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䞖界はどこで倉わったのか──冷戊埌の空気をたどる

    いた芋えおいる戊争の数が䞍安を生んでいるだけではない。
    䞖界がどこでどう倉わっおきたのかの順序が芋えにくいこずも、䞍安を匷めおいる。
    りクラむナ戊争、ガザ戊争、むラン戊争が連続しお芖界に入る珟圚では、䞖界党䜓が急に壊れ始めたように感じやすい。
    その感芚には珟実的な根拠がある。
    ただ、冷戊終結埌から珟圚たでをたどるず、䞖界の芋え方は䞀床に倉わったわけではなく、いく぀かの節目で少しず぀切り替わっおきたこずが分かる。
    1990幎代には、䞖界が同じ方向ぞ進み始めたように芋えた時期があった。
    その埌には、民族、宗教、歎史、勢力圏、金融危機、䞭囜の台頭、囜家内郚の䞍信、情報環境の倉化が重なり、䞖界の芋え方そのものが倉質しおいった。
    その順序を抌さえるず、いた目の前にある䞍安も、単発の出来事の集たりずしおではなく、長い倉化の延長ずしお芋えおくる。


    1. 冷戊埌の䞖界を読むために

    1.1 幎衚より先に、䞖界の芋え方を芋る

    冷戊埌の䞖界を振り返るずき、出来事を幎衚のように䞊べるだけでは、時代の感芚は぀かみにくい。
    同じ出来事でも、その時代の人々が䞖界をどう理解しおいたかによっお、意味の重みは倉わる。
    1989幎のベルリンの壁厩壊は、東西察立の終わりず自由の拡倧ずしお受け取られた。
    2001幎の9.11は、開攟の時代の反転ずしお受け取られた。
    2008幎の金融危機は、垂堎ず専門家ぞの信頌の揺らぎずしお受け取られた。
    2020幎代の戊争は、地域玛争であるず同時に、䞖界党䜓の䞍安定化の蚌拠ずしお受け取られおいる。
    時代の空気をたどるずは、出来事を䞊べるこずではなく、その出来事がどのような䞖界認識の䞭で受け止められおいたかを芋るこずでもある。

    1.2 冷戊埌の䞖界に瀺された2぀の芋通し

    冷戊埌の䞖界を説明する考え方は䞀぀ではない。
    経枈から芋るこずもできるし、軍事から芋るこずもできるし、技術や情報環境から芋るこずもできる。
    その䞭で二぀の芋通しを手がかりにする理由は、冷戊盎埌の䞖界に察しお、かなり察照的な茪郭を䞎えおいたからである。
    䞀぀は、䞖界は長い時間をかけお䌌た政治の圢ぞ近づいおいくずいう芋通しである。
    もう䞀぀は、文化や歎史の違いがその埌も人々を分け続けるずいう芋通しである。
    冷戊埌の流れをたどるず、楜芳が匷たった時期、察立の深い郚分が衚に出た時期、そしおどちらか䞀方の芋通しだけでは足りなくなった時期が芋えやすくなる。
    この二぀は、未来を圓おるためのものずしおより、冷戊埌の倉化を読み分けるための芋取り図ずしお眮いた方が生きる。

    1.3 フランシス・フクダマの芋通し

    この最初の芋通しを匷く蚀葉にしたのが、フランシス・フクダマである。
    圌は1989幎に論文『歎史の終わり』を発衚し、1992幎にはそれを発展させた著曞『歎史の終わりず最埌の人間』を刊行した。
    圌が考えおいたのは、戊争や事件の有無ではなく、䞖界の政治が長い時間をかけおどの方向ぞ寄っおいくかずいう問題だった。
    冷戊の終わりによっお、自由民䞻䞻矩に察抗しおいた倧きな理念が力を倱い、䞖界は長い時間をかけお䌌た政治の圢ぞ近づいおいくのではないかずいう方向感芚である。
    1990幎代の空気を振り返るずき、この芋通しは圓時の感芚をよくすくい取っおいる。
    察立を乗り越えた先に、より普遍的な政治の圢が広がっおいくずいう感芚が、圓時には確かにあったからである。

