
サラダ記念日は私にとって警戒日である
7月6日。
今日は『サラダ記念日』らしい。
世間ではきっと、爽やかな顔をして「今日はサラダを食べましょう」みたいな空気が流れているのだろう。
私はこの日になると妙に心がざわつく。
やめろ。
私はサラダが嫌いだ。
というか、野菜が嫌いだ。
実家で出てきたキャベツの千切りは、キャベツが見えなくなるほどマヨネーズをぶっかけていた。
野菜炒めも、野菜がクッタクタでシャキシャキ感も味も全てが失われていないと基本的に食べれない。
野菜食べれる?と言われたら、
「死んでたらいける」
と答えるのが私だ。
サラダは基本的に野菜がシャキシャキしている。
野菜が生き生きとし、生命力を感じる。
生の玉ねぎサラダが出てきたときには終わりである。
ネギがつくものはみんな敵だ。
ラーメンを食べに行ったときも、もちろんネギ抜き、メンマ抜きである。
え、メンマも抜くのかって?
だって竹じゃんあれ。
緑だった時期があるなら、それはもう野菜です。
もちろん抜きます。
おかげで私の手元に届くラーメンは一面茶色で映えの欠片もない。
長々と愚痴ってしまった。
とにかく、私にとってサラダ記念日は祝うべき日ではない。
警戒日だ。
この日を苦手とするのには、もうひとつ理由がある。
うちの料理・食材買い出し担当が夫だからだ。
私は料理が出来ない。
目玉焼きを焼くだけなのに、火災報知器が発動したこともある。
あれはもはや料理ではなく、防災訓練だった。
だからうちでは夫が作る。
スーパーの買い出しにもついては行くものの、最終決定権はシェフである夫にある。
今頃スーパーでは、
『本日サラダ記念日!今夜の食事にいかが?』
みたいなポップが貼られ、スーパーの目立つ位置にドーン!と並べられているのだろう。
隣にはドレッシング。
さらにその横にはクルトン。
そんな日に、気まぐれで夫がスーパーに立ち入ろうものなら、サラダ購入率がぐっと上がってしまう。
夫よ。
サラダを買ってこないでくれ。
お前はあんな飲食業界が得をするだけのような謳い文句で、心を揺らがす男ではないはずだ。
私たちはこれまで、数々のスーパーの誘惑を乗り越えてきたじゃないか…!
半額の刺身。
季節限定のアイス。
妙においしそうな惣菜コーナー。
そう、サラダごときで負ける私達ではない!
頼む!
勝ってくれ夫!
ガチャ。
玄関の扉の開く音。
そして聞こえてきた、スーパーのレジ袋のカシャ音。
緊張の空気が漂う。
夫が口を開く。
「今日、サラダ記念日らしいよ」
終わった。
私は聞こえていないフリをしながら、静かに冷蔵庫のマヨネーズとドレッシングの残量を確認しに行った。