
【連載 第49回】(放送第129回):俺たちの旅 50周年の熱狂と「阿佐ヶ谷」の記憶
3月、和名では「弥生(やよい)」。草木がいよいよ生い茂る月という意味の通り、凍てついていた冬の記憶を優しく溶かすような季節。 この「旅立ち」と「再会」の季節に、僕たちにとってあまりにも特別な「同窓会」が執り行われました。1975年、吉祥寺を舞台に僕らの青春を決定づけたドラマ『俺たちの旅』。半世紀という気の遠くなるような歳月を経て、当時のキャストがそのままの役名で、今の年齢を生きる姿を見せてくれたコンサートと新作映画の、奇跡のレポートです。
【放送アーカイブ:神楽坂の石畳の秘密と、カースケが教えてくれた『旅の途中』】
竜ちゃん(竜): 臣さん、僕は1月の誕生日に東京国際フォーラムで「俺たちの旅コンサート」を観て、さらにバレンタインデーには新作映画『50年目の俺たちの旅』を観てきました。中村雅俊さん演じる「カースケ」、田中健さんの「オメダ」、秋野太作さんの「グズ六」の3人が、50年経ってそのままの役名で今の年齢を演じるという、まさに奇跡の再会です。
臣さん(臣): 半世紀ですよ!単なるリメイクじゃない、文字通り50年分の人生を背負った再会ですね。

竜: コンサートは前から8列目でね、カースケのことが大好きだった「まゆみちゃん」役の岡田奈々さんの指先まで見える距離でした。スクリーンに当時の回想シーンが流れるんですが、特に胸を打たれたのがオメダの実家がある神楽坂の「中野洋裁店」のシーンです。オメダの本名は「中谷隆夫」なのに、実家は「中野」洋裁店。臣さん、これには深い理由があるのをご存知ですか?
臣: そういえば、姓が違いますね。何か理由があるんですか?
竜: そこには、八千草薫さん演じるお母さん・静香さんの、凛とした生き様が隠されているんです。お母さんは「中野家」の跡取り娘。オメダ自身は家庭の事情で「中谷」姓を名乗っていますが、お母さんが女手一つで看板を守り、子供たちを育て上げた場所が、あの神楽坂の店なんです。単なる実家以上の、お母さんのプライドと愛情が詰まった場所なんですよ。
臣: なるほど!古い神楽坂の風景の中に、そんな家族のドラマが埋め込まれていたんですね。

竜: ステージにはグズ六の奥さん・紀子さん役の上村香子さんも登場されたのですが、すぐ80歳になられるとは思えないほど息を呑むほど美しく、一瞬であの茶の間の温かい空気に包まれました。

臣: そして、その興奮が冷めないまま迎えたバレンタインデー。
新宿で新作映画を観て、さらにサプライズがあったそうですね。
竜: 上映後には、中村雅俊さんがサプライズで登壇されてね。「50年前と同じキャストで映画が作れたことが本当に嬉しい。みんな、まだ旅の途中なんです」と仰った。その笑顔は、50年前のカースケそのままでした。
【Music of The Week】
Something(The Beatles Cover / BLUES CHAPLIN)
あの愛おしい吉祥寺や神楽坂の風を、僕たちの心地よいアコースティックなツインギターのアンサンブルに乗せて。50年の時を経ても絶対に色褪せることのない不滅のメロディを、僕たちの演奏で。 ── 『Something』
編集後記
50年という歳月は、人の顔に皺を刻み、街の景色をすっかり変えてしまいます。けれど、あの頃にカースケたちが抱いていた「何者かになりたい」ともがく熱量だけは、少しも色褪せていませんでした。
白髪混じりになっても肩を組んで笑い合う彼らの姿は、僕たちBLUES CHAPLINにとっても、この先の人生を泥臭く歩き続けるための大きな道標です。「まだ旅の途中」。その美しい言葉を胸に、僕たちも新しい音を鳴らし続けます。
🎥 Vol.129:50年目の再会。カースケ・オメダ・グズ六が教えてくれる「人生の歩き方」 👉 なじバンのすたるじあ Vol.129 アーカイブを視聴する(YouTube)