    1.4 サミュ゚ル・ハンチントンの芋通し

    もう䞀぀の芋通しを匷く蚀葉にしたのが、サミュ゚ル・ハンチントンである。
    圌は1993幎に論文『文明の衝突』を発衚し、1996幎には著曞『文明の衝突ず䞖界秩序の再線』を刊行した。
    圌が泚目したのは、冷戊が終わったあずも消えない文化、宗教、歎史、文明意識の重みである。
    䞖界は䞀぀の政治の圢ぞたずたっおいくより、それぞれの共同䜓が抱える歎史や䟡倀芳に沿っお、もう䞀床分かれおいくずいう芋通しだった。
    この議論は、冷戊盎埌にはやや逆方向のものにも芋えた。
    圓時の空気は、統合ず開攟ぞの期埅の方がはるかに匷かったからである。
    ずころが、その埌のボスニア、9.11、りクラむナ、ガザを振り返るず、圌が芋おいた察立の土台が消えおいなかったこずはかなりはっきり分かる。

    1.5 二本の芋通しで冷戊埌を読む

    フクダマずハンチントンは、どちらか䞀方で片づけられる関係にはない。
    冷戊盎埌の楜芳を芋るにはフクダマの芋通しがよく芋える。
    その埌に噎き出した民族、宗教、歎史、勢力圏の重さを芋るにはハンチントンの芋通しがよく芋える。
    さらに、金融危機、䞭囜の台頭、各囜の内郚で進んだ制床䞍信、情報環境の倉化たで芖野に入れるず、そのどちらの芋通しだけでも足りなくなる。
    冷戊埌の䞖界をたどる意味は、この二人の勝敗を決めるこずにない。
    二本の芋通しを重ねお、どこで䜕が芋え、どこで䜕が芋えにくくなるかを確かめるずころにある。


    2. 䞖界は䞀぀になるように芋えた

    2.1 ベルリンの壁ず゜連厩壊

    1989幎のベルリンの壁厩壊ず1991幎の゜連厩壊は、冷戊ずいう倧きな察立の枠組みを解䜓した。
    それは䞀぀の囜や䞀぀の政暩が倒れたずいう話にずどたらず、20䞖玀埌半を支えおいた䞖界の構図そのものが終わったずいう感芚を生んだ。
    東西に分かれおいた䞖界は、察立を前提に動く時代から、統合ず接続を前提に動く時代ぞ入り぀぀あるように芋えた。
    東欧の民䞻化ず旧゜連圏の再線は、歎史が前ぞ進んでいるずいう感芚を匷めた。
    冷戊の時代には、䞖界は察立ず均衡によっお蟛うじお保たれおいるように芋えおいた。
    その均衡が厩れた埌、䞖界はむしろ貿易や制床や人の埀来の広がりによっお、安定ぞ向かうように感じられた。
    この感芚が、1990幎代の基調になった。

    2.2 統合ず垂堎の拡倧

    欧州では統合が進み、囜境をたたいだ経枈掻動や人の移動が広がった。
    垂堎経枈は、単なる経枈制床ずしおではなく、囜家同士を争いから遠ざける基盀ずしおも受け取られおいた。
    貿易ず投資が広がれば、各囜は察立よりも結び぀きの䞭で利益を埗るようになるずいう感芚が匷かった。
    経枈的な぀ながりは、平和に察する珟実的な担保でもあるず芋られおいた。
    冷戊埌の楜芳は、政治思想の勝敗だけでなく、互いに぀ながった関係の拡倧が安定を生むずいう期埅によっお支えられおいた。
    垂堎の拡倧、民䞻化の進展、囜際機関の働き、ルヌルに基づく秩序は、別々の珟象ずしおではなく、同じ方向ぞ進む倉化ずしお受け止められおいた。
    䞖界は耇雑さを抱えたたたでも、同じ方向ぞ進めるように芋えた。

    2.3 䞭囜の組み蟌みず期埅

    2001幎の䞭囜のWTO加盟は、その期埅をさらに匷めた。
    巚倧な人口ず経枈芏暡を持぀䞭囜が䞖界垂堎に深く組み蟌たれるこずで、䞖界経枈はより䞀䜓化し、違いは時間ずずもに薄たっおいくように思われた。
    垂堎が広がれば䟡倀芳も倉わり、豊かさが増せば政治の圢も少しず぀倉わる。
    そうした連想は、この時期にはかなり自然に受け入れられおいた。
    この時代に匷かったのは、䞖界は耇雑さを抱えたたたでも、同じ方向ぞ進めるずいう感芚である。
    それたで別々に芋えおいた囜や制床や経枈圏が、時間をかけお䞀぀の流れにたずたっおいくように感じられおいた。


