
日本人から見たデンマーク料理あれこれ(コペンハーゲン旅行グルメ記録)
2026年のGWは人生初のデンマーク・コペンハーゲンへ行った。この記事では記憶に新しいうちに、デンマークで食べた料理を記録・紹介する。これは食べるべきなのでは、という視点からデンマーク料理を一覧にして書いているので、今後コペンハーゲンに旅行に行かれる方の参考にしていただければ。
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デンマークはパンが強く、コペンハーゲンは魚介が強い

ヨーロッパ旅行といえば、やはり現地に深く根付いた小麦料理の数々、特に多様なパンが楽しみの一つだろう。なんといってもパンが主食である。日本でも日々食べられているデニッシュは、直訳すれば「デンマークの(パン)」である。職人たちがウィーンから取り入れた技術を独自に発展させていったのがデニッシュであり、世界中でデニッシュと呼ばれている一方、デンマークではヴィナーボズ(wienerbrød)、つまり「ウィーンのパン」と呼ばれているという謙虚さが面白い。

またコペンハーゲンは街中に多数のゆりかもめが鳩と同じくらいのペースでいるという、筋金入りの港町である。そのため海産物も名物だ。それでは早速、食べたものを紹介していきたい。
デンマークのパンがうますぎる
さて、酪農大国でもあるデンマークのパン。メチャクチャおいしいのだが、全体を通じて、思い切った量のバターが使われているのが特徴だ。日本のパンだとあまり見かけない量が使われていると思われ、それが生地を甘く、美味しくしている。
JUNO the bakeryのカルダモンロール

今回の旅行で出会った、おそらく人生で食べた甘いパンで一番うまかったのがこのJUNO the bakeryのカルダモンロールだ。スパイスの女王と呼ばれるカルダモンを、たっぷりのバターを使ったデニッシュ生地と合わせたもの。日本だとカレーのスパイスとして出会うことはあっても、パンの味付けとして出会うことはあまりないのではないか。

小麦とバターの相乗効果がうますぎるデニッシュ生地は、複雑な形状をしていて、それが「カリッ」「フワッ」のふたつの食感のコントラストを生み出している。しっとりとした甘めの生地に、しっかりと効いたカルダモンのスパイス感(!)。じゃりっとした砂糖が良いアクセントになっていた。究極のパンだ。
JUNO the bakeryのアーモンドクロワッサン

もう一つ感動したのが、このアーモンドクロワッサン(Mandelcroissant)。端っこはクロワッサンなのでカリッとした食感なのに、真ん中はアーモンドクリームでしっとりとしていて、そして大量のナッツの旨み。艶出しのグレーズにはシトラスとトンカ豆が使われているという凝りよう。夢中になってがっついてしまった。こんなに旨いパンがこの世の中にはあったのか、と衝撃を受けた味。
JUNO the bakeryのルバーブ・バニラ・パン

ルバーブは日本語では食用大黄ともいうヨーロッパで愛される野菜。そのコンポートをのせたパンがコペンハーゲンの色々なパン屋さんで売られているのだが、これも絶品。JUNOではバニラと合わせられていた。味としては酸っぱくない梅という感じで、日本ではあまり出会わないのに懐かしさを感じさせてくる。

ちなみにこの説明で果実を想像する方も多いと思うが、実際にはこんな感じの野菜。どうも4月くらいからが旬らしく、JUNO the bakeryでも春のパンとして最近始まったようだ。日本からするとまだまだ寒い気候(10℃くらい)だったが、長く寒いデンマークの冬を抜け、人々は春を謳歌していたように思う。薄着で海辺でボーッとしている人も多かった。
JUNO the bakeryのクリームパン

クリームパンも食べた。買いすぎと思う方もいるかもしれないが、実はうますぎて2回行っている。このクリームパンは不意打ちのフルーティーさがすごくよかった。

パカッと割ってみると、意外なフルーツが潜んでいた。サジーである。明るい酸味がバニラクリームの風味とすごく合っていた。意外にもクリームそのものはそれほど甘くなく、主に濃厚さと香りを担当していて、外側の砂糖が甘味を担うというバランスで作られていた。
JUNO the bakeryについて

