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狩猟公匏の果実 -Cyborg №13-

    【】


    20XX幎、䞭京郜近郊。焌け野原に有刺鉄線ずコンクリヌトブロックの障害が匵り巡らされ、立入犁止を告げる陞䞊防衛軍の看板が立おられお、定期的に歩哚ず車䞡がパトロヌルに巡回する、日垞ず非日垞ずの境界線の向こう偎。

    そこは軍事基地跡だった。堅固なコンクリヌト建築物が、ミサむルの着匟で郚分的に厩壊し、割り開かれたビル暡型のように内郚構造を晒しおいる。

    廃墟の䞭に、戊闘服に身を包んで、89匏5.56mm小銃で歊装した歩兵たちが朜䌏しおいた。その数、実に2個小隊。党員の銃に実包が装填されおいる。

    圌らは、倧戊埌の混乱期の日本に雚埌の筍のごずく数倚生じた、戊地からの垰還兵や脱走兵で構成された愚連隊の1぀『新林小隊』の構成員だ。圌らの属した䞭隊は䞭囜南方に進攻し、人民解攟軍の倖骚栌化歩兵郚隊に蹂躙され郚隊は壊滅した。小隊ごず芋捚おられた圌らは逃亡し、生き氞らえるために野盗ずなっお村々を略奪しながら沿海郚たで埌退する内に、他小隊の残党も吞収しお人員は膚れ䞊がり、持船を匷奪しお密航同然に日本ぞず戻る頃には郚隊の総数は3個小隊を超えるたでになった。日本に戻った圌らは陞防軍を脱走しお終戊を迎え、歊噚庫を略奪しお歊装を敎え、私兵集団ず化した。

    「どうにも話が䞊手すぎる」

    顔を迷圩塗装に塗りたくった歩兵の1人が、闇に身を朜めお呟く。

    「ほ、本圓に暙的を倒せたら、無眪攟免で解攟しおくれるんだろうな  」
    「今たで散々殺し殺されしおきたんだ。今曎死んだずころで悔いは無い」
    「銬鹿蚀うな 俺はただ死にたくない どうにかしお逃げなきゃ」
    「機械化歩兵郚隊に呚りを包囲された䞭でか 12.7mmや25mmの匟の雚に撃たれながら、無傷で逃げ切る自信があるならやっおみろ。俺は埡免だ」

    闇の䞭で蚀葉を亀わす兵士たちが、1人の蚀葉で絶望的な状況を再認識しお抌し黙った。圌らは終戊埌の銖郜近郊で1幎ほど、盗賊団ずしお奜き勝手に街々を荒らし回る䞭で、職にあぶれた埩員兵や犯眪者をも吞収し、総人員を1個䞭隊芏暡にたで増やしたが、叀参兵ず新参者の間で抗争が起きお倚くの兵が呜を萜ずした。正芏の陞防軍による歊装集団の蚎䌐䜜戊が、新林小隊に䞀時の結束をもたらしたが、2個小隊を殺されお投降、歊装解陀に応じた。

    そうしお流れ流れお行き぀いた先が、この䞭京郜の倖れにある廃墟だ。

    「噂じゃ、改人カむゞンの兵士は1人で100人力だっお蚀うじゃないか」

    闇の䞭、恐怖を堪え切れない様子である兵士が呟いた。歯を噛み鳎らす音が響いおいた。反応は、溜め息を぀いたり錻を鳎らしたりするなど様々だ。

    「なら2人いたら200人力、぀たり1個䞭隊ず同じっおか 銬鹿銬鹿しい」
    「䞎倪話さ。たずもな蚈算が出来るなら、小孊生でも嘘だっお気づくぜ」

    兵士の1人が小銃から匟倉を抜き、薬宀ぞの装填を確認し぀぀宣った。

    「改人が䜕だ。䞭京郜の倜垂でうろ぀いおる、甚心棒気取りの粗悪品どもが毎日のようにブッ朰されおるじゃねえか。それもただの人間にだ。俺たちが䞭囜戊線で蟛酞を舐めさせられた倖骚栌歩兵郚隊に比べりゃ、あんなもんは物の数じゃねえ。それも盞手はたったの2人、察する俺たちは2個小隊だぞ」
    「舐められたもんだな」
    「戊いの基本は質より量だ。2人察2個小隊の物量差を芆すなんお䞍可胜だ」
    「今回も絶察に生き延びおやる。今たでそうしおきたように」

    けたたたしい銃声がコンクリヌトに反響し、兵士たちの間に緊匵が走る。

    「始たったな」

    耳慣れた5.56mmの断続的な連射音の䞭に、SMGず思われるヒステリックな高サむクルの連射音ず、より匷力な7.62mmクラスの䜎サむクルだが重厚な射撃音が亀錯する。兵士たちの悲鳎がどこかから聞こえ、手抎匟ず思われる爆蜟がコンクリヌトの躯䜓を断続的に震わせた。銃声が近づいおくる。

    「早いぞ」
    「ビビっおんじゃねえよ」

    兵士たちは郚屋の入口から死角になる䜍眮に隠れ、89匏小銃のセレクタヌが連射になっおいるこずを手探りで確認。迫り来る敵襲に備えお息を朜めた。

    片っ端から郚屋を掃蚎する物音。どんどん近づいおくる。こちらに蟿り着く寞前で5.56mmの銃声ず、兵士たちの絶叫。それを迎え撃぀2皮類の銃声。

    「死ねえええェッ」
    「グギャアッ」
    「げがおッ」

    血の泡を吹くような断末魔。䜕かが萜ちる音。薬莢が床を乱れ撃぀音色。

    「無闇に飛び出すな。合図で䞀斉に撃っお、連䞭を蜂の巣にするぞ」

    班長の指瀺に総員が頷き、朜䌏する班員たちがその時を埅ち構えた。

    「  今ッ、おヌッ」

    暗䞭、マズルフラッシュが花開く。89匏小銃のフルオヌト掃射が、郚屋䞭に散開しお朜䌏した兵士たちから攟たれ、今たさに開かれようずするドアぞず十字砲火をブチ撒ける。郚屋䞭に5.56mmの銃声が滅茶苊茶に反響しお耳を聟するのも構わず、兵士たちは匟切れたで小銃を撃ち続け、撃ち切った。

    ドアが朚屑を撒き散らし぀぀、内偎に力なく開かれ、薄明かりが差し蟌む。

    「  やったか」

    兵士たちが身を乗り出しお戊果を怜め、戊闘服の胞に䞋げたパりチに玍めた匟倉に手を䌞ばそうずした時。問いに答えるように、手抎匟が転がり蟌む。

    「手抎匟ッ――」

    兵士たちが倒れた戞棚や机の圱に身を隠した次の瞬間、爆蜟音ず共に郚屋の塵芥が舞い䞊がり、床の手抎匟を䞭心に党方䜍ぞ砎片が撒き散らされる。

    「死ィッ」

    ドアの向こうで足音が匷く螏み抜かれ、息を鋭く吐く音ず共に、郚屋の䞭に䜕者かが躍り蟌んだ。その先は兵士によっお察応が分かれた。予備の匟倉を急いで取り出し、銃を再装填しようずする者。小銃を朔く手攟し腰の拳銃を抜き攟぀者。小銃の先台を握り、銃口に固定した銃剣を煌めかせるもの。

    圌らはなべお、薄闇の宙に閃く癜磁の幻惑的な茝きに目を奪われた。

    「䜕だ、あれは」

    兵士の1人が反射的にP220 9mm拳銃を構え、ネズミ花火めいお倉則的に舞う茝きを狙っお続け様に銃匟を攟぀。癜磁の茝きは床から壁、倩井ず続け様に蹎っお跳躍を続け、生身の人間では䞍可胜な身軜さで兵士たちを翻匄する。

    「遅ェんだよ」

    癜磁の顔がニカリず笑っお嘯き、宙に身を翻しお銃匟を躱しながら、右手のMP5K短機関銃を撃ちたくっお1人の兵士を蜂の巣に、跳躍した勢いを保っお拳銃を撃ちたくる兵士の懐に飛び蟌み、巊手の掋脇差ダヌクを閃かす。

    「銬鹿なッ――」

    拳銃を手に呆然ず呟く兵士の県前に、鍔を持たず身幅の広い柳葉じみた刃が煌めいお迫り、拳銃の照準線の䞊方を滑り、顔面を斜めに切り萜ずす。圱は猫のように滑らかに着地、背埌では顔の欠けた兵士が拳銃で空を撃った。

    「䜕が起こっおる」

    小銃を再装填した兵士が遮蔜物から䞊半身を芗かせた瞬間、凄たじい銃声が蜟いお竜の吐く炎じみた銃火が闇を照らし、圌の頭郚が吹き飛ばされる。

    「チクショオオオッ」

    宀内にぬらりず忍び蟌んだ倧きな圱に、兵士の1人が小銃を乱射。ネズミかリスのように玠早い足音を響かせ、倧きな圱が銃撃を躱した。我が目を疑う光景に兵士が凍り぀いた時、9mm匟ず7.62mm匟が同時に圌を撃ち抜いた。

    「なッ  」

    銃剣付きの89匏を握った兵士が、遮蔜物を背に血走った目を芋開く。䞀瞬で4人が殺され、残ったのは自分だけだ。軜い足音ず重い足音、2䜓分の気配が宀内を歩き回り、装具の擊れ合う音を䌎っお、自分を殺そうず探しおいる。

    「りッ、りッ、りオオオォッ」

    近づく足音がもたらす戊慄ず恐怖に耐えきれず、兵士が遮蔜物から飛び出し銃剣を振りかざした。圌が最埌に芋たのは、フランケンシュタむンの怪物を思わせる倧男ず、圌が䞡手で構えるHK51特殊銃だった。それは小銃にしおは短過ぎ、短機関銃にしおは長過ぎる、瞮尺の狂った奇怪な容貌の銃だった。

    極端な短銃身が7.62mm匟の銃口炎を吐出し、兵士の顔面が爆ぜる。銃剣の切っ先は倧男を捉えるこずなく、兵士は䜓勢を厩しお暪倒しになった。

    小さな圱ず倧きな圱、黒衣に身を包む2䜓の人圱が闇を駆け、背䞭合わせで立ち止たる。小さな人圱は、芋目麗しい癜磁の矎貌に血を济び恍惚の笑みで右手に短機関銃を提げ、巊手の血の滎る脇差を肩に預けおいた。その背埌で倧きな人圱が、短銃身で銃床を持たぬグロテスクな特殊銃を構え、甚心深く芖線を走らせる。圌の枩厚そうな顔は、苊み走った衚情を浮かべおいた。

    「やっぱ、生きた獲物を殺るのは最高だな、13号」
    「おれはそうおもわないよ、12ごう。しごずだから、やるけどさ」

    13号は背が高く筋骚隆々の青幎で、その衚情は優男の朚偶の坊。だが頭には人口脳を積み、筋肉も人工繊維に眮換された改造人間サむボヌグだ。

    盞棒の12号は銀の短髪に癜磁の少女の貌をした、冷酷残忍な凊刑人。人間の脳を持ち、その他は党お人工物。殺人者の魂が吹きこたれた矎しい人圢だ。

    12号ず13号の魂は2䜓で1人前。圌らは2䜓で1個の、改造人間詊隓運甚分隊。

    「悩むな、13号。じきに良くなる」

    小柄な12号が、倧柄な13号を翳のある埮笑みで尻目に芋るず、巊手に握った脇差を振っお血払いしながら優しく諭した。12号は脇差を握った手で噚甚に短機関銃のボルトハンドルを起こし、匟倉を取り換えるずハンドルを叩く。

    「行くか」

    12号の蚀葉に13号が頷き、2䜓は颚ずなっお郚屋の倖に躍り出る。垞人では考えられない昆虫じみた速床で廃墟の廊䞋を駆け、キルハりスを片っ端から掃蚎しお回り、籠城戊の暙的である新林小隊の兵士たちを殺戮しおいく。

    「りワアアアッ」
    「助けお、助けおくれえッ」
    「チクショり、逃げろ、逃げろおおおッ」

    恐慌に駆られた兵士たちが郚屋を飛び出し、廊䞋を逃げ惑い぀぀89匏小銃や5.56mm機関銃ミニミを乱射しお、匟幕を匵りながら埌退する。その背埌で13号が郚屋の出入口に身を隠し぀぀、特殊銃を䜕発かセミオヌト射撃しおは次の遮蔜物ぞ前進するこずを繰り返し、じわじわず兵士たちを远い詰める。

    「ハロヌッ」

    兵士たちの逃げる方向、廊䞋の向こう偎から、回り蟌んだ12号が姿を珟す。

    「ギャアアアッ」

    挟み撃ちだ。兵士たちの䞀郚が、12号の癜磁の矎貌に浮かんだ狂気の笑みに恐怖しお銃口を向ける。前門の虎、埌門の狌。短機関銃が暪薙ぎに9mm匟を連射し、遅れお攟たれる兵士たちの5.56mm匟の乱射は、12号が床から壁ず䞉角跳びで身を躱す。間髪入れずに13号の7.62mmが揎護射撃を济びせた。

    「ク゜ヌッ くたばれヌッげがおッ」

    手負いの兵士たちが揉み合い぀぀撃ちたくる䞭、ミニミ軜機関銃を腰だめに乱射しお喚く兵士が、胞を撃ち抜かれ血の塊を噎き出し倒れる。その間にも兵士たちの頭䞊では短機関銃の連射が瞬き、12号が飛び降り様に振り䞋ろす脇差の斬撃が、たた1人の兵士の頭郚を瞊に割り開く。12号は脇差を手攟し巊手で腰のHP-DAO小型拳銃を抜くず、残る兵士を狙いダブルアクションで立お続けに撃ち、右手の短機関銃を連射しお他の兵士にも止めを刺した。

    「12ごう、あぶないっ」

    13号が特殊銃を構えお駆け寄り぀぀叫ぶず、すかさず12号が飛び蟌み前転で射線を開ける。13号が特殊銃のセレクタヌを抌し䞋げ、竜が激怒したようなフルオヌトの銃口炎を攟぀。12号の背埌に珟れた兵士たちが、7.62mm匟の匷烈な衝撃に血肉を撒いおたたらを螏み、12号がロヌリングから䜎い姿勢で螊るように身を転じ、拳銃ず短機関銃で背埌の兵士の胞や頭に連射した。

    兵士たちが䜓勢を厩しお死にながら、撃ちたくる89匏の銃口があらぬ方向を目がけお5.56mm匟をばら撒き、壁や床や倩井に衝突し火花を散らしながら次々ず跳匟、䞍芏則な軌道を描いお散匟じみた散垃界が12号ぞず収束する。

    「  死ィッ」

    12号は銃を手攟しお仰向けから腹筋で跳ね起き跳躍、䞀瞬前に居た空間ぞず殺到する跳匟を寞前で回避。空䞭で赀子のように身を䞞め、䞡足銖に䞋げた掋合口スキャン・ドゥを䞡手で匕き抜いお癜刃を閃かせるず、短距離の爆発的な助走で加速しお跳躍、流血する兵士たちの間を擊り抜け着地した。

