
県北戦士! アガキタイオン!(18)【完結】
18 エピローグ、そして・・・
「本当に、行っちゃうのね」
岩船課長は目を細めると、日本海の夕陽を背にしてバイクにまたがる五頭大の姿を見つめて言った。
「ええ。俺の戦いはまだ続いています。異喪魑廟の首領、チダイ・ゴウセツはアジトと共に地中深くに消えました。ですが、いつ、どこでまた奴が復活するとも限りません。
その為には、県北だけでは無く、新潟県全域……いやこの日本中、世界中に、食べ物への愛と、好きなものを守る愛を説いて周る必要があるんです」
大は、ヘルメットの顎ひもをきつく締めると、夕陽の方へ続く国道8号線を見つめた。
「俺はまだ戦います。課長も、県北から、『食』への愛と、『好き』への愛を広めていってください。ひょっとしたら、その過程で、俺が広めた愛を理解する人が出てくるかもしれません。その時は……」
「足掻け、って言ってやれば良いんでしょ?」
岩船課長はウインクして拳を突き出す。
大は、その拳に自分の拳をコツンと合わせると、色々な想いを振り切るかのように前を向き、ゴーグルを付けた。
「さようなら、課長。さようなら、みんな。また会う日まで」
そしてアクセルを噴かし、国道8号線を飛ぶように南へ下っていく。
「さようならー! アガキタイオン! 足掻けー! アガキタイオン!」
岩船課長の声は、日本海に沈む夕陽に吸い込まれていった。

(県北戦士アガキタイオン 完)
☆
エピローグ
「もーっ、マキナ、無理な納期で仕事とって来ないでよね?
まあ、できるっちゃあ出来るけど……」
「ごめーんミッシー! 今回は私も手伝うからさあ!」
「んで、今回のは企業依頼なのね? ふむ、ああ、新作ゲームのプロモーションね。うわ。これ材質って何イメージしてんだろ……この宝玉って、レジンで作っても良いのかな。在庫あったかな……」
「ミッシー様、買い出しならお任せくださいませ?」
「うーん、マキナに頼むと余計な物まで買ってくるから困るのよね……」
「今回は大丈夫ですからぁぁぁ!」
製作室に賑やかな声が響く。設立一年目のコスプレ衣装作製会社・兼撮影スタジオ『Favolights』(ファボライツ)には、仕事を選んでいる余裕などは無い。
帰ってくるなりバタバタと慌ただしく買い出しに向かうマキナを微笑んで眺めたミッシーは、現在の依頼を仕上げてしまうべく、また作業台に向かって座り直した。
忙しいのは好きだ。
何かを作るのはもっと好きだ。
好きなものを好きと大声で言えるのは、もっともっと好きだ。
ミッシーは、その仕事を親友の相棒と一緒にできることを、心から感謝していた。
「さあ、足掻いちゃおうかな」
ミッシーは腕まくりをしてメガネをずり上げた。
作業台の前の棚には、アガキタイオンとミッシーのアガキタイオンR、そしてマキナのアガキタイリスが仲良くポーズを決めて映る写真が、フォトフレームに入れてずっと飾ってある。

(完)