「Noma」という世界一に何度も輝いているデンマークのレストランがある。地元の文化に立脚しながらも、イノベーティブな料理を作るという先鋭的な切り口は、Nomaと彼らに影響を受けた料理店でコペンハーゲンに新たな食の楽しみを生み出し、観光客を11%増加させたともいわれる素晴らしいレストランだ。
詳しくは映画があるのでこちらから。
その「Noma」出身のシェフが立ち上げたのが、JUNO the bakeryなのだ。その人気はすさまじく、平日にいっても大行列が出来ている。パンの種類は10種類前後といったところなのだが、常に10名程度のパン職人の方々が次々とパンを焼いており、並んでいる間にもカルダモンロールがどんどんなくなって、また新しいものが運ばれてきて、というサイクルを繰り返していた。
つまり、ほとんどのパンが、焼き立てに近い状態で提供されていた。そりゃうまいわ。人気がありすぎて、全てのパンがどんどんなくなっていき、どんどん補充されていくのである。日本だと日本橋高島屋の北欧展に出展したこともあるという、世界に名を轟かせている名店。食べたら「しあわせっ」という気持ちになるパンたちだった。
Sinne Gas Bageriのカルダモンロール

こうなったらカルダモンロールを食べ比べだ、ということで向かったのはSinne Gas Bageri。ローカルのパン屋さんだが、デンマークに住む知人が通う学校の食堂でパンを焼いている方のオススメとのこと。
こちらはなんというか、ジュワっと甘い。でもそこにスパイスの女王が鎮座しており、刺激的でもあるという面白いバランスで、食感も含めて最高だった。いいパン屋は生地が美味しいんだなぁ。
Sinne Gas Bageriのブラウンシュガー

Sinne Gas Bageriを紹介してくれた方のオススメがこのブラウンシュガーだった。黒糖を使ったパンと思われる。ペットリとした質感と持った時の重量感がすごい。

ブラウンシュガーの名の通り、黒糖がしっかりと効いたパンで、沖縄でファームステイをしたときの「おばあの味」が思い浮かぶ。強烈な甘さがジュワジュワでてくるのが魅力なのだが、半分おいておいて翌朝食べたら更に染みててすごかった。

公園でパンを食べていると、デンマークのカラスが近くをのんびり歩いていた。日本のカラスよりはかなり小型で、ニシコクマルガラスという鳥だ。鳴き声はカーカーではなく、高い声でキャイキャイ鳴くので超かわいい。
アンデルセンについて

せっかくなのでコペンハーゲン市内にあるアンデルセンの店舗へもお邪魔した。アンデルセンといえば、日本にデニッシュをひろめたというパン屋さんだ。広島から日本中に広がっていったアンデルセングループだが、なんと影響を受けたコペンハーゲンにも出店しているのである。

しかも日本のパン屋らしく、デニッシュ生地やピザ生地の上に、総菜をのせるというやり方で、現地で一定の評価を得ているのである(店内も賑わっていた)。
アンデルセンのグラタンパン

さて、お手並み拝見。グラタンのようなものが中に入った、デニッシュである。しっかりと茶色くて食欲をそそる。

濃厚なホワイトソースのような味わいと、肉っぽさが素晴らしい。デニッシュ部分はデンマークの方のお眼鏡にもかなうように作られており、日本の総菜パンとデンマークのパンの夢の競演である。

デンマークらしいルバーブのパンも出していてこれも美味しかった。でもやっぱり味わいから日本の梅を思い出してしまう。
アンデルセンと桜

実はコペンハーゲンにはいくつか「サクラの名所」がある。人魚姫像の近くにあるランゲリニエ公園では、今年、第19回目となる「Copenhagen Sakura Festival」が開かれた。
実はアンデルセングループが2005年に200本のソメイヨシノを寄贈したのが、きっかけになっているようだ。筆者がたまたまここを通りかかった時、たくさんのサクラと、その下でピクニックする人を見て、「デンマークにも花見はあるんだな」と思ったのだが、なんと「Copenhagen Sakura Festival」が日本の花見という習慣を現地の方々に紹介してきたようなのである。国際的な文化交流も、長く続ければ日常の風景になっていく。ほんわかするデンマークの涼しい春の風景。
HARTのカルダモンロール

