
【CPS】ふせん会議をExcelで進化させる ― A社で3回試して分かった実践法💡 0605 Practice
💡この記事は、こんな方に向けて書きました
会議をもっと短く終わらせ、全員が納得する成果を出したい人
デジタル技術を使って、業務上の問題を解決したい人
部門をまたぐ業務改革プロジェクトを推進している人
CPS(ふせん会議術)を、Excelでも実践してみたい人
💡「ふせん会議」をExcelだけでやってみた
私はこれまで、IBMで学んだCPS(Customer Planning Session)手法を使った、問題解決会議を、300回以上ファシリテーションしてきました。
その中で、長年使ってきたのが「ふせん会議」です。
模造紙にポストイットを貼り、
目標
問題
原因
根本原因
解決策
活動計画
を参加者全員で見える化しながら、議論を進めます。
この方法は今でも非常に有効です。
しかし2024年から2025年にかけて、名古屋のお客様A社とのプロジェクトで、転機がありました。
お客様から、
「ふせんを使わないで、Excelだけで会議を進めてみませんか?」
という提案をいただいたのです。
そこでA社の3つのプロジェクトで、ふせんを使わない、Excel版CPSを試しました。
結果は、想像以上に気づきが得られ、効果がありました。
PLS(Project Leading Skill)は、私が30年以上の企業改革の経験から体系化した、プロジェクトを成功へ導くための知識体系です。
CPS(Customer Planning Session:ふせん会議術)は、その中の「問題解決力」で使っている手法です。
💡まず、CPSの本質はExcelになっても変わらない
道具をふせんからExcelに変えても、CPSそのものを変えてはいけません。
私が重要だと考えているCPSの本質は、次の3点です。

(1) 会議運営技法: Session Leaderと参加者の役割を分ける
✅ Session Leaderの役割: 問いかける・聞き取る・記録する・確認する
✅ 参加者の役割: 考え、自分の意見を発言することに集中します
これにより、議論の交通整理ができ、参加者の発言の質が上がります。
(2) 問題を構造化する
議論の対象を、感覚や印象で話さず、次の3つに分けます。
目標
問題(目標に届かない悪い結果)
原因(問題を起こしている理由)
この構造で話すことで、解決すべき「根」が見えます。
(3) 4つのステップで会議を進める
CPSは、いきなり本番会議をする手法ではありません。
1 Pre-Session (Kick Off) → 目標を共有し、参加者が考える問題を集める
↓
2 Session → 問題の構造化
3 Session → 解決策 → 活動計画
↓
4 Follow-up Session (進捗確認会議) → 決めた活動計画を確実なものに
必ず、1,4 を行うことで、2,3 の議論の生産性を上げ、決めた活動が実行されることが向上するのです。
つまり、
変えるのは道具(ふせん → excel )であって、CPSの本質は変えません。
💡では、なぜ長年「ふせん」を使ってきたのか?
私がふせんを使い続けた理由は明確で、3つの強みがあるのです。
✅ ふせんの強み① 自由に動かせる
例えば、参加者が提出した問題の原因を議論しているとき、ある参加者が、
「この問題は、XXXXすれば解決しますよ」
と、発言した場合、セッションリーダーは、発言内容を簡潔にポストイットに書いて、
「いいご指摘ですね。 今は原因分析なので、いただいたアイデアは、解決策案として、ここ(移動先を示し)に置いておきますね」
と、一旦別の場所に保管し、解決策議論の時に、そのポストイットを持ってきて、議論します。
このように、一度貼ったポストイットは、いつでも自由に移動できるのです。
✅ ふせんの強み② 会議全体を一覧できる
例えば2023年、大阪のお客様で実施したCPSでは、17枚の模造紙を大きな会議室の壁いっぱいに貼りました。 【下の写真】
参加者は、今まで議論してきた成果を一度に見ることができます。
どこで、何を議論したかも、思い出しやすいのです。
これはPC画面にはない、大きな利点です。

