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【連載 第53回】(放送第133回):桜の記憶と「中央線の風」 ── 一九八〇年、僕たちの原点と終わらない春

    【創作大賞2026・締め切り当日特別アナウンス】
    本日7月8日(水)、『#なじバンのすたるじあ』の集大成となるラスト9編を、数時間おきに一挙連続公開いたします。還暦を過ぎた僕たちの歩んできたすべてのノスタルジーと音楽の絆が、今夜22:00公開の最終回(Vol.140)にて、美しく完結の瞬間を迎えます。ぜひ、本日限りのリアルタイムな熱量と共に、僕たちの旅路のゴールを見届けていただければ幸いです!

    いよいよ4月の始まり。花びらが街に舞うのを見ると、どんなに時代が変わっても「何かが始まるんだ」という、胸の奥がソワソワするようなスイッチが入ります。僕たちにとってその高揚感は、教科書の匂いではなく、新しい弦に張り替えたばかりのアコースティックギターの、あのピンと張った緊張感そのものでした。今夜は、僕たちが1980年の春に思い切り吸い込んでいた、中央線沿線のどこか泥臭くも愛おしい空気感についてお話ししようと思います。

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    『Here Comes The Sun』

    【放送アーカイブ:工学院大学八王子体育館の全能感と、中央線スタジオの熱気】

    竜ちゃん(竜): 臣さん、時計の針を僕たちの1980年の春へとタイムスリップさせてみましょう。当時、僕たちが大学に入ってすぐに結成したバンドの名前は『Quality(クオリティ)』。まだ18歳か19歳。技術も機材も未熟だったけれど、根拠のない自信だけはセリカのトランクいっぱいに詰め込んでいました。その僕たちが初めて大舞台に立ったのが、工学院大学八王子キャンパスの体育館だったんです。

    臣さん(臣): バスケットコートの木の床、高い天井、ワックスの匂い。独特の空間ですね。

    竜: そう、あそこの即席ステージに立った瞬間の緊張感は、46年が経った今でも五感の奥に鮮明に焼き付いています。反響が凄まじくて、チューニングをするだけで音がコンクリート壁に乱反射して跳ね返ってくる「音響の迷宮」。そこで僕たちは、初ライブにもかかわらず、すべて「オリジナル曲」だけで勝負を挑んだんです。甲州街道をイメージした『並木道』から、焦燥感をぶつけた重いバラード『叫心(shout)』、最後はアップテンポな『dancing doll』まで。

    臣: 僕は当時まだメンバーじゃなくて、最前列で食い入るようにそのステージを観ていたんですよ。

    竜: 自分たちで作った言葉と音をあの巨大な空間に響かせた瞬間の、世界を支配したかのような「全能感」……。あれこそが、僕たちの長い息の長い音楽の旅路の、本当の意味での「設計図」の始まりでした。あの時の演奏が終わった後の耳の奥のキーンという長い耳鳴りが、今のBLUES CHAPLINへと真っ直ぐに繋がっているんです。

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    工学院大学八王子体育館でのライブステージ

    【Music of The Week】

    Here Comes The Sun(The Beatles Cover / BLUES CHAPLIN)

    人生という長い冬を乗り越え、新しい太陽を笑顔で迎えるための、ジョージ・ハリスンの不朽の名曲。新しい世界で必死に踏ん張っているすべての人への、僕たちからの温かいエールを込めて。 ── 『Here Comes The Sun』

    編集後記

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    荻窪ミスティ・スタジオ
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    YAMAHA Take-1 Studio
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    LIVE HOUSE Watt's

    僕たちの本当の「学び舎」は、大学のキャンパスというよりも、中央線沿線のスタジオでした。吉祥寺のヤマハ『TAKE-1』や荻窪の『ミスティスタジオ』、そして西荻窪の『WATTS(ワッツ)』。タバコの煙とアンプの熱気が混ざり合った、あの重い防音扉を開ける時のドキドキ感。 根拠なんて何もなくていい。「この音が好きだ」「この仲間と何かを創り出したい」という純粋な情熱の地盤(ファンデーション)さえあれば、僕たちは46年という歳月を超えて繋がっていられるのです。

    ◆ アーカイブ動画

    1980年、あの埃っぽい体育館から始まった、終わらない青春の「中央線の風」のトークはこちらのアーカイブから。 🎥 Vol.133:桜の記憶と「中央線の風」 


     
     
    結成46年、シティポップの原点とビートルズへの愛を有機的に繋ぎ、音楽を心から愉しむクリエイター。国立や立川、世田谷等のライブハウスや野外ステージで活動中。レインボータウンFM「#なじバンノスタルジア」ではパーソナリティも務めています。熟成されたバンドサウンドをあなたに。

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