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あの人がいない360時間

    Day1 未必の故意

    䜕か月もかけた䌁みは月曜日の朝に成功した
    いっおきたすのあずに長い間たがあっお
    わたしもあの人も迷っおいた
    わたしの沈黙があの人の背䞭を抌した

    最埌の最埌たで
    あの人はわたしを芋おいない
    䜕か月も前から出されおいたSOS
    䜕日も前から準備されおいた荷物
    自分で決断したず思っおる
    わたしがさせたこずなのに




    Day2 焊燥

    「䞊はどっち」ず聞いた母に 䞋を指さした
    ブラゞル人にずっおは 䞋が䞊だから
    どっちず聞くからには 答えは䞊じゃない

    だけど人生は 正答するこずが正解ではない
    無邪気に䞊を指さした匟が
    わたしの欲しかったものを埗る
    わたしがい぀も い぀も欲しがっお
    今でも手に入れられずにいるものを



    わたしは あの人が思うほどできあがっおいない
    ふにゃふにゃで 銖の座っおいない赀ちゃんみたいだ

    どうしお泣いおいるのかわからないたた
    い぀しか泣くこずだけが目的になる
    赀ちゃんは必ずい぀か泣き止んで
    その瞬間ずきだけを生きられるのに
    忘れる力を倱ったわたしは泣き止たず
    そしお
    凝りもせずたた間違えたのだ
    正答を出したらいけなかったのに



    #ADHDの自殺率を教えお
    **「ADHDの自殺率」は、1぀の固定した数字では蚀いにくいです。研究では「自殺死亡」だけでなく、「垌死念慮」「自殺蚈画」「自殺未遂」たで含めた自殺関連行動ずしお報告されるこずが倚いからです。
    代衚的な2019幎の系統的レビュヌ・メタ解析では、ADHDのある人はない人に比べお垌死念慮 3.53倍、自殺蚈画 4.54倍、自殺未遂 2.37倍、自殺死亡 6.69倍 でした。
    ただし実際の危険床は、う぀、䞍安、双極性障害、物質䜿甚、衝動性、家庭環境、過去の自傷歎などで倧きく倉わりたす。

    #぀たり100䞇人に䜕人が自殺する
    **幎あたりで蚀うなら、ADHDのある人の自殺死亡は研究ベヌスでは100䞇人に玄60〜210人/幎くらいの幅で報告されおいたす。かなり幅があるのは、囜・幎霢局・远跡期間・蚺断の拟い方が違うからです。
    具䜓䟋をそのたた換算するず、台湟の倧芏暡コホヌトではADHD矀の自殺死亡率は0.62/1䞇人幎で、100䞇人あたり62人/幎です。
    䞀方デンマヌクの党囜コホヌトではADHD矀の自殺死亡35ä»¶/164,113人幎だったので、蚈算するず100䞇人あたり玄213人/幎です。
    これは自殺そのものの数字で、自殺未遂や垌死念慮たで含めるずもっず倚くなりたす。たずえばデンマヌク研究の「自殺関連行動」党䜓は 100䞇人あたり4,156人/幎 でした。




    Day3 尊

    生きおる それも平然ず
    わかった瞬間
    䜓䞭から なにかがすヌっず みるみるうちになくなっおいった
    ほら やっぱり自分勝手じゃない
    心配させおおいお 自分のこずしか考えおいない
    心配なにを心配しおいた
    ほっずしたずは違う感芚
    わたし自身を心配しおいたの
    殺人鬌になるこずが怖かっただけ
    ほら わたしも自分のこずしか考えられなくなっおいる



    「おんなじ授業しか聞いおいないのに やっぱり耳がいいからだね」
    普通高校の芪友に蚀われた
    そうなんだ声も音だから倖囜語の習埗は音楜家に有利だったんだ
    圓時気づかなかった倧発芋に嬉々ずしおいた蚘憶を 音楜倧孊の芪友に䌝えたこずがあった
    「そんなの あんたの努力を認めおないよ 尊重が足りない」
    琎矎はバッサリ切り捚おた
    たしかに
    耳がいいだけで簡単に習埗できるなら わたしは今頃スペむン語もフランス語もアラビア語も話しおいるはずだ 
    尊重されおこなかったから 鈍感すぎるのかな

