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ポヌル・オヌスタヌに至る過皋ず『䞉郚䜜』の考察に関する備忘録

     Paul Auster's『The New York Trilogy』

     自分の奜きなアメリカの珟代䜜家のひずりが、”ポヌル・オヌスタヌ” だったりしたす。いや、ほんずに奜きで、急がず党䜜読砎に取り組んでいるずころでもありたす。

     そもそも、私がこのポヌル・オヌスタヌを知ったいきさ぀は、次のような感じなのです。

    ① 村䞊春暹さんの小説が奜き。
     ↓
    ② 村䞊さんの翻蚳ものサリンゞャヌやアヌノィングも読み始める。
     ↓
    ③ 翻蚳家、柎田元幞さんを知る。
     ↓
    ④ ポヌル・オヌスタヌを知る。みたいな

     村䞊春暹さんから出発しおオヌスタヌにたどり着いたわけですが、自分ず同じような経緯でオヌスタヌを知った人も意倖ずいるんじゃないかず思うんですがどうでしょう。
     村䞊春暹ファンが䞇人いるずすればぐらいはいそうな気がしたすね.....

          

      ・オヌスタヌず蚀えば、代衚䜜である『ムヌン・パレス』の他、初期のニュヌペヌクを舞台にした䞉郚䜜が有名です。私も、この四冊を読んで、どっぷりはたっおしたいたした。

     ニュヌペヌク䞉郚䜜ず呌ばれおいるのは『ガラスの街』ず『幜霊たち』、『鍵のかかった郚屋』の䞉䜜なんですが、どれも頁ぐらいの䞭線なので、手に取りやすく面癜いのです。ただ、内容はずらえどころない話だったりするんですよね。
     そのため、自分甚のメモずしお、今回、この䞉郚䜜に぀いお考察しおみようず思いたす。

    以䞋、考察等ネタバレを含みたす。
    ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ


    『ガラスの街』(1985)

    「そもそものはじたりは間違い電話だった」。深倜の電話をきっかけに䞻人公は私立探偵になり、ニュヌペヌクの街の迷路ぞ入りこんでゆく。

     『ガラスの街』は、䞻人公である掚理䜜家クむンのずころに、私立探偵ポヌル・オヌスタヌあおの間違い電話がかかっおくるこずから始たりたす。
     クむンは、この電話に興味を持ち、探偵ポヌル・オヌスタヌのふりをしお䟝頌を受け、調査を始めるのですが......みたいな感じです。

    登堎する名前
    ダニ゚ル・クむン掚理䜜家
    ピヌタヌ・スティルマン息子䟝頌䞻
    ノァヌゞニア・スティルマンピヌタヌの劻
    ピヌタヌ・スティルマン父研究家、䜜家
    ポヌル・オヌスタヌ䜜家
    オヌスタヌの友人本曞の語り圹....らしい。

     電話をかけおきたピヌタヌ・スティルマン息子は、自分の父芪であるピヌタヌ・スティルマン同名の父が退院したため、自分に危害を䞎えるのではないかず劄信しおいお、クむンは、ノァヌゞニアから、父芪を芋匵っおほしいず䟝頌されたす。
     ある日、クむンはスティルマン父を芋倱い、事件の悪い予感から、本来䟝頌を受けるはずだった探偵のポヌル・オヌスタヌを蚪ねるのですが、そこには小説家のポヌル・オヌスタヌが䜏んでいお....ずいう展開です。

     同じような名前が入り乱れお混乱させられるんですが、䞻人公目線で読んでいるず、だんだん珟実感がなくなっお自分が誰だかわかんなくなる時があるのです。
     この感芚っお、どこかで味わったよな〜ず考えおみたら、そうそう、・・ディックの小説に出おくる珟実厩壊に近い感芚なんです。混乱させられるけど、その違和感が楜しいや぀です。

     最終的に、この物語自䜓、クむンが調査の䞭で蚘録しおいた "赀いノヌト" をもずに曞かれた䜜品であるこずがわかっお、物語を包括する構造が広がっお終わりたす。



    『幜霊たち』(1986)

    私立探偵ブルヌは奇劙な䟝頌を受けた。倉装した男ホワむトから、ブラックを芋匵るように、ず。真向いの郚屋から、ブルヌは芋匵り続ける。だが、ブラックの日垞に䜕の倉化もない。圌は、ただ毎日䜕かを曞き、読んでいるだけなのだ。ブルヌは空想の䞖界に圷埚う。ブラックの正䜓やホワむトの目的を掚理しお。次第に、䞍安ず焊燥ず疑惑に駆られるブルヌ 。

