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【食エッセイ】小さい世界・広い世界

    食エッセイ本を作っている。内容は完成して、印刷のための最終調整をしている段階。しかし、頭がワサワサしている最近なので、ミスりそーの気持ち。

    たびたびの宣伝になりますが、6/27に浜松町のZINEフェスで売ります。

    売るのは①食エッセイ本、②青森旅行本、③小笠原旅行本、④日記本の4冊。

    お待ちしています!

    その食エッセイ本から1話。

    ー

    ソワソワする。季節の変わり目・雨のせいな気もするし、そうでない気もする。

    スーパーの野菜・肉・魚それぞれの売り場に行ったけど食べたいものが浮かばない。カツを買ってカツ丼にしようかと総菜売り場を見たがピンと来なかった。肉売り場に戻る。プルコギ用の味付け肉の前で立ち止まる。スーパーの味付け肉に良くないイメージがある。鮮度が落ちた肉を味付けして売っていると聞いたことがあるせいだ。でも、目の前のプルコギ肉の色味はそんなに悪いように見えない。自分の目を信じて手に取る。選択肢を増やすことはこれからを豊かすることだ。となると、もやしも買おう。ソワソワ、もやし、…。そうか。もやしの芽と根を取ろう。

    帰宅して、もやしの芽と根を取る。音楽も流さず、ただただ取る。もやしを右側のボウルから手に取り、芽と根をちぎって手前へ捨て、芽と根を取ったもやしは左側のボウルへ入れる。身体が反復運動をすることで頭は反復思考をやめる。ソワソワした時にはこういう食材の下処理が落ち着く。

    フライパンに山のようにもやしを盛る。その上から覆い隠すようにプルコギ肉を敷き詰める。焦げないように、少し調理酒を入れてふたをして蒸す。ぐつぐつしてきたのでふたを開けて、お肉の火が通ってなさそうなところは潜らせる。小ねぎをわさっとのせ、ごま油を回しかけた。

    フライパンに乗せたアツアツのまま、ほふほふ言いながら頬張る。お肉が主役、もやしが脇役ではなく、二人手を組んで主役だった。味と食感も手を取り合っている。美味い。これは芽と根を取ったからこその良い食感だな~と、半分本気、半分信じるように思う。

    小学校の時、友だちの家で初めてプルコギを食べた。泊めてもらった時のお昼ごはんがプルコギだった。ホットプレートで簡単に作れて、ご飯とよく合う味は、何人もの小学生を満腹にするのにとても良かったのだと思う。当時、プルコギの名前は聞いたことがあったけど食べたことはなかった自分は、友だちのお母さんが作るのを興味津々に見ていた。氷結片手に料理していた友だちのお母さんはそんな自分を笑いながら見ていた。お昼から缶チューハイを片手に、知らない料理が作られている。世界は広い、いや家庭は狭いと思った初めてのことだったかもしれない。

     
     
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