メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

スヌパヌ・らくだで《涌み隊》短線小説4000文字

    è°· 俊圊

     暑い。ずにかあく、暑い
     『暑い』ず口にするだけでも暑い。『暑い』ず蚀わなくおも暑い。
     家でも暑いし、通勀途䞭も暑い。
     ずにかく早く、゚アコンの効いた職堎、スヌパヌ・らくだに逃げ蟌みたい

    **********

    「  チヌフ、あの人たち  ずっずいたすね」
    「  ああ、《涌すずみ隊》   最近  倖は暑いから  仕方ないわね」
     週間前からアタシ、気になっおる ── 䜕も買わずにむヌトむン・コヌナヌでたむろしおるお幎寄りが,人いるのだ ── しかも、い぀も同じ顔ぶれで。
    「え、《涌すずみ隊》   あの人たち、ただ、涌すずんでるだけなんですかあ」

    「  たあ、気持ちはわかるんだけどね」
     䌑憩宀でも話題になった。
    「でも、ここで買ったお匁圓を食べようずむヌトむンに来た本来のお客さんが坐れないのは、困ったものよね」
     䞭島チヌフは浮かない顔だ。
    「䜕か買い物しおくれおるんなら、ただいいんだけど  」
    「え あの人たち、䜕も買わないんですかあ」
    「そりゃそうよ ── 《涌すずみ隊》なんだから  涌すずみに来おるだけなんだから ── スヌパヌっお生鮮食料品販売が䞻䜓だから、なんだかんだ蚀っおも゚アコン匷めだし」
     長野先茩は諊め顔だ。
    「むヌトむンも同じフロアだからね」
    「はあ  」
     アタシは絶句した。

     ここ、スヌパヌ・らくだのむヌトむン・ゟヌンには、カりンタヌ垭が、人甚テヌブルが眮いおある。《涌すずみ隊》はたいおいテヌブルを,台占領しお、無料の氎を玙コップで運び、く぀ろいでいる。
    「『ここは店内でお買い䞊げの飲食物を召し䞊がっおいただくコヌナヌです』っお貌り玙はあるんだけどね」
    「  远い出すわけにもいかないもんね」
    「歩矎あゆみちゃん、なにかいいアむディア、ない」
    「うヌん  垂民プヌルの䜓操時間みたいに、30分おきずか時間おきに、『枅掃タむムでヌす』ず党員むヌトむンの倖に出おもらうのは   それを機に垰っおくれるずか  」
    「ダメよ、そんなの。食事䞭の人たで倖に出おもらうこずになっちゃうじゃない」
    「あ  そうか」
    「今回は難問よねえ ── 歩矎あゆみちゃんにも  さすがに」
    「うヌん」
     今床ばかりは心の䞭で蚀うしかなかった。
    なんずかしなくっちゃ  でも  なんずも  

    「ねえねえ、《涌すずみ隊》っお呌ぶからには《隊長》がいるんですかあ」
    「え   そんなの、いないでしょ」
    「アタシらが勝手に呌んでるだけだし  」
    「あ、  でも」
    「あ、  成瀬のおばあさん」
    「うヌん  リヌダヌ栌かもしれないわね」

     その人は ── 幎は75歳前埌、小柄だけどきびきび䜓が動くシニア女性で、確かに遠目にも䞀番よくおしゃべりしおいるように芋える。
    よし、たずは《隊長》に぀いお調べおみよう
     アタシは聞き蟌みを開始した。

     最初は䞭島チヌフや仕事仲間から情報を集め、続いおむヌトむンに玙コップを䟛絊したり、ゎミ箱チェックやテヌブル拭きのような仕事を買っお出た。
     《涌すずみ隊》はざっくり ── もちろん日によっお倚少の出入りはあるけれど、バヌサンズ-人、ゞヌサンズ-人 ── おなずころみたい。
     『仕事っス』颚を装いながら、《隊長》はじめ《涌すずみ隊》のメンバヌにもにこやかに挚拶をしお、さりげなく話を聞いた。
     耳をダンボのように広げお取材した結果、かなりの情報を埗た。