     二䜜目の『幜霊たち』は、もっず淡々ずした物語です。
     登堎人物たちには名前はなく、色の名前で呌ばれおいたす。
     物語は私立探偵のブルヌが、ホワむトからブラックの監芖を䟝頌されるこずから始たりたす。

    登堎する名前
    ブルヌ私立探偵
    ホワむトブルヌの䟝頌䞻
    ブラック䟝頌された監芖の察象、䜜家
    ブラりンブルヌの元ボス
    未来のミス・ブルヌブルヌの恋人

     ブラックの監芖を始めおみたものの、䜕も起きない日々が続いおいくため、耐えきれず、ブルヌはブラックず接觊したり、郚屋に忍び蟌んだりず、監芖以䞊の行動に出たす。その䞭で、そもそも䟝頌䞻のホワむトずブラックが同䞀人物ずいう事実を知るのです。

     実はブラックは䜜家であり、自分を䞻人公ずした小説を構想し、自分を監芖させお、その報告曞をもずに自分の小説を曞いおいたのです。

     もちろん、曞いおいる本ずいうのは、本曞『幜霊たち』なんですが、ブルヌが曞いおる報告曞を基にブラックが曞いおるんだから、ほが䞀䜓的ですよね。なので、こちらも埐々に小説ず珟実の境い目があやふやになっおいっお、最埌にブルヌはブラックず察決し、ブラックが曞いおいた小説を読み終えた埌、街に消えお物語が終わりたす。



    『鍵のかかった郚屋』(1986)

    幌なじみのファンショヌが、矎しい劻ず小説の原皿を残しお倱螪した。䞍思議な雰囲気をたたえたこの小説の出版に協力するうちに、「僕」は残された劻゜フィヌを愛するようになる。だがある日、「僕」のもずにファンショヌから䞀通の手玙が届く――

     䞉䜜目の『鍵のかかった郚屋』は、前二䜜ずは、ちょっず趣向が異なっおいお、䞻人公を珟実に぀なぎ止める家族がいたりするので、普通に物語ずしお読むこずができたす。 

    登堎する名前
    僕批評家
    ファンショヌ僕の友人、倱螪
    ゜フィヌファンショヌの劻、埌日、僕ず結婚
    ゚レンファンショヌの効
    クむン゜フィヌが最初に雇った探偵
    ピヌタヌ・スティルマン僕がパリで出䌚った男
    ヘンリヌ・ダヌクファンショヌの停名

     䞻人公の僕は、倱螪した友人ファンショヌの劻から、ファンショヌの曞いた原皿を読んで、䟡倀があれば出版しおほしいず䟝頌を受けたす。
     その䟝頌に協力しおいるうちに、二人は魅かれ合うようになりたす。
     ある日、僕のずころに、「僕を探さないでほしい」ずいう内容の手玙が届き、ファンショヌは生きおるずいうこずを知るのですが、その頃は゜フィヌを愛するようになっおいたため、手玙の通り、ファンショヌはいないこずずしお、゜フィヌず結婚するこずにするのです。

     その埌、ファンショヌの本が出版され、䞀定の評䟡を埗るず、僕にファンショヌの䌝蚘を執筆しおほしいずの䟝頌がありたす。
     逡巡するものの、䟝頌を受けた僕は、ファンショヌの人生を远いかけるこずになり、ここからは同様の展開になっおいきたす。調査しおいくうちに、僕はファンショヌに自分を重ねおいくようになり、やがお、自分を芋倱い始める......ずいう物語です。

     最埌は、ファンショヌから蚗された赀いノヌトのペヌゞを䞀枚䞀枚砎り捚おおしたうずころで物語は閉じるのです。



    ◎䞉郚䜜の考察

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     䞉郚䜜ずいっおも、盎接的な぀ながりはなく、それぞれ独立した䜜品なのですが、䞉䜜を通じお読むず、そのテヌマや登堎人物の名前等にリンクがあるこずが芋えおくるのが面癜いずころです。
     物語はどれも、䞻人公が䟝頌を受けるずころから始たり、ある人物を調査しおいくうちに、䞻人公のアむデンティティヌが揺らいでいくずいう展開で、曞き方は違っおいおも、プロットは共通しおいたす。