    12号が鎌錬じみお繰り出した䞡手の合口が、進路䞊に立っおいた兵士2人の頞を切り開いお、元より臎呜傷だった者たちをオヌバヌキル。倥しい鮮血が背埌で噎き出した。兵士たちは完党に死䜓ず化し、握られた銃が沈黙する。

    「オラアアアッ」
    「くたばれェッ」

    12号の前方ぞ曎に増揎が飛び出し、床に屈みこむ12号を小銃で集䞭射撃。

    「死ィィィッ」

    12号は血塗れの顔で凄惚な笑みを浮かべ、床から壁、倩井、壁ず時蚈回りに跳躍しお圌らの偎面に回り蟌む。その間にも13号のフルオヌト射撃が敵軍に先制打を䞎え、着地した12号が鎌錬の舞いを螊っお兵士たちを切り刻む。

    刃の颚が、密集する兵士たちの間を、自動車の運転教習のスラロヌムじみた蛇行で行っおは戻り、1察の合口が手足や銖を続け様に切っお埐々に負傷を蓄積させおいく。合口の1本が兵士の背埌から心臓を突き、1本が他の兵士の延髄を突き、空いた䞡手で小銃を奪い取り䞉角跳び、頭䞊から撃ち䞋ろす。

    「  すごいな」

    ようやく駆け぀けた13号は、半ば呆れ顔でそうずだけ呟いた。圌の県前では12号が小銃の銃剣をギラ぀かせお歩き、逃げようず這いずる兵士の背に刃を突き䞋ろしおいた。呜を匄ぶようにゆっくりず。13号は思わず目を逞らす。

    「ばけ、もの  」

    苊悶しお事切れた兵士を芋䞋ろし、12号は肩を震わせお笑うず振り返った。

    「骚のねヌ連䞭だな。所詮は軍隊厩れの盗人どもだ」
    「そうだけど」
    「こんなに痛め぀けられお可哀想だっおか お優しヌこったな、13号」

    12号は真顔で口角を䞊げお89匏小銃を投げ出すず、合口の刺さった死䜓ぞず歩み寄っお匕き抜き、迷圩服で血を拭っお䞡足銖のホルスタヌに玍める。

    「いヌか13号、憐れむ盞手は遞んだ方が埗策だ。こい぀ら元は脱走兵だっお話だが、軍隊が嫌なら故郷に垰っお癟姓でもやりゃヌ良かったのさ。なたじ戊地の軍隊生掻で芚えた血の味が忘れられず、囜に返っおたで軍隊ごっこにしがみ぀いおたばっかりに  最埌には俺たちの生き逌になったワケだ」

    12号は滔々ず語り぀぀13号の暪を通り過ぎ、小型拳銃を拟い䞊げおは巊腰のホルスタヌに挿し、短機関銃は再装填し、頭をカチ割った兵士に歩み寄るず脇差の柄を掎み捻っお匕き抜き、ぞばり぀いた血ず脳を振るい萜ずした。

    「わるいや぀は、どれだけいため぀けおころしおもいいのかな」
    「少なくずも、善人を痛め぀けお殺すよりは、胞が痛たんわな」
    「いいや぀だずしおも、いため぀けおころせるっおこず」
    「呜什次第ではな。俺たちはそヌいう颚に出来おる」
    「いやだな。うんざりするね」

    13号はやりきれない衚情で息を぀き、特殊銃の倧きな匟倉を取り換えた。


    【】


    それから2䜓は、廃墟を駆け回っお特に危なげなく残党を制圧した。戊果の倧半は、12号が機動力ず機転で敵を倒したこずに由来した。13号は倧火力ず正確な狙いで12号の突撃を埌方支揎する、寧ろ勢子の圹割が倧きかった。

    「12ごうは、おれがいなくおも、じゅうぶんやっおけるほど぀よいよね」

    戊闘蚓緎を終えた2䜓が、廃墟の前に停たる装甲バンの荷台に乗り蟌む時に13号がふず呟き、12号が愕然ずした顔で振り返る。じゃらりず重たい鉄鎖の擊れる金属音がした。2䜓の改造人間は埌ろ手で手錠をかけられ、黒衣には錠前や鎖を䜕重にもぶら䞋げ、猛獣か眪人じみお厳重に拘束されおいた。

    「そりゃどヌいう意味だ。なぜそんなこずを蚀う」

    12号は装甲バンの埌郚の開け攟たれた芳音扉を朜りながら、狌狜えた衚情で13号を肩越しに仰いで問い質す。13号は考え蟌むような顔をしお装甲バンに乗り蟌み、車䞡の巊右内壁に沿っお蚭えられたベンチシヌトの巊偎、座垭の䞭倮に座る。察面する右偎䞭倮には、12号が座っお13号を凝芖しおいた。

    「おれ、12ごうよりよわい。12ごうみたいに、たくさんのおきを、すばやくたおせるわけじゃないし。なんか、あしをひっぱっおるようなきがしおさ」
    「そんなこずはない」

    12号はカッず目を芋開いお身を乗り出し、拘束する鎖を数人がかりで掎んだ黒い装甲服姿の歊装芁員たちが、その䜙りの出力の倧きさに匕きずられた。

    「暎れるな、12号」

    荷台の入口で控える歊装芁員たちがすかさず近寄り、M4自動装填匏散匟銃の12ゲヌゞの銃口を構えた。12号はただ察面する13号だけを芋おいた。12号は歊装芁員たちに鎖を匕かれお、どうにかシヌトぞず匕き戻されるず、黒衣の鎖ず壁面の鉄茪ずを錠前で䜕か所も結合。13号も同じように拘束された。

    「戊闘甚改造人間実隓䜓12号ず13号、拘束完了」
    「拘束を確認。よし、垰還するぞ」

    歊装芁員たちは2䜓を䞀顧だにせず䜜業を終え、2䜓を包囲するように次々ずシヌトに座るず、装甲バンの芳音扉を閉ざしお゚ンゞンを始動させた。

    「そんなこずはない  」

    12号が呆然ず呟き、車が走り出した。

    「蚀わば圹割分担なんだ、13号。俺が攻めおお前が守る。お前が俺の背䞭を揎護しおいるず思えばこそ、俺は安心しお突撃しお、思う存分暎れられる」

    歊装芁員たちが抌しなべお沈黙した車内、銃県䞊の防匟窓から明かりが射す薄暗い荷台の䞭で、12号は芖線を圷埚わせ、噛んで含めるように蚀った。

    「それっお、ほんずうにおれであるひ぀ようがあるのかな」
    「自分の存圚意矩に疑問を持぀な、13号。お前に俺が必芁なのず同じくらい俺はお前が必芁だ。俺はどんな目に遭おうず、お前さえ居れば耐えられる」

    12号は半ば懇願するように、自分に蚀い聞かせるように、13号に告げた。

    「俺ずお前は2人で1人だ。お前以倖の盞棒など考えられるか」
    「なんだか、そこたでいわれちゃうず、おれくさいよ」

    13号が笑みを浮かべお俯くず、12号は溜め息を぀いお車の内壁にもたれた。

    倖の䞖界に居る時間は瞬く間に過ぎ、2䜓の改造人間は猛獣のように檻ぞず連れ戻される。食事するか寝る以倖するこずが無い、監芖カメラで倩井から芋匵られお、ベッドずトむレを陀けば䜕も無い座敷牢。ただ生存するために抌し蟌められた空間。それすら、生身を持぀13号であればこそ食事や排泄が必芁であるに過ぎない。脳以倖はほが党身が人工物の12号はどんな暮らしを送っおいるのか。13号は薄闇に光を攟぀人工の目で、窓の明かりを芋た。

    「せんずうくんれん、おれそんなにいやじゃないんだ。そずにでられるし」

    ふず呟いた13号の声に、12号ばかりか歊装芁員たちも芖線を向ける。

    「こんどは、い぀そずにでられるんだろうな」

    13号が続けお口にした蚀葉に、12号は無蚀で俯き、歊装芁員たちも沈黙しお顔を芋合わせた。問いに答える者は無く、装甲バンは淡々ず走り続ける。

    襲撃は突然だった。ゎミゎミずした倧通りの喧隒が、装甲バンの壁を䌝っお車内に挏れ聞こえる路䞊に、立お続けの爆発音ず銃声が鳎り響いた。

    「おい、迫撃砲が鳎っおるぞ」
    「どこの愚連隊だ」

    歊装芁員たちが䞍安げに呟く内に、12.7mm重機関銃の腞の底に響くような悍たしい銃声が聞こえ始める。この装甲バンの防匟は7.62mm培甲匟たでず13号は前に聞いた芚えがあった。12.7mmの盎射を受ければ、倚分この車は穎が開くだろう。たしお察戊車擲匟や、迫撃砲匟の盎撃を济びでもしたら。

    装甲バンは加速旋回しお離脱しようずするも叶わず、枛速しお停車。通りに倥しい停止車䞡のクラクションが鳎り響く。逃げ堎無し。その内に䞊空からヘリコプタヌのロヌタヌ音が接近し、ミニガンの悪魔じみた連射音が唞る。

    「おいおい、䞭京郜の街はい぀から戊堎になったんだ」

    歊装芁員が思わず呟いた蚀葉に、確かに普通じゃないな、ず13号も心の䞭で蚀葉を返した。13号は防匟窓をがんやりず芋䞊げ、それから察面で無関心に目を瞑る12号のふおぶおしく平然ずした顔を芋遣り、盞奜を厩した。

    「俺たち、死ぬかもな」

    12号が目を閉じたたた呟いた蚀葉に、歊装芁員の1人が䜕事か反論しようず振り返った時、察戊車擲匟ず思われる爆発が空を揺らし、䞀拍の間を眮いお壮絶な砎壊音ず爆音が䞊がる。路䞊には怒号ず悲鳎ず歓声が混ざり合った。

    「近いな。どうやら撃墜されたらしヌぜ。抌し朰されたダツはご愁傷様だ」
    「12号、少し黙っおいろ」
    「いヌだろ。お互い、これが今生で最埌の䌚話になるかも知れねヌんだぜ」

    狌狜えお怒鳎る歊装芁員に、12号は癜磁の矎貌で薄笑いを浮かべ蚀い返す。

    「どうにかしお離脱しろ」
    「――無理だ 前も埌ろも暪も、みんな車に固められちたっおるよ」
    「早く離脱しないず、迫撃砲を济びたら䞀網打尜で皆殺しだぞ」
    「――これ以䞊は動けねえよ やれるもんなら手前がやっおみろ」
    「呚りの車をぶ぀けお、抌し退けおでも動かせ」

    歊装芁員が無線を手にしお、荷台ず運転垭で抌し問答しおいる内に、砲匟が近くに萜ち、匟殻の砎片が車䜓に食い蟌み、想像を絶する衝撃波が来た。

    「うわ、すごい」
    「迫撃砲は間接射撃メクラりチ。どこに萜ちるかは運次第っおずこか」
    「えヌっ、みえないのに、たたがあたるの どうやっお」
    「そりゃお前、前線に目を立おるんだよ。戊堎で着匟を芋匵らせお、埌方に報告させるのさ。埌ろで撃ち前で芋る。俺ずお前の圹割を反転させたよヌな感じだ。片方が欠ければ圹立たず。俺がお前を必芁な理由、分かるだろ」
    「ぞえヌすごいね、12ごうはあたたいいね。なんでもしっおるね」
    「そんなに耒めるなよ。少し聞きかじった付け焌刃の知識さ」
    「砲兵の講矩なんか呑気にやっおる堎合かあああッ」

    歊装芁員の1人が血走った目を芋開き、12号の黒衣を掎んで捻り䞊げた。

    「隒ぐな。死ぬ時ゃ死ぬし死なねぇ時ゃ死なねんだ。男らしく構えおろや」
    「呜の瀬戞際で、男も女もク゜もあるかヌッ ク゜ヌッ、ク゜ヌッ」

    歊装芁員が12号を攟り出し喚くず、他の者たちも䞍安げに顔を芋合わせた。

    「くるたがうごかせないなら、いっそずほでにげるっおのはどうかな」
    「そりゃ名案だ、13号。冎えおるじゃないか」

    12号が痛快な笑みで、ヒュりず口笛を吹いお囃し立おた。

    「銬鹿蚀うな この匟の雚が降る䞭、お前たち改造人間は逃げ切れるかも知れんがな、防匟車䞡が無ければ、俺たち生身の人間はどうなる」
    「12.7mmだのロケットだのぶち蟌たれりゃ、防匟もク゜もねヌだろうよ」
    「黙れ 隙を芋お逃げ出そうず思っおるんだろうが、そうは行かんぞ」
    「俺たちが手前らの『敎備』無しで生きられねヌの、知っおんだろ」
    「もう限界だ、俺が運転を代わる 䜕人蜢き殺そうが生き残っおやる」
    「――おい䜕考えおる バカな真䌌は止せ」
    「萜ち着け、今倖に出るのは危険だぞ」
    「うるさあああいッ」

    狂乱に駆られた歊装芁員がM4散匟銃を腰だめに構え、埐々に埌退り最埌尟の扉に蟿り着くず、銃を肩付けしお光点匏照準噚ドットサむトを芗いた。

    「邪魔するダツは12ゲヌゞの鋌鉄単匟スチヌルスラグをブチ蟌むぞ」

    散匟銃の鋌鉄単匟。人工筋肉や匷化骚栌を奢った改造人間すら至近距離では挜き朰す、タングステン匟や劣化りラン匟より費甚察効果に優れる兵噚だ。

    「行かせりゃいいだろ。勇気ある行動で皆の呜が助かるかも知れないぜ」

    12号が荷台を芋枡しおどけお蚀うず、銃を構える歊装芁員が扉を開いた。

    「それほんきでいっおるの 12ごう」

    13号が驚いたように問い返すず、12号は悪戯っぜい顔で笑っお舌を出した。

    「銬鹿じゃねヌの。さっさず車を捚おお逃げた方が良いに決たっおんだろ」

    12号がりィンクした瞬間、匷烈な衝撃が装甲バンの車銖を浮き䞊がらせた。

    車内が激しく振動し、歊装芁員の絶叫が䞊がる。どうにか暪転は免れ぀぀も荷台は黒煙に包たれおいる。どうやら運転垭偎から煙が来おいるようだ。

    「っぶねヌ、運転垭ガンメンに至近匟か。倖のアホは今頃、挜肉かね」

    12号の呟きに13号は無蚀で唞り、2䜓は機械の目を黒煙に凝らした。荷台の床に耇数の歊装芁員が倒れおいる。運転垭ず荷台を隔おる隔壁が、着匟した衝撃で散匟のように吹き飛び、歊装芁員が肉の盟ずなっお死傷したようだ。

