
『シキソクゼクウ』が少し読みやすくなる世界観ガイド
漫画『シキソクゼクウ』は、神様が実在するファンタジー……に見えて、じつは「神」と呼ばれているものの多くが、都市や村を動かすAIシステムでもある世界の物語です。
第1話では、トゥクバの神前戦士スンが、リシクル神の試練に挑みました。
第2話では、場面がアキラの過去へ移り、ユビキタ村、ゴズ村、オムネシス教、巡礼官、マントラといった言葉が出てきます。
読んでいて、
「神って本当に神なの?」
「マントラって魔法なの?」
「オムネシス巡礼官って何をする人たち?」
「トキオとゴズ村って、どれくらい離れているの?」
と思った方のために、ここではネタバレを控えめにしながら、世界観を少しだけ整理してみます。
まず、この世界はどんな場所?


『シキソクゼクウ』の舞台は、遠い未来の日本列島です。
大きな戦争や環境変化を経たあと、人々は都市ごとに生き残り、それぞれの都市には独自のAI神がいます。
トゥクバにはリシクル神。
ゴズ村にはゴズ神。
中央都市トキオにはオムネス神。
AI神は、ただの機械ではありません。
農業、移民、治安、医療、教育、身分制度、信仰まで、都市や村のしくみに深く入り込んでいます。
だからこの世界では、「神を信じる」ということと、「社会のシステムに従う」ということが、かなり近い意味を持っています。
スンが第1話で受けた試練も、信仰の儀式であると同時に、若者を選別するシステムでもありました。
マントラとは?


マントラは、音声コードによって人工奇跡を起こす技術です。
見た目は呪文や祈りに近いのですが、実際には、中央クラウド、ナノマシン、専用デバイス、量子演算のような技術とつながっています。
たとえば、第1話でアキラが唱えた「カルナ」は、敵を止め、誰かを救うためのマントラです。
第2話で出てくる勾玉は、治療の人工奇跡を起こすデバイスです。使うたびに「ギガ」という通貨兼演算資源を消費します。つまり、誰かを助けるにも、生活費や計算資源が削られる世界なのです。
マントラには、いくつかのルールがあります。
ただ唱えれば発動するわけではない。(下位マントラをのぞく)
専用デバイスや認証が必要なことが多い。
ギガを消費する。
使用者の属性や訓練によって、得意なマントラが違う。
トキオ周辺の「マントラ圏」では安定するが、圏外では弱くなる。
都市を動かすようなAI神用のマントラは、人間が勝手に使うと危険。
ここが、ふつうの魔法との大きな違いです。
マントラは奇跡に見えます。
でも、その裏側にはお金、権限、都市インフラ、宗教組織、政治がからんでいます。
マントラの例は以下のとおりです。ほかにもたくさん登場します。
おまじないや宗教用語など、有名なパワーワードが設定されています。
下位マントラ
ケセラパセラ・・・・回避率上昇
チチンプイプイ・・・回復力上昇
ワッショイ・・・・・瞬発力上昇
キリエ・・・・・・・防御力上昇
コギトエルゴスム・・精神鎮静
ドンマイ・・・・・・精神回復
イフタフヤーシムシム(「開けゴマ」という意味)・・・解錠
中位マントラ
カルナ(「慈悲」という意味)
・・・攻撃者と被攻撃者ともに行動不能+絶対防御
アガペー(「愛」という意味)
・・・感情をエネルギーに変換
アビラウンケンソワカ・・・五行相克攻撃
アーメン・・・???
上位マントラ
ハレルヤ・・・???
エロイムエッサイム・・・???
メメントモリ・・・???
特殊マントラ
イグザイル・・・???
アチマリカム・・???
ビブデバビデブー・・・???
究極マントラ・・・?
ケイオグノム、レムナント、ディゼクタ

第2話では、人間の「設計」として三つの属性が出てきます。
マントラデバイスに認証されると額に紋章がうかびますが、
種族ごとにその色が異なります。
ケイオグノム
創造性や抽象思考に優れたタイプです。研究者、芸術家、高級官僚、政策立案者のような役割に向くとされています。
マントラでは、構造操作や情報処理に近い方向で強みを持ちます。
紋章の色は緑です。
レムナント
秩序を守り、応用力が高く、治療や救済に向くタイプです。
アキラはレムナントとして、勾玉を使い、医療に近い仕事をすることがあります。
紋章の色は青です。
ディゼクタ
戦闘や指揮のために設計されたタイプです。
身体能力や状況判断に優れる一方で、強い情動や攻撃性と結びつけられやすい危うさもあります。
紋章の色は赤です。
ただし、これは作中社会が人間を分類するための言葉でもあります。
才能の説明であると同時に、差別や選別の根拠にもなってしまう。そこが、この作品の苦いところです。
スンが何者なのかは、まだ読みながら見守ってください。
オムネシス教と巡礼官