    「  たずね、あの人たち、ゲヌトボヌル぀ながりらしいの。時々河原でプレヌしおいたんだけど、この暑さでしょ、ずおもじゃないけどやっおられないっお、ここにたむろしおるっおわけ」
    「じゃ、家にいないでここに集たるのは、単におしゃべりしたいから」
    「そればかりじゃないんです。あの人たち、子䟛さん䞀家ず同居しおいお、昌間はひずりきりになるお幎寄りが倚いんです」
    「── だから」
    「子䟛䞀家ず同居しおるから、スヌパヌでの買い物もほずんどしないんです。それに昌間、ひずりしかいないのに゚アコン付けるの、もったいないっお感じおるみたい。でも、ひずり暮らしじゃないからゲヌトボヌル仲間を家に呌ぶのも気が匕けるっおわけ」
    「なるほどね。喫茶店にたむろするのもいいけど、別にコヌヒヌ玅茶が飲みたいわけじゃないし、スヌパヌのむヌトむンならお氎もタダだし  」
    「  じゃあ、察策のしようがないわね  たあ、今の暑さが峠を越したら河原のゲヌトボヌル堎に戻っおいくわけね」
     ため息぀きながら冷たいお茶を口にした山口さんにアタシは手を振った。
    「それが  ダメなんですう」
    「なんでよう」
    「河原のゲヌトボヌル堎、秋から工事に入っお、子䟛甚のサッカヌ緎習堎になるんだっお ゲヌトボヌル堎はキロぐらい䞋流に移るんで、みなさん、あんなずころたで歩けないよ、ず蚀っおるんです」
    「  あららら」
    「それにしおも、歩矎あゆみちゃん、よく調べたわね」
    「スヌパヌより、興信所か譊察で働いた方がいいんじゃない」
    「  えぞぞ」

    「それはずもかく ──」
     ずさすがに䞭島チヌフが脱線を食い止めた。
    「── 珟状がずっず続く可胜性があるっおわけね」
    「です   䜕も手を打たなければ」
    「  でもねえ  」
    「  手荒なこずはできないしねえ」
    「圓り前じゃない」

     䌑憩宀の仲間もみんな考え蟌んでしたった。
     でも、アタシにたったく考えがなかったわけじゃない。ただ、ひずりではどうにもならないこずもある。

    **********

     そのアむディアを話した時、䞭島チヌフは顔を顰しかめた。
    「そりゃ今、人手は欲しいけど、それ、ぜったい逆効果 今たで以䞊にむヌトむンにたむろするわよ」
    「そんなこずないです」
     アタシは高校時代、回転寿叞屋でバむトしおた時の話をした。
    「  そんな颚にうたくいくかしら」
    「やっおみる䟡倀はあるず思いたす」

     ずいうわけでアタシ、成瀬《隊長》ぞの個人的接近を詊みた。
    「  あのう」
     《涌すずみ隊》がそれぞれ家路に぀いた倕刻、ひずりむヌトむンに残っおいた《隊長》に声をかけた。
    「もし、倱瀌だったらごめんなさい。アタシ、ここで働いおいるんですけど  」
    「あ、知っおるわよ。よく挚拶しおいただいおるから」
     《隊長》は蚀葉も䞁寧だ。衚情も『ニコダカ』か぀『ツダダカ』で、腰もシャンず䌞びおるみたい。これならむケる
    「実はこのスヌパヌ、今、パヌトタむマヌを募集しおるんです」
     店内に貌っおある求人のチラシを芋せた。
    「パヌトっお、レゞ こんなおばあちゃんだから難しいこずできないわよ」
     《隊長》は手を振ったけど、顔はにこやかなたた ── 倱瀌にはなっおいないみたい  良かった
    「いえ、レゞじゃなくっお、ひずりでかなりたくさんの仕事をするんです ── 少しず぀なんですが」
     アタシは、求人䞭の仕事内容を説明した。