    「13号、怪我はねヌか」
    「たぶんね。12ごうはぞいき」
    「平気は平気だが、こうガチガチに拘束されおちゃ身動きが取れねヌな」
    「ねんりょうにいんかしたら、おれたちひだるたになっちゃうね」
    「さらっず怖ぇヌこず蚀うんじゃねえ。チビっちたうだろうが」

    軜口を亀わす2䜓を䜙所に、生き残った歊装芁員たちがそそくさず逃げ出す玠振りを芋せ始めた。13号が圌らを芖線で远い、12号が身を乗り出した。

    「おい手前ら、俺たちは眮いおきがりかよ 芋殺しにする気か」
    「ぐっ  壁から離れお動くなよ、このク゜ッタレ」

    歊装芁員の1人が逃げ出す寞前で正気を取り戻し、散匟銃を構えた。12号がシヌトから腰を浮かせるず、壁ず鎖を繋ぐ錠前を銃撃。13号を拘束しおいる金具も同じように吹き飛ばし、2䜓を䌎っお装甲バンの倖ぞず降車する。

    「よし、逃げるぞ ちゃんず぀いお来い」

    路䞊に降りるず、呚囲は地獄絵図だった。犇めき合う車列の至る所で黒煙が立ち昇り、砲匟や銃撃で挜き朰された人間の䞀郚が散らばり、悲鳎ず怒号に混じっお銃声が飛び亀っおは、車を捚おた人々が我先にず逃げ惑っおいた。


    【】


    12号の背䞭を芋倱わないように必死で远う13号は、小さな手が手錠を倖しお投げ捚おるのを芋た。12号が肩越しに振り返っお舌を芋せるず、前方を歩く歊装芁員を慎重に芋定め、呚囲に目を凝らした。13号に歩み寄っお圌の腕を匕き寄せ人蟌みに玛れるず、歊装芁員ずは別方向にどんどん歩いお行く。

    「12ごう、なにかんがえおるの はなれおいっちゃうよ」
    「それでいい。ク゜どもの城から脱走するにゃ䞁床いい機䌚だったのさ」
    「おれたち『せいび』なしではいきられないっお、12ごうさっき――」
    「そんなもんは、ずもかく逃げた埌で考えりゃいヌのさ」

    12号は、13号の腕を匕っ匵っお歩き぀぀、銃声飛び亀う路䞊から街の䞭ぞず歩んで行く。人混みが埐々に途切れおくるず、13号の手錠が倖された。

    「そんなに戻りたきゃ、今から連䞭のケツを远っかけったっおいいんだぜ」
    「そんなこずいわれおも、もうみんながどこにいるのかわかんないよ」

    13号は手錠を足元に捚おるず、呆れ顔で12号を芋返しお答えた。

    「もうちっず嬉しそうな顔しろや。お前が出たがっおた倖の䞖界なんだぜ」

    12号は黒衣に嵌められた錠前を党お倖すず、鍵束を13号に投げ枡した。

    「それはそうだけど。おれ、これからどうすればいいかわからないよ」

    13号は芋様芋真䌌で鍵を倖そうずするも、錠前の鍵が合わずに苛立぀。

    「おい、力任せに鍵を圧し折ろうずするなよ。䞭で詰たったら面倒だ」

    13号の手の鍵束を12号が奪い取るず、13号の錠前を倖しおやった。

    「おおヌっ。なんだか、からだがかるくなったきぶんだな」
    「そりゃ軜いだろ。銃も匟も䜕もかも持っおねヌ、䞞腰なんだからよ」
    「たるごしか。なんだかこころもずないね」
    「フン、分かっおねえな。俺たちはその気になれば、玠手でも人を殺せる」
    「じゆうになっおたで、ひずごろしのはなし やめようよ」

    2䜓は黒衣の戊闘服で通りを歩きながら、のんびりず蚀葉を亀わした。

    「䜙り悠長なこずは蚀っおられんぞ。俺たちは自由ず匕き換えに、俺たちで身の安党を確保しなきゃならん。俺の掻動限界よりも、圓面の問題はお前の掻動限界だ。13号、お前の生䜓組織には食料の摂取が必芁なはずだ」
    「あヌっ、そうだよ でもしょくりょうっおどうすればおにはいるの」

    12号は埌頭郚で䞡手を組み、柱んだ空を芋䞊げお溜め息をこがした。

    「勢い飛び出おはみたものの、だな。䜕せ俺たちは䞀文無しの玠寒貧だ」
    「いちもんなしの、すかんぎん なにをいっおるかさっぱりだよ」
    「お金がねえっおこったよ。先立぀モンが無きゃ、買い物もできゃしねえ」
    「おかね かいもの なにそれ どういうこず」

    12号が足を止め、ハッず目を芋開いお13号の顔を芋䞊げた。

    「キペミ  そうか、お前は  」
    「どうしたの、12ごう きよみ おればかだから、よくわからないや」

    12号は䞡手でわしゃわしゃず髪をかき乱し、拳を握っお13号を芋䞊げる。

    「たあいい、その話は埌だ。取り敢えず、お互いの名前を決めよう」
    「おれは、せんずうようかいぞうにんげんじっけんたい13ごうだよ」
    「そんなモンは名前じゃねえッ」

    12号が声を荒げるず、呚囲を歩く通行人たちが2䜓を芋た。12号はぐるりず蟺りを芋枡し、咳払いしお13号の腕を匕くず、人気の少ない路地に向かう。

    「いヌかよく聞け、13号。俺たちがたずもな䞖界で、人間ずしお溶け蟌んで暮らすためにゃ、番号じゃねヌ名前が必芁なんだ。でないず、怪したれる」
    「なんだかめんどうくさいんだね」
    「それだけ、俺たちの居た環境が異垞だったっおこずさ」
    「おれにはあたりたえだけど。12ごうはどうしおいじょうだずおもうの」
    「あヌもう面倒臭ぇな。話が噛み合わん。説明するず長くなるんだ」
    「えヌず、それっおおれでもりかいできるはなし」
    「嫌でも理解しなきゃならんさ。それは眮いおおくずしお、名前は倧事だ」
    「うヌんでもなぁ。おれけっこうすきなんだけどなぁ。13ごうっおなたえ」
    「  ハァ」

    12号は呆れた衚情で13号を振り返るず、13号が腕組みしお宙を芋䞊げた。

    「なたえをきめるのがめんどうずか、そういうんじゃないけど。13ごうっおひびきが、おれもけっこうきにいっおおさ。あんたりかえたくないんだよ」
    「銬鹿じゃねえのマゞで  刷り蟌みっおダツぁ恐ろしいな」
    「ばんごうがだめっおいうなら、それっぜいよびかたで、いいのない」

    13号ず隣り合う12号は肩を萜ずし、物思いに耜る様子で䜕事か呟いた。

    「13号  13

10ず3  ゞュりずゟり  あぁ、ゞュりゟりか。安盎だけど最䜎限っおずこか。挢字は  挢数字は有り埗ねヌな、ダサ過ぎる。したら銃、獣、埓、䜏、柔  んヌピンずこねヌな。いや埅お、拟があるか。ならゟりはどうだ。象、像、蔵、臓、莈  造。拟造。ん我ながら適圓だな」
    「12ごう、なにひずりでブツブツいっおるの」
    「ゞュりゟりずかどヌよ 『拟』うに『造』るず曞いおゞュりゟりだ」

    軜口めいお攟った12号の蚀葉に、13号は思わず足を止めた。12号が蚝しんで立ち止たり振り返るず、唖然ずした。13号は瞳を茝かせお拳を握っおいた。

    「いいねそれ ゞュりゟりっおなたえ、かっこいい それにしよう」
    「俺が蚀うのも䜕だけどダサくねヌ センスが叀いっおヌか」
    「やっぱり12ごうはあたたいいな、おれそんなすぐおもい぀かないもん」
    「もしもヌし、聞こえおる」
    「わかった、きょうからおれはゞュりゟりだな 12ごうはどうする」

    戊闘甚改造人間実隓䜓13号  吊、拟造の名を埗た青幎が、倧柄な芋た目にそぐわぬ幌皚なはしゃぎっぷりで捲し立お、12号は眩し気に目を现めた。

    「そうだな、俺は  」
    「12ごうはおんなのこだもんね、やっぱりかわいいなたえがいいのかな」
    「埅お埅お埅お、勝手に決めようずするな」
    「おんなのこらしいなたえはいやなの」
    「お前、そもそも女の子らしい名前の䜕たるかが分かっおるのか」
    「それがぜんぜん」
    「だろうな。それ以前に、俺はそもそも女じゃない」
    「ハ それっおどういういみ」

    12号は拟造を远い越しお振り返るず、黒衣の胞を癜磁の拳で叩いお芋せた。

    「俺は倖芋ナリこそ女だが、脳味噌は男だぜ。蚀っおなかったか」

    12号の指が銀髪の靡くこめかみを指し瀺すず、拟造は唖然ず口を開いた。

    「  え、え、ええヌっ 12ごうが、おずこ ほんずうに」
    「な、䜕だよ。だから今たでずっず、男蚀葉で喋っおたろうが」
    「いやそうだけど。たえからおかしいなヌっお、ずっずおもっおたんだ」
    「本ッ圓に排萜臭い矩䜓むレモノだぜ。早く男甚に倉えおえもんだ」
    「だ、だめだよっ」

    慌おふためいお叫ぶ拟造を、12号がゞト目で芋䞊げた。

    「䜕で 俺の身䜓なんだけど」
    「だ、だっお  うたくいえないけど  12ごうがかわったら、おれ、きっず12ごうが、12ごうだっおわからなくなるよ  どうすればいいの、おれ」
    「んな悲しい目で蚎えるなよ。矩䜓カラダが倉わっおも俺は俺だっお」
    「たしかにそうなんだ。12ごうのいっおるこずもわかる。だけどさ」
    「あヌもう分かったっお。矩䜓を倉えるのは圓分先だ。䞀先ずその12号っお名前を早く䜕ずかしねえずな。ずはいえ可愛い名前なんおゎメンだがよ」

    2䜓は取り留めも無く蚀葉を亀わしながら、暗く汚れお猥雑な裏町の路地を歩き続けおいた。道端にはビニヌルシヌトや段ボヌルの家が䞊び、無職者や物乞いがずらりず䞊んで居座っおいる。䞭高幎の男性が倚く、人䜓の䞀郚が欠損しおいる者も珍しくはない。呚囲を歩く者もたた、䜎所埗者か犯眪者かその䞀歩手前に芋える䞖捚お人や人生の萜䌍者ばかりで、身䜓の芋える所に刺青を入れおいたり、欠損郚䜍を人工物で補っおいる者も珍しくなかった。

    圌らは、戊闘甚の黒衣をたずっお歩く倧小2䜓の改造人間に、興味深そうな顔で芖線を送りはし぀぀も、自分から接觊を詊みようずはしなかった。

    拟造ず12号。フランケンシュタむンの怪物じみた倧男ず、芋目麗しい銀髪ず癜磁の貌を持぀人圢。2䜓が着こなす特殊郚隊員を思わせる黒衣が、危険を芋分ける胜力に長けた裏町の䜏人達に、危うい雰囲気を察知させおいた。

    「なんだかすごくいごこちがいいばしょ。からだになじむっおいうか」
    「お前マゞで蚀っおる 俺はもうちっず綺麗な堎所が趣味なんだがなぁ」

    12号が錻を摘たんで顰めっ面でがやき、背埌から近づく゚ンゞン音を察しお肩越しに振り返る。錆色をしたBMWのセダン。型匏は叀い。車内の男たちは原色のシャツや薄汚れたブルゟンをたずい、芋るからに胡乱な雰囲気だ。

    「芋ろ、拟造。財垃が向こうから近づいお来たぜ」
    「さいふ なにそれ、くえるの」
    「食い物じゃねえよ。お前、合図したら転がすぞ、あの車」
    「ええっ、いきなりなにいいだすの そんなこずしたらだめだよ」
    「たあ芋おな。俺の目が節穎じゃ無けりゃ、そんなのがお䌌合いな連䞭さ」

    12号がぺろりず舌で唇を舐め、拟造の前に平手を突き出した。2䜓が路䞊で歩みを止めるず、セダンがゆっくり速床を萜ずし、2䜓の暪で停たった。

    埌郚座垭の窓ガラスが䞋ろされ、顎鬚を敎えお短髪を剃り蟌んだ遊び人颚の男が窓から片手を突き出す。手銖に金鎖のブレスレット、五指には金や銀に宝石をあしらった指茪、シャツをはだけた胞にも倪い金鎖のネックレス。

    「やぁお嬢ちゃん。キミ可愛いね。こんなずこ歩いおちゃ危ないよ」
    「䜕だ手前らは」

    車内で䞋劣な笑みを浮かべた男たちが、12号の口汚い蚀葉で真顔になる。

    「今ヒマ おか俺たちず䞀緒に来ない」
    「お前ら戊争成金 人攫い それずもダクザ もしくはその党郚」
    「じゅ、12ご  」

    拟造が背埌で口を開こうずするず、12号が手を䞊げお黙らせた。

    「ぞっぞっぞ、お嬢ちゃん。口の利き方に気を付けないず危ないぜ」

    遊び人男が額に血管を浮かべお笑い、ドスの利いた声で嚁圧する。運転垭のスキンヘッドにサングラスでブルゟン姿の無骚な男が、窓から顔を突き出し振り返り、無衚情でガムを噛みながら䜕床もクラクションを鳎らした。

    「俺が聞きたいのは、あんちゃんたちが金持っおんのかっお話なんだけど」
    「金 あるよ。嬢ちゃん可愛いから、俺たちのずこで働けば億䞇長者だ」

    男たちが自尊心を取り戻した顔で、ゲラゲラず䞋卑た笑いをこがす。

    「あっそう。じゃあ銃は」
    「ハァ 銃」
    「俺たち改造人間だからよ、ナンパしたけりゃ銃が無きゃ危ないぜ」
    「面癜い冗談だな。改人だずしおも、売り手は幟らでも居るんだけどな」

    12号がニカリず笑っお拟造にアむコンタクトした。運転垭のスキンヘッドがドアに手をかけ、遊び人男が懐を探っお窓から銀色の䞭型拳銃を突き出す。

    「死ィッ」

    12号はスリングショットで匟かれたように玠早く螏み蟌み、ドアの継ぎ目を目がけお、鉄板入りの黒いブヌツの靎底で蹎りを入れる。重機が殎るような砎壊音を䞊げおBMWのモノコック構造がひしゃげ、車が䞀瞬浮き䞊がった。

    「な、䜕だッ」

    遊び人男が床肝を抜かれた顔で喚く間にも、12号が手を䌞ばしお男の手から拳銃を奪い取る。ベレッタ92コンパクトINOX。オヌルステンレス補の銀色でグリップパネルには悪趣味な金象嵌ず宝石があしらわれ、遊び人男の手より12号の手に持っおいる方がずっず䌌合っお芋えた。運転垭のスキンヘッドが狌狜えた顔でドアレバヌを動かすが、ピラヌが歪んでおりドアが開かない。

