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芋出し画像

案倖ちゃんずした倧人になれたのかもしれない。

    䌑日の昌前
    くら寿叞の駐車堎にはただ少し空きがあった。

    ショッピングモヌルの飲食街みたいに。
    家族連れで溢れ返っおいるわけでもなく。
    かず蚀っお朰れる寞前みたいな静けさでもない。

    ちょうどその間。

    みんなそれぞれ。
    昌食をどうするか考えながら生きおる途䞭。

    自動ドアを抜けるず酢飯の匂いず少し甘い醀油の匂いが混ざっおいる。

    昔は回転寿叞に入るず祭りの空気みたいなものがあった気がする。

    子どもがレヌンを指差しお「あれ取っおいい」ず隒いで、芪が「さっき食べたやろ」ずいう声がしおいた。

    今のくら寿叞は静かだ。

    受付も機械。
    䌚蚈も機械。

    䟿利になり䞖界が少しだけ他人に期埅しなくなった。

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    番号を呌ばれお垭ぞ向かう。

    案内されたのは四人掛けのボックス垭だった。

    ひずりやのに広い。

    店員も別に䜕も思っおないやろうけどこっちはちょっずだけ申し蚳ない気持ちになる。

    アラフォヌのおじがひずり、ファミリヌ垭で寿叞を食べる。

    文字だけにするず少し寂しい。

    でも実際その堎に座るずそこたで悪いものでもなかった。

    向かい偎の垭には誰もいない。

    ゜ファだけが静かに口を閉じおいる。

    レヌンに寿叞はほずんど回っおなかった。

    昔みたいにマグロもサヌモンも゚ビも途切れなく流れおいく感じではない。

    時々、泚文された皿だけが高速で通り過ぎる。

    新幹線みたいな音を立おお誰かのテヌブルぞ向かう。

    むタズラ防止ずか食品ロスずか色んな理由が積み重なっお、回転寿叞はもう回るこずを少しず぀やめ始めおいる。

    回転寿叞なのに回っおいない。

    でもその止たりかけたレヌンを芋おいるず、なんずなく今の時代みたいやなず思った。

    䟿利で枅朔で合理的。
    その代わり少しだけ䜙癜が枛った。
    無駄なものが枛るず景色も少し寂しくなる。

    タッチパネルで鉄火巻きを泚文する。

    子どもの頃から回転寿叞ぞ行くずだいたい鉄火巻きを食べおいた。
    特別奜きずいうわけでもないのに気づけば毎回頌んでいる。

    倚分味じゃなくお蚘憶を食べおるんやず思う。

    少ししおレヌンの奥から皿が来る。
    機械が到着を知らせる。

    鉄火巻きの海苔は少しだけ湿気おいた。
    高玚寿叞屋で食べる鉄火巻きずは違う。
    向こうの方が䜕倍も矎味い。

    でも䌑日の昌間に䞊䞋アディダスのゞャヌゞ姿のたた、がんやり食べる鉄火巻きはこれくらいがちょうどいい。

    わさびを少し付けすぎお錻に抜ける。
    誰も芋おないから少し倉な顔になる。

    店内には家族連れもちらほらいた。
    小さい子どもがびっくらポンの画面で盛り䞊がっおいる。

    芪はスマホを芋ながら「よかったね」ず返事しおいる。

    昔の父芪はもっず黙っおいた気がする。

    腕組みしおビヌル飲んでたたに「食え食え」ず蚀うだけ。
    今の父芪は忙しい。
    子どもの盞手をしお、動画を撮っお、䌚蚈しお、時々スマホを芋お。
    䞖の䞭は確実に倉わっおる。

    シヌサラダを頌む。
    シヌサラダ軍艊。
    回転寿叞にしか存圚しない食べ物の代衚。
    䜕が入っおるのか最埌たでよくわからない。
    でもあの少しチヌプな海鮮感ずマペネヌズの雑なたずたり方が劙に奜きだ。
    そこに甘だれをドバドバかけお食べる。
    高玚店には絶察ない味。

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    でも人生は高玚じゃない幞犏の方が倚い。

    シヌサラダを食べながら向かいの空垭を芋る。
    もし結婚しお子どもがいたらここに誰か座っおたんかなず思う。
    でもその想像はすぐ消える。
    別に埌悔ではない。

    䌑日の昌間に奜きなタむミングで起きお、適圓に服を着おくら寿叞ぞ。そしお鉄火巻きずシヌサラダを食べる。
    それだけで満たされる日もある。
    むしろ若い頃よりそういう小さい満足を芋぀けるのが䞊手くなった。

    若い頃はもっず掟手な䌑日を求めおいた気がする。

    誰ず遊ぶか。
    どこぞ行くか。
    䜕をするか。
    垞に䜕か足りおなかった。

    今は空いおる回転寿叞で熱いお茶を飲んでる時間の方が萜ち着く。
    幎を取るっお諊めじゃなくお静かなものをちゃんず受け取れるようになるこずかもしれない。

    垭を立぀。

    向かい偎の゜ファは最埌たで誰も座らなかった。
    レヌンは盞倉わらず静かで時々だけ皿が走る。
    昔みたいな賑やかさはもうない。

    しかしすべおがなくなったわけじゃない。

    びっくらポンではしゃぐ子ども。
    積み䞊げた皿を䞀気に流し蟌む高校生。
    「䞀貫ちょうだい」ず蚀う母芪。
    ちゃんず生掻が流れおいる。

    店を出るず昌の日差しが思ったより匷かった。

    特に予定はない。

    コンビニ寄るか。
    そのたた垰るか。
    それすら決めおない。

    若い頃に思い描いおいた倧人ずは少し違う。

    もっず䜙裕があっお、もっず掟手で、もっず充実しおるず思っおいた。

    実際は䌑日の昌にひずりでくら寿叞ぞ行っお、少しだけ食べお垰る男になった。
    案倖ちゃんずした倧人になれたのかもしれない。

    レヌンの䞊を䜕も乗っおいない皿台だけが静かに流れおいた。
    あれを芋おいるず人生も少し䌌おるなず思う。

    䜕かがずっず流れおいるようで、実際は空っぜの時間の方が倚い。

    でもその空っぜの䞭で飲むお茶ずかがんやり芋る昌の光ずか、そういうものが埌になっお残る。

    鉄火巻きの海苔の匂いもシヌサラダの正䜓䞍明な味もたぶん数日埌には忘れる。

    でも、今日の静かな昌だけはしばらく消えない気がした。

     
     
    35歳の䌚瀟員。座右の銘は「よく噛んで食べる」そんな私も38歳になりたした。

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