
詩『どこにも書けないこと』
『どこにも書けないこと』
殺意や金欲や性欲の変態や
犯罪者たちの気持ちが分かってしまう
俺こそが隠れた異常者なのか
昼間は歩けぬ死刑囚なのか
どこかで誰もが道を逸れ落ちこぼれ
一歩間違えりゃ奈落まで真っしぐら
優しさも暴力も愛さえも
何かを守るための武器にしちまう
自棄っぱちになんか……なるんじゃない
愛する人を……泣かすんじゃない
人間はおぞましいケダモノだ
踏みとどまって考えるのも人間だ
襲いたい、苦しめたい、殺してしまいたい
幸せな奴らが骨の髄まで大嫌いだ
そうさ俺は悪人だ最低の出来損ないだ
それでも生きていく価値は、あるはずだ
助けたい、救いたい、守って抱きしめたい
そういうお節介みたいな感情も本物で
毎日毎晩藻掻いてる
どこにも書けないこと
書いては消して、消しては書いて
生きている
どこにも書けないこと
それが俺で、俺が小説なのか
だから、書いてゆく