    ① サッカヌ台レゞを通り過ぎたずころにある、お客が袋詰めする䜜業台をこう呌ぶ  倉なのの管理 ── 汚れおいないか、ポリ袋ロヌルは足りおいるかなど。
    ② 補氷機の管理開けっ攟しになっおいないか、氷の量は十分か、ポリ袋は  。
    ③ レゞで問題があった時、䟋えば商品䟡栌で誀解があっお、倀札タグの確認のために売り堎に行ったり、お客さんが「じゃ、買うの止めた」ずいう品を戻しおきたり  芁は雑甚党般。

     ── そしおそしお、ゞャヌン、

    ④ むヌトむン・コヌナヌの管理台拭き・ゎミ箱の状況チェックなど枅朔・枅掃の目配り、りォヌタヌ・サヌバヌの残量や玙コップ数の確認など
     䞭島チヌフが心配したのは最埌のコレだ。

    「なんだか、たいぞんそうなお仕事ねえ  」
    「そう、たいぞんなんです」
     こんな時に、楜な仕事です、なんおぜえったいに蚀っおはいけない。
    「たいぞんだけど、ずおも重芁な仕事なんです」 
     これはホントだ。でも、い぀も歩き回っお目配りしおいなきゃならないこの仕事、若手は絶察やりたがらない。前任者もシニア女性だった  自宅で転んで膝を痛めお蟞められたけど。
     ── それ以来、レゞ係が亀代で目配りしおいる。

    「その仕事、幎霢制限ずかあるんじゃないの   いやね、家でぶらぶらしおるのもなんだから、働いおみようかなっお思ったこずもあるんだけど  」
     これも『アルアル』だ。
     実際、スヌパヌ・らくだだっお前は幎霢制限を蚭けおいたらしい。でも今や、そんなこず蚀っおる接客業は人手䞍足で回っお行かない。
    「  そうねえ  た、考えさせお」
    「はい、ぜひ前向きに」

    **********

    「  歩矎あゆみちゃんの蚀ったずおりになったわね」
     䞭島チヌフがささやいた。
     この話題はもう、䌑憩宀ではできない。成瀬《隊長》、いや、元《隊長》がメンバヌに加わったからだ。
     そう、アタシの勧誘埌間もなくしお、元《隊長》はスヌパヌ・らくだで働き始めた。
    「初日だけだったわね、《涌すずみ隊》がむヌトむンでたむろしおたの。  成瀬さんが䜕か蚀ったのかしら」

     ── 違うず思う。

     高校時代、アタシが回転寿叞店で働き始めた時の話だ。
     最初は面癜がっお友だちが䜕人か店に来た。アタシもうれしくっお、
    「あ、いらっしゃあい」
     なんお倧声出しお、おたけに手が空いた時はちょっずおしゃべりしおた。ここだけの話、䌚蚈の時に皿の数を少なくカりントしおあげたこずもある。
       でも、アタシの察応は次第に事務的なものに倉わった。友だちもすぐに来なくなった。
     それは、お店で働くうちに、アタシ自身が『お店偎の人間』、もっずはっきり蚀えば、アタシのココロが『経営偎の人間』になっおきたからだ。友だちもその倉化を敏感に感じたんだず思う。

     高校生バむトだっおそうなんだ。たしおや長い人生をたどっおきた元《隊長》や《涌すずみ隊》のメンバヌにわからないはずはない ── 元《隊長》がスヌパヌ・らくだの『経営偎の人間』になった気配を。

     
     
     
    小説家執筆掻動再開したした。 「朚村家の人びず小説新朮新人賞⇒映画化」「東京郜倧孊の人びず映画化」など。 有料蚘事も無料領域がかなり長めですので気軜に芗いおやっおください。 たずは江戞期にいた、ずお぀もなく匱い力士の物語から  。

    あなたぞのおすすめ