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月は、他者だけを愛さなくていい。

はじめに

この記事を4つの視点で読むための案内板

【座標軸】
出生図を「未来を当てるもの」ではなく、
自分の反応の癖や関係性のパターンを観察するための地図として見る。

【基準点】
人との関係に深く入り込み、
相手を助けたり、足りないところを補ったりすることを愛情としてきた私自身。

【実演】
7室の月と火星、乙女座ラグナという出生図を、実際の人間関係や怒りの体感と照らし合わせ、自分の反応の流れを観察する。

【開く】
実演から見えたものを、
「自分を置き去りにした献身をしない」
という共有知として置く。


インド占星術の出生図を、自分自身の運用説明書のように眺めていたら、ひとつ面白いことに気づいた。

私の場合、
どうやら「怒りを抑える」ことよりも、

怒りが必要になる前に、
関係のつくり方を変える

ほうが大事らしい。


その話をする前に、
まず少しだけ、インド占星術について。

インド占星術って、何を見るもの?


インド占星術は、インドで発展してきた占星術の体系のひとつ。

生まれた日時と場所から出生図をつくり、そこに配置された惑星や星座、12のハウスなどを組み合わせて、人生のさまざまなテーマを読み解いていく。

私が面白いと思っているのは、これを「未来を当てるもの」だけとしてではなく、

「自分には、どんな反応の癖や関係性のパターンがあるのか」

を観察するための地図として使えるところ。

たとえば12のハウスには、それぞれ異なる人生領域が割り当てられている。

その中でも7室は、主に一対一の関係性や対人関係に関わる場所。

そして惑星にも、それぞれ象徴的な役割がある。

月なら感情や心の反応。
火星なら行動力や瞬発力。

つまり、

「どの領域に、どんな性質の惑星があるのか」

を組み合わせて見ていく。

もちろん、これは科学的に性格や行動を証明する方法ではない。

私の場合は、自分の実際の体感や行動パターンと出生図を照らし合わせながら、

「この地図で見ると、私の癖はどう説明できるだろう?」

という使い方をしている。

今回は、その中でも私の「人との関係」と「怒り」の話。


1|出生図から見る、私の7室


私の出生図では、乙女座ラグナ。

7室は魚座で、そこに月と火星がある。

7室は、対人関係や一対一の関係性を見る場所。

月は感情や安心感、日常的な反応。

火星は行動力や瞬発力、境界を守るための力として読むことができる。

私の場合、この組み合わせを自分の体感と照らし合わせると、

人との関係に深く入り込みやすく、そこで起きたことに感情も行動力も強く反応しやすい。

という説明がかなりしっくりくる。

特に魚座なので、親しい相手ほど「私」と「相手」の境界が薄くなりやすい。

相手のことを考える。

相手を助ける。

足りないところを補う。

「私がやればいいか」と引き受ける。

それ自体は、私にとって苦痛とは限らない。

むしろ、それが愛情表現だったりする。


2|出生図から見えてきた、私の課題


問題は、その状態が長く続いたとき。

月は、ある程度の非対称性を受け入れられる。

「私が多くやる」ことそのものを、必ずしも不公平とは感じない。

むしろ、それが自分なりの献身だったりする。


ところが、乙女座は違う。

乙女座ラグナとして見れば、役割や負担、境界、配分のズレを細かく見つける力がある。

だから、あるところで、

「あれ? これ、非対称じゃない?」

と気づく。


すると火星が動く。

「いや、これはおかしい」

と。

私の場合、ここで怒りのボルテージが一気に上がることがある。


面白いのは、

火星が乙女座を呼ぶ場合もあれば、乙女座が先に非対称性を検知して、火星に火をつける場合もある

ということ。

結果として、

月が受け入れる
↓
非対称性が蓄積する
↓
乙女座が検知する
↓
火星が動く

という流れになりやすい。

だから課題は、

「怒らないこと」

ではなかった。

むしろ、

怒りが必要になるほど、境界が消えるところまで行かないこと。

だった。


3|私なりの解決術


そこで、境界設計の最初に「ひと呼吸」を置くことにした。

そしてもうひとつ。

人間関係では、月に乙女座と一緒に行動してもらう。


月はこれまで、他者に向けて愛情を使うことが多かった。

でも、月の愛情は他者だけに向ける必要はない。

乙女座にも向けていい。

「これ、私がやる必要ある?」

「私は今、無理していない?」

「ここから先は相手の領域じゃない?」

「私は本当にこれをしたい?」

そうやって、自分の境界や負担にも思いやりを向ける。


すると、

乙女座が自分を守るために、限界まで頑張る必要がなくなる。


境界線は、相手を拒絶するためのものではない。

自分も相手も、それぞれの場所にいられるようにするためのもの。

そう考えると、月の献身も捨てなくていい。


「人に尽くさない」ではなく、

「自分を置き去りにした献身をしない」

という方向へ変わっていく。


そして、もし7室で何かが起きたとしても、そこで終わらせない。

私の場合は、

7室で体験する。
↓
9室で意味を見つける。
↓
10室へ流す。

という循環をつくる。

人との関係で起きたこと(7室)を、自分だけの怒りや傷で終わらせず、

「私は何を大切にしたいのか」

「私にとって対等とは何か」

「どんな境界なら、関係を壊さずに保てるのか」

と考える。

そこから、自分なりの基準や知恵を育てる(9室)。

そして、育ったものを仕事や創作、社会との関わりへ戻していく(10室)。

私にとっては、それが今のところ一番自然な循環らしい。

月の愛を捨てない。

乙女座の精度も捨てない。

火星の力も封じない。


ただ、それぞれが働く順番を少し変える。


そして何より、

月は、他者だけを愛さなくていい。


自分の中の乙女座にも、ちゃんと愛情を向けていい。


それだけで、ずいぶん違うのかもしれない。


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きたがわ 萃(sui)|認知の機織り職人 世界を構造として眺め、体感から問いを見つけ、考え、重ね、また眺め直す。 そんなふうにして生まれた小さな発見や考察を、文章や図、理論、作品として萃に残しています。 いただいたチップは、これからも知を生み、形にしていく活動のために大切に使わせていただきます。