名残惜しいが、パン屋のパン紹介もこれでラスト。HARTはコペンハーゲンに10店舗以上出している人気ベーカリーで、こちらも「Noma」出身の方が創業したという新世代系。
ミルクとバターを主体にしたmilk bunを、カルダモンとオレンジゼストで華やかに味付け。バニラ・アーモンド・シナモンも使った甘い香りは食べられるお花畑という感じ。主体となるmilk bunだけでは説明のつかない上層部のカリッと感は、もしかしたら生地が2種類使われているのかも。めっちゃ美味しい。こんな言い方をしていいのか分からないが、職人が一昼夜寝ずに作ったミニスナックゴールドみたいな手のかかり方を感じた。
てかバターってすごいな。良いバターを使いまくったら、重くはならずにひたすら美味くなるんだな。
HARTは店舗デザインも優れている

HARTは内装もかわいい。手の形をしたキャラクターがいて、世界観が統一されている。画像はRefshalevejという地域でサウナを楽しんだ後、軽くレモネードを飲みたくて入った時のもの。めちゃくちゃいい雰囲気の店だった。

デザインや世界観が統一されている店舗は入るとワクワクする。
デンマークのレストランで食べた料理
次にデンマークのレストランで食べた料理を紹介したい。まさにご馳走という感じだった。
フレスケスタイ Flæskesteg-デンマーク風ローストポーク

フレスケスタイは皮付きの豚バラ肉を、皮がパリパリになるまでグリルした料理だ。グリルした際にしたたりおちた肉汁に赤ワインなどを加え、グレービーソースに仕立てて味わう。
デンマークではクリスマスの定番料理になっているようで、その際は紫キャベツの甘酢煮、キャラメルポテト、リンゴのコンポートなどと食べるということなのだが、何とこのレストランでも全てついていた。キャラメルポテトはグラニュー糖などで甘く味付けられたジャガイモのこと。付け合わせのパンにグレービーソースを浸しても超美味しい、食感と脂身が最高な一皿。
アンネスタイ Andesteg-デンマーク風ローストダック

同じくデンマークでのクリスマスの定番料理が、アンネスタイである。これはリンゴやプルーンをお腹に詰めたアヒル(あるいは鴨)を、じっくりとオーブンでローストするという料理だ。
デンマーク外務省が運営する「denmark.dk」というサイトに「No Christmas dinner without duck. 」と力強く書いてあるほど支持を得ている一品と思われる。
付け合わせや味の構成はフレスケスタイと共通しているが、グレービーソースがアヒルの肉汁で作られていることが違いだろう。そして豚の皮以上にパリパリに仕上げられたアヒルの皮は、これぞご馳走という感じの迫力がある。あまり食べた記憶はないが、想像の中の北京ダックである。
どちらも口の中が脂っこくなってきたら、甘酸っぱい紫キャベツや甘いポテトでリセットできるというよく考えられた料理だ。

酒はもちろん、デンマークを代表するビール・カールスバーグで。
レストランVITAについて

これらの料理は、コペンハーゲンの中心地であるニューハウンから徒歩圏内にあるVITAというレストランでいただいた。1600年代の薬局を改装した店で、レストランが創業したのは1977年とのこと。伝統的なデンマーク料理を食べたかったのでよかった。
ムール貝の蒸し煮とフライドポテト Moules Frites

前にトルコ料理の記事で書いたが、ムール貝は美味い。
たぶんデンマーク料理ではないが、こころが海鮮を欲していた。ムール貝特有の肝感が、白ワインとハーブで蒸されたことで嫌な臭みがなくなって、ただただ美味しい。そこに溜まったスープをパンにつけても最高。大量のフライドポテトとセットで出てきた大満足の一品。

こちらは冒頭に写真を載せたカラフルな港・ニューハウンの一角にある、HAVFRUENというお店で出てきた料理だ。外に出ると日が暮れていて、素晴らしい景色に変わっていた。
スモーブローsmørrebrød

