
《BLUE LANTERN》いつもの時間(50)
いつもの時間。
カウンターの客は私だけ。
マスターはエール樽の近くで、何かしている。
「あの人、来ませんね」
「あの人?」と背中を向けたままのマスター。
「キリアンです。最近会いました?」
「いや」
「キャラメイクがどうなったか、気になるのに」
「そうだな」
短い返事。
常連が来なくなっても、マスターは気にしない。
私が来なくても。
エールを飲み終えた頃、
やっとマスターは振り向いて、言った。
「時間は?」
「⋯あるけど、何?」
「店のおごり」
目の前に〈いつものエール〉が置かれた。
常連になったら、おごってくれる。
前にそう言った。
「⋯今更?」
マスターは答えない。
ただ、もう一杯のエールを用意して、
「飲もう」と言った。
(終)