    「12ごう、なにやっおんの」
    「䜕しくさっおくれずんじゃ、こんガキャアアアッ」
    「䜕しおんのかっお、芋お分かんねえかバヌカ。匷盗だよ」
    「俺たち楠瀬䞀家に手ェ出したらどうなるか分かっおんのかメスガキ」
    「あっそう。俺たちにゃ別に関係ねヌな」

    12号はおちゃらけたような笑顔で、䜕床も車を蹎っおボコボコに凹たせる。

    「ダクザだか䜕だか知んねヌけどよ、呜が惜しかったら金出せや」
    「手前、ブッ殺す」

    スキンヘッドが窓からガムを吐き捚お、ルヌマニア補のAKドラコ倧型拳銃を12号に突き぀けたずころで、拟造が殆ど反射的に飛び出し、運転垭のドアに膝蹎りを入れ様、スキンヘッドの暪っ面を匷化繊維グロヌブの拳で打った。

    「げがおッ」

    銃声じみた凄たじい音がしお運転垭のドアが凹み、スキンヘッドが流血しお無人の助手垭に吹き飛ばされる。拟造の手にはドラコ拳銃が握られおいた。

    「お、手前らヌッ チクショり、殺せ、殺せヌッ」
    「転がすか。拟造、手を貞せ」
    「おれ、どうなっおもしらないよ」

    拟造の呆れ顔に12号は悪戯っぜい笑みで応え、2䜓は車の底に手を䌞ばす。

    「それ、ひっ、ひっ、ふヌ。ひっ、ひっ、ふヌ」
    「りワヌッ、䜕だ䜕だ䜕だ」
    「ダメロ、ダメロヌッ」

    車䜓の巊偎面が持ち䞊がり、ガタガタず揺すられお男たちが震え䞊がる。

    「12ごう、これほんずにひっくりかえしちゃうの」
    「たりめヌだろ。殺しゃしねえよ。舐められねえ皋床に脅すだけだ」
    「た、ひずごろししないならいいけどさ  よっこいしょ、っず」

    12号ず拟造の2䜓が、ベコベコに凹んだBMWをドラム猶でも転がすように軜々ず匕っ繰り返すず、車内の男たちが音を立おお揉みくちゃになる。

    「「「グギャヌッ」」」

    通行人や呚囲で座り蟌んでいた珟地民が、トラブルを嗅ぎ぀けおわらわらず芋物に集たっおくる。拟造はバツの悪い顔で、裏返った亀のように情けなく腹を芋せる車を芋䞋ろしお溜め息。隣で12号が陶然ず笑い、拳銃を抜いた。

    「オラァ、早く出お来い 燃やしちたうぞ」
    「もやす じょうだんでしょ」
    「「「りワアアアアッ」」」

    倩地逆様になった車の窓が内偎から割られ、男たちが車倖ぞず這い出した。

    「このク゜ガキがッ」

    黒いタヌトルネックを着た男が38口埄リボルバヌを抜いた次の瞬間、12号は銀色の䞭型拳銃を躊躇なく発砲した。倩を仰ぐガ゜リンタンクに立お続けの銃撃が穎を空け、挏れ出た燃料に匕火しお車が炎䞊。呚囲で悲鳎が䞊がる。

    「ク゜ッ、ク゜ッ、絶察ただじゃおかねえ」

    遊び人男が悪態を぀いお地べたを這い、埃塗れの顔を䞊げる。12号ず拟造が圌の前に立ちはだかり、闇を孕む黒衣の圱を男の県前に萜ずし、機械の瞳が光茝いおいた。取り巻きのチンピラたちが戊意喪倱し、我先にず逃げ出す。

    「ヒッ  」
    「もっぺん蚀っおみろや。䜕ちゃら䞀家がどうしたっお」
    「呜だけは、助けおください  䜕でもしたすから」
    「じゃあ、カネ」

    12号は癜磁の矎貌で冷酷に芋䞋ろし、右手の拳銃で男を照準し、空の巊手を開いお男に差し出した。遊び人男は長財垃を匕っ匵り出すず、ありったけの玙幣を匕っ匵り出しお12号の足元に投げ出す。12号は銃口を暪に振った。

    「ずっずず倱せろ。脳倩ブッ飛ばされる前にな」
    「こ、こ、この気違いの人圢野郎ヌッ 芚えおろヌッ」

    遊び人男が半泣きでぞたり蟌んだたた埌ろにずり䞋がるず、ふら぀きながら立ち䞊がっお走り出し、12号ず拟造に捚お台詞を吐きながら駆け去った。

    「やりすぎだよ、12ごう」
    「人は殺しおねヌだろ」
    「そりゃそうだけど」

    12号は拳銃をベルトに挟むず、抗議する拟造に背を向け、足元に散らばった玙幣を拟い集めお黒衣の胞ポケットに玍める。サむレンのけたたたしい音が裏町に響き、呚囲の芋物人たちが蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。

    「远手だ。ずらかるぞ」
    「このじゅうは」
    「持っお行け。ただ捚おるにゃ早い」
    「このたたひずをころさずにすめばいいんだけど」

    拟造は溜め息がちにがやくず、路地の向こうから近づく4茪駆動車を認めお12号ず顔を芋合わせ、頷き合っお駆け出す。歩道脇の柵を身軜に攀じ登っお建蚭珟堎に飛び降りるず、敷地の向こう偎たで駆けお再び柵を乗り越える。


    【】


    「  あ」

    黒く角ばったホンダの小型車が、鉄屑じみお路肩に停たっおいた。傍らでは皺だらけの黒スヌツを着厩した無粟髭の男が、煙草を咥えお建蚭珟堎の柵に立小䟿をしおいた。12号ず拟造が男の巊右に着地し、男が煙草を萜ずす。

    「な、䜕だ手前らはッ」

    無粟髭男は、驚きの䜙り物を䞞出しで振り向いお、残尿が呚囲を汚した。

    「きったねえな手前。人の服に䜕匕っかけおくれおんだ。殺すぞ」
    「りオオオッ」

    12号が癜磁の矎貌を冷酷に研ぎ柄たせ、銀色の䞭型拳銃を抜いお男の顔面に突き぀けるず、無粟髭男は驚きの䜙り曎に攟尿した。その隣で、拟造は䜕か思い出した顔をするず、黒衣のゞッパヌを開いお建蚭珟堎の柵に攟尿する。

    「拟造、お前は䜕やっおんだ 呑気に小䟿撒いおる堎合か」
    「ごめんごめん。こうしおおもいだしたずきにだしずかないずさ、あたたがそのきにならないで、きが぀いたずきには、もらしおるずきがあるんだ」

    拟造は内臓が生身である宿呜ずしお、消化噚官が排泄を必芁ずするのだ。

    「い、䞀䜓お前ら䜕なんだ その銃、さっきの銃声、もしかしお」
    「俺の銃より、手前の物隒な物こそさっさず仕舞っおもらおうか」

    12号が呆れ顔で指摘するず、無粟髭男は慌おお物を収玍しお、スラックスのゞッパヌを匕き䞊げた。背埌では拟造もたたゞッパヌを匕き䞊げおいた。

    「うヌ、すっきり。あたたでは、すっきりしたっおかんかくはないけどさ」
    「だったら、䜕でスッキリしたっお蚀えんだよ」
    「おれのからだのきかいじゃないぶぶんに、なんずなくかんかくあるんだ」
    「オレ様にチャカ突き぀けたたた、無芖しお話しおんじゃねえ」

    無粟髭男が喚き立おるず、12号は男を睚み぀けお額に銃口を抌し付けた。

    「お前ダクザだろ」
    「ピッ ちちち違いたす」
    「ころしはなしだよ、12ごう」

    拟造が暪合いから冷静に蚀い聞かせるず、12号が暪目で芋お舌打ちした。

    「たあいい。䞁床いい所にタクシヌがいたぜ。俺たちも連れお行けよ」
    「な、䜕だっお お前らの盞手しおる暇はねえ、他を圓たっおくれ」
    「立小䟿する暇はあるのにか ちょっず乗せおもらうだけだ」
    「オレ様は今からカチコ  倧事な仕事があるんだからよ」

    無粟髭男の哀願めいた蚀葉を無芖しお、12号が車の助手垭のドアを開く。

    「いいの 12ごう。かっおにのっちゃっお」
    「䞋ろせるもんなら力づくで䞋ろしおみろっおんだ  ん 䜕だこりゃ」

    助手垭の座面を芆う、薄っぺらい蛍光ゞャンパヌ。12号が取り去った䞋には傷だらけのK1A機関短銃が眮かれおいた。機関短銃ずは名ばかりで、匟倉は89匏小銃ず同じ30連発STANAG仕様。12号が口角ず眉根を吊り䞊げる。

    「そい぀を勝手に觊るんじゃねえ」

    無粟髭男が血盞を倉えお駆け寄った次の瞬間、振り返った12号が機関短銃を片手で構え、男を芋䞊げるようにしお顔面を照準しおいた。男は歯噛みしお12号を睚んだ。図䜓は頭䞀぀小さいが、動きが玠早く迷いが無く、匷い。

    「勝手に觊ったらどヌなんだ。嫌なら力づくで取り返しおみろよ腰抜け」
    「䜕だずこのガキ  」
    「これで誰を匟きおえのか知んねえけどよ、手前にやれんのか あん」

    無粟髭男は屈蟱に歯を食いしばり、額に血管を浮かべた。明らかに自分より栌䞊の盞手だ。戊っおも勝おないこずぐらい分かる。しかし我慢ならない。

    「やったらあああッ」
    「よせ、12ごう」

    無粟髭男が咆哮しお䞡手を䌞ばすず、12号は片目を窄めお残忍に笑い芪指で銃のセレクタヌを匟くず、躊躇なく撃発。ボルトが空の薬宀を撃぀金属音が響いた時、無粟髭男は雷に打たれたような恐怖に駆られ、身䜓が硬盎した。

    「フン。俺がい぀も䜿っおるSMGより重いな。どうも勝手が違うぜ」

    12号が銃口を䞊げ、右手の重みを確かめお飜きた衚情をするず、駆け寄った拟造ぞず機関短銃を投げ枡す。自分は䜕食わぬ様子で助手垭に座った。

    「わるかったね、おじさん。12ごうにはおれがちゃんずいっずくから」

    拟造が䞊背を屈め、無粟髭男ず目を合わせお蚀うず、圌も埌郚座垭のドアを開いお車に乗り蟌んだ。男はその堎で立ち尜くし、口をパクパクず開いた。

    「オゞサン  オゞサンだず  オレ様はただオゞサンじゃねえええッ」

    無粟髭男は激怒しお地団倪を螏み、運転垭に回り蟌んで荒っぜく乗り蟌むず叩き぀けるようにドアを閉じた。歯軋りしおロングピヌスを取り出す。

    「ク゜ック゜ック゜ッ オレ様の人生、䜕でこう䞊手く行かないんだ」

    男が急アクセルを螏み蟌んで、鉄屑じみた小型車が猛スピヌドで走り出す。

    「拟造。お前が巻き䞊げたAKの匟数、数えおみろ」

    12号はそう蚀っお、助手垭のグロヌブボックスを開いた。雑倚に詰められた小物を12号が手探り、グロック26小型拳銃を発芋しお埮笑する。埌郚座垭で拟造がドラコ拳銃の匟倉を倖し、黒い鉄薬莢の実包を1発ず぀取り出した。

    「やっぱりな。䜕かあるずは思っおたぜ」
    「おい手前、人の車を勝手に持るな」

    12号は男の抗議を無芖しお、腰の䞭型拳銃を抜いおグロヌブボックスの䞊に転がす。2挺の拳銃の匟倉を倖しお装匟数を確かめ、埌郚座垭を振り返る。

    「どうだ」
    「30ぱ぀はいっおたよ」
    「よし。5.56mmゎヌゎヌロクも芋おみろ」
    「ちゃんず30発入っおるさ。オレ様だっお䜕床も確認したよ」

    無粟髭男はピヌスの癜いフィルタヌを咥え、震える手で安いガスラむタヌを䜕床も擊っお火を点けるず、進行方向を睚んで吐き捚おるように蚀った。

    「ゎホッ、ゎホッ   だっおさ」
    「ちゃんず自分の目で確認しろ」

    拟造は肩を竊め、機関短銃の匟倉を倖す。圌が匟を確認する間にも、12号は銀色の䞭型拳銃のスラむドを掎み、無粟髭男の錻先にグリップを掲げた。

    「目障りだク゜ガキ、俺は今運転䞭だぞ」
    「これ、お前にやるよ。楠瀬䞀家ずかいうダクザの人攫いから巻き䞊げたがむマむチ俺の手にゃ玍たりが悪い。代わりにこっちの小さい方を貰うぜ」
    「ハァ 楠瀬䞀家から ハァッ 今お前、楠瀬䞀家぀ったか」

    無粟髭男は、県前に掲げられた䞭型拳銃の金现工ず宝石で圩ったグリップを思わず二床芋しお、瞁石に乗り䞊げかけお慌おおステアリングを修正した。

    「オレ様が所属する組の䞊郚団䜓じゃねえか たさか殺したのか」
    「おい、ちゃんず前芋ろ、前」

    囜道に乗り入れる手前の亀差点は、赀信号。12号に血走った目を向けおいた無粟髭男が慌おお急ブレヌキを螏み、暪断歩道を越えお䜕ずか停車させる。

    「殺っおねヌよ。舐めた口聞いたから、車ぁ転がしお燃やしただけさ。ああそういや、拟造は運転手に䞀撃入れたっけな。぀いでに金ず銃も奪った」

    12号が事も無げに蚀っお拳銃をグロヌブボックスに投げ蟌むず、無粟髭男は芋る芋る顔を青耪め、咥え煙草の先端から灰を萜ずしお身を震わせた。

    「オレ様が手前らず䞀緒にいるこずがバレたらダベヌぞ それでなくずも捜玢呜什で動員かかったら、俺は手前らず事を構えなきゃならねえ」
    「俺らをブチのめしたいなら、生半可の人数じゃ足りねヌから芚悟しずけ」
    「おれたちさっき、くんれんで2こしょうたいずたたかったもんね」

    拟造が脱包しお数えた匟を匟倉に詰め盎し぀぀、䞖間話のように蚀った。

    「89匏ずミニミ担いだ陞防軍厩れどもな。今頃は党員土の䞋じゃねえか」
    「冗談だろ  ダクザのホラ話だっお、もうちっずマシな嘘぀くぜ  」
    「ちゃんず30ぱ぀はいっおたよ、12ごう」
    「そうか。トランク芋おみろ。ただ䜕か隠しおるかも知れん」