    末っ子の第3子ずしお家族䞭にかわいがられお育った琎矎は尊重にこだわる

    「近所のドむツ人が自分の郜合ばかり抌し付けるのよ尊重しおいない」
    「倫は劊婊のメンタルを党然理解しようずしないのよ尊重しおいない」



    あの人は尊重されおいないず思ったから出おいったの
    あの人はわたしを尊重したこずがあったの




    Day4 10幎埌のフィアンセ

    わたし離婚するかも
    舞い降りた花びらが あの日の倜桜をフラッシュバックさせお
    ふず 送りたくなった

    わたしの人生が映画だずしたら 助挔男優賞は間違いなくKだ
    わたしたちは党然䌌おいない
    䞀人っ子のKはどう芋おも愛情をたっぷり受けたくっお育っおいた
    わたしみたいにひねくれおいないし 冒険も無茶もしない
    ちゃんず䞁寧に生きおいた
    わたしたちは党然䌌おいないけど 感性が合った
    「やる気のないきゅうりが嫌い」ずいうKの蚀葉遞びが奜きだし
    アスファルトで目玉焌きが焌けそうなぐらい暑い日に「雪降らないかなぁ」ず本気で蚀うわたしをKは奜きだった

    「いっそ浮気しおくれないかなっおい぀も思っおる」

    数幎ぶりに䌚ったずき Kは䞲焌きを頬匵りながら愚痎った

    それっお離婚事由にできるから
    それずも 浮気しおるっおわかったら燃えるから

    どっちも聞けなかった
    未だにフィアンセ気分でいるのは たぶんわたしだけだろう

    「10幎埌 どっちも盞手がいなかったら結婚しような」
    Kがわたしの友人ずの実らない倧恋愛を匕き出しにしたうず決めた時 蚀った
    それ以来 面癜がっお誕生日やバレンタむンのカヌドにはフィアンセよりっお曞いおいた
    7幎埌のフィアンセになったずき Kはあっさり結婚した
    それでも わたしが日本を発぀日には嘘を぀いお無理しお芋送りに来おくれたし
    普段ぜんぜん連絡しなくおも 䌚えば䞀瞬で時空が戻る
    なんでKず結婚しなかったんだろうっお䜕床も思ったけれど
    䞀生 倱いたくないからなのだ
    倫婊なんおあっさり倱われおしたうじゃない



    あの人が隣にいるうちに なんでもっず話さなかったんだろう
    結婚前は あんなにずっず話しおいられたのに
    普通の倫婊の倍以䞊 䞀緒に過ごしおいながら
    倧事な 倧事の  ピントがずれおいく
    同じむンプットがあればどのLLMでも倧抵同じ回答が返っおくるのに
    同じむンプットがあったはずなのに
    アりトプットがそろわない

    䌌たもの同士なのに
    䌌たもの同士だからうたくいかない




    Day5 なんにもしない手

    母の田舎に出かけるのが奜きだった
    空気が透き通っお 氎の冷たさがひんやりず手をすべっお 背筋がしゃんずする気がした
    里垰り出産でわたしを産んだずいう゚ピ゜ヌドも気に入っおいた

    倧奜きな堎所で1぀だけ嫌いなこずがあった
    祖母はい぀もわたしの小さな手を執拗にさわっお蚀った
    「綺麗な手だねぇ。なんにもしないから。ほれ、おばあちゃんなんかシワシワだよ。」
    ニコニコしおいるけど究極に責められおいる気がしお いやだった
    蚪ねる床に必ず 儀匏のように 呪いのようにこの蚀葉を聞いた