オムネシス教は、中央都市トキオの公式宗教です。
トキオのAI神オムネス神を中心に、都市管理、政治、教育、治安、マントラ技術と深く結びついています。
その中でも「巡礼官」は、高位マントラを探し、AI神に接触し、ときには異常を起こした神を封印する実働担当です。
ただ、地方の村や都市から見ると、巡礼官は必ずしも救世主ではありません。
「神のメンテナンス」と言いながら、地方神を封印し、アルゴリズムを書き換え、中央の管理システムに組み込んでしまう。そう受け取られることもあります。
だから作中では、巡礼官は「神狩り」と非難されることがあります。
アキラは、登場時点では正式な巡礼官ではありません。
けれど神託のタブレットを持ち、AI神の異常や地方社会の歪みに踏み込んでいくため、物語の中では「モグリの巡礼官」のような立場になっていきます。
本物の巡礼官は作中にどのようなかたちで登場するのでしょうか。
トキオ、ゴズ村、そしてマントラ圏

この世界の中心のひとつが、中央都市トキオです。
トキオは、26世紀の日本列島最大級のメガシティで、マントラの大域サーバ群がある場所です。金融、バイオ拡張、自動化農場、VR、宗教政治が集中しています。
そのトキオを中心に、マントラが安定して使える範囲が「マントラ圏」です。
ざっくりした位置関係は、こんな感じです。
ゴズ / ユビキタ 栃木県あたり
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バンドゥ ー トゥクバ 茨城県あたり
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クスカ 埼玉県あたり
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ハナモン 多摩地区あたり
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中部地方 ギフト --- トキオ 東京23区あたり
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ゴヤ ダイバ --- フォーライ 東京湾~太平洋
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ゾーンヌル / オサカ方面 近畿以西ゴズ村は、トキオ傘下の自治区のひとつです。自然豊かな保養地の顔を持ち、ゴズ神を中心に農業や食品加工で発展しています。
でも、その「豊かさ」の裏に何があるのか。
第2話は、そこへアキラが踏み込んでいく話です。
この先、旅で出会うもの


ここから先の物語では、さらに多くの都市や宗教へ広がっていきます。
各都市にテーマと思想があり、スチームパンク、サイバーパンク、大正浪漫、風水都市など、どくとくの特徴をそなえています。
26世紀の日本ってどんな感じになっているんでしょう?
小帝都ハナモン。
中央都市トキオ。
海上都市ダイバ。
浮遊都市フォーライ。
光の都ギフト。
天空都市フィダ。
移動都市ヤオ。
城塞都市ゴヤ。
そして、マントラ圏の外側にある無効領域ゾーンヌルと
海に浮かぶ大歓楽都市オサカ。
まだ漫画本編では出ていない言葉も、少しだけ紹介します。
アフラ教
光の都ギフトの地方宗教です。光と闇、終末論、救済の思想を持つ宗教で、オムネシス教とは違う形でAI神と人間が結びついています。
フォーライ風水システム
浮遊都市フォーライを動かす都市管理システムです。陰陽五行や易のような思想をもとに、街の配置、政策、エネルギーの流れを決めています。
占いのようであり、統計とインフラ制御のようでもある。『シキソクゼクウ』らしい「信仰と技術が重なった仕組み」です。
ゾーンヌル
列島の西側に存在する、マントラが通じにくい無効領域です。
トキオ側のマントラ圏とは別の原理で動いているため、交通も情報も遮断されがちです。物語が進むほど、この「マントラが届かない場所」の意味が大きくなっていきます。
前日譚『スーニャ・カーネル』とのつながり

noteでは、前日譚の小説『スーニャ・カーネル』も公開中です。
こちらは、『シキソクゼクウ』本編より前の時代に、フルダイヴVR、都市管理AI、人工奇跡マントラの種のようなものがどう生まれていったのかを描く物語です。
本編だけ読んでも楽しめます。
でも『スーニャ・カーネル』を読むと、「神がシステムになる前」の気配が見えてきます。
『シキソクゼクウ』で出てくるマントラやAI神が、ただの設定ではなく、長い時間をかけて変質した技術と信仰なのだと感じやすくなると思います。
どこから読めばいい?
まずは、第1話から読むのがおすすめです。
第1話は、スンの物語です。
神に選ばれた戦士として育てられた少女が、自分の命をどう扱われてきたのかを知る話です。
第2話は、アキラの物語です。
人を救うための力を持っているのに、救うたびに自分のギガを削られる青年が、ゴズ村で「神」と「制度」の裏側を見ていく話です。
この作品では、神はただの敵ではありません。
人間も、ただの被害者ではありません。
祈り、制度、お金、差別、救済、戦い。
そういうものが絡まりあった世界で、スンとアキラが何を選ぶのか。
少し難しい言葉も出てきますが、ひとつずつわかるように、これからも世界観紹介を出していけたらと思います。
よかったら漫画本編と、前日譚『スーニャ・カーネル』も読んでみてください。
ていうか、いまなら無料です。読まないなんてもったいない!
※この記事は、公開済み範囲に合わせた世界観ガイドです。今後の公開範囲にあわせて、ハナモン、トキオ、フォーライ、ギフト、ゾーンヌルについても、少しずつ補足していく予定です。