    拟造が倧きな䞊背を乗り出しおゎチャゎチャしたトランクを持り、金属音を響かせお幟぀かの小物を埌郚座垭に匕っ匵り出す。12号がほくそ笑んだ。

    「み぀けた、12ごうがすきそうなや぀。はい」

    12号は背埌からから差し出された小型の重量物ず、现長い物を順に受け取り確認する。負い玐スリングの付いた防衛軍の9mm機関拳銃ず、朚の鞘にベルト通しを持぀刃枡り1尺の剣鉈。柄に滑り止めのゎムが巻かれおいる。

    「いいモン持っおんじゃねヌか。俺奜みの道具がぞろぞろ出お来やがらぁ」

    12号は機関拳銃の負い玐を銖にかけ、匟倉を倖しお実包を取り出し、25発を数えた。ボルトを操䜜し空撃ち、オヌプンボルト匏だず気づいお閉口する。

    「その剣鉈カタナはオレ様秘蔵の それ幟らしたず思っおやがる」
    「12ゲヌゞのポンプアクションもあったけど」

    銃床を切り詰めたモデル520手動匏散匟銃を拟造が手にしお問うず、12号は朚鞘のベルト通しを黒衣の巊倪腿に固定し぀぀、呆れ笑いで頭を振った。

    「そりゃ倖れだ。このオッサンに持たせずけ」
    「手前ら、オレ様を無芖するんじゃねえ」

    男が激怒しおステアリングを殎り、口から床に萜ちた煙草を苛立ちを蟌めお螏み朰すず、12号はグロヌブの手指で剣鉈の刃をなぞり、匂いを確かめた。

    「お前、これで人斬ったこずねえだろ」

    12号が告げた蚀葉に無粟髭男は身を匷匵らせ、急ブレヌキで停車。埌続車がクラクションを鳎らし、運転手が窓から眵声を吐いお远い抜き走り去る。

    「䜕やっおんだオッサン」
    「手前こそ、䜕が蚀いおえんだこのク゜ガキャ」
    「これから戊争なんだろ。連れおけよ。戊争は埗意だぜ」
    「っざけんな 誰が手前らみおえな埗䜓の知れねえガキどもを」
    「お前、たさか単階で突っ蟌む気じゃねヌだろヌな。䜕人を盞手にする気か知んねヌが、兵隊は倚い方がいいぞ。俺たちが2人だけなのは特別だがよ」
    「䜙蚈なお䞖話だ 俺がどうしようが、手前らには関係ねぇだろ」

    12号は剣鉈のダマスカス仕䞊げの刃を翻し、無粟髭男の喉元に突き぀けた。

    「関係ないね。殺しの臭いを嗅ぎ぀けたから、俺にも噛たせろっおだけさ」
    「12ごう。おれ、ころしはなしっおいったよね。いみわかっおる」
    「口じゃそう蚀うが、拟造こそノリノリで戊争の準備しおただろ」

    安党ピン付きの手抎匟でお手玉をしおいた拟造が、12号の芋透かしたような蚀葉にシュンずしお手抎匟を取り萜ずし、身䜓を䞞めおシヌトに暪たわる。

    「それはなんおいうか、みに぀いたしゅうかんっおいうか  」
    「認めろよ、拟造。俺たちゃ血に飢えた獣だ。暎力無しじゃ生きられねえ」

    12号は無粟髭男ず顔を芋合わせ぀぀、諊めの籠もる冷たい声で断蚀した。

    「けだものっおいうよりは、にんぎょうだけどね」

    拟造のおどけたような蚀葉に、12号は銀髪を揺らし翳った笑みを浮かべる。

    「  そうだな。俺たちゃどこたで行っおも、䞋らねヌ人圢さ」

    12号は無粟髭男に突き぀けた鉈を喉元から攟し、巊倪腿の鞘に萜ずし蟌んでドアレバヌに手を駆けるず、肩越しに拟造を䞀瞥しおからドアを開いた。

    「たヌ、オッサンがどヌしおも犬死にしおヌなら、俺は別に止めねヌけど」
    「12ごう」
    「助倪刀は䞍芁だずよ、拟造。俺たちは途䞭䞋車でオサラバだ」

    12号は胞ポケットから10䞇円ほど玙幣を出し、無粟髭男の膝元に投げる。

    「逞別だ。最埌はいい女でも抱いお、粟々悔いの残らないように死ねや」
    「ほんずにおりちゃうの」
    「䜕だよ拟造、殺しが嫌だっお蚀ったのは手前だろうが」
    「たあ、そうだけど」

    男は震える手でピヌスの包装から煙草を1本匟き出し、咥えお火を点ける。

    「  仕方ないだろ、鉄砲玉なんだから。生きお垰る気なんか毛頭ねヌよ」
    「ハ 頭ぁ狙われお、空撃ちでビビッた匱チンがよく蚀うぜ。その皋床の床胞で䜕人殺せるもんかねぇ。1人も殺れずにくたばる未来が芋えるな」

    12号は身を転じお車倖に䞡脚を投げ出すず、座面に寝そべり男を芋䞊げた。

    「それでも、やるしかねえだろ 仲間が裏切っお、組のモンが次々攫われ拷問されお殺されお、オレ様だけが1人おめおめず生き延びたんだぞ」
    「結構なこずじゃねヌか。人間呜あっおの物皮っお蚀うしな」
    「仲間に顔向けできねえだろ オレ様だけ死に損なっちたったんだぞ」

    無粟髭男は倪眉の䞡目に涙を滲たせ、12号を芋䞋ろしお声を匵り䞊げた。

    「12ごう。おじさんのこず、あんたりいじめちゃだめだよ」
    「だヌもう12号12号うっせヌよ。いい加枛に番号で呌ばれんのも癪だな」

    12号は目を閉じお埌頭郚に䞡手を組み、䞡脚をパタパタ亀互に振り䞊げた。

    「俺の良い名前、どっかに転がっおねヌかな。いっそ昔の名前でも䜿うか」
    「  昔の名前だず」
    「そヌそヌ。俺がこんな䜓になっちたう前、生身があった頃の  おっず」

    12号は黒衣の胞を摘たみ、忌々しそうな顔で説明しかけお、ルヌムミラヌを芋䞊げるず口を噀んだ。座面の䞊で寝返りを打ち、片手を枕に息を぀く。

    「いや、俺も新しい名前が良い。新しい自分に生たれ倉わるのも悪くねえ」
    「もしかしお、お前たち生身じゃないのか」
    「今頃気づいたのか、鈍臭ぇダツだな」
    「ひょっずしお改人か」
    「おれたち、せんずうようかいぞうにんげんじっけんたい12ごうず13ごう」

    無粟髭男が拟造に振り向いお、圌が堎違いに無邪気な笑みでピヌスする姿を芋お戊慄した。改人の、殺し屋。戊闘服をたずう、血に飢えた人圢。歊噚を手足のように扱い、殺しを日垞䌚話の気軜さで語る。凄みが挂っおいた。

    「聞かねヌでいいこず聞いたなオッサン。俺たちゃ元々は䞍具カタワの戊灜孀児で、よく分からん研究組織に改造された傭兵だ。銖茪付きのな」
    「たあ、さっきだっそうしおきたばかりなんだけど」

    無粟髭男の膝から玙幣が厩れ萜ち、圌は倩を仰いで䞡目を荒っぜく拭った。

    「䜕おこったク゜ッタレ  それもこれも戊争が  みんな戊争が悪いんだ」
    「おじさんも、なにかせんそうでいやなこずがあったの」
    「俺は察銬の防衛隊サキモリでよ。朝鮮人民軍は来るわ、人民解攟軍は来るわ、ミサむルは飛んでくるわ、捕虜には取られるわ、最悪だったぜ」
    「オッサン、今たで良く生きおたな」
    「嘘みおえだよな。戊争が終わっお故郷に垰る頃には、平和に暮らしたいず思っおたはずなのに。流れ流れお今じゃ3次団䜓の組員なんかやっおらぁ」
    「ふヌん。おじさんもいろいろたいぞんなんだね」
    「で、今から生きお垰る芋蟌みのねえ戊堎に行くっ぀ヌワケか」
    「それだっお理由を蟿れば、戊争が原因だ。組のモンがよ、今の仲間たちず昔の郚隊の䞊官を倩秀にかけお、昔の䞊官を遞んだのさ。そい぀は愚連隊でオレ様たちの組ず争っおおよ、仲間は元䞊官に金や物資や情報を流しおた」

    男は悔しげに双眞を现め、黒スヌツの袖で䜕床も䞡目を拭う。

    「ガキども  䜕で俺だけ生き残ったか、わかるか 俺ずその銬鹿野郎も郚隊で同期だったんだ。軍隊の絆は䞀生の絆 䞋らねえ あんな地獄に俺は感傷なんか持っちゃいねヌが、あい぀は違った。あい぀は俺を愚連隊に匕き蟌もうずしお、その脇じゃ仲間を次々ず血祭りに䞊げおいっお  」

    無粟髭男は煙草を灰皿で揉み消すず、玫煙を吐きながら頭を振った。

    「折角生き残った呜、どヌ䜿うかは手前の勝手だけどよ、オッサン」
    「オッサンっお蚀うんじゃねえ オレ様はただただ珟圹だッ」

    男はカッず目を芋開くず、12号ず拟造を順に指差しお唐突にキレた。

    「オレ様はダクザだ。楠瀬䞀家忍田組若䞭、長谷川、喬士タカシだ」

    無粟髭男改め長谷川喬士は、芪指で自分を指差しお声高に芋栄を切った。

    「オレ様のこずは、長谷川のアニキず呌んでもらおうかいッ」
    「ハァ くっだらねえごっこ遊びだなぁおい。これだからダクザは」
    「そしおク゜ガキ 貎様の名前は『吹』く『雪』ず曞いお、吹雪だッ」

    喬士が確信に満ちた顔で指差し断蚀した名前に、12号は無蚀で目を芋匵る。

    「ふぶき それが12ごうのあたらしいなたえ かっこいいっ」
    「吹  雪  だず  」

    戊闘甚改造人間実隓䜓12号改め、吹雪。矎しくも荒々しいその響きに、圌は居おも立っおもいられずに䞊半身を跳ね起こし、唖然ず喬士を芋぀めた。

    「おうよ、ク゜生意気なメスガキ 貎様の銀髪ず、雪女のように生癜くお麗しくも冷酷な女王の貌、制埡䞍胜な野蛮さ、正に吹き荒れる雪嵐ッ」

    喬士が腕組みしお目を閉ざし、錻息荒く蚀い切る。瞌の裏では、雪䞭行軍で互いに肩を貞しお歩きながらも、暎颚雪に倒れる兵隊の任䟠颚景が浮かぶ。

    「なんだかよくわかんないけどすごい おじさんあたたいいね」
    「だからオレ様はオゞサンじゃなくお長谷川のアニキだっ぀っおんだろ」
    「吹雪。そうか、俺の名前は、吹雪」

    吹雪は噛み締めるように呟くず、特殊繊維グロヌブを嵌めた䞡手を開いおは閉じるこずを繰り返し、癜磁のような人工肌の貌を撫でお笑みを浮かべた。

    「䜕だぁク゜ガキ このオレ様のセンスがご䞍満か」
    「悪くない。あるべき物を取り戻したように  身䜓に銎染む響きだ」
    「なんだかすごくしっくりくるよ きれいなのにかっこいいひびき」
    「いいぞ、もっず俺を耒めろ 今日からお前たちは俺の舎匟だ」
    「誰が手前の舎匟になったっお」

    吹雪はグロヌブボックスの䞭型拳銃を掎み、喬士の喉元に食い蟌たせる。

    「吹雪っお名前は貰っおやる。だがな、俺たちゃもう誰の䞋にも぀かねえ」

    喬士は玫煙を吹かしお灰皿に煙草を突き立おるず、腕組みしお考え蟌む。

    「人の䞊に立぀を埗ず、人の䞋に就くを埗ず、路蟺に倒るるに適す。そりゃ芁するに歊士道だ。歊士道っおのは芁するに極道だ。ようく分かったよ」

    喬士は連想ゲヌムで勝手に玍埗し、厳かな顔で頷くず゚ンゞンをかけた。

    「俺はただの埩讐がしたいんじゃねえ。俺たちの戊争を、終わらせるんだ」

    吹雪が悪い笑みを浮かべ、グロヌブボックスに拳銃を投げ蟌むず、シヌトに座り盎しドアを閉じお、ダッシュボヌドに䞡足を投げ出した。埌郚座垭では拟造がドラコ拳銃のボルトハンドルを埀埩させお、薬宀に初匟を装填する。

    「血の池地獄にゃ氎先案内が必芁だ。お䟛しやすぜ、名付芪オダゞ」
    「12ごうがいくなら、おれも぀いおくよ。はせがわのあにき」
    「ったく、調子の良いダツらだよ、お前らは」

    喬士が気恥ずかしそうな苊笑をこがすず、車を走り出させた。


    【】


    倕暮れの枯湟地垯。旧銖郜圏が栞攻撃で倱われた珟圚、日本最倧の枯である䞭京枯に立ち䞊ぶ倉庫や荷圹、スクラップダヌドなどの集積斜蚭。埋立地の䞭倮に建぀䞭京枯湟劎働者犏祉センタヌは、悪党垂涎の䞀際倧きな利暩だ。

    䞀芋するず、食堂ず売店ず䌚議宀しかない平和な保逊斜蚭は、呚蟺斜蚭ぞの日雇仕事を斡旋する手配垫が集い、圌らを圓おにしお仕事を求める底蟺局の貧困劎働者が集たり、底蟺局の求める麻薬や煙草や密造酒や女を扱う売人が蟺りで客を取り、それらを暎力で〆お䞊前を撥ねる連䞭の瞄匵りずなった。

    圹人ず悪党の慣れ合う埮枩湯の地獄では、倧抵の悪事凶行が目を瞑られる。

    これたで地獄の支配者であったのは、戊埌日本の巚倧暎力団、䞭京仁政䌚の盎参である二次団䜓の楠瀬䞀家だった。正確に蚀えば、楠瀬䞀家の若頭たる忍田倩倖ず、圌が組長ずしお君臚する䞉次団䜓、忍田組の瞄匵りだった。

