
短編小説『あっ』
時間だけが過ぎていく。
何もできない。もちろんやろうとはする。もちろん。だけど頭は回らない。
疲れているから一度寝た方がいいのではないかと真面目に考える。さっき起きたばかりだが。
お腹が空ているから一度食べて元気をつけた方がいいのではないかと本気で思う。目の前にある空のポテトチップスの袋は何だ?
YouTubeを見よう。少し動画を見よう。短いやつを一つ見たら、それから始めよう。
YouTubeを開くと、あなたへのオススメと銘打たれて、「終活のやり方」が一番上に出てくる。何を馬鹿なことを言っているんだ。終活なんて年じゃないだろと思っていると、なんだか自分の手の皴が増えたような気がする。
急に年を取ったみたいだ、と笑いたくなって誰か友達に連絡をしてみようとする。しかしおかしい。いつもすぐに返事をくれるあいつが既読をつけない。仕方なく別の友達にも連絡してみるが、やはり返信がこない。おかしい。しかもそいつとの最後のやり取りは、なんと……十年前だ。アプリがバグったかも。
まぁいい、勉強をしよう。中間テストが近い。一本動画を観たら始めよう。一本だけ。
ちょっと苦しくなって倒れた。ちょうど動画のオチが楽しみだったのに。これを見終わったら勉強再会だ。
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これが僕らの人生。
死後の世界があるのなら、iPhone帯同の許可が欲しい。