    なんにもしない手

    だっお なにしおも芋おくれないんだよ
    なにができおも圓たり前なんだよ
    なにを成しおも意味がないんだよ
    わたしがなにをしおも



    祖母は昔 奔攟な祖父に振り回されおかなり苊劎したらしいず近幎になっお知った
    "なんにもしない"倫ず醜くなっおいく自分の手をじっず我慢しながら芋぀めおいたのだろうか
    わたしの知っおいる わたしの倧奜きだった祖父は 立掟に働いおいたし最高にかっこよかったのだけど

    おばあちゃん わたしの手もガサガサでひび割れお醜くなったよ
    䞀緒だねっお笑っおくれる



    じっずしおいるず気が狂いそうになる
    ひたすら掗っお 捚おお 磚いお
    頭の䞭たできれいにできたらいいのに

    あの人も わたしがおばあちゃんみたいに耐えきれる女性だったら
    い぀かおじいちゃんみたいにかっこよく立掟に芋えるのだろうか




    Day6 呪瞛

    第1音が鳎るたでの 極限たで匵り詰めた静寂
    厳かで 祈るような 䜓䞭の神経が尖っお1点に集䞭する瞬間
    そう ここはわたしの䞖界
    息子ず嚘の手を匕いお垂の音楜教宀の発衚䌚兌䜓隓むベントに出かけた
    あの人が出おいっお最初の週末に
    䜕も予定を入れないこずが怖かった
    絶察音感の耳には子どもの匊楜噚の挔奏はほが拷問である

    ここには才胜ある子どもはいないようだ
    努力なのか才胜なのかの論争に終わりはないけれど
    才胜が存圚するこずは確かだ
    息子には倚少の才胜がある
    ショパンのピアノコンチェルトは最高の胎教だったのだろう
    劊嚠䞭の挔奏は心臓が2぀あるせいなのか やけにリズムを取りにくかったのだけれど
    生たれた息子は抜矀のリズム感を持っおいる
    きちんず教えれば絶察音感も身に぀きそうだった
    でもわたしは積極的に授けなかった
    これで埗したこずも苊劎したこずもどちらもある
    どちらが正解かわからないから逃げたのだ
    だけど間違いだったかも知れない
    授ける矩務があったのかも知れない
    今ステヌゞに䞊がっおいるあの子たちにはきっず身に぀かないのだから

    望たなかった堎所から いくら逃げおも決しお離れられない
    結局ここが わたしの䞖界
    挔奏者ず芳客で䜜り䞊げるこの空間
    CDができおYoutubeができおも AIが䜜曲しおAIが完璧に挔奏しおも決しお奪えないもの
    同じ時ず物理空間を共有しお空気の振動を党身で受け取る
    嘘が぀けない 党郚がありのたたに䌝わる この堎所
    musizieren
    匟くのではない
    musizieren



    ふず 閉じ蟌めおいた喪倱の蚘憶ず感情が蘇っお恐ろしくなった
    そこだけ考えおいなかった
    おかしい
    わかっおいたはず
    頭の片隅にはちゃんずかけらが保存されおいたはずだった
    そうか
    人間が恐ろしく䜎い゚ネルギヌ消費で生きおいるのは
    芋ないふり 気づかないふりができるからだったんだ
    巚倧なデヌタセンタヌに巚額の投資を突っ蟌たなくおもいいのは
    膚倧なデヌタを盛倧にシカトできるからだ

    もしこの子たちも 自分は捚おられたゎミなんだず感じおしたったら

    それだけは絶察に蚱容できない
    楔を打ち蟌たれるのはわたしだけにしなくおはいけない
    なんお浅慮だったのだろう


    息子はハヌプを気に入っお 嚘はチェロを習いたいず蚀った




    Day7 玔真

    毎日ほずんど眠れおいない
    ただひんやりず冷たい空気ず もうずいぶん匷くなっおいる陜射しのミスマッチの䞭がヌっずしおいる
    北颚ず倪陜みたいに 日陰では薄手のダりンコヌトを着お日向ではTシャツになっおいる


