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第3章|ギターとギャンブルとカメラと

    自然に世界へ入り込んでくるルナの奔放さ。
    それは照人の“日常”を完全にひっくり返す力を持っていた。
    そして二人は、初めての“選択”へ踏み出す。



    「ねえ、照人くん」

    その言い方には、いつも何かがある。
    照人がそう気づくのは、もう少し後のことだった。

    翌日、代々木公園の方へなんとなく歩いていたとき、
    ルナが少しだけ不自然に口を開いた。

    「今日さ、ちょっと付き合ってほしいところがあるの」

    「どこ?」

    「……着いてからのお楽しみ」

    「ヒントくらいは欲しいんだけど……」

    「安心して。たぶん命の危険はない」

    「“たぶん”って何?」

    そんなやり取りのまま、ルナは渋谷の雑踏を抜けていく。
    照人は呆れながらも、その背中を追いかけた。


    「……ここって」

    「うん。場外馬券売り場」

    「なんで!? ていうか未成年だよ!?」

    「買わなきゃ問題ないでしょ? 雰囲気楽しいよ?」

    楽しい場所とは思えなかったが、ルナはフードを深く被り、堂々と進む。
    照人は周囲の視線が気になって仕方なかった。

    「で、何しに?」

    「電光掲示板の写真が欲しいの」

    「掲示板……あれ?」

    モニターには出走馬の一覧。
    ルナは真剣な顔で言う。

    「“予想”ってさ、運だけじゃないでしょ?」

    「競馬新聞読むの?」

    「読まない。照人くんのカメラでいい」

    「いやいや……!」

    「写真に“変なもの写る”って言ってたじゃん」

    覚えていたらしい。

    「じゃあ未来の結果とか写ったりしない?」

    「そんな便利機能じゃないって!」

    とはいえ否定しきれなかった。

    ルナはもう照人のバッグからカメラを勝手に取り出していた。

    「ほら、構えて。ブレる!」

    ──カシャ。

    あり得ないものが写った。

    まだレース前なのに、「確定」マークのついた着順表がうっすらと浮かんでいる。

    「写ってるね。1着8番、2着11番、3着3番」

    「ちょ……マズいって!」

    「社会は君の心配するほど暇じゃないよ。で、三連単買うね」

    「誰が!? 未成年──」

    「私は20歳だから平気」

    「ほんとに!?」

    「身分証あるけど見せない」

    「見せないのかよ……」


    30分後。

    「ほんとに当たった……」

    「13万くらい。旅の資金にちょうどいいね」

    「“ちょうど”の額じゃないよ……!こういう不正は罪に問われないのか?」

    頭を抱える照人の横で、ルナはそんなに気にした様子もない。


    夕暮れ、新宿バスターミナル。

    ルナはコンビニ袋を掲げて笑う。

    「旅は腹ごしらえから。はい、水とおにぎり」

    「……君、変だよ」

    「よく言われる」

    「でもまあ、ちょっと楽しいかも」

    「でしょ?」

    二人の座席は隣同士だった。

    「ねえ、あの写真……なんで写ったんだろうね」

    「分からない。でも、写った以上、意味はあると思う」

    「私もそう思う」

    「で、四国のどこ行くの?」

    「着いてからのお楽しみ」

    バスが動き出す。

    昨日まで退屈だった日常は、
    たった一人の少女によって、完全にひっくり返された。

    でも──悪くなかった。


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    📘 Novel × 🎵 Music × 🎥 MV すべてAIで創り続けるプロジェクト。 小説「Parallel Lights」を元にした楽曲 『Before the World…』を公開中。 小説・作詞・作曲・アレンジ・MVをSuno / Sora2 / Canva など

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