
【2026年最新・DB科目B-2物理設計】データベーススペシャリスト試験合格対策|5期10大問分析
データベーススペシャリスト午後II(科目B-2)の物理設計対策として、「インデックスを張らない理由まで書けるようにしておけ」と覚えている人は多いと思います。この記事の旧版も、そう書いていました。それは午後IIの実物と合っていません。
令和3年度秋期から令和7年度秋期まで、5期10大問ぶんの解答例PDFと採点講評PDFをIPA公式サイトから取得して、語を機械的に数えました。午後IIの解答例・採点講評に「インデックス」は0回、「索引」も0回です。IPAが「データベースの物理設計について出題した」と書いた大問は、5期10大問のうち1つだけでした。
一方で「索引」は午後I(科目B-1)側に9回出てきます。つまり論点が消えたのではなく、あなたが対策している場所とズレている。しかも「インデックスを張らない理由」を書かせる設問は実在していて、IPAが○を付けた解答文と、×にした解答文の違いまで採点講評に明記されています。その採点者基準は、多くの参考書が教える書き方とは正反対でした。
これが効いてくるのは、この試験の受け方のせいです。午後IIは120分・2問出題で解答は1問だけ。合格率は令和3年度秋期17.1%、令和4年度17.6%、令和5年度18.5%、令和6年度17.2%、令和7年度18.4%で、5年間ずっと2割を切っています。年1回の試験なので、準備の方向を1つ間違えると次は1年後です。しかも現行制度は2026年度の実施をもって終了し、2027年度から新試験制度へ移行する予定——現行形式で受けられる回数自体が、もう残り少ない。
この記事では、まず無料部分で「午後IIに索引論点は無い」「では『インデックスを張らない理由』はどこで、どう問われているのか」「IPAが実際に○を付けた解答文はどう書かれているか」を、一次資料の逐語引用で全部渡します。
実測 — 午後II 5期10大問に「インデックス」は一度も出ていない
使ったのはIPAの過去問題ページで公開されている、令和3〜令和7年度秋期の午後II解答例PDF・採点講評PDF、および比較用の午後I解答例PDF・採点講評PDF、計20ファイルです。テキストを抽出して語を数えました。

図: 令和3〜令和7年度秋期 午後II 10大問の出題テーマ(採点講評の冒頭文をそのまま採録)
採点講評は毎回「問1では、〈題材〉を題材に、〈テーマ〉について出題した。」という定型文で始まります。そのテーマ欄を5期分並べると、こうなりました。
問1: 令和3年度だけが「データベースの物理設計」。令和4・5・6・7年度はすべて「データベースの実装・運用」
問2: 5期すべてが「概念データモデル」「関係スキーマ」「概念データモデリング」
そして語の出現回数です。
「インデックス」——午後II 0回/午後I 0回。IPAはカタカナの「インデックス」を使いません。一貫して「索引」と書きます
「索引」——午後II 0回/午後I 9回
「選択率」「更新コスト」「全件走査」「断片化」「パーティション」「実行計画」「アクセスパス」——午後II・午後Iともすべて0回
参考までに午後IIで多い語は、リレーションシップ17・エンティティタイプ17・関係スキーマ16・概念データモデル16・トランザクション15。ちなみに「正規化」も午後IIでは0回です
ひとつ限界を先に書いておきます。問題冊子のPDFは5期10ファイルすべて画像スキャンでテキスト層が無く、文字を抽出できません(抽出文字数0)。ですからこの0回は「解答例と採点講評に出てこない」という意味であって、「問題文の本文に一度も書かれていない」とまでは言えません。ただ、採点者が何を正解とし何を名指しで注意したかは、まさに解答例と採点講評に書かれています。「採点者基準」を知りたいなら、母集団はここで正しい。
念のため、旧版のこの記事に書いてあった「複合インデックスは等価条件の列を先頭に、範囲条件の列を後ろに」「値の種類が少ない列は選択率が低く効果が薄い」「定期的な再編成を業務の閑散期に」といった説明も、午後IIの5期分の解答例・採点講評には根拠が見つかりませんでした。一般論としては正しくても、この試験でそのまま書く答案にはなりません。
「インデックスを張らない理由」の採点者基準 — 一般論を書くと落とされる
午後I側の「索引」9回は、令和3年度・令和6年度・令和7年度の3期に固まっています。該当は3問。IPAの解答例と採点講評から逐語で引きます。
○が付いた解答は、20字強しかない
令和3年度秋期 午後I問2(クレジットカードにおけるオーソリ業務)設問1(3)
解答例は、これだけです。