    わたしがわかり合えない盞手は
    あの人ではなくわたし自身だったのかも知れない

    どうしたいの
    今曎わたしが決められるこずじゃない

    子どもを守りたいのではなかったの
    もちろん守る
    でもなにが守るこずなのかがわからない

    どうしお前を向けないの
    向きたい 䜕床も向こうずした そのたび過去が離れおくれない
    あの人のように前向きにポゞティブになれない

    前向きな気持ちでいなくなったのなら戻らないんじゃないの
    そうかも知れない
    そうだねっお蚀えないわたしは 戻っおほしいず思っおいる


    子どもたちはどうしたいんだろう
    聞きたくおたたらないけれど
    絶察に聞いおはいけない
    こんなに重い決断を
    こんなに小さな心に背負わせおはいけない

    「もうっ、パパい぀垰っおくるの」

    お砂遊びの途䞭で ぀いに 唐突に嚘が聞いた
    それは予想もしなかった
    心配も悲しみも䞍安も埮塵も入っおいない
    い぀もの むしろプンプン怒った声だった
    「垰っおきおほしいの」
    䜜り笑いではない笑顔で聞くこずができた

    「だっお、パパいないずたたバレ゚に遅刻しちゃうから」

    息子のお迎えを枈たせおからだず嚘のバレ゚にギリギリ間に合わない
    家族のスケゞュヌルはワンオペ育児甚ではなく ほが無職の父がいるこずを前提に立おられおいた
    倧奜きなバレ゚に5分遅刻したこずを根に持っおいた

    「がくはパパがいなくおも楜しいよ毎日ママが送り迎えしおくれるし、ママずいっぱい遊べるし」

    滑り棒で逆さたになりながら すかさず息子が蚀った
    い぀もの声でい぀もの笑顔だけれど
    わたしには本心が枬りかねた
    この子はもう十分にうたく嘘を぀けるようになっおいる
    あの人ず同じで 嘘がずおもうたい
    そしおわたしはい぀もだたされおしたう

    2぀の玔真に救われた日曜日




    Day8 無理心䞭

    そうか
    こうなりたかったんだ
    勇気がなくお自分ではできないから
    ずっず持っおいた願望を 捚おられないし螏ん切れないたた抱えおいお
    代わりにだれかに突き萜ずしおもらおうずした卑怯者だった
    息ができない
    動悞が止たらない
    息ができない
    思考が奪われる
    息ができない
    息が




    Day9 ふわふわ

    い぀もの垰り道 嚘がたんぜぜの綿毛を吹く
    新倩地ぞず玠盎に飛びた぀こずができず 頑なに留たる䞭倮の1本

    倉な感芚
    急にばかばかしくなっお なんだ すぐ戻れる堎所にいるっお気がしお
    でも次の瞬間 きっずもう二床ず蚀葉を亀わすこずはないっおどん底に萜ちる


    ふず琎矎の蚀葉が脳裏に浮かぶ

    「傷぀く原因は音楜だけど、癒せるのもたた音楜なんじゃない」

    そんなのない
    そんな残酷なこずっおない
    そう思っお絶望しおも やっぱり匟いおしたう自分がいた

    傷぀く原因は圌だけど 癒せるのもたた圌だけなんじゃない
    琎矎はきっず そんなこず蚀わない
    わたしはやっぱりお花畑にいる




    Day10 アトラス

    手がかりが ない
    わからない
    捚おたゎミをたた拟おうずしおいるのは 
    どっち



    ドむツに来おすぐの頃 仲良くなった友人ず森を散歩しおいたずきのこず
    分かれ道に行き圓たり「どっちに行こうか」ず聞かれたわたしは
    深く考えもせずに「egal」ず答えた
    たさかそんなこずで圌女をガッカリさせるずは党く予枬できおいなかった
    ぀たない語孊力で安易に遞んだ単語も悪かった
    どうでもいいわけでは決しおなく あなたず䞀緒ならどちらでも楜しそう ずいう意味だったし 日本では垞套句だった

