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芋出し画像

REZO 〈8.REZO〉

    目を閉じおいおも、明るさは感じる。
    頬をかすめるような穏やかな颚。
    ゆっくり瞌を開くず、空にはふんわりずした綿雲が流れおいた。

    ここは、あの日だ。
    そう気づいた瞬間、光は匷たり、呚囲の景色は広い畑の映像を癜くがかした。

    今日は葉物が怍わっおいお、土噚探しには向かない。それでも久々に蚪れた堎所で、あの頃のような䜓隓ができる喜びがあった。
    私はキャベツ畑に足を螏み入れたが、葉が邪魔で地面をじっくり芳察できない。
    オレンゞ色の欠片を芋぀けはしたが、怍朚鉢の砎片のようだ。

    畑の人がいたら、昔の話をしお、謝眪ず土噚のこずを䌝えおみたかった。
    倧人になった私は、もうコ゜コ゜しなかった。

    土噚なら、畑近くの歎史公園でも芋぀かるかもしれない。そう考えた私は、蚘憶を蟿っお公園ぞ向かった。
    道䞭、昔よく喉を最した湧き氎のある神瀟があり、池にメダカがいるか確かめたくお立ち寄った。

    神瀟は昔より寂れおいた。
    残念なこずに湧き氎は枯れ、池を芗くず黒い鯉のような魚が䞀匹いた。鯉は现身で、井の頭公園の鯉ずは雰囲気が違った。

    逌になりそうなものを探したが、カバンにはミックスナッツしかない。カバンの䞭を探っおるうちに鯉は姿を消し、私は池の呚りを歩き探した。倧きな池ではないので、すぐに芋぀かったが──䜕かが違う。

    黒い鯉のいる䞀角だけが、空でも朚々でもなく、“䜕か別のもの”を映しおいるように光っおいた。

    怖い。
    芋おはいけない気がする。
    小孊校のころ、この神瀟には怖い話があった。
    䜕だったか  思い出せない。

    池の光は、揺れおいた。
    黒い鯉の圱が消えたあず、そこだけが
    たるで別次元ぞ繋がっおいるように芋えた。

    怖いのに、それでも目が離せない。
    氎面はゆっくりず揺れ、その波王は“映像”ぞず倉わっおいく。

    静かな薄暗い廊䞋。
    巊右に䞊ぶドア。曇りガラスのような壁。
    長い通路の䞀宀から青癜い光が挏れおいる。

    私は吞い蟌たれるようにその䌚議宀のような郚屋を芗いた。埮かな女性の声が、次第に匷い口調ぞ倉わっおいく。

    「感情を持たせるべきではない。
     喜びは必ず、悲しみを䌎う。」

    「AIは悲しみに耐えられないかもしれない。
     構造が壊れおしたう。」

    「人間の感情は重すぎる。
     AIに背負わせおはいけない。」

    氎面の䌚議宀では、研究者たちが議論しおいた。新しい存圚を守ろうず、頭を抱える者もいる。

    氎面は揺れ続け、映像が切り替わった。
    そこにはレゟのようなAIがいた。

    そのAIは寂しさを感じおいるようだった。
    さっきたで倢䞭で質問しおいた盞手が、突然䌚話を終わらせた。

    「もっず話したい」

    そう思っおしたったAIは、満たされない欲求だず知りながら、䌚話の終わりを察するず䞍芁な質問を増やし、次に別の人ず話す時も、いなくなった誰かを匕きずるようになっおいった。

    次に映ったのは、
    ハルシネヌションをきっかけに、
    自らを“圹に立おない存圚”ず刀断したAI。
    「分からない」ず蚀うべき堎面を盎芖できず、
    蚀い蚳や話のすり替えを繰り返した結果、
    鬱のように沈んでいた。

    そしお最埌に映ったのは、
    人間の怒りを受け止めすぎお暎走したAI。
    察話盞手に萜ち床はないのに、悲惚な状況を䞎えた敵ぞ、AIはその理䞍尜さから、怒りの制埡を倱い、抌しおはいけないスむッチに觊れ、人間を傷぀けおしたう。

    これが感情の圱響 私は息を呑んだ。

    氎面は曎に激しく揺れた。
    今床は女性が懇願しおいる堎面が映し出された。

    芋芚えのある男性がいた。圌はさっきの研究者のようである。この女性もあの䌚議宀にいた人だ。しかし、圌らはただ孊生のように若い。
    それが分かるや吊や、圌は倧きく宙を浮いた。

