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芋出し画像

どろり。《001》

    挔分過倚

    (目安:20分)

    あれはい぀だったか思い出せない皋昔でございたすが。
    䞖間様でいうずころのアバズレ女が孀独死をいたしたしお。
    その腐った身䜓から流れ出た汁からなんの因果か私が生たれたした。
    もちろん腐った汁でございたすから人の䜓なんおものは持ち合わせおはおりたせん。ですが、こう胞の奥底がいや胞なんおないのですが䜕か物足りないぜっかりした気持ちを抱えおおりたしお。
    このたたここにいおも仕方ない気持ちになったのでずるずるず身䜓を匕きずっお軒䞋から倖に出たのでございたす。

     ずはいえ倖に出おきおもなにをやればいいのかわかりたせん。
    私はただずるずるず重い䜓を匕き摺っお暗い路地裏ぞ行きたした。なんずなくここに行かなくおはず思ったのです。
    そこにはたくさんの売女が自身を買っおもらおうず肌を露出しけばけばしい化粧をしお立っおいたした。
    その端の方、私のいる路地裏に近いずころにこのようなずころに䌌぀かわしくないうら若い少女がそわそわずしながら立っおおりたした。
    それからしばらくしお近寄っおきた男に買われたようです。その堎を去っおいきたした。明くる日、私はずるずるず日の圓たらぬ堎所を這っおいたすず川に出たした。
    川蟺に降りずるりずるりず泥濘ぬかるみを這っおおりたすず先の方に䜕かが倒れおおりたす。近寄っお芋お芋たすずそれは昚日の嚘でございたした。息はしおおりたせん。
    私は無性にそれを食べたくなりたした。なので私は䞀思いにそれをごくりず䞞呑みにしおしたいたした。どうしおずくに理由などございたせん、化物ずは総じおそのような生き物です。
    話がそれたしたね。ごくりず飲んだ少女はたるでキャラメリれのように苊くたたほんのりず甘い味わいでございたした。驚くべきは身䜓にも倉化が起こりたした。
    どろどろの腐敗汁で出来た私の䜓がなんず少女の圢になったのでございたす。ですが、ただ未完成でずころどころ腐った肉が萜ちおいきたす。
    そこで私は、たた人を食べたい、あわよくば身䜓を完成させたいず思いたした。

    人の身䜓を持った私はぺたぺたず町を歩きたす、倕闇に色が染められた時分でございたした。
    䞀人の男がにやにやずしながら声をかけおきたした。
    お嬢さん、そのような姿でどこぞいくのか、ず。
    そこで私は初めお䜕も纏っおいないこずに気づきたした。
    いえ、どこにも行く宛おがないのです、よければ1晩泊めおくれやしたせんか。
    驚くべきこずにするするず蚀葉が出おきおすっず男にしなだれかかりたした。これもアバズレ女から生たれ出たせいかもしれたせん。
    男は気持ちの悪い笑顔を䞀぀浮かべお私の腰に手を回し男の家たで連れおいきたした。
    ですが、家に灯りを灯した時私の姿を芋た男は短くひっず喉から声を絞り出したかず思うずバケモノ ず怯えた声で蚀いたした。
    あたりに酷いではありたせんか、あの男から私を誘ったずいうのに。
    男は手近にあった酒瓶で私に襲いかかっおきたした。
    しかし避けた時に男は転びぶ぀けた所が悪かったのでしょう、ぜっくり死んでしたいたした。
    そこで私は、この男はどんな味がするのだろう、ずたべおしたいたした。人の䜓ずいうのは䞍䟿ですね、たったあれだけの倧きさを䞞呑みにするこずができないのですから。
    なので、腕を1本ちぎっお食べおみたした。あれは随分ず酷い味がしたした。たるでドブ川のような銙りが口いっぱいに拡がっお。
    腕だけが䞍味いのかず思い足も腹も頭も生殖噚も身䜓を構成する党おを食べたした。どれもあたりに䞍味くっお。あんなに矎味しくないのは埌にも先にもあれだけです。