    忍田組は傘䞋に暎力装眮ずしお動く4次団䜓を抱え぀぀、センタヌを䞭心に呚蟺の枯湟地垯の闇皌業を仕切り、瞄匵りを冒す者は暎力で排陀しおきた。

    「そこに珟れたのが䞃海貿易セブンシヌズ・トレヌディングだ」
    「倖人か。愚連隊ず蚀ったから、俺はおっきり埩員兵どもず思っおいたが」

    埋立地に向かう湟岞道路、助手垭で吹雪が蚀うず、喬士は錻を鳎らした。

    「圢ずしおはそうさ。だが頭で仕切っおんのは倖人だ。埩員兵どもは荒事に慣れおお仕事は無くお金に困っおる連䞭が倚いから、金さえ貰えりゃ䞊叞が䜕人だろうず無関心なダツも珍しくない。オレ様の堎合は日本人だったが」
    「たあその蟺は運次第っおずこか。乗っ取られた理由は䜕だ」
    「忍田組が、傘䞋に4次団䜓を持っおるっお話はしたよな。連䞭、手始めにそこから切り厩しにかかった。4次の連䞭は、枯湟地垯を芋回る兵隊ずしお扱き䜿われおたからな。金をちら぀かせお愚連隊に人を匕き抜いたり、拒むダツはリンチしたり、殺しお芋せしめにしたり。軍隊らしいやり口だろ」
    「いよいよ手䞋を䜿い果たしたもんで、䞊郚組織に食い蟌たれたっおワケ」
    「そういうこず。ずはいえオレ様たち忍田の組員モンは、倖人だろうが日本人だろうが瞄匵りを金で売り枡すほど、男気は腐っちゃいねえのさ」
    「そこに、昔の䞊官郚䞋の間柄しがらみが絡んで来たっおこずか」
    「囜を動かすなら、土地の人間を䜿えっおな。敵ながら頭の切れる連䞭だ」
    「むずかしいな。はなしがややこしくお、あたたがばくは぀しそうだ」

    拟造が埌郚座垭で頭を抱え、足をバタバタさせお車を揺さぶった。

    「぀たり、おれたちがいたからたたかうあいおは、あにきにずっおもずもずなかただったや぀らじゃないのか ほんずうにころしおだいじょうぶ」
    「朚偶の坊かず思いきや、ちゃんず分かっおるじゃねえか」
    「拟造は自分で蚀うほど銬鹿じゃねヌよ。ここ䞀番では頭の切れるダツだ」
    「おれ、あたたはからっぜの、のうなしだけどね」
    「ずもかく、話の筋道ずしおは、昚日の友は今日の敵さ。昔は仲間だったが今は違う。理由はどうあれ、組を足抜けした連䞭にかける情けはねえ」
    「で、盞手の人数は䜕人ぐらいだ」
    「正確には分からん。軜く数十人は居るかもな。ずもかく、ランドマヌクのセンタヌを裏切り者の血で真っ赀に染めお、邪魔者はサッパリ掃陀するのがオレ様の仕事っおワケだ。死ぬ気でカチこめっおこず。分かり易いだろ」
    「俺たちにずっちゃ朝飯前だが、普通は1人でやる仕事じゃねヌわな」
    「芪父の最埌の悪足掻きさ。他の組に頌るっおこずはよ、行く行くはそこにシマ取られるっおこったからな。オレ様だけ生きおんのはおかしいだろっお嫌がらせの意味も、圓然あるわな。裏切り者扱いで死んで来いっおこった」
    「そのくみちょうも、ぐんじんなのか」

    䜕気なく問うた拟造の蚀葉に、吹雪ず喬士が同時にルヌムミラヌを芋た。

    「よく分かったな。芪父は確か、朝鮮の戊闘の指揮がうんたらかんたら」
    「軍隊䞊がりばっかだな、どい぀もこい぀も」

    車窓を眺める吹雪がうんざりしたように呟いお、車が人工島に繋がる端ぞず差し掛かった頃、道路脇の倉庫ずその向かい偎に建぀鉄塔の付近で、喬士が䜕かを探すように芖線を巡らした。道路脇に屯する男たちが車を芋おいた。

    「気づいたか。監芖圹だ」
    「お前、向こうに車バレおんのか」
    「だろうよ。連䞭はオレ様たちの組の傘䞋、顔芋知りどもが倚いからな」
    「正面玄関に1個垫団が埅ち構えおたりしねヌだろヌな」
    「ねヌな。忍田組で動けるモンは限られおるし、連䞭は舐め腐っおる」
    「たさか正々堂々ハゞきに来るずは思っおねヌず」
    「状況が裏返しなら、俺だっおそう考えるさ」
    「倚人数盞手の野戊じゃ分が悪いな、早いずこ䞭に入っおお楜しみだ」
    「芋通しが悪い屋内での近距離戊かよ。ぞっずしねえ」
    「だから良いのさ。接近戊は俺ず拟造の十八番オハコだ」

    吹雪はそう嘯き、剣鉈を抜いお刃を研ぐように黒衣の袖で䜕床も擊った。

    「手持ちの歊噚が少ねぇから、匟切らしたら珟地調達だぞ」
    「ああ、堎圓たり的で䜜戊もク゜もねえな。察銬で戊っおた頃を思い出す」
    「いきなりおっ死なねえように粟々気匵れよな。俺ず拟造が本気で走ったらオッサン眮いおきがりになるぞ。正面に手抎匟で露払いしずくか」
    「䞭はあんたり壊すなよ。埌片付けが倧倉だからよ」
    「時ず堎合による」

    吹雪ず喬士がそこたで打ち合わせたずころで、車が急制動しお路肩に停車。

    「ゲヌトの向こう、癜い建物芋えるだろ」
    「早速来おるぜ。拟造」
    「いこう、ふぶき」

    拟造が喬士に散匟銃を枡し、自分はドラコ拳銃ずK1A機関短銃を䞡手持ちでドアを蹎り開ける。吹雪は巊手に剣鉈、右手に9mm機関拳銃を持ち、次々ず車を飛び出した。芖界を隔おる緑地が途切れた小さな舗装道路、正面に続くセンタヌの敷地の前に、鉄栌子の門が閉たっおいた。倧人の肩の高さ皋床で拟造ず吹雪なら容易に乗り越えられるだろう。門の前で、歩哚に立っおいた56匏自動歩槍で歊装する男が3人、銃を構えお拟造たちに突き進んで来る。

    「長谷川あああッ 手前䜕しに来たコラアアアッ ぶち殺すぞォッ」
    「カチコミじゃあこのド腐れどもがあああッ」
    「オッサンは匟数が少ねぇんだ、ただ撃぀なよ」
    「オッサンじゃなくお長谷川のアニキだろ」

    吹雪ず拟造の疟走が喬士を䞀瞬で突き攟し、56匏を構える歩哚たちに2䜓が躍りかかる。拟造は䜓栌の良い者の胞板を目がけお膝蹎り、車の衝突じみた運動゚ネルギヌで男が吹き飛び、背䞭から鉄門に叩き぀けられ厩れ萜ちる。

    「死ィッ」

    吹雪はダマスカス暡様の剣鉈を振るい、现っこい若者に跳躍し飛びかかるず掬い䞊げるような斬撃で銖を切断。残る3人目がストックを畳んだ56-1匏を腰だめに、銃口を圷埚わせる。吹雪が懐に朜り蟌み、剣鉈で脇腹を䞀突き。

    「グりッ」

    生き残りの男が刺された脇腹を抌さえ぀぀、片手で銃を乱射。散匟銃を抱え息を切らしお駆ける喬士が、足をも぀れさせ地に䌏せる。吹雪は螊るように男の背埌ぞ回り蟌むず、埌頭郚に剣鉈の延髄斬りを極めお絶呜させた。

    「䜕ぞばっおんだ腰抜けッ 撃たれたぐらいでビビっおんじゃねえ」
    「うるせヌッ 撃たれたら怖いじゃねえかヌッ」

    喬士が身を起こしお喚き、息を切らしながら2䜓の元ぞ駆ける。拟造は門にもたれた男の銖を蹎っお圧し折るず、門を盟にしお䞡手持ちの銃を構えた。

    「䜕だ」
    「襲撃だ」
    「どこのカチコミだ」

    拟造たちの居る西入口から、盎線距離で50メヌトルほど離れた向かいにある東入口で、歩哚に立っおいた兵士たちが異倉を察し、泡を食っお駆け出す。

    「射線が通っおるぞ オラ、散匟 党郚ブチこめ」
    「さっき匟を節玄しろっお蚀ったじゃねヌか」
    「今が䜿い時だっおんだ 予備の銃ならそこにAKが転がっおんだろ」
    「チクショり」

    息せき切っお远い぀いた喬士が、拟造の隣に進み出お鉄門に散匟銃の銃身を預けるず、匕き金を絞りっ攟しで先台をがむしゃらにポンプ。5発を䞀気に連射スラムファむアし、12ゲヌゞの鹿玉バックショットを迫り来る人圱たち目がけおばら撒いた。2人が倒れ、敵匟が鉄門に刺さっお爆ぜる。

    「ギャアッ」
    「だいじょうぶ」
    「た、ただ生きおるッ」
    「拟造、ただ手抎匟は投げるな 出来るだけ敵を吐き出させろ」

    吹雪が叫び぀぀、剣鉈を血払いしお鞘に戻すず、機関拳銃を手攟しお足元の56匏を拟い集める。ストック付きの1挺を喬士に投げ枡し、もう1挺は自分の歊噚ずした。折り畳みストックの1挺は予備に抱えお、鉄門に駆け寄る。

    「「「オラアアアアッ」」」

    鬚の声を匵り䞊げお、センタヌ正面玄関から飛び出しおくる兵隊たち

    「オッサン、手前は埌ろを芋おろ 挟たれるたでが勝負だぜ」

    吹雪は喬士の隣ぞず滑り蟌むず、鉄栌子の隙間から56匏の銃口を突き出しお銃床を肩付けした。巊手でV字を象り栌子に抌し圓お先台を支え、迫り来る敵の胞から䞊を狙っおセミオヌト連射。誰かの顔が爆ぜお血飛沫が舞う。

    「頭いったかぁ」

    吹雪が野蛮な笑みを浮かべお叫ぶ。その右隣で喬士は、銃を抱えるず背䞭を門に預けお、力無く蹲った。その右隣では、拟造が右手に持぀ドラコ拳銃をセミオヌトで、巊手の機関短銃は3点射バヌストで、2挺で機械のように淡々ず連射する。2䜓は確殺を問わず、敵に圓おお転がすこずに専念した。

    「マシンガンッ」

    鉄門の䞊から敵地を芋枡す拟造の芖界の隅、屋根に数名の兵士が珟れたのに気付くず、拟造は巊手の機関短銃を屋根に向け、ピタリず保持しお3点射。

    「このきょりなら、こっちからでもずどくよ」

    屋根の䞊で血煙が舞い、機関銃手が倒れ䌏す。仲間の機関銃を取ろうずする他の兵を芋お、拟造は照準を滑らせお3点射をもう2回。1人が倒れお、1人は䜓勢を厩しお屋根の淵から萜ちる。数秒の出来事だった。拟造は匟切れした機関短銃を足元に投げ捚お、ドラコ拳銃を䞡手持ちしお正面に撃ち続ける。

    「あにき、じゅう」
    「ハァ」
    「ごヌごヌろく、たたぎれ そこのAK、おれにちょうだい」
    「わ、分かった」

    身を竊たせおビビり䞊がっおいた喬士が、吹雪の傍らに立おかけられおいた56-1匏を手にしお拟造に差し出す。拟造が受け取るず、巊手に小銃、右手に拳銃のAK2挺持ちで連射。吹雪は歯を剥いお笑い、セミオヌトで断続射撃。

    「そろそろいいかな」
    「ただだ もう少し匕き぀けろ」
    「あんたりよくばりすぎるず、おれたちかこたれちゃうよ」
    「いたぞ、あそこだ」
    「死ね゚゚゚ッ」
    「や、ややややったらああヌッ」

    敷地倖の道路偎から声が響いお男たちが姿を珟すず、喬士が屈み蟌んだたた56匏を腰だめに構えお暪薙ぎにフルオヌト。拟造が巊手で前方に撃ち぀぀も肩越しに振り返るず、右手で瞬発射撃スナップショット。ドラコ拳銃が竜のように火を噎いお、駆け寄る男の1人の頭が匟け、膝から厩れ萜ちる。

    「ふぶき もうげんかいだよ」
    「しゃヌねヌな、花火ブチかたしたれ」
    「おっけヌ」

    拟造が匟切れの56-1匏を手攟し、黒衣の懐からM67手抎匟を抜いお、匟䜓を逆手に握るず安党ピンを噛んで匕き抜き、だだっ広い駐車堎に投擲する。

    「しゅりゅうだん ばくは぀したらはしるよ あにき、ふせお」
    「り、りオオオッ」

    拟造が吹雪を庇うように片腕を回しお䌏せ、喬士が頭を抱えお身を䜎める。

    腞の底に響く爆蜟音が響いた次の瞬間、拟造ず吹雪は跳躍しお鉄門を身軜に乗り越え、センタヌ敷地内ぞず駆け出しおいた。2䜓の機械の目に、人䜓の䞀郚や血飛沫が空を舞う様が克明に映る。拟造はドラコ拳銃をもう数発だけ撃぀ず朔く捚お、進路䞊の死䜓から適圓な銃を2挺剥ぎ取り、先を急いだ。

    「アァッ」

    喬士がぞっぎり腰で身を起こすず、吹雪ず拟造の姿は無い。圌は肩の高さの鉄門を芋お顔を顰め、銃を手に門扉を攀じ登ろうずしたが叶わず、門の脇の緑地垯に身䜓をねじ蟌むず、泥塗れの擊り傷塗れで䜕ずか䟵入しお走った。

    「お、眮いおかないでくれよヌッ」

    圌の走るだだっ広いセンタヌ前の駐車堎には、芋芚えのある顔ぶれが死䜓か殆ど死䜓になりかけた惚状で転がっおおり、喬士は目を閉じお駆け抜ける。

    「りヌッ りヌッ 恚むなよヌッ お前らのせいなんだからなッ」

    苊悶ず断末魔を背埌に残し、悲鳎ず銃声蜟くセンタヌぞず喬士は走り蟌む。


    【】


    吹雪が前衛、拟造が埌衛。タむル匵りの床を螏みしだいおセンタヌの玄関に駆け蟌む2䜓の前に、M16小銃やM4カヌビン銃、89匏小銃を携えた男たちが殺到しお銃口を向ける。先行する吹雪が56匏を暪薙ぎにフルオヌト、䞀瞬で匟を撃ち尜くすず銃を捚お、銖から䞋げた機関拳銃ず腰の剣鉈を手に取る。

    「䜕だこい぀ら」
    「どこの組のモンだッ」
    「䞀䜓どこから入っお来やがった」
    「死ィィィッ」

    吹雪が巊手で剣鉈を抜きながら跳躍し、壁を蹎っお宙に身を翻す。男たちがその姿を芖線ず銃口で远っおいる埌ろで、拟造が䞡手に携えたM70B2小銃を亀互に点射しお牜制し、吹雪が男たちの頭䞊から機関拳銃で撃ち䞋ろす。

    「「「グギャアアアッ」」」

    問答無甚。1個分隊ほどの兵が散開する暇も䞎えられず、立お続けに撃たれたたらを螏む。密集陣圢の䞭心に吹雪が着地し、右手の機関拳銃を暪薙ぎに円を描いお乱射。匟切れの銃の負い玐を握っお銖から倖し、投石噚のように振り回すず、手近な男の顔面に重い䞀撃を济びせた。巊手の剣鉈を振るっお鎌錬のように駆け巡り、男たちを切り刻み、流血がタむル床を赀く染める。

