
【連載 第36回】(放送第116回):声明師(しょうみょうし)の日常と音階の不思議
先週末の「たま元気フェスタ」、寒い中足を運んでくださった皆様、本当にありがとうございました! 街の空気も一気に冬めいてまいりましたが、今夜は、相方である臣さんの「本業」の領域、それも僕たちが普段なかなか触れることのできない、お坊さんの最高にディープな音楽世界についてじっくりとお話を伺っていきたいと思います。

【放送アーカイブ:頂点1人の世界と、440Hzから382Hzの宇宙へ】
竜ちゃん(竜): 臣さんは日蓮宗の僧侶ですが、実はその資格の中に「声明師(しょうみょうし)」という非常に高い専門資格をお持ちなんですよね。そもそも「声明」とは、法要の際にお経に独特の節回しをつけて唱える、いわば「仏教音楽」です。
臣さん(臣): そうです。天台声明の流れを汲む日蓮宗の声明は、メジャーコードをメインとした明るい印象の「律曲(りっきょく)」なのが特徴ですね。単に唱えるだけでなく、法要に関するすべての所作や法衣の知識を完璧に熟知し、他のお坊さんたちに先師から受け継いだものを「伝える」という、いわば先生の役割を担っています。
竜: 現在、全国に声明師は約700人いるそうですが、その頂点である「声明導師」は、日本全国でたったの「1人」しか存在しない。そのTop of the topである上田尚教先生の京都の勉強会に、臣さんは通っている。お稽古の内容を聞いて驚いたのですが、先生の目の前で順番に一人ずつ「独唱」させられるそうですね。
臣: ギタリストが巨匠の目の前でいきなり超絶ギターソロを弾かされるような凄まじい緊張感です((笑))。大勢で唱えている時はできている気になっても、一人になった瞬間に迷子になってしまう恐怖があります。
竜: しかも、僕たち音楽人間として一番痺れたのが「音階」の違いです。西洋音楽はA(ラ)が440Hzですが、雅楽をベースにした声明の音階は、基音が382HzのG(ソ)であり、Aに換算すると430Hzという非常に特殊なピッチを使用する。気づくとじわじわとピッチがズレて頭が真っ白になる、という張り詰めた3時間のお稽古。本物の表現者の凄みを感じます。

【Music of The Week】
Penny Lane(The Beatles Cover / BLUES CHAPLIN)
440Hzの西洋音楽の世界から、382Hzの深遠な声明の宇宙へ。日常の美しい風景を想起させるビートルズの不朽の名曲を、僕たちの心地よいアンサンブルでお届けします。
編集後記
どんなに頭が真っ白になろうとも、終わった帰りの新幹線の中では「次はもっと予習して臨むぞ!」と心に誓うという臣さん。 日々研鑽を怠らないその姿勢は、僕自身の人生の経験とも重なり、深い敬意を抱かざるを得ません。形を極め、魂を込める。分野は違えど、僕の自慢の相棒の、本物の表現者の背中がそこにありました。
◆アーカイブ動画
440Hzの世界から382Hzの宇宙へ。おみさんが語る声明の深遠な世界はこちらから。
🎥 Vol.116:声明師について