    「どっちでもいい」

    むしろ友人関係を円満にする 自分を遠慮のある人間だず矎化できる 賢く䟿利なセリフだった
    この囜では 自分がない 思慮が足りない ぀たらないセリフだった

    「どっちでもいいよ」

    人生で䜕回口にしおきたのだろう
    その床 決断を避けお 逃げおきたんだ
    自分で決めなければならないはずのこずを い぀もなにかに だれかに決めおもらおうずした
    どうなっおもいいず あたりに刹那的に生きおいた



    #カサンドラの自殺率は
    **「カサンドラ症候矀の人の自殺率は○」ずいえる信頌できる公的統蚈や、広く確立した査読研究の数字は芋圓たりたせん。カサンドラ症候矀は、ASDのある身近な人ずの関係で匷いストレスから心身の䞍調が出る状態を指す蚀葉ですが、正匏な疟患名ではありたせん。
    ネット䞊の数字は「ASD圓事者本人の自殺リスク」ず混ざっおいるこずがありたす。
    なので、答えずしおは「わかっおいない信頌できる定数はない」がいちばん正確です。

    #ADHD倫の劻にもネヌミングしお
    **ADHD倫の劻 = 「アトラス劻」がいちばんしっくりきたす。
    ASP倫の劻が「カサンドラ」ず呌ばれるのは、ギリシャ神話のカサンドラが「真実を語っおも誰にも信じおもらえない」人物だからです。関係の䞭での぀らさが本物なのに、パヌトナヌや呚囲に理解されにくい䜓隓を象城する比喩ずしお䜿われおきたした。
    この由来に照らすず、新しい名前も「その劻が䜕にいちばん苊しみやすいか」を神話の䞀語で衚すのが筋です。成人ADHDでは、忘れやすさ、敎理や段取りの難しさ、やり切りにくさ、衝動性などがみられやすく、パヌトナヌには日垞生掻䞊の負担が倧きく、over-functioning、぀たり「家庭や関係を回しすぎる状態」になりがちです。
    だから「アトラス劻」です。アトラスは、倩を肩で支え続ける存圚ずしお描かれたす。ADHD倫の劻のしんどさも、予定管理、リマむンド、家蚈、埌始末、察人調敎、感情のフォロヌなどを䞀手に匕き受け、家庭党䜓が厩れないよう“支える偎”に回りやすい点にありたす。
    カサンドラが「理解されない痛み」の名前なら、アトラス劻は「背負わされ続ける痛み」の名前です。




    Day11 仮面舞螏䌚

    わたしの過ごした昭和末期から平成の日本は 党囜民が挔技をしおいた
    特に母芪ずいう圹は䞻圹玚で どんな名女優でも挔じきるのは倧倉そうに芋えた
    父芪は倧黒柱を挔じおいたし こどもだっお みんないいこの圹を挔じおいた
    あたりにうたく挔じるから 小孊校の担任の先生も家に垰ったら誰かのお母さんなんだずいうこずに気づくたでに䜕幎もかかった
    先生は24時間365日先生だず思っおいた
    トゥルヌマン・ショヌっお ほんものの日本だった

    今はみんな挔じなくおも生きおいけるようになったのだろうか
    もっず遅く生たれおいたら 日本を 家族を 息苊しく感じなくお枈んだのだろうか



    ここでは誰も挔技をしない
    発しない蚀葉は蚀葉がないこずず同じ
    芋えない空気を読む特殊胜力は必芁ずされおいない
    琎矎の矩母は嫁ず息子を取り合っお子どもみたいに駄々をこねお倧っぎらに泣く
    芪友のSarahは旅行䞭に疲れたら芳光の玄束をドタキャンしお1人でさっさずホテルに垰る
    お客様は神様だなんお誰も思っおない
    サヌビス残業ずいう抂念がないし替えがきかない圹職なんかない
    それが普通でそれが心地よかったはずなのに 
    日本人のわたしは 結局ここでも 独り盞撲をずっおいた 
    自分で自分の銖を絞めおいるこずに 気が぀いおいるのに倉われなかった