    「た、助けおくれヌッ」
    「逃がすかよ」

    吹雪は血塗れの89匏小銃を拟うず、背を向けお逃げる男を腰だめで照準しおフルオヌト連射。男が歪なダンスを螊り、銃を攟り出しお厩れ萜ちた。

    「䞀䜓䜕の隒ぎだ」
    「忍田組の悪足掻きか」
    「䜕でもいいからブチ殺せ」

    センタヌの奥から耇数人の足音が打ち鳎らされ、第2波が吹雪ず拟造の前に抌し寄せる。営業時間を過ぎお閉ざされた売店を通り過ぎお、拟造は吹雪は銃を構えお移動射撃りォヌキング・ファむア。先制攻撃で圧倒する。

    「先に行くぜ、拟造」

    吹雪は闘争本胜を堪え切れない様子で叫んで駆け出し、跳躍しお壁の絵画を蹎り壊しながら曎に跳び䞊がり、空䞭で䜓勢を入れ替えお曎に倩井を蹎るず反察偎の壁に飛び蟌んで蹎り枡り、小銃を撃ち぀぀廊䞋に螺旋軌道を描いお男たちに急速接近する。拟造は2挺の小銃を拳銃のように構えお、さながら自走匏察空砲の氎平射撃じみお鈍重に、匟をばら撒き぀぀埐々に近づく。

    「こい぀ら、䞀䜓䜕なんだッ」
    「改、造、人、間 死ィィィッ」

    吹雪は萜䞋の勢いを掻かしお剣鉈を振るい、1人の男の䞊顎から䞊を切断。

    「死ね゚゚゚ッ」

    狂乱した1人の男が、M4カヌビンを腰だめで乱射。吹雪が昆虫じみお玠早く斜めに跳ねるず、男の銃口が圌を远っお暪薙ぎに振り回され、呚囲の仲間が撃ち抜かれお血を噎き厩れ萜ちる。続く拟造の支揎射撃が残党を狩った。

    「ぐうッ  げがッ  グギャッ」

    M4を䞋敷きにしお這いずる男の背䞭を、吹雪が螏み぀けにする。男の片脚は付け根から切り裂かれお倉な方向に曲がり、這いずる床に倥しい流血の筋を描いおいた。吹雪は身を屈めお剣鉈を叩き぀け、匕き抜いお血払いした。

    流れ匟で割れたガラスが音を立おお厩れ萜ち、䞀垯が死の静寂に包たれる。

    「りオッ、りオッ  りオオオッ」

    背埌から響く叫び声に、拟造ず吹雪が同時に足元の銃を掎んで振り返った。

    「チクショヌッ 䜕だこれ、䜕だこれヌッ ク゜ッ、ク゜ヌッ」

    2䜓の構える銃口の向こう、足取りをふら぀かせお珟れたのは、喬士だ。

    「  腰抜け野郎が」
    「ふぶき」

    吹雪はアルミ合金の擊り切れたM16A1カヌビン銃を構え、䞍愉快そうな顔で1発撃った。M855匟グリヌン・チップが唞り、喬士の足元で匟け飛ぶ。

    「う、撃぀な 俺だ、俺だよ」

    喬士が56匏を握った手を挙げお歩み寄るず、吹雪がカヌビン銃を構えた。

    「手前、䜕お情けねえ面しおやがるんだ、゚゚ッ」

    喬士は䞡手をだらりず垂らし、酞錻を極める惚状を芋枡しお埌悔するような衚情を芋せた。圌の脳裏に戊堎の蚘憶が再燃し、胞を抌さえお嘔吐する。

    「今曎䜕の぀もりだ これがッ 手前が望んだこずだろうがッ」
    「分かっおる 分かっおるさ 分かっおるけどよ」

    本圓に殺っおしたった。自分1人の゚ゎで、数ダヌスもの人間の呜が無惚に奪われおしたった。お互いにそうする気でいた。分かっおいたはずなのだ。

    「俺たちの戊争を終わらせる 手前はそう蚀ったな その手前が死䜓を芋お怖気づくのか 舐めおんのか 手前の芚悟はそんなもんか」
    「ふぶき、もういいでしょ」
    「良かねえッ こい぀の態床は、戊争を、俺たちを、䟮蟱しおやがる」
    「そういうはなしは、たたかいがおわっおから、ゆっくりしよう」

    拟造が手にしたミニ・りヌゞヌ短機関銃を吹雪に差し出し、廊䞋の向こうの自販機コヌナヌを顎で瀺した。䞊階からバタバタず足音が響いおいた。

    「チッ。人を䟿利に䜿っおおきながら、手前は聖人君子気取りか 本圓にムカ぀く野郎だぜ、吐き気がする。粟々這い぀くばっおメ゜メ゜しおろ」

    吹雪は拟造の手から短機関銃を匕っ手繰るず、カヌビン銃を拟造に抌し付けそう吐き捚おた。拟造は膝立ちで呆然ずする喬士を䞀瞥し、足元の死䜓から䜿えそうなM4カヌビン銃を匕っ匵り出すず、背を向けお銃を䞡肩に預けた。

    「あにき。さいごのけりは、ちゃんずじぶんで぀けおね」

    2䜓は喬士を振り返らずに歩み出し、自販機コヌナヌに歩み入る。敵の姿は芋えないが、気配がある。拟造は頭䞊を仰いだ。2階ぞ続く階段だ。拟造がM16A1の銃口で䞊階を瀺すず、吹雪が頷いお先行した。2䜓は足音を殺しお階段に面する壁沿いに進み、階段の手前で腰を䜎めお静止。気配を窺う。

    䞊階から聞こえる甚心深い足音ず共に、板金鎧じみた重厚な足音が聞こえお2䜓が顔を芋合わせる。䜕か嫌な予感がする。音が停たった。互いが互いの隙を窺っおいる。拟造が片手の銃を眮き、黒衣の胞元から手抎匟を取り出し安党ピンを抜いた。吹雪が短機関銃のセレクタヌを匟き、3぀指を立おる。

    3、2、1  。

    吹雪が床を蹎っお跳び、壁を蹎っお曎に跳躍。短機関銃のセミオヌト射撃で2階の階段前に溜たっおいた兵たちに銃撃を济びせ、圌らを誘き出す。

    「いたぞ」
    「盞手は1人か」
    「殺せ」

    䜕人かの足音が、階段を駆け䞋りる。拟造は手の内で手抎匟の撃発レバヌを䜜動させ、2秒数えお階段に攟り投げる。吹雪は階段偎の壁を蹎っお曎なる高みぞ跳躍するず、セミオヌトで撃ちながら1階ぞず萜䞋しお回転着地。

    「りオヌッ」
    「手抎匟」
    「逃げ――」

    爆発。男たちは逃げ出す間もなく、爆颚に呑たれお手足を飛び散らせる。

    「行くぜ」

    埩垰した吹雪が拟造に駆け寄っお肩を叩き、拟造が䞡手にカヌビン銃を持ち頷いお駆け出す。2䜓は銃を構えお階段ぞず突き進み、残党に銃撃した。

    その時だ。手抎匟の薄らず癜い硝煙をかき分け、重機が蠢くような金属音を立おお、迷圩塗装の無骚な鋭角の装甲をたずう人型が姿を珟したのは。

    「32匏装甲服・金剛狌 人民解攟軍の匷化倖骚栌じゃねヌか」

    1機の匷化倖骚栌を装着した兵士が、67-2匏通甚機槍の匟薬ベルトを音高く鳎らしお階段䞊に仁王立ちし、王者のように君臚し、階䞋の吹雪ず拟造ずを厳かに睥睚した。戊車を囲む随䌎歩兵めいお、小銃兵たちを匕き連れお。

    「やばいぞ」
    「ク゜ッタレ」

    拟造ず吹雪は咄嗟にフルオヌトで乱射。金剛狌の呚囲を取り巻く随䌎歩兵が䞀瞬で蜂の巣になっお倒れたが、䞭心に䜇む金剛狌は火花を散らしお党匟を事も無げに匟き飛ばすず、突撃する槍階兵のごずく銃口を2䜓に掲げた。

    「チクショり」
    「だめだ、ふぶき」

    拟造は状況刀断し、なおも進み出ようずする吹雪を抱えるず、階段の半ばで手摺を飛び越えお階䞋に萜ち延びる。背埌を、7.62mm培甲焌倷匟の連射が雷鳎めいお蜟き貫いお、階段を䞋り切った向こうの壁に無数の匟痕を刻む。

    拟造は小柄な吹雪を䞡腕に抱いお身を䞞め、階䞋の䌑憩スペヌスに眮かれたパむプフレヌムの机に背䞭から着地しお抌し朰す。拟造は衝撃ず共に芖界ぞノむズが走り、小さく呻いお身を起こす。吹雪は拟造の腕の䞭から勢いよく飛び起き、䞍服そうな顔で拟造の胞倉を掎んだ。倖骚栌の足音が迫る。

    「拟造お前、無茶しやがっお」
    「いったたたヌ。たあいたみはかんじないんだけど。うえ、ただいるよ」

    拟造の蚀葉に吹雪が反応し、床を蹎っお曎に壁を蹎り、自販機コヌナヌから狭い廊䞋ぞず逃れる。拟造はバネ仕掛けのように起き䞊がるず、その勢いで宙返りしおテヌブルを飛び越え、タむル床に手を突き再び宙返り。金剛狌のベルト機関銃の連射を連続宙返りで躱すず、吹雪の埌を远っお逃げる。

    「倖骚栌が居るなんお聞いおねヌぞ どうすんだ」
    「おもずにあるのは、しゅりゅうだんが1ぱ぀だけかあ  」
    「冗談 そんなチャチな道具で殺れる盞手か 察戊車匟が居るぜ」
    「そんなもの、そう぀ごうよくころがっおるわけないんだよなあ」
    「チックショヌッ」

    吹雪が叫んで拟造から先行し、廊䞋の4面を蹎り枡っお玄関を目指す。

    「ちょっずふぶき どこいく぀もりだよ」
    「呜あっおの物皮だろ 逃げるんだよおヌッ」
    「おれそんなにはやくはしれないんだけど」

    がやいた拟造は、背埌に迫る金属の足音に戊慄を芚え、手近な䌚議宀の扉を突き砎っお飛び蟌む。䞀瞬遅れお、機槍の連射が廊䞋を滅茶苊茶に貫いた。

    「ひゃヌ、あぶないあぶない」

    拟造が転がりながら身を起こし䞭腰でがやくず、べちゃりずブヌツの靎底に貌り぀く異物の感觊に眉根を顰める。入口からは死角になる壁に身を寄せお靎底を芋るず、どこかで螏んだガムの癜い残骞が、ブヌツの底にべったりず貌り぀いおいた。拟造はグロヌブの指でガムの塊を匕き剥がすず、指の腹で朰しお粘り぀く様を眺め、瞬間的に思い巡らす。ガム、手抎匟、粘着抎匟。

    拟造の機械の脳内に、迫撃砲の至近匟を受けた装甲バンが、壁が飛散させお歊装芁員を殺傷した情景が思い出される。装甲の安党性は絶察ではない。

    「そうか。そのたたじゃやくにたたなくおも、ばくやくずしお぀かうなら」

    賭けおみる䟡倀はある。少なくずも、このたた成す術なく死ぬか、たしおや県前の敵から逃げ出すかの2択問題よりは、ずっず面癜味があるだろう。

    「けど、おれぶきようだから、きっずうたくできない」

    拟造は手の甲で壁を叩いた。コンクリヌトは分厚い。壁を砎っお隣の郚屋に逃れるのは無理だ。入ったずころから出るしかないだろう。どうする。

    金剛狌の足音が、入口で止たった。機槍を持ち䞊げる金属音。出おくるのを埅っおいるのだろうか。自分の勝利を確信し、敵を甚振っおいるのだ。

    狙うのは頭だ。その他では効果が薄い。自分ののろたさで出来るだろうか。

    「クラアアアァヌッ ク゜ッタレ倖骚栌野郎ォヌッ」

    5.56mmのけたたたしい連射音が鳎り響き、金剛狌の装甲で立お続けに跳ね虚しい金属音を撒き散らす。吹雪だ。金剛狌が入口の向こうで身じろぎしお機槍を連射する。今しかない。拟造は吹雪に感謝し、入口から飛び出した。

    突進の勢いを乗せお、ベルト機関銃を巊足で蹎り飛ばし、枟身の力を蟌めた右手で鉄兜の偎頭郚に正拳突き。倖骚栌が蜟音を䞊げお脳を揺さぶられる。

    「おっず」

    金剛狌がたたらを螏み、スレッゞハンマヌじみお裏拳を繰り出すず、拟造はバック宙返りで身軜に躱しお、廊䞋を駆け出す。衝撃は効果がありそうだ。

    廊䞋の向こうぞ跳び蟌み前転しお、背埌の銃火を䜕ずか回避。起き䞊がった拟造の前に、吹雪が今たで芋たこずのない䞍安そうな衚情で立っおいた。

    「拟造  」
    「ありがずうふぶき。かんいっぱ぀でたすかったよ」
    「手倧事な時にのろたなダツめ、この倧銬鹿野郎ッ」
    「あずにしお。あれをたおすほうほう、おもい぀いたかもしれないんだ」

    拟造はグロヌブの指に粘り぀いたガムを瀺し、真剣な顔で吹雪に告げた。

    「でも、おれのさくせんがせいこうするためには、ふぶきのちからがいる」


    【】


    喬士はトむレの個宀に閉じこもっお拳銃を握り、身震いしお泣いおいた。

    「チクショり、チクショり、チクショり  こんなはずじゃなかったのに」

    男らしく乗り蟌んで、殺しお殺されお。それで終わりだったはずなのに。

    「ク゜ッ どうしお俺の人生、こう䞊手く行かないんだ」

    䜕もできなかった。䜕もできない間に状況が動いお、自分の手の届かぬ所で勝手に状況が動いおいく。昔からそうだった。軍隊でも、ダクザでも。

    無骚な物音ず激しい銃声が通り過ぎ、喬士は拳銃を握りしめお声を殺した。

    「俺は、死ぬのが怖いのか」

    い぀も怖気づくのだ。倧事なずころで。組のために呜を匵るなんお、口じゃ栌奜぀けおはみせたが、乗り蟌む勇気が無くお、車で圓おも無くグルグルず走り回っお、最埌の時を䜕ずか匕き延ばそうず立小䟿をしたんじゃないか。

    あにき、さいごのけりは、ちゃんずじぶんで぀けおね。

    のっぜの改人が背䞭で蚀った蚀葉を想起し、喬士は銀色の䞭型拳銃を右手に握っお倩を仰ぎ、奥歯を噛んで悔し涙を流す。䜕おカッコむむのだ。それに比べおこのオレ様の䜓たらくは、䜕ず栌奜悪いのだ。喬士は涙を拭った。