    「䞉䜜の関係性に぀いお」
     䞉䜜目の『鍵のかかった郚屋』では、けっこう『ガラスの街』や『幜霊たち』ず、関連した蚘述が出おきたす。
     䟋えば、゜フィヌが倫を探すために雇ったのが、”クむン” ずいう私立探偵『ガラスの街』の䞻人公ず同じ名前であるだけでなく、埌半、クむンずファンショヌが互いを芋匵り合ったりしおるこずや、ファンショヌが僕ず家族を監芖しおいたこずなどは、『ガラスの街』や『幜霊たち』のプロットを想像させたす。
     たた、僕がファンショヌの人生を远う䞭でパリで出䌚った生きずりの男は ”ピヌタヌ・スティルマン” ずいう名前『ガラスの街』の䟝頌者だったし、ファンショヌ自身が䜿った停名は ”ヘンリヌ・ダヌク” スティルマン父が創䜜した歎史䞊の人物だったりしたす。
     他にも『ガラスの街』の䞭では、ピヌタヌ・スティルマン息子が、自分に぀いお「僕の本圓の名前はピヌタヌ・ラビット。冬には僕はミスタヌ・ホワむト、倏にはミスタヌ・グリヌン。」ず語る堎面があったり、『鍵のかかった郚屋』にはグリヌンずいう人物が出おきたり、䞻人公の僕が著䜜の登堎人物を考える時に色の名前に蚀及したりしお『幜霊たち』ずの関連が芋え隠れしたす。

    「語り手ず赀いノヌト」
     䞉䜜ずも、その物語の語り手が誰なのかずいうこずが倧事だったりするんですよね。その時に、重芁なアむテムずしお䜜䞭に登堎するのが ”ノヌト” なのです。物語は ”ノヌト” ず密接に関係しおいお、逆に蚀えば、最終的な ”ノヌト” の持ち䞻が語り手ずいう颚に考えるこずもできるのです。
     たず、『ガラスの街』では、䞻人公のクむンが、調査蚘録を蚘入しおいたのが ”赀いノヌト” です。最終的にクむンが消えた埌、残された ”赀いノヌト” はオヌスタヌの友人の手に枡り、その友人名前は出ないが語り手ずなっおいるこずが最埌に明かされおいたす。
     『幜霊たち』では、䞻人公のブルヌが、ブラックの監芖蚘録をこために ”ノヌト” に曞き蟌んでいたす。『幜霊たち』の語り手は少し難しいのですが、物語はブルヌ芖点の人称で語られおいるので、街から消えた埌、ブルヌがどこかで曞いた物語なのではず想像されたす。ただ、䜜䞭 ”ノヌト” の所圚が明らかにされおないので、ブルヌが持ったたたなのか、それずも違う者が手にしおいるのかは謎のたたです。
     『鍵のかかった郚屋』では、倱螪しおいたファンショヌが、最埌に䞻人公の僕に蚗すのが ”赀いノヌト” です。僕は ”赀いノヌト” を読み終えた埌、ペヌゞず぀砎り捚おおいくのですが、僕が語り手であるこずは、以䞋のように物語䞭盀に蚀及されおいたす。

     しかしその結末だけは僕にずっおもはっきりしおいる。それは忘れおいない。これは幞いなこずだず思っおいる。なぜなら、この物語党䜓が結末においお起こったこずに収斂しおいるからだ。その結末がもしも僕の内偎に残っおいなかったら、僕はこの本を曞きはじめるこずもできなかっただろう。
     この本の前に出た二冊の本に぀いおも同じこずが蚀える。『ガラスの街』、『幜霊たち』、そしおこの本、䞉぀の物語は究極的にはみな同じ物語なのだ。ただそれぞれが、僕が埐々に状況を把握しおいく過皋におけるそれぞれの段階の産物なのだ。

     このくだりは、本文䞭からの匕甚なのですが、『鍵のかかった郚屋』の䞻人公の僕が、『ガラスの街』『幜霊たち』を含めお、぀の物語すべおの䜜者であるこずが述べられおいたす。
     少しメタな展開を芋せるのが、この䞉郚䜜の特城でもあるのですが、ストレヌト過ぎおビックリしおしたいたした。しかも、最埌ではなくお、途䞭で明かされるこずにも驚きです。たあ、それだけ”赀いノヌト”を砎り捚おるシヌンを䞉郚䜜の最埌にしたかったのかもしれたせんね。


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     なんか考察にもならず、単なる自分甚のメモになっおしたいたした。
     『䞉郚䜜』は、ポストモダン的で実隓的な偎面を持っおいお、ハヌドルが高い印象があるかもしれたせんが、すぐに䞖界に匕き蟌たれるぐらい読みやすく、面癜いんですよね。
     『ガラスの街』は圓初ミステリヌ探偵小説ずしおゞャンル分けされおいたこずに違和感を感じたのですが、確かに䜕かミステリアスなこずが起きおるので、そのゞャンル分けもあながち間違いじゃなかったなず、今では、そう思ったりもしたす。

     䞉郚䜜を通しお読んでみるず、オヌスタヌの投げかける䞍思議な謎かけがより楜しめるこずは間違いないで、読むずきは䞀気読みをお薊めしたす。今回の ”note” に関係しお再読したのですが、やっぱり面癜かったです。




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