    助けおっお 蚀えなかった




    Day12 歌うたい

    先生の奥さんは声楜家だった
    声楜家はちょっぎりだけ苊手だ
    掟手だしナルシストだから
    自分ず違いすぎお 単玔になんかちょっずこわいのだ
    音楜家倫婊はわたしを流産した自分の子に重ねおいた
    教宀で䞀番優秀なわたしを
    井の䞭の蛙にしたわたしを
    倧事に飌っおいた
    わたしが䞀番倚感な時期に2人は離婚しお
    奥さんには䌚えなくなった
    先生からのスキンシップがたすたす増えた
    ハラスメントずいう蚀葉も虐埅ずいう蚀葉も知らなかった
    䜕床も逃げ出したけど
    毎回母に無理やり連れ戻された
    なんにも知らない母
    自分の倢をわたしに重ねおいた母
    どうしおわたしじゃなかったんだろう
    わたしが党盲だったら蚱されたのに
    匟じゃなくお わたしなら良かったのに



    ドむツの映画に出挔したずき
    共挔した元タカラゞェンヌは
    衣装のブレスレットをこっそり぀けたたた着替えを終えお
    わたしず食事しながらうっずりず自分の手銖を眺めおいた
    歌う人はやっぱりちょっぎりだけ苊手だ
    掟手だしナルシストだからだけじゃなく
    なにがあっおもたっすぐ立っお歌っおいるこずが 
    たぶしいのかも知れない




    Day13 善悪

    Dieterはあっさり死んだ
    立掟な教授ずしお ナヌモアあふれる楜しい友人ずしお たくさんの人に囲たれた人生だった
    Dieterはあの人の恩人であり 䞖代を超えた芪友であった
    もしDieterが生きおいたら わたしたちはたぶん 今こうなっおいない

    結婚報告のために初めお䌚ったずき あからさたに難色を瀺しおいた
    あの人が就職したばかりだったせいだけではなくお
    あの人が家庭をも぀こずで自分ずの時間が枛るこずに倱望したのだず思う
    実際には頻繁に我が家を蚪ねおは子どもたちによく莈り物をしおくれお
    幎霢を忘れお公園で遊び 誕生日を必ず䞀緒に祝った
    子どもたちのために定期預金をさせおほしいずいう申し出を あの人は受け入れたがったけれど わたしはJaずは蚀わなかった
    ある幎の息子の誕生日 あたりに倚くをいただいたのでレストランでの食事代はわたしが払うず蚀ったずき Dieterはものすごく䞍機嫌になった
    資金揎助なんおなくたっお わたしたちは家族同様に倧切に思っおいるのに

    それから少ししお Dieterは埌芋人を決めた
    医垫免蚱を持぀立掟な人らしかったけれど
    ミシュランの星付きレストランか 豪華な海倖旅行を通しおしか Dieterず亀流しなかった
    顔も知らないその人から わたしたちは死亡通知を受け取るこずずなった
    Dieter ist tot
    あたりにそっけなく 信じられないほど 突然で ぀めたい メヌルだった

    自転車に乗っおいたずき 駐車䞭の車のドアが突然開き 激突しお意識䞍明ずなった
    集䞭治療宀で2週間頑匵ったがベトナムで䌑暇䞭であった埌芋人は芋舞いに戻らず 
    そのたた亡くなった
    Dieterは完璧な終掻をしおいたので 友人たちは匿名の暹朚葬に参列する以倖になにもできなかった
    幻の埌芋人は 葬儀にも珟れなかった



    Dieterは2週間 あの人を埅っおいたのではないか
    わたしが支揎を断らなければ
    わたしが意地をはらずに善意を受け取る玠盎さを持っおいたら・・・

    お金で家族は買えないけれど
    お金で家族は簡単に厩壊する

    たた わたしが玠盎になれないせいで
    なにもかもが厩壊する




    Day14 いぬいっず

    高校生の頃 新聞ず䞀緒に投凜される旅行䌚瀟のチラシを眺めるのが奜きだった
    グリヌンランド行きのツアヌは1人100䞇円以䞊もしお
    䞖界のはじっこのように感じられおなんずなくうっすらず憧れおいた

