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どうせ死ぬならかっこよく

あー。
かっこよくこの世を去りてぇなぁ。

私は時々虚無モードになります。
別に重大な何かがあったーとかではないのです。

夏バテにやられ、育児やら夫婦関係の小さなモヤモヤにやられ。

とにかく何もかもやる気が出ない時がある。
あるあるだよね、うん。

そんな時にふと考えてしまうのが、この世との別れです。

存在してるかどうかも分からないあの世とやらに行く瞬間。

仮に明日召されるとしても、二十数年の長い長い時間を生きてきたわけです。

最後はかっこよく召されたい。


最後の言葉もかっこよくキメたい。

できれば静かに目を閉じ、周囲の人間が後世まで語り継ぎたくなるような、気の利いた言葉を。

「みんな、ありがとう」

とか。

「悪くない人生だったよ」

とか。

そして、その最後の言葉を聞いた坊やや親族が3秒ほど黙り込み、

「…あの人らしいね」

と、目頭を押さえるくらいの名言がいい。

間違っても、

「ほげぶ!」

とかいう情けない声をラストに、この世を去りたくない。

…なんだ、ほげぶって。
人生最後の言葉として、あまりにもよろしくない。

でもちょっとつまづいて焦った時とか、
誰かに殴られてポックリいっちゃった時とか、
100%そんな声が出ないとは限らない。

割と出ちゃうんじゃないか?
ほげぶ。

そんな言葉で最後を締めくくったら、あの世で顔を両手で覆い、一生分の時間をかけて落ち込むだろう。

この世サイドでも親族に

「あいつ、最後ほげぶ!とか言ってたぞ」

「ほげ…ほげぶって…ww」

「ちょ、不謹慎だろ!笑うな…w笑うなってw」

誰かが耐えきれずに吹き出し、そこから全員の肩が震え始める。

そして数年後。
法事のたびに、親族の誰かが言うのだ。

「そういえば最後、ほげぶ!だったよね」

殺してくれ。

無理だ。
既に死んでいるんだった。

一生懸命生きた日も、泣いた日も、頑張ってご飯を作った日も、坊やを抱きしめた日もあったというのに。

最終的な印象が「ほげぶ!の人」。
なんの拷問だ。


人生とは理不尽である。

こちらが完璧な演出を考えている時ほど、予想外の方向から「ほげぶ!」が飛んでくる。

だったら、かっこいい最期を心配するよりも、今日をなんとか生き延び、死を回避する事が最優先なのかもしれない。

人生の最後は選べなくても、今日の自分に麦茶を飲ませ、労わる事ならできる。

というわけで私は、まだしばらくこちらの世界に居座りながら、最後の名言を考えておこうと思う。

「ほげぶ!」だけは避けたい。

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