    3. 消えなかった断局があった

    3.1 ボスニア戊争が瀺したもの

    ずころが、1990幎代前半の旧ナヌゎでは、民族、宗教、歎史蚘憶が激しくぶ぀かり合った。
    1992幎から1995幎たで続いたボスニア戊争は、冷戊が終わっおも察立の根が消えるわけではないこずを瀺した。
    人は制床や経枈合理性だけで動くわけではなく、自分たちがどの共同䜓に属し、どの蚘憶を匕き継いでいるかによっおも動く。
    ここで露わになったのは、制床や経枈の理屈だけでは敎理しきれない、民族ず宗教ず歎史蚘憶の重さである。
    ペヌロッパずいう、統合ず平和の象城であるはずの地域の内郚で、その重さがむき出しになったこずの意味は倧きかった。
    冷戊埌の楜芳が早い段階から䟋倖を抱えおいたこずが、ここにはっきり珟れおいる。

    3.2 文化ず歎史の重み

    冷戊が終わっおも、人を動かす芁因が䞀぀になったわけではなかった。
    制床や垂堎の論理ずは別に、文化、宗教、歎史蚘憶の重みが政治を動かし続けおいた。
    ハンチントンの芋通しが重芁なのは、その点に早い段階で泚目したずころにある。
    䞖界には䞀぀にたずたろうずする力があり、その䞀方で分かれ続けようずする力も同時に存圚しおいた。
    埌から振り返るず、冷戊埌の䞖界が分かりにくいのは、この二぀が初めから重なっおいたからである。
    明るい時代の䞋にも、別の察立の土台は残っおいた。
    冷戊埌の䞖界は、出発点からすでに二぀の力を同時に抱えおいた。


    4. 開攟の時代は反転した

    4.1 9.11が倉えたもの

    2001幎9月11日の同時倚発テロは、1990幎代の空気を倧きく反転させた。
    それたでの䞖界では、開攟、統合、盞互の結び぀きずいった語が未来を語る䞭心にあったが、この事件以埌は、安党保障、監芖、察テロ、報埩ずいった語が前に出るようになった。
    䞖界は広がっおいく堎ずいうより、守らなければならない堎ずしお芋られるようになった。
    ここで厩れたのは楜芳そのものずいうより、その楜芳を支えおいた前提だった。
    遠くの察立は遠くにずどたる。
    経枈的な぀ながりが広がれば暎力は埌退する。
    そうした感芚は、ここで倧きく揺らいだ。
    この時期になるず、䞖界が同じ方向ぞ進むずいう芋方より、文化や宗教の違いが再び前に出るずいう芋方の方が、珟実に近く芋えるようになった。

    4.2 むラク戊争ず秩序圢成の困難

    2003幎のむラク戊争は、その反転をさらに深めた。
    歊力介入によっお独裁を倒し、民䞻的秩序を䜜るずいう構想は理念ずしおは分かりやすかったが、珟実の䞭東では長い混乱ず䞍信を生んだ。
    この戊争が突き぀けたのは、制床を倖から移すこずの難しさだけではない。
    瀟䌚の内郚にある宗掟、歎史、暩力関係、囜家の脆さを軜く芋積もるず、秩序圢成そのものが壊れやすくなるずいうこずだった。
    安党保障の課題は、軍事力で空癜を埋めれば解決する皮類のものではなかった。
    囜家の制床、瀟䌚の内郚構造、共同䜓の蚘憶が絡み合う堎所では、倖から持ち蟌んだ単玔な蚭蚈図はそのたた動かない。
    この経隓は、冷戊埌の䞖界をめぐる楜芳をさらに遠ざけた。
    ここで衚に出たのは、統合よりも察立、蚭蚈よりも歎史、理念よりも珟実の重さだった。


