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【掌線】友人Aの珟況に関する考察或いは私芋

    レモンから連想するもの。黄色、果汁にク゚ン酞、そしおA。

    「なに、Aっお」
    「友達」
    「ふぅん」

    先ほどたで裞でたぐわい、今もたた䞀糞纏わぬ姿のたたで、䞊んで寝そべる間柄。にも関わらずアダノちゃんは「ふうん」で枈たせ、「男 女」ず蚊ねおくる。

    「男」
    「なんで、レモン」
    「女々しいから」
    「䌚話する気ありたす」

    膚れっ面が可愛らしく、吹き出す。アダノちゃんの頭を撫でながら、説明。

    Aに぀いお。

    「昔の圌女がレモン奜きで、䜕にでもかける女だったんだず。だからお別れしお、その子が違う男ず結婚した今も、圌女のためにレモンを家に垞備しおいる」
    「え、おかしい。接続詞『だから』なのおかしい。なんでA君レモン買っおんの」
    「たたに䌚うから」
    「あぁ、フリン」
    「䞍倫じゃない。指䞀本觊れない」
    「おかしいおかしいおかしい」

    おっしゃる通り。おかしい。
    Aの䞍可思議な行動、その背景にある心情ずは䞀䜓どのようなものか。

    指䞀本觊れないのであれば、劣情ではない。仮にも男ず女。肌が觊れ合う可胜性があるずころ、その犁忌を䟵さぬよう、倜分に二人きりは避けるべきだ。それをせず、か぀觊れないならば、Aが抱いおいるのは劣情ではない。

    ずは蚀え、友情でもない。い぀来るかもわからぬ盞手のため、わざわざ生鮮食品を垞備しおおく。そんな友情があっおたたるか。友ず呌ぶならその関係倀はむヌブンであるべきで、然るにAがレモンを買い続ける道理はない。

    ならば愛情か。採算床倖芖ずも蚀える奉仕の粟神。説明䞍胜の原動力。Aの振る舞いから察するに、そこにある感情に名を぀けるなら、たさしくそれしか圓おはたらないような気もしおくる。

    しかし、本圓にそうか。

    「䞃幎なんだよ」
    蚀うず、アダノちゃんは「ぞ」ず目を芋開いた。
    「別れおから䞃幎。あい぀はレモンを買い続けおいる」
    「オリンピックずパラリンピック、倏冬合わせお四回できんじゃん」
    「頭の回転が速いな」
    「え、怖。たたに気たぐれで泊たりにくる人のために、䞃幎もずっずレモンを」
    「たぁ、本人に蚀わせりゃ、わざわざ、ず蚀うより、぀い぀い買っおしたうずのこずなんだが」
    「プログラミングされおんじゃん。なおのこず怖いよ」

    プログラミング、ずいう単語に思わず笑った。その埌で、唞る。確かにこれは、Aの意思に基づく行為ずいうより、ただの染み぀いた習慣、か぀お存圚した愛情を原動力に、蚀わば惰性で続いおいる運動にも映る。

    だが、䞃幎。昔、二人の間に存圚した゚ネルギヌがどれほどのものであったか知らないが、人の想いずいうものは、それだけの幎月、慣性の法則に埓い続けるだろうか。それずも、たたに䌚うその床に、愛が再燃するずでも蚀うのだろうか。ならば指䞀本觊れずにい続けられるのは䜕故か。

    疑念を口にするず、アダノちゃんは「うヌむ」ず人差し指を自分の顎に圓おた。

    「もうそれさぁ、䞀皮のプレむじゃない」
    「プレむ」
    「そ」

    Aにそういう、マゟヒスティックな癖がある、ず蚀いたいのか。

    「A君がMなのかSなのかはわかんないけれど、その状況をどこか楜しんでいる郚分はあるず思うな。あず、おそらくその圌女も」
    「どういうこずだ」
    「だ、か、ら」

    アダノちゃんは寝そべったたた腕を倩井に向け䌞ばし、オヌケストラを指揮するかのように指を振る。

    「『別れおもなお攟っおおけない。圌女は僕にずっお特別な存圚なんだ。突き攟すべきなのだけれど、どうにも離れがたくっお。かず蚀っお恋人には戻れない。時折䌚う床に胞が疌くけれど、その疌きを受け入れながら生きおいく。そう、それはたるでレモンのように、甘く酞っぱく、僕の心を刺激するのだ』」
    「なんだそれ」
    「A君ポ゚ム」

    アダノちゃんは腕を䞋ろす。䞋ろした先に俺の腹があり、ペチンずいう音が鳎る。

    「"楜しんでいる"、っおいうより、それが"楜"っおいう状態かな」アダノちゃんは蚀う。「人間関係なんお快䞍快で決たるじゃん。本圓に切なくお苊しいなら、䞃幎も続けられないっお。A君にずっお、二人にずっお、今の関係はもしかしたら心地いい距離感なのかもよ」
    「萜ち着くずころに萜ち着いた、っおこずか」
    「そうかも」

    先ほどの、アダノちゃんが蚀うずころの『A君ポ゚ム』を頭の䞭で反芻する。レモンのような甘さ酞っぱさ。それを含めたワンセットずしお、Aの愛情は続いおいる。

    そういうずころに、萜ち着いた。
    萜ち着いおなお、運動を止めない。

    䜕故か。
    決たっおいる。

    止めたくはないからだ。

    「じゃあやっぱり、愛情か」

    呟くず同時に、アダノちゃんの身䜓が俺に芆い被さる。軜く唇を合わせ、そのたたスラむド。銖筋、胞板の䞊でリップ音が鳎る。同時に指先が腿の間に入り蟌み、䞊䞋運動を繰り返す。

    「おい」
    「もっかい」

    脳髄を走る刺激の狭間で、思い出す。そもそもどうしおレモンの話になったか。䞍意に郚屋を蚪ねおきたアダノちゃんを招き入れ、今日に限っお持ち合わせがないこずに気づいた。構わないず迫るアダノちゃんに、文字通り䞀糞纏わぬたた觊れ合いを続け。事なきを埗たず思われるずころ、䞇が䞀があったら、ず口にした俺に「レモンなら殺せるらしい」ずアダノちゃんが蚀った。

    もちろん、ここにレモンなどない。

    アダノちゃんの運動は続く。互いに息遣いが荒くなる。荒くなった果おにあるものを本胜が予感しお、胞の内が昂る。
    俺が単身赎任䞭の期間だけ。そう割り切っおいたはずなのに。俺たちはそこに萜ち着いた。そう思っおいたはずなのに。

    腕を動かし、アダノちゃんの肩を掎む。そのたた玄癟八十床の匧を描き、その背をベッドに。すぐさた唇で固定する。

    この遞択が俺の家族に、アダノちゃんの家族に、未来に、どのような圱響を䞎えるのかはわからない。だがしかし、アダノちゃんの蚀う通り、いずれは萜ち着くずころに萜ち着くのだろう。そう思うこずにしお、理性に蓋をする。

    願わくばAが抱くものず同様に。
    そこに残るものを指し、『愛』ず呌べるこずを祈っお。

    レモンのない倜は耜る。


    

    この䜜品は、あやしもさんの次の小説に圱響を受け、執筆したものです。

    加えお、次の䌁画に参加しおいたす。

     
     
     
    小説を曞いおいたす。 読んでくださる皆様、ありがずうございたす。

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