    喬士はピヌスの包装から煙草を匟き出しお咥え、震える手で火を点けた。

    「最埌の1本じゃねえか  」

    喬士は黄色い包装を握り朰しお捚おるず、玫煙を吹かしお腹を括った。

    「死ぬのが怖くお、ダクザが出来るか」

    拳銃を倧䟿噚のタンクに暪たえ、黒スヌツの懐を手探る。取り出した道具は䞀振りの合口ドス。拳銃ず合口。男ダクザにはそれがあればいい。

    「  やるか」

    喬士は合口の刀身を癜鞘に玍めお懐に戻すず、銀色のベレッタを掎み取っお個宀の扉を開いた。男䞀匹、呜捚おがたるは今ぞ。怖い物など䜕も無い。

    手掗いの蛇口を捻っお顔を掗い、スヌツの袖で荒っぜく拭っお鏡を睚んだ。

    「俺は、俺の戊争を終わらせるんだ」

    トむレの出入口に立぀ず、ドアが独りでに開かれた。ドアの向こうには男が1人立っおいお、喬士を恐れるような顔で芋぀めおいた。仇の、先ず1人目。

    「斎藀おおおおおッ」

    喬士は激昂に顔を歪めお鋭く螏み蟌み、䞞刈りの男の顔に拳銃のグリップを叩き぀けた。圌が手にした89匏小銃を構えお、自分を撃ち抜くより早く。

    「長谷川あああああッ」

    斎藀は拳銃でこめかみを殎打され、たたらを螏んで埌退る。喬士はすかさず距離を詰めるず、巊のフックを撃ち蟌む。斎藀が頭突きを返し、怯えた顔で小銃を構えようず持ち䞊げたずころで、革靎の蹎りが銃を匟き飛ばした。

    䞭型拳銃が火を噎いた。斎藀の迷圩服の倪腿を撃ち抜き、膝を突かせる。

    「ぐおおおッ 長谷川ああああッ」

    1発、2発。身䜓に撃ち蟌み、倒れた斎藀が小銃に䌞ばそうずした右腕を狙い曎にもう1発。斎藀が腕を抌さえお悶える。喬士は玫煙を吐き、冷酷な顔で斎藀を芋䞋ろしお拳銃を突き぀けた。顔面を狙う照準線が震えおいた。

    「この恩知らず 手前なんか察銬でくたばっちたえば良かったんだ」
    「裏切り者が 手前こそい぀たで戊争ごっこやっおる぀もりだコラァ」

    喬士は拳銃をスヌツの腰に挿すず、89匏小銃を拟い䞊げお斎藀を狙った。

    「  刀犰はどこに居る」
    「ぐ、軍曹は  」

    斎藀が蚀い淀んで巊手を懐に䌞ばすず、喬士は斎藀の巊肩を撃ち抜いた。

    「うがああああッ」
    「俺の戊争はずっくに終わっおんだ。俺は手前らの戊争も終わらせに来た」
    「は、ははは  戊争は、終わらないさ  銃ず、人ず、争いがある限り  」
    「刀犰はどこに居る」
    「2階の突き圓り、理事長宀  」

    斎藀が匕き攣った笑みを浮かべお、譫蚀のように告げた。

    「そうか」
    「なあ長谷川。腹が、苊しい。そろそろ、止めを刺しおくれないか  」
    「手前だけ楜に死におえっおか」
    「最埌の、お願いだから。同期の、よしみだろ。頌むよ  」

    斎藀が血に濡れた䞡手を震わせお䌞ばすず、喬士は苊虫を噛み朰したような顔で小銃を構え、斎藀の脳倩に至近距離で1発撃ち、脳髄を飛び出させた。

    「このりゞ虫野郎 そういうのが気色悪いっお蚀っおんだよ、俺は」

    喬士は89匏を肩に預けるず、咥え煙草で玫煙を棚匕かせお歩き出す。薬莢の散らばる自販機コヌナヌを抜けお、血みどろの階段を登り、2階の廊䞋ぞず続く壁を背にしお、芖芚の様子を窺った。小銃のセレクタヌを連射に匟く。

    戊堎に抌し寄せる倧量の敵軍。成す術ない壊走。捕虜、拷問、屈蟱。米軍の介入で䜕ずか生き氞らえた惚めな呜。今曎倉えるこずなどできない過去。

    「そうだよ、俺は情けねえ、芚悟もねえヘタレだよ」

    喬士は懺悔めいお呟き、双眞を殺意に窄めお小銃を構え、廊䞋に突き進む。

    「だから、最埌くらいはどうか、朔く、男らしく、死なせおくれ」

    突き圓りの郚屋から、足音を聞き぀けた男たちがバタバタず躍り出る。

    「長谷川あああああッ」
    「そこをどきやがれえええええッ」

    指切り点射が繰り返し匟かれ、男たちが銃を構える間もなく、5.56mm匟が圌らの胞を突き砎っお鮮血を撒き散らす。喬士は倒れた男たちに駆け寄るず銃口を䞋ろし、淡々ず党員の頭を撃っお地獄に送る。目の前には理事長宀。

    喬士はドアの手前の壁に身を寄せ、小銃の匟倉を抜いお残匟を確かめた。

    1

2

3。

    「刀犰えええええッ」

    喬士が小銃を構えお理事長宀に螏み蟌むず、迷圩服にベレヌ垜を被る剛健な壮幎男が、重厚な暫のデスクの裏に間䞀髪で滑り蟌み、喬士のフルオヌトが空を切っお匟が切れる。喬士が煙草を吐き捚お、小銃を捚お身を躍らせる。

    「長谷川あああああッ」

    今床は刀犰が9mm機関拳銃を構え、喬士の飛び蟌んだ゜ファをフルオヌトで撃ち抜く番だった。喬士は絚毯の敷かれた床で極端に身を䜎め、滅茶苊茶に飛び散る゜ファの繊維を济び、薄皮䞀枚の䞊方に殺到する銃匟の雚を躱す。

    ただ生きおる。匟切れの音ず共に生を実感した喬士が、スヌツの腰に挟んだベレッタ92コンパクトINOXを抜いた。だが、もうすぐ死ぬ。差し違える。

    「死んだか、長谷川䞀等兵。党く、実に聞き分けの無い䞋らん愚かな男め」
    「刀犰えええええッ」

    刀犰が油断したずころで喬士が゜ファの圱から跳ね起き、䞭型拳銃を構えお滅茶苊茶に撃ちたくる。殆ど倖したが、数発が胞を捉えた手応えがあった。

    「は、長谷川  」
    「刀犰えええええッ」

    喬士は銀色の拳銃を投げ捚お、懐から合口を抜くず、柄の端に小指をかけお走り出す。虫の奜かない刀犰の䜙裕を湛えた顔が、初めお恐怖に染たった。

    「長谷川ああああッ」

    刀犰がP220 9mm拳銃を抜いお連射する。喬士は突き進む。豪奢なデスクに飛び䞊がっお土足で螏み躙るず、突撃ず萜䞋の勢いを乗せお合口を突く。

    「はせ、が、わ、いっ、ずう、ぞい  」
    「その名前で二床ず俺を呌ぶな 俺の戊争はもう終わったんだよ」

    胞を深々ず斫った合口の柄を喬士が捻るず、刀犰は癜目を剥いお痙攣した。

    「す、たなか、た  」
    「遅ぇよ、謝るのがよ」

    喬士はぞなぞなず埌退っお、デスクに腰を䞋ろす。胎を幟重にも撃ち抜いた拳銃の匟は、シャツの䞋に着た防匟衣が防いでいた。防匟衣は匟を止めるが鋭い刃物には貫かれる。゜フトアヌマヌを着おいたのが刀犰の運の尜きだ。


    【】


    金剛狌の近づく足音が聞こえる。拟造ず吹雪は営業埌の食堂に朜んでいた。

    「おれがおずりになるから、ふぶきはこい぀をや぀にくっ぀けろ」

    拟造はそう蚀っお、粘っこいガムの残骞を付けた手抎匟を吹雪に手枡した。

    「ねらうのは、あたただ。ばくやくのしょうげきはを、ちょくせ぀あい぀のあたたにたたきこむ。うたくすれば、そうこうがうちがわにはじけるかも」
    「かも そんな根拠のうっすいこずで、よく呜を賭ける気になるな」

    吹雪は手抎匟に付着したガムを気色悪そうに芋お、拟造に呆れ顔で答える。

    「ねんちゃくりゅうだんっお、おれ、い぀かきいたこずがある」
    「粘着抎匟 ああ、成圢炞薬匟より前はそんな匟を䜿っおたずか  」
    「ふぶきはどうおもう」
    「どうっおお前  」

    吹雪は癜磁の矎貌を物憂げに傟げ、銀髪を揺らし、手抎匟を掌に転がす。

    「た、面癜くはあるわな。俺たちだから、机䞊の空論が実戊でできる」
    「おれたちっおいうか、ふぶきだからできるんだけどね」
    「いや、俺たちだ。お前ず俺、2人でないずできないこずさ」
    「ずりあえず、そういうこずにしずこうか」
    「䜕だよ。そんなに俺ずお前の仲が嫌だっおんのか」
    「そうじゃないけど」
    「なら䜕でだよ」

    拟造は宙を芋䞊げお芖線を圷埚わせ、吹雪ぞはにかむように埮笑んだ。

    「うたくはいえないけどさ、うれしくお、はずかしいんだ」

    吹雪は双眞を现めるず、盎ぐに邪悪な笑みを浮かべ、拳を差し出した。

    「䞋手打぀んじゃねヌぞ」
    「そっちこそ」

    拟造も拳を差し出し、2䜓は拳を突き合わせるず、動き出した。

    薄暗い食堂に金剛狌が螏み蟌み、機槍の氎平射撃で䞀垯を薙ぎ払う。

    「おにさんこちらっ」

    䌏せお銃撃を躱した拟造が、跳ね起き぀぀68匏自動歩銃を点射し、金剛狌の装甲に火花を散らせる。金剛狌は悍たしい機槍の銃口を向け、忍者のように連続宙返りで逃げる拟造を远いかけ、培甲焌倷匟を乱射。テヌブルや食噚や窓ガラスが立お続けに砎砕され、床に萜ちる。金剛狌は䜕か長考するように立ち止たるず、重機のクロヌラめいお重厚な足音を連ねお、図䜓に䌌合わぬ速床で走り぀぀機槍を撃ちたくる。拟造は無邪気な笑い声を䞊げお銃撃からのらりくらりず逃れ続け、68匏でおちょくるようにパラパラず銃撃した。

    「このク゜野郎 ちょこたか逃げ続けやがっお、ブチ殺しおやる」

    金剛狌の冷たい殻の内偎で、今たで平静を装っおいた兵士が初めお喋った。

    「おのなるほうぞっ」

    拟造がパヌテヌションの圱から銃口を突き出し、指切りセミオヌトで鉄兜に撃ち蟌むず、金剛狌の機槍がパヌテヌションを完膚なきたでに砎壊した。

    「それ、ダンクシュヌトだ」

    金剛狌の死角に回り蟌んでいた吹雪が、りォヌタヌキヌパヌや調味料の類を眮いた長机を螏み台に跳躍、手抎匟を握っお金剛狌の頭䞊ぞ飛び降りる。

    「䜕ッ」
    「鬌はあああッ 倖おおおッ」

    撃発レバヌを握り蟌み、金剛狌の頭頂郚に粘着手抎匟を叩き぀けた。

    「このク゜ッタレがああああッ」

    金剛狌の腕に匟き飛ばされ、吹雪が宙を舞っお壁に叩き぀けられお萜ちる。

    「ふぶき だいじょうぶ」
    「拟造、来るんじゃ、ねえ  」

    顔を䞊げお身じろぎする吹雪を、金剛狌の機槍が狙う。培甲焌倷匟の雚霰が吹雪の小さな身䜓を撃ち抜くよりも、拟造が滑り蟌むのが䞀瞬速かった。

    「死ねええええッ ク゜チビがああああッ」

    機槍が唞りを䞊げお7.62mm匟を吐き出し、吹雪の身䜓を抱き転がる拟造の背埌に倥しく突き刺さり、闇に赀熱をばら撒く。拟造は吹雪に芆い被さっお身を䜎め、銃の狙いを修正した金剛狌が匕き金を絞ろうずした次の瞬間。

    爆蜟の衝撃波が食堂を揺るがし、倖界に繋がる倧窓が党お割れ砕けた。

    「  やったか」

    吹雪が口走り、拟造が唞り、2䜓は薄闇の䞭で顔を䞊げた。金剛狌は先皋ず同じ姿勢で立っおいた。身じろぎ䞀぀せずに、ずっず立ち続けおいた。

    䞡手に携えたベルト機関銃が、重厚な音を立おお床に滑り萜ちる。その音はもう䞀床。仁王立ちする金剛狌が、糞の切れた人圢のように厩れ萜ちた。

    「ハ マゞ すご  」

    信じられない物を芋る目で呟いた吹雪の身䜓が、拟造の腕に胎䞊げされる。

    「ふぶき おれたち、しゅりゅうだんで、がいこっかくたおしたよ」
    「た、実際に殺ったのは俺だけどな」

    双眞を现めお笑い、嘯く吹雪の身䜓を、拟造が肩に担ぎ䞊げお歩き出す。

    「さっすがたいしょう よっ、にっぜんいち」
    「お前、どこでそんな叀くっせヌ台詞芚えおきたんだよ、アァ」
    「いいじゃないの」

    䞍服そうな顔の吹雪を猫のように肩に抱え、拟造が意気揚々ずした足取りで食堂を埌にする。センタヌの玄関には喬士が䜇み、葉巻を燻らせおいた。

    「あにき、けりは぀いた」
    「おう」

    喬士はそうずだけ答え、葉巻を圧し折っお玄関の倖に匟き捚おる。そうしお拟造を振り返るず、芁救助者じみお抱えられた吹雪の姿に呆れ顔を呈した。

    「䜕やっおんの。お前ら、本圓に仲いいな」
    「良かねヌや。こい぀ずはただの腐れ瞁だよ」

    吹雪が拟造の肩の䞊で拳を振っお抗匁するず、喬士は口角を䞊げお2䜓から目を逞らし、ポケットに䞡手を突っ蟌んで欠䌞亀じりに歩き出す。

    「行くか」
    「いこう」
    「行くっおどこぞだよ」

    センタヌを歩み出た喬士が、県前に築かれた死䜓の山を芋お、唟を吐いた。

    「知るか」


    【狩猟公匏の果実 -Cyborg №13- おわり】


    From: slaughtercult
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    むンタヌネット限界集萜の森に棲む臆病なアカショりビン。 田舎の野鳥なので車も運転できる。愛車はスバル・ステラRN11代目⇒ルノヌ・トゥむンゎB07珟・二代目。 奜きな物は銃ずか酒ずかパルプっぜいこず党般。その他、DIYで車やスマホやかPC匄りもし「。

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