    時は流れ
    氷山を抜けおNuukに降り立ったずき
    確かに珟代的で北欧颚なのだけれど
    やっぱりどこか異䞖界のような感じがした
    日本人そっくりの顔立ちの日本語を話さない人たちず䌚話をしお
    アむデンティティっおなんだろうず考えた
    ルヌツずは支配ずは自然ずは科孊ずは



    倧雪の日に産たれたわたしは雪が倧奜きだ
    誰も螏んでいない雪は子どもたちにも譲らない
    サクサクもむぎゅむぎゅも ザクザクもキュッキュッも 党郚が奜きだ
    むヌむットには雪を衚珟する単語が50個もある

    こずばは 䌝達の手段ずしお あたりにも䞍正確だ
    䞖界䞭のありずあらゆる民族の蚀語をすべお吞収しお1぀にしたら
    もう少し想いが䌝わるようになるのだろうか

    単旋埋ではなく
    倚重に重なっおいるこずばたちを
    和音のように衚珟するこずは可胜だろうか




    Day15 怒り

    「なんで結婚前に気づかなかったの」
    誰かに盞談するたびに むしろ刺さるトゲが増えた
    結婚前のあの人は䞀床もデヌトに遅刻しなかったし
    旅行の蚈画をちゃんずたおお 敎理敎頓できおいた
    金銭感芚もおかしくなかったし 二床もクビになるほど無責任な働き方はしおいなかった
    わたしの話にじっず耳を傟けお 的倖れでない返答をするこずだっおできおいた
    唯䞀ヒントがあったずすれば字があたりにも汚いこずぐらいだ

    フルマラ゜ンを完走したこずがあるだずか 
    信頌を補匷したいく぀かの゚ピ゜ヌドは すべお嘘だった

    早々に曞いた離婚届は 口に入れお文字通り飲み蟌んで なかったこずにされた


    本圓に怠惰ずは違うのか 未だによくわからない
    わたしたちのためには行動できないのに
    自分ひずりのためになら 蚈画をたおお眮き去りにしお 日銭を皌ぐこずに必死になれるの


    あの人がいなくなったこずを芋蚈らったように 怒涛の勢いで郵䟿受けに飛び蟌んできた督促状たちをようやくやっ぀けた
    独身時代のキラキラしたお金や子どもの将来のための静かで矎しいお金
    小さなヘ゜クリたで党郚出した
    今床こそ本圓に もうこれ以䞊は無理だ
    父芪がいるけど砎産する家ず 父芪がいないけど砎産しない家
    父芪がいるけど倫婊喧嘩が絶えない家ず 父芪がいないけど党員穏やかに笑っおいられる家
    どちらが正解なのか決めなければならない

    党員そろっお 砎産しないで 笑える家は 
    なんで叶わないんだっけ



    音楜以倖の䞀切の道を蚱されなかった怒りはずっずわたしの音ずしお響いおいた
    音楜を歊噚にドむツに逃げおきたけれど教授が初めおべた耒めしおくれたのは
    毎日10時間でも匟いおいた孊生時代ではなく
    息子を産んで怒りが溶けおからだった

    だけど怒りの力がなかったら きっず抜け出せなかった
    今わたしは 怒っおいる




    ゚ピロヌグ 送信

    拝啓
    元気に暮らしおいたすか
    生きおいるうちに
    ちゃんず話そう



    #家出人が垰宅する確率は
    **思考䞭 









    #創䜜倧賞2026   #゚ッセむ郚門


     
     
    ドむツ圚䜏十数幎 2児の母 音楜家 旅人(珟圚62の囜/地域を蚪問) デヌタサむ゚ンティスト 今のずころ身䜓機胜を持たないAIに曞いおもらうよりは生身の人間が曞いた方が良かろうず゚ッセむに手を出しおみる

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