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Photo byasdeldi

ティラノサウルス症候群

    しとえ

     どうやら小さな 男の子、というのはみんな恐竜が好きなのかもしれない。
    俺はダンボールにまとめた荷物を抱えて家を出た。
    そのまま宅配便で荷物を送る。
    送り先は妹の家。
    甥っ子は喜んでくれるだろうか。

     子供の頃恐竜好きだった俺は、恐竜の図鑑やおもちゃを見るたびに親にねだっていた。
    子供の頃、恐竜展に連れて行ってもらったのがとても良い思い出で……
     だが、やがて中学生になると恐竜よりも興味が出てくるものがたくさんあっていつのまにか恐竜グッズは押し入れの奥に直したまま忘れてしまった。
     子供の頃のおもちゃというのはそんなものなのかもしれない。
    大人になれば忘れてしまう。
    久々に思い出したのは、甥っ子が恐竜にはまっていると妹から聞いたからだ。

     実家に帰ると家の押し入れからかつての恐竜たちのおもちゃを引っ張り出す。
    『懐かしいなぁ……』
    思わず笑みがこぼれる。
    丁寧にアルコール消毒、ダンボールに一つずつ詰めながら、甥っ子の顔を思い出す。
    「可愛がってもらうんだよ」
    最後に一番お気に入りだったティラノサウルスの人形を入れる。

     おもちゃはもう20年も前のものだから、かなり傷んでいるけれど、大切に甥っ子が遊んでくれることを想像しながら俺はダンボールに封をした。

    その翌日、妹から電話がかかってくる。
    「もうすごく喜んじゃって!ちょっとだけ電話変わるね!ほら、お兄ちゃんにお礼を言って!」
    電話越しに甥っ子の声が聞こえる。
    「がおー!お兄ちゃんありがとう!とってもかっこいいよ!がおー!」
     姿が見えなくても、ティラノサウルスの人形を持って遊ぶ甥っ子の姿が目に浮かぶ。

    ……男の子はみんな、ティラノサウルス症候群。

     
     
     
    Xで詩や140字小説を書いています。

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