない。
水面がきらきらと反射し、川魚がいつもより忙しそうに泳いでいる。
川の光を目で追っていたら、
ふと視線が上がる。
川沿いのマンションのベランダに、
白いTシャツがいくつも並んでいる。
風に揺れているのは、軽い布ばかり。
厚手の冬物は、もうどこにも見当たらない。
その白さが、青空にくっきりと映える。
そのときになって、
額にじわりと汗を感じる。
春が終わった、というより、
いつの間にか夏が入り込んでいたのだと気づく。
川は同じように流れているのに、
光の色だけが変わっている。
季節は宣言しない。
ただ、白い布のように、
さりげなくそこに現れる。
春すぎて 夏来にけらし 白妙の
衣ほすてふ 天の香具山
春はもう過ぎて、夏が来たのだなあ。天の香具山には、白い衣が干されている。
青く晴れ渡った空をバックに、物干しざおに干されてひらめく白いTシャツを見ながら、この歌を思い浮かべました。