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心のモチーフ④「阪神淡路大震災を遺す」


     地震国と言われながら、災害時の対策がいまだに不十分。
    大きな災害が起きるたびに、命の確保、安全な避難、について
    もっとできたことがあったはずと悔やまれます。
    非常用持ち出し袋より大事な備えがあります。
    生きて脱出(避難)するために最低限必要なもの、
    運動靴、バール(大きなもの)ヘルメットを手の届くところへ
    置きましょう。できれば食品以外の非常用備品は家の外(地中)へ
    置く方が避難後に取り出せます。※穴を掘り密閉できる容器に。
    ペット、高齢者は避難生活が難しいのでアウトドア用品(テントや寝袋)を用意しておきましょう。
    ケースバイケースでノウハウは違いますが、行政の対策が
    まだまだ不十分な現在、自力で備えることは重要です。

    自分の中では無かったことにしたかった、被災体験ですが、
    10年という時間が過ぎた時、それぞれの立場で危機管理の
    認識を持つことが大切だと思いました。
    あの時の恐怖や悲しみの記憶を形にしておこうと思って
    五行歌にしました。何度か推敲したものをここにアップしました。


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    あの日から
    建物が傾いて見える
    私の中で
    垂直の基準が
    失われた

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    「ガスの元栓を
    しめてくださあい」
    必死で叫んでいるのに
    身体が震えて
    声にならない

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    大丈夫です
    全員生きてます
    お隣から
    返事があった時
    少し泣いた

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    地震よ
    起きなさい!起きて!
    寝ぼけてる娘の
    ランドセルに
    着替えを詰め込む

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    余震の中
    柱が傾いたら外へ
    開かない時は
    窓ガラスを蹴るのよ
    いいわね、と家族を見回す

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    部屋を横切る
    ピアノ
    すべてのものが
    意志を持ったように
    動きまわる

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    倒壊した家
    お父さんを助けてと
    叫ぶ男の子
    素手しか無い
    悔しさ

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    寒さが辛い
    米櫃に立てた
    ウェディングキャンドル
    余震の度に吹き消す
    土足のまま布団の上で

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    倒れた家具の奥
    娘の声が聞こえた
    心の片隅にあった
    覚悟が希望に
    変わった瞬間

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    二日目に届いた
    おにぎりが二個
    娘二人の長い髪を
    ざくっと切った
    コップの水で顔を洗う

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    夜が明けたのに
    火事の黒煙で
    再び闇になった
    頭上から燃えた木切れが
    降り注ぎ髪が燃えた

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    瓦礫の山
    裸足のまま
    粉々に割れたガラスの
    上を歩く
    一秒の迷いもなく


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    「生きとったん
    よかったよぉ」
    一瞬の笑顔
    凄い会話だと
    思った

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    どの人も表情が無い
    目を合わせることすら
    避けている
    現実を
    認めたくないのだ

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    映画のセットのような
    破壊された世界
    現実を受け入れよと
    脳が指示しても
    心が拒否している

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    何に対して
    怒ればいいのだ
    どこへぶつければいいのか
    固く握った拳の
    行き場が無い

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    先月契約したばかりの
    家やったんや
    男性の目は
    記憶の中の
    新居を見つめていた

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    孫がここでな
    娘がこっちやった
    焼けた柱を
    優しく撫でる手が
    哭いている

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    届かなかった祈り
    『ここに一家五人眠る』
    マジックで書かれた
    板きれの墓標と
    クマのぬいぐるみ

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    地面の黒い跡
    ガソリン臭
    生きる力を
    失った人の選択
    災害はどこまでも奪う

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    ひとりじゃないよ
    自分にも
    言いたくて
    周りに手を
    差し伸べた

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    「頑張って」と言わないで
    でもね
    言われなかったら
    もっと
    寂しかったと思う

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    誰にも救えない
    愛するものを
    失った人の悲しみ
    背中に当てた掌に
    伝わる
    慟哭

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    助け合い
    私にこんな優しさが
    勇気が
    馬鹿力が
    あったのか

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    阪神淡路大震災
    何もかも無くしたけど
    守り抜いた命
    安堵感の後の
    虚無感

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    失われた多くの命
    悔しく空しく
    思い返す時
    何気ない日々こそ
    生きる意味とと知る

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    被災者に
    真の復興はない
    戻らぬ命
    築いたもの
    紡いだ思い出



     
     
    写真撮影、編み物、DIY、ガーデニング、 歌を詠むなど多趣味です。 五行歌の自由な表現法が自分らしいと思い、 ライフワークにしています(筆名:憧湖)

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