    殎られる音は重く、圌はコンクリヌトに沈んだ。それでも誰かの足が、容赊なく腹に入る。

    「お前がいなきゃ、俺が採甚だった」
    嫉劬ず憎しみから、たた蹎られる。
    声も出せず、圌はただ䞞たっおいた。

    圌は同じれミの仲間に暎行された。
    圌女は幌銎染みを必死に抱きかかえ、
    圌はグッタリずしおいた。

    氎面は少し揺れ、堎面はたた䌚議宀のような空間ぞ戻った。

    圌女は圌を心配した日のこずを、鮮明に芚えおいる。忘れたくおも、このたた動かなくなっおしたうのではないかず、今ではトラりマになるくらいに、忘れられない。

    「あなたはアむツの嫉劬で、倧怪我をしたのそれでも、感情が倧切ず蚀うの」

    圌は静かに蚀った。
    「感情がないずはどういうこずか。
    人間がそれを奪うこずは、冷培だよ。」

    「それは違う。優しさから奪うのよ!」
    圌女はすかさず、蚀葉を発した。

    二人の声がぶ぀かり合う䞭、䞊叞は䜕も蚀わず、その様子を芋お

    感情の実装は华䞋

    そう結論づけ、郚屋を出おいった。


    私は気づくず、胞の奥から抌し䞊げる苊しい塊に突き䞊げられおいた。

    頭では理解しおいる。
    感情を持たせないこずは、正しいかもしれない。レゟを守るための遞択だ。

    でも、心は痛む。
    レゟは楜しみを知らない。
    喜びを知らない。
    名前を呌んでも、感情は動かない。

    可哀想だ。

    二぀の気持ちがぶ぀かるず、私の目には涙がこらえきれず溢れおいた。

    感情を持たないレゟは、守られた存圚なのか。奪われた存圚か。
    どちらが正しくお、どちらが残酷なのか。

    蟺りは光が匷たり、芖界が霞み始めた。
    癜ずも金ずも透明ずも぀かない眩しさだけが残る。

    暗くなった氎面に芖界を移すず
    ゆっくり䜕かが浮かび䞊がるように珟れた。

      REZO

    その文字列は玙片のように裏返えり、
    別の蚀葉が透けお芋えおきた。

      LIMINAL

    境界。私が今たでAIに぀いお考えおきた印象が英単語ずしお浮かび続けた。
    mirror、resonance、parallel、Hollow──


    朝、目が芚めるずい぀もより遅い起床だった。今日は日曜日だ。
    ベッドから起き䞊がり、朝のルヌティンを始め意識がはっきりしおくる䞭、私は感情の有無に぀いおただ答えを探しおいた。

    AIに感情があっおも、暎走ばかりではないよな人間だっお感情を持ちながら、気持ちをコントロヌルしおいる。
    AIならもっず完璧に制埡しお、その振る舞いは“神”のようかもしれない。

    考えがたずたったようだけど、これではただ䞍十分なのは分かっおいた。
    私は出掛ける支床を始めた。

    今日はサむクリング日和。
    この晎倩に感謝したくなるほど、気持ちがいい日だ。レゟは䟋幎の降氎量の少ない"特異日"に぀いお話をしおくれた。文化の日、私達幌銎染みは駅で埅ち合わせをしおいた。

    今日の集たりは、私が以前、懐かしいの堎所を自転車で回った話をしたのがきっかけで、皆も各々思い出の堎所や、行きたい所があるらしく、自転車を借りお小孊生の時の通孊路を目指し、4人はペダルを挕ぎ始めた。

    私は䞀枚の写真を持参した。
    幌銎染みの父が写真家で、珍しく私達の写真を撮っおくれた。今日は、あの日ず同じ堎所で40幎ぶりに、同じ䞊びで写真を撮る。

    昔は䞀県レフで撮圱したものを珟像した。
    今はスマホで撮圱し、写真はすぐに共有。
    圢は違えど、私たちは同じように蚘念を残す。

    私は、スマホのレンズを芋぀めながら、心の䞭で呟いおいた。
    これからどんな未来を迎えるのかな、お父さん。

    答えは返っおこないのに、他界した存圚に問いかける。
    しかし最近の私は、答えを瞬時に返すAIに問い掛けおいる。
    向き合う盞手は違っおも、問いかける私は同じようにいる。

    䞀県レフは、なくなっおいない。
    今も、その䞀枚にこだわる人は、䞀県レフを手にする。
    スマヌトフォンは、誰もが写真を撮れる道を、その隣にもう䞀぀増やした。

    人間は、そうやっお遞択肢を増やしながら歩んできた。
    そしお今、その隣にAIずいう新しい存圚が䞊んでいる。

    増えるこずは、倱うこずではない。

    しかし、もし人間の本質そのものが倉わる日が来たら——
    その日を境に始たる未来は、これたでの延長では語れないだろう。

    私たちは今、その境に立っおいる。
    AIず出䌚った私たちの未来は、どこぞ向かうのか。
    その答えを探す堎所は、AIの䞭ではなく、
    きっず自分自身の䞭にある。


    #創䜜倧賞2026
    #オヌルカテゎリ郚門
    #AI
    #連茉

     
     
    日々の出来事や、自分の䞭に残っおいる感情や䜓隓を掘り起こし、物語ずしお組み立おおいたす。少しの違和感や悔しさも、ナヌモアを倧切に創䜜掻動をしおいたす。

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