「行の挿入時に更新する索引が増えるから」(21字)
これがまさに「索引を増やさない理由」であり、軸は更新コストです。この大問の講評は「全体として正答率は低かった」——5期の大問講評のなかでも数少ない「低かった」評価がついています。つまり、この試験でいちばん多くの受験者が落とした設問のひとつが、まさに「索引を張らない理由」を21字で書かせる設問だった、ということです。難所であること自体は、旧版の記事も間違っていませんでした。外していたのは場所と書き方です。
令和7年度秋期 午後I問3(在庫管理システムの改修)設問3(2)
解答例は、これです。
「出庫の処理が進むたびに索引キーの値が変わるから」(23字)
令和6年度秋期 午後I問3(プロジェクト稼働管理システム)設問3
この年だけは毛色が違います。出題趣旨に「参照制約、索引のクラスター性などは初歩の概念である一方、他に及ぼす影響を正しく理解した上で実装することが求められる」「クラスター性など索引や表の特性を理解し性能見積りにつなげる能力を問う」とあり、講評は「(2)、(4)ともに正答率が低かった」としてこう書きます。
「クラスタ性が低い索引を経由した場合は行へのアクセスがランダムとなる、クラスタ性が高い索引を経由した場合は隣接するキーが同一ページに格納されている割合が高いという性質を理解するとともに、問題文や表から適切な数字を使用して正答を導き出してほしい」
注目すべきは解答例の中身です。この設問の解答はすべて数値(f=22、g=24、h=20、i=480、j=2,000、k=50)。つまり索引の論点は、文章で語らせる形ではなく性能見積りの計算として出ました。「クラスタ性を説明する文」を暗記していても、この設問には1点も入りません。
IPAが名指ししたのは、知識不足ではなく「一般論」
この記事のタイトルにある採点者基準の答えが、令和7年度の採点講評に一文で書かれています。逐語で引きます。
「設問3では、(2)の正答率が低かった。索引の更新契機についての一般的な知見で解答した受験者が多かったが、本文に記載された事例に即して解答してほしい。索引の変更に際して既存のトランザクションや運用に与える影響の分析・検証は重要である。」
指摘されているのは知識不足ではありません。一般論を書いたことです。「更新コストが増えるため」「選択率が低いため効果が薄いため」——こうした教科書的な原理を書いた答案が、実際に低評価になっている。
○が付いた2本の解答を並べると、構造が見えます。
「行の挿入時に更新する索引が増えるから」
「出庫の処理が進むたびに索引キーの値が変わるから」
どちらも、頭に問題文に書いてある具体的な業務処理が置かれ、そのあとにその処理のときに索引に起きることが続き、「から」で閉じる。原理の名前(更新コスト、選択率、断片化)は一語も入っていません。20字強という短さも、原理を語る余白が無いことを示しています。
つまり午後I・午後IIを通じた採点者基準はこうです。問題文の状況記述の中から、その事象が起きる瞬間を名指しできているか。 これは索引に限りません。午後IIの5期分の採点講評でも「本文中に示された条件をきちんと読み取り」「〜に着目していない解答が散見された」という指摘が繰り返し出てきます。
この基準は、勉強法そのものを反転させます。原理を覚える量を増やしても点にならず、増やすべきは「問題文のどの行を根拠にしたか」を毎回言語化する回数のほうだ、ということです。逆に言えば、参考書を何冊読んだかは、この試験の得点にほとんど寄与しません。
ここまでが、旧版の記事が間違えていたことの訂正と、検索してこの記事にたどり着いた人が最初に知るべき事実です。
ただ、これだけでは午後II本番の点数にはなりません。索引論点が午後Iにあるとわかっても、120分をかけて解く1問をどう選び、どこで落とすのかは別の話だからです。ここから先は、同じ5期10大問のコーパスを使って、その実行編を渡します。具体的には——採点講評の原文から作った10大問の完全マップ(題材・テーマ・IPAが挙げた能力・難易度講評)、5年間で一度もぶれていない問1と問2の性格の違いと、事前に選ぶための3問判定、設問レベルで低評価を名指しされた44件を分類した「落ちる答案の4類型」(IPAの原文つき)、索引2問から抽出したそのまま書き写せる解答テンプレと、書いてはいけない語の実測リスト、設問構成の実測から逆算した120分の配分、そして2026年度のCBT化で変わることと変わらないことです。読み終えたとき、あなたは「どちらの問を選ぶか」を試験当日ではなく今日決められる状態になります。
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