酸味のあるデンマークの伝統的なライ麦パン「ロブロ(Rugbrød)」の上に、豪華な具材を載せたオープンサンド。それがデンマーク名物のスモーブローだ。これは正直食べるかどうか、かなり迷った。
というのも、これ一皿で3,000円弱するのだ。物価の高いデンマークの中でも突出していて、メチャクチャ迷った。でも最後は好奇心に勝てなかった。
画像は伝統的だというジャガイモ、スモークチーズ、自家製グリーンマヨネーズなどを使ったスモーブロー。パン・イモ・チーズ・マヨネーズ、美味しいに決まっている。

スモークサーモンのスモーブローも食べた。オープンサンドと考えると、メチャクチャ豪華である。デンマーク産のレタスに、クリームチーズやスプラウトと合わせてスモークサーモンを食べる。これまで経験したことのないサーモンの食べ方だ。
ただ美味しいんだけど値段設定が強めなので、もう一回食べるかというと難しいところ。カルダモンロールの味、ローストダックの味を知ってしまうと…。
デンマークの市場

コペンハーゲンの市街地には、TorvehallerneKBHという市場があり、ここも楽しかった。特にトマト売り場のラインナップの豊富さ。何十種類あるのか。デンマークの人々はこれをうまく使い分けるんだろうか。たくさんの肉やチーズが売られているところも見ていて面白い。アイスクリーム屋さんなどもあって、楽しかった。
サウナを楽しんでビールで乾杯

コペンハーゲンのRefshalevejにはLa Banchinaというレストランとサウナをやっている場所があり、バレルサウナから見たのがこの風景。コペンハーゲン港を眺められるだけでなく、そのまま海に飛び込むことも出来る。4月末のコペンハーゲンはかなり涼しいのだが、海の際ではデンマークの人たちが薄着で肌を焼いていたり、読書をしていたり。試しに海に入ったら笑えるほど寒くてよかった。
ストリートフードを楽しみつつヒュッゲなReffen

サウナをしっかり楽しんだ後は、Reffenというコペンハーゲンの港湾部を使ったエリアへ。このあたりはストリートフードが集結していてお祭りの様相。砂地にたくさんのベンチが置かれていて、焚き火のそばに人々が集う。
ここでレモネードを飲みながら、ボーッと体を冷ます。海鳥の声を聴き、スケボーの練習に勤しむ少年を横目にウトウトした。
Mikkellerの実店舗へ

ビール好きの皆さんが必ずチェックするであろうクラフトビールの大家・ミッケラー(Mikkeller)。実はコペンハーゲンを拠点とする企業なのである。Reffenのエリア内にはミッケラーの実店舗があった。


ラインナップが多く悩んだが、2番のBlanche De Mikkellerを選択。

シトラスのさわやかさが、サウナ終わりの体にちょうど良かった。

ミッケラーの店舗からはすぐにフェリー乗り場に行くことが出来たので、そこからニューハウンに戻りホテルへ。夕陽が最高だった。
おわりに-ヒュッゲ(Hygge)について
この記事では2026年のGWにコペンハーゲン旅行に行った際の思い出を、食べ物を中心に記録してきた。この後、ポーランド、オーストリアへと周遊していくのだが、それらの国と比較してデンマーク特有の文化だと感じたのが、リラックスしてボーッとしている人がたくさんいたことだ。

海辺で、公園で、噴水で、人々は誰を待つでもなく、何をするでもなくボーっとしている。リラックスして本を読んでいる人も多い。

デンマークでは、ヒュッゲ(Hygge)という考え方がある。簡単に言えば「居心地の良い空間を作り出す」というものなのだが、そのためにろうそくや焚き火などの燃えている火は欠かせないとされている。

スーパーに行っても、こんな風に多数のろうそくが売っている。デンマークの人々にとって、ろうそくの火と、そして火が生み出すヒュッゲは人生に欠かせないものなのだろう。火を灯して、どんな時間を過ごすか。今回の旅行で目にした人々がそれらを体現しているようで、すごくよかった。

コペンハーゲンのデザインミュージアムでは、多数の傑作イスが展示されていて、それもすごくよかった。リラックス空間には良いイスがあるとよい。ヒュッゲという考え方がこれらのイスに影響を与えている可能性は高そうだ。
街の人々があまりにもヒュッゲなので、こちらも引っ張られてどんどんリラックスしてしまう。コペンハーゲンは、洒落ているけどのんびりした街だった。