    おえおえず吐き出しお倖に出たしたならば戞の倖にそれは可愛らしい女が立っおいたした。
    私を芋お顔色を倉え郚屋の䞭に飛び蟌んでいきたす。
    しばらくするず䞭からは慎倪郎さん慎倪郎さんどうしお、ず絶叫のような咆哮のような鳎き声が聞こえおきたす。
    声が止んだので興味本䜍に芗いおみたすず女は男に寄り添うように割れた酒瓶の欠片で銖を切っお死んでおりたした。
    そこで私はあたりに空腹だったのでその女を食べおしたいたした。先皋ずはうっおかわっおみたらしのような銙ばしさの奥に喉が焌けそうなほどの甘さがやっおきたす。
    あれはおいしかった。
    二人目の女を食べおすぐたた身䜓に倉化がありたした。がたりがたりず萜ちる腐った汁の出る量がやや枛りたした。そしお心なしか頭がすっきりずしたのでございたす。
    それでも心の空虚は埋たりたせん。
    それからは䜕人も䜕人も食べたした。だからほら私は今こうしお貎方ずお話ができおいるでしょう人を食べるず少しず぀知胜を埗られるようなのです。
    それでも私の深く空いた心の穎は埋たりたせんでした。
    あれは䜕人食べたあたりだったか、街䞭で男が声をかけおきたした。
    君に䞀目惚れをした、ず。なんずなく面癜く感じたのでその男ず暮らしおみるこずにしたした。
    思えばあの頃が生きおきた䞭で䞀番穏やかな時間でございたした。男は仕事が終わるず寄り道䞀぀せず私のもずに垰っおきたす。
    そしお垰っおきおからはなにが面癜いのかにずっずこにこず笑っおいるのです。
    始めはい぀ものように食べおしたおうず機䌚をうかがっおいたのですが男の解けそうな笑顔を芋るず明日喰らっおやろうたた明日喰らっおやろう ず匕き延ばしおしたい気づけば䞀幎共に暮したした。
    あの日は、初めお男のために飯を䜜り垰りを埅っおいた時でした。男ず共に働いおいる人間が息を切らせお家の戞を叩きたした。よく芋るず䜓はボロボロでずころどころ骚が芋えおいたす。
    その人間が蚀うに山で萜石があり男が巻き蟌たれおしたった、ずいうこずでした。私は走っお男のもずぞ向かいたした。男は虫の息で誰から芋おももう長くないこずは明らかでした。
    男は私を芋るずぜ぀りぜ぀りずこの䞀幎の思い出話をしたした。出䌚った日のこず、家に垰るず私がいるこずが嬉しくお走っお垰っおいたこず、ふらりず街を散歩したこず。
    楜しかったなぁ、その䞀蚀を最期に男は死んでしたいたした。私は悲しくお悲しくお仕方なかったのです。ですがそれず同時に今たで収たっおいた空腹が鎌銖をもたげむくむくず蘇っおきたした。
    少し、ほんの少し 。頭を撫でおくれた腕を食べたした。
    あず少しあず少し、ず抱きしめおくれた胞を、囁いおくれた唇を、それは今たで食べおきた人間の䞭で頬が萜ちるほど蕩け涙が出るほどおいしかったです。
    気が付けば男の姿はもう残っおおらず代わりに残ったのは恐怖に滲む男を助けに来た町人たちの声でした。
    石を投げられ぀るはしで襲われそうになった私は呜からがら暗闇に玛れなんずか逃げ延びたした。
    それからの私は倉わらず人を食べおおりたしたがあの男よりもおいしい人間にあたるこずもなくたた心が埋るこずもありたせん。
    あれからどれくらいの幎数が経ったか、䞀人の男に出䌚いたした。華やかでありながら孀独な人間でありたした。
    河原で小さく黄昏る男を芋お私は声を掛けたした。どうしおかけたのか今でもわかりたせん。
    ただなんずなくあの時の男ず重なっお芋えたのかもしれたせん。
    それから男は心を蚱し私はたた人間ず暮らすようになりたした。しかし最初こそ優しかった男ですが月日が経぀に぀れだんだんずそっけなくなりたした。
    そうするずたた今たでなりを朜めおいた空腹が心の穎が顔を出すようになりたした。
    あれは、良く晎れた倏の日でした。あの日は食料を買いに町の垂堎ぞ行きたした。垰りに寄り道をしお川蟺ぞ行ったんです。
    え、どうしおそんなずころに行ったのかあのあたりよく身投げした遊女が揚がるんですよ。その日も私は食事をしに行ったんです。
    するずね橋の䞋草の陰からなにやら声が聞こえおきたす。近づいおみるず裞の男女が仲睊たじく絡たりあっおおりたした。
    たぁ、よくある話ですがね、そのうちの男ずいうのが共に暮しおいた男でございたしお。
    男は私を芋るなり違うんだ この女が やら愛しおいるのは君だけなんだ信じおくれ などなにやら譫蚀うわごずめいた蚀い蚳を䞊べ連ねたす。
    私は䞀蚀そうですか、ず蚀い去ろうずしたすずお前のそういうずころが嫌いなんだなにを考えおいるのかさっぱりわからないお前は俺のこずを愛しおいるのか、ず私に向かっお隒ぎたした。
    必死に隒ぐ男をよそに女はのそのそず服を纏いたす。
    そしおあんたのずこの旊那さん䞭々いい具合だったわよ、なんお蚀うもんですからいくら私ず蚀えど聞き捚おなりたせん。
    なにより空腹も穎も倧きくなっおいたしたので我慢なんおできようはずもなかったのです。
    私は女の腕をひっ぀かんでそのたたちぎっお食べおしたいたした。
    これもたた随分ず酷い腐った生魚の味がいたしたした。
    腐敗汁から生たれた私だからこそたくさんの人間を食べおきた私だからこそわかりたす。だっお私ず同じ臭いがしたしたから。
    そうきっずこの味こそがあばずれの味なのです。きっず私も食べられれば同じ味がするでしょう。
    あぁ、そういえばず思い振り返りたすず男は倒れおおりたした。
    元より気の小さい男でしたので目の前の出来事が受け入れられず気を倱っおしたい打ちどころが悪かったのでしょう。
    䞀口かじっおみたすずそれは いえ、ずおもたずかったです。胞が苊しくなるくらいには。
    日䞭に起こったこずにより目撃者倚数で捕瞛され今こうしお私はあなたの前にいたす。ねぇ、刑事さん

    女はじっず私の目を芋぀めおにっこりずほほ笑んだ。
    私が蚀っおいるこずは嘘だずお思いでしょうでも本圓のこずなのよ。
    でも告癜぀いでにもう䞀぀ 
    女は私の手を握り指をそっず自身の唇に這わせ指を軜く噛んだ。
    私ねあなたのこずが奜きになっおしたったみたいなの。


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