「どうして私は、自分を責めてしまうんだろう?」:HSPで摂食障害の私に『鏡の中の孤独』が教えてくれたこと
「どうして、『普通に』食べられないんだろう?」
「どうして、吐くのをやめたいのに、やめられないんだろう?」
「どうして私は、こんなに心が弱いんだろう?」
摂食障害に苦しんでいると、そんなふうに自分を責めてしまいがちです。
でも、もしかしたら、あなたの拒食や過食、過食嘔吐は、壊れそうな、あなたの心や体を守るために身につけた方法だったのかもしれません。
今日紹介したいのは、そんなことを考えさせてくれる一冊です。
『鏡の中の孤独』スティーブン・レベンクロン著
『鏡の中の孤独』は、1991年に集英社文庫から刊行された、スティーブン・レベンクロンの小説です。
主人公は、拒食症を抱える高校生のケサ。
治療を受けながら学校生活に戻った彼女は、体操クラブで過食症の少女ディアドレと出会います。
そして、彼女との出会いや別れを通して、自分自身の病気や家族との関係、そして「自分の人生を生きる」ということに向き合っていきます。
私は、この本を、無理なダイエットから拒食になり、その後、過食症・過食嘔吐の沼にはまって苦しんでいた中学生の頃に見つけました。
そして、夢中になって何度も読みふけりました。
私が中学生だった30年前は、摂食障害についての本は、ほとんどありませんでした。
あっても、医師の立場から書かれた本や、「家族と一緒にカウンセリングを受けましょう」といった、正しいけれど、
「それができたら、とっくに治ってるよ!!」
と言いたくなるような本ばかりだったのです。
そんな中で、この本は違いました。
具体的な治療法については詳しく書いてありませんでしたが、摂食障害を抱えた主人公の心に、カウンセリングを通して真正面から向き合うセラピストの言葉に、私自身も救われました。
「私は、みんなに対して責任がある」
私は、この本を、HSPの方にもおすすめしたいです。
それは、主人公ケサが「他人の感情まで、自分のせいだと思ってしまう」性格だからです。
恵まれた『理想の家庭』に見えるケサの家。
ですが、世間体ばかり気にする父、過干渉な母、自由奔放な姉に、優秀な兄の中で、彼女が自分の居場所を保つには、手のかからない『いい子』でいるしかありませんでした。
「私がお母さんを支えてあげなきゃ」
「周囲の人を怒らせないようにしなきゃ」
母親の機嫌を損ねないよう気を揉み、落ち込んでいれば必死で元気づける。
そうやって、ケサは、常に他人を優先し、自分の気持ちを押し殺していました。
周囲の感情を過剰に察知し、自分を後回しにしてしまうケサの生きづらさは、まさにHSPの人が抱える苦しさと重なるのではないでしょうか?
もちろん、HSPの人がみな、摂食障害になるわけではありません。
けれど、周囲の感情や空気を敏感に感じ取り、自分の本音を飲み込んでしまいやすい人にとって、慢性的なストレスから自分を守る方法として、摂食障害を発症してしまうこともあります。
「食べる」「食べない」「吐く」
その行動だけを見れば、ただ自分の見た目を気にして、やせようとしているだけに見えます。
でも、その奥には、
「もうこれ以上、耐えられない。だれか助けて!私の声を聴いて!!」
という、心からのSOSが隠れていることがあるのです。
だから私は、摂食障害を抱えている人に、
「自分は意志が弱い」
「他の人みたいに食事ができない自分は失格だ」
と、自分を責めないで欲しいのです。
まず、「私は、そうせずにはいられないほど苦しかったんだ」と気づいてあげて欲しいのです。
家族の問題まで、あなたが背負わなくていい
この本を読んで、特に心に残ったのが、
「自分と他人との境界」
というテーマでした。
家族が不機嫌だから、自分が何とかしなければ。
親が苦しんでいるから、自分が支えなければ。
家族がうまくいっていないのには、自分にも責任がある。
本当にそうでしょうか?
親の人生は、親のもの。
家族の問題は、それぞれの課題。
そして、
あなたの人生は、あなたのものです。
もちろん、家族を大事にするのは、素晴らしいことです。
助けられるときに助けようとするのも、大切な優しさです。
でも、「家族の問題を解決することまで、自分の責任にしなくていい」のです。
自分にできることと、できないこと。
自分が背負うべきものと、背負わなくていいもの。
その境界を少しずつ手に入れていく。
それは、冷たいことではありません。
あなたの人生を取り戻すことです。
私がこの本で一番好きなところ
物語の最後で、ケサは、自分と他人との境界を手に入れながら、自分自身の人生を歩み始めていきます。
「私も自分のものは引き受けていくわ」というセリフ。
私は、ここに大きな意味があると思っています。
全部を引き受ける必要はない。
でも、
自分のものは、自分で引き受けていく。
自分の気持ち
自分の身体
自分の人生
それだけでいい。
もし今、あなたが摂食障害に苦しみながら、「私は、どうしてこんなことをしてしまうんだろう」と自分を責めているなら、少しだけ見方を変えてみませんか?
あなたは、ただやせたいのではなく、壊れそうな自分を守ろうとしているのかもしれません。
そして、これから少しずつ、
「食べる」「食べない」「吐く」
以外の、自分を守る方法を見つけていけばいいのです。
そのためにはまず、
自分は、自分の人生を生きてもいい。
家族の問題まで背負わなくていい。
誰かの機嫌を取るために、自分を犠牲にしなくていい。
ということに、気づくことから始めましょう。
あなたの人生を、あなたの手で、これから少しずつ取り戻していきましょう。
※ちなみにこの本は、現在は新刊で入手することが難しく、中古本や図書館などでしか読めない本になっています 。
もし興味を持っていただけたら、図書館で探してみて下さい。
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