✅ ふせんの強み③ 参加感がある
特定の問題の根っこを、どうすれば解決するか議論するときには、
問題の根っこのふせんの前まで、参加者全員移動して、見ていただきます。
その時議論した結果のふせんを見る
発言した人の熱い想いを、思い出す
身体も使って参加します
私は、この「一覧性」と「参加感」を、今でもふせん方式の大きな価値だと思っています。
💡しかし、ふせん方式には3つの弱点もあった
長年使う中で、次の弱点も感じていました。
❌ ① 会議室と文具が必要
模造紙、ポストイット、マジック、テープ。
10~20枚の模造紙が一面に貼れる、広い会議室が必要です
1回のSessionで使う文具費も発生します
私の経験では、2日間のセッションで、文具費用は、1万円~1万5千円ぐらいはかかります。 内訳は、、
ポストイット: 3M ポストイット 75 x 127 mm = 2,327円
模造紙 : マルアイ 模造紙・白・大判・無地 788mm幅 47%引きで、 1,043円
強力マグネット: 10個セットで、 1,499円

❌ ② 手書きなので、記録品質に差が出る
セッションリーダが、読みやすい文字を書くのは、意外に難しい
漢字を少しでも間違えれば、書き直しです
書く人によって、読みにくかったり、漢字がすぐ出てこない、と言った人に依存する
❌ ③ 会議後に、結局Excelへ入力する
これが大きな問題でした。
CPS(ふせん会議)の重要な成果として、以下のような表を求められます。
活動計画(誰が、何を、いつまでに)
問題の原因一覧と、解決策一覧の対比表
活動計画の、責任者別・日別一覧
excelに入れれば、PIVOTを使って、すぐに作れます。
つまり、
一度ふせんに書いて、それをExcelへ入力する
二度手間が発生するのは、残念ながら無駄です。
💡A社でCPSを3回行い、ふせんなし(Excel版)CPSを試した
そこで2024年~2025年、A社の3つのプロジェクトでExcel版CPSを試しました。 これは、お客様からの提案があったのです。
「ふせんではなく、Excelだけで会議を進めてみては?」
最初からExcel画面を、大型モニターに映し、
Session Leaderが参加者の発言を、その場で入力する
そして、参加者全員は画面を見ながら、自分の発言内容が適切に入力されることを確認する
「この表現でいいですか?」
「いいですね」 または 「ここを、XXXXに直してください」
やってみると、いくつかの効果が分かりました。
✅ ふせんに書くよりも、速く・正確に発言を記述できる
漢字が出てこなくても、大丈夫
よく使う用語は、候補に出てくる
✅ Excelの Pivot・Sort・Filter 機能で、視認性が高い
並び替え、フィルターで絞り込む、色分け、PIVOT表を使い、
問題の原因の優先度別一覧 表
責任者別の活動一覧 → そのまま、後続活動に使える
根本原因群と、対応する解決策一覧表
などは、すぐ加工・出力できます。
✅ 検索・修正が容易
遠隔地メンバーとも、即共有できます。
会議が終わったら、関係者全員がデータ共有できます (写真を撮って、全員にメール、Copy, などは不要)
✅ 会議後のExcel転記が不要
つまり、
会議の結果が、そのままデータになり、活動計画の実行を早める
のです。
💡しかし、最初のExcel方式には問題があった
ここからが、私が実際に試して分かった重要な点です。
ある製造業の販売システム再構築プロジェクトで、
「旧システムからの機能が新システムに漏れていた」という問題を分析した例があります。
ふせん方式では、下の写真のように
問題に Pxx の番号 (P = Problem)
根に Rx の番号 (R = Reason, or Root )
をつけて整理していました。

このやり方で、同じようにExcelに入力して行ったのです。

✅この方式で気づいた問題
P01 A社に必要な、A社内部で使っている商品コードで発注できる機能が新システムに入っていない
という問題から、4つの原因(根)にたどり着きました。
例えば、4番目の根っこは、
R04 個別要件の対応が再発しないか?
という表現です。
解決策を考えるとき、この1行だけを見ても、「あれ、どういう意味だったっけ?」 となるのです。
「個別要件とは何?」
「なぜそれが悪いのか?」
「どういう背景で出てきたのか?」
を思い出すには、P01までさかのぼって見ないといけません。
つまり、記録が断片化しているのです。
ここから先では、私が実際にA社で試して効果があった「ExcelでCPSを進める具体的な書き方・まとめ方・AIの重ね方」を、現場でそのまま使える形でご紹介します。