こめかみの圧迫感で目が覚める。目を開けると僕のこめかみには銃口が当てられていた。
「今から三つ数える。その間に覚えていることを全部話してほしい。俺は銃を打つのがあまり好きじゃないんだ」と男が言った。
そのときに僕はあることに気づいた。記憶がないのだ。なぜ僕が銃を突きつけられているのかといったような直近の記憶だけではない。自分の名前や年、生い立ちや性癖といった基本的な情報が何ひとつ僕の頭に残っていないのだ。
でもひとつだけ覚えていることがあった。それは僕がどんな状況でもできるだけクールでありたいと思っているということだ。