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「透明な暴力」【詩シリーズ⑥②&楽曲シリーズ⑱】

『透明な暴力』

優しさは時には暴力にもなりえます。
しゅかの心をえぐる音楽シリーズでも、真正面からえぐる曲になりました。

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『透明な暴力』


終電が わたしたちを 置き去りにした夜
ガラスケースの中みたいに 
息ができなかった
あなたはシャツのシワを 
そっと伸ばしてくれるけど
その優しさが 
わたしの「わたしらしさ」を こぼしていく

完璧な静けさで 
わたしの動揺を吸い取るあなた
「どうしたの?」って微笑む声が
まるで無味の水みたいで
正しすぎて 怖くなるの

わたしは あなたの瞳に映る
“正しいわたし”を壊したかった
でも あなたは傷を見ないように
朝の光で すべてを塗り替える

「大丈夫だよ」その言葉は
わたしを“別の誰か”にする呪文
愛してるなら 気づいてよ
この透明な暴力に
わたしはもう 息ができない

怒ったわたしを見て 
「愛の証だね」って笑うあなた
ちがうよ これは叫びなんだよ
ほんとは あなたに
「もうやめて」って 
泣いてほしかった

そうすれば わたしたちは
ちゃんと喧嘩ができたのに
痛みを隠すためじゃなく
ちゃんと ぶつかれたのに


透明な暴力をやめて
ちゃんと、血の流れるケンカができたのに

コーヒーの香りで 蓋をする朝
昨夜のわたしの声は 無音のまま
言えなかった言葉が 砂利みたいに
喉の奥で 転がってる

「大丈夫」って言わないで
ほんとうのわたしに 触れてほしい
このケースを 割るのが怖くて
今日も笑顔で 呼吸を殺すの

もし この檻を壊したら
あなたが 凍えてしまいそうで
血が出ないまま生きている

わたしは今も
優しさの名前をした
透明な暴力の中で 抗えないまま
そのまま閉じ込められて 逃れられないの

優しさが、暴力になることがあります。
「大丈夫」と言われるたびに、自分が消えていくようで。
言えなかった痛みを、静かな歌にしました。
感情を抑えたまま、心の奥で叫んでいた――
そんな記憶を、言葉と音に閉じ込めた作品です。

※この詩の無断転載・引用・使用はご遠慮ください。
引用される際は必ず出典(@しゅか)を明記のうえ、事前にご連絡ください。

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