
【連載 第59回】(放送第139回):不動産のリアル「契約債務不存在」 ── その契約、有効ですか?
5月。新緑が眩しい季節になりましたが、今週はちょっと「嘘のような本当の話」……不動産の裏側に潜む「光と影」についてお話ししようと思います。 相方の臣さんから「契約債務不存在(けいやくさいむふそんざい)」という、何だか小難しくて恐ろしそうなタイトルを振られてしまいましたが、まさにその通り。簡単に言うと、数億円のマンションが完成した後に「その契約、最初から無効です!」と国選弁護人から訴えられた、僕の非常に苦く、そして劇的な経験談です。
【放送アーカイブ:高齢オーナーの認知症トラブルと、国選弁護人が明かした驚愕の真実】
竜ちゃん(竜): 弊社の事業に、地主さんの土地にマンションを建てて資産活用を図る「土地有効活用」というものがあります。ある時、Y市にお住まいの80代のご高齢のオーナーさんと1年以上かけて信頼関係を築き、立派な賃貸マンションを建てました。お引き渡しまでは極めて順調だったのですが、最後の融資手続きのために抵当権を設定しようとしたその場で、司法書士さんが「このオーナーさんには自らの『意思能力』がないため、手続きはできません!」と言い出して。

臣さん(臣): 急速に認知機能が低下してしまわれたわけですね。
竜: ええ。そこで奥様に「成年後見人」になっていただくよう家庭裁判所に申し立てたのですが、家裁の判断は「奥様を後見人とは認めない」。代わりに選任された国選弁護人の弁護士さんから、なんと弊社宛に「契約は無効だから、建設代金は一切支払わない(債務不存在)」という、身の毛もよだつような訴状が届いたんです。建物はもう完成しているのに、ですよ。僕は毎週のように弁護士事務所に通い詰め、契約までのプロセスがいかに誠実だったかを必死に説明しました。
臣: 凄まじい修羅場だ。なぜその弁護士さんはそこまで強硬だったんですか?
竜: 何度も通ううちに、弁護士さんがついに心を開いて「驚愕の真実」を教えてくれたんです。実は、オーナーさんの後妻さんが、ある宗教団体の幹部である妹さんに完全にコントロールされていた。弁護士さんは「もしこのままオーナーさんに相続が発生したら、このマンションも土地もすべて宗教団体に吸い上げられてしまう。それだけは何としても阻止したい」という強い正義感から、あえて弊社を相手に裁判を起こしたのだと明かしてくれたんです。

【Music of The Week】
自分伝説 〜オロチ覚醒の瞬間〜 / BLUES CHAPLIN
人の心の奥深くにある、綺麗事だけでは済まないさまざまな感情のうねり。泥沼の裁判を引き受けて進んでいく僕たちの覚悟を、タフなビートに乗せたオリジナル曲です。 ── 『自分伝説〜オロチ覚醒の瞬間〜』
編集後記

事態はここから、劇的な逆転劇へと向かいました。弁護士さんから「建物は御社でそのまま運営してください。そして、土地も御社で時価で買い取ってくれませんか?」と提案をいただいたのです。土地から得られる地代さえも宗教団体に流したくない、という弁護士さんの本意でした。 弊社が土地・建物のすべての所有権を買い取り、その代金でオーナーさんは手厚い介護を受けられる高級老人ホームへ。宗教団体には一銭も流さない。こうして、丸2年にわたる裁判は最高の着地を見せました。 経営者として、本人の意思確認はもちろん、ご家族の背景までしっかり理解することの大切さを痛感した事件です。
◆ アーカイブ動画
完成したマンションが「無効」に!?不動産ビジネスの裏に潜むリアルな「光と影」のトークはこちらから。 🎥 Vol.139:不動産のリアル「契約債務不存在」 〜その契約、有効ですか?〜