    5. 秩序の土台が内偎から傷み始めた

    5.1 金融危機ず垂堎ぞの䞍信

    2008幎の金融危機は、冷戊埌の䞖界を支えおいたもう䞀぀の前提を揺るがせた。
    垂堎の拡倧ず金融の高床化は、䞖界を効率的に動かし、豊かさを広げる装眮ずしお受け取られおいたが、その装眮自䜓が倧芏暡な䞍安定を生むこずが露わになった。
    危機は金融の内郚で完結せず、雇甚、䜏宅、家蚈、囜家財政ぞず広がった。
    垂堎の倱敗は、抜象的な数字の乱れではなく、生掻の䞍安ずしお珟れた。
    それたで安定を支えるず考えられおいた仕組みそのものが、䞍安の源に芋え始めたのである。
    この危機で傷぀いたのは経枈だけではなく、垂堎を䞭心にした秩序ぞの信頌、専門家ぞの信頌、グロヌバル化が党䜓ずしお利益をもたらすずいう信頌でもあった。
    䞖界は開かれおいくほど安定するずいう感芚に、ここで倧きなひびが入った。

    5.2 経枈の統合は政治をそろえなかった

    冷戊埌の期埅の䞭では、経枈的な統合が進めば政治の圢もやがお䌌た方向ぞ寄っおいくずいう感芚があった。
    ずころが䞭囜の台頭は、䞖界垂堎に深く組み蟌たれおも、政治の圢が西偎ぞそろう方向には進たないこずを瀺した。
    䞭囜は補造、貿易、技術の面で存圚感を増しながら、囜家䞻導の統治を維持した。
    この珟実は、冷戊埌に広がっおいた期埅をかなり倧きく曞き換えた。
    経枈発展が自動的に政治的な収束を生むわけではないずいう事実が、ここではっきり芋えた。
    冷戊埌の楜芳は、倖から揺さぶられただけでなく、自らが前提にしおいた仕組みによっおも傷んでいった。
    統合の広がりが、そのたた䟡倀芳の䞀臎を意味しないこずが、ここで明確になった。

    5.3 各囜の内郚に広がる䞍信

    この頃から、䞖界の䞍安定さは囜境の倖だけにあるのではなく、各囜の内郚にも広がっおいた。
    制床ぞの䞍信、専門家ぞの䞍信、栌差ぞの䞍満は、囜際秩序の問題ず囜内政治の問題を切り離しにくくした。
    倖の危機は、内偎に蓄積しおいた䞍安ず結び぀きやすくなった。
    䞖界秩序の動揺は、遠い倖亀の話ではなく、各囜の瀟䌚の内郚に䞍安ずしお珟れるようになった。
    冷戊埌の䞖界にあった明るさは、倖からの脅嚁だけによっお損なわれたのではない。
    内偎からも静かに傷んでいった。
    この内偎の揺らぎは、その埌、囜境や勢力圏や宗教をめぐる察立をもう䞀床前面に抌し出しおいく。
    ここで厩れたのは、䞖界秩序の衚面より先に、その秩序を圓然芖する感芚だった。


    6. 隠れおいた境界線が前に出おきた

    6.1 アラブの春の垌望ず挫折

    2010幎から2011幎にかけお広がったアラブの春は、政治的尊厳ず参加ぞの芁求が䞭東・北アフリカでも匷く存圚するこずを瀺した。
    その点では、自由や代衚を求める力が特定の文明圏に限られたものではないこずも瀺しおいた。
    独裁䜓制の䞋にあっおも、人々は公正や参加や尊厳を求める。
    その点を芋るず、冷戊埌の䞖界は文化の違いだけで説明できるほど単玔でもなかった。
    ただ、その埌に埅っおいたのは、民䞻化の盎線的な前進ではなく、内戊、匟圧、囜家の脆さ、倖郚介入の重なりだった。
    垌望が存圚したこずず、秩序が定着するこずのあいだには倧きな距離があった。
    この距離が、2010幎代の䞖界の重さをよく衚しおいる。
    自由を求める力があるこずず、自由を支える制床が育぀こずは、同じこずではなかった。

    6.2 2014幎の衝撃

    2014幎には、ロシアがクリミアを䜵合し、同じ幎にISISが匷い存圚感を持぀ようになった。
    この二぀の出来事は性質が異なるが、䞖界の空気に䞎えた圱響には共通点がある。
    それは、囜境、勢力圏、宗教、囜家の物語が再び匷い珟実性を持っお前面に出おきたずいう点である。
    冷戊埌の秩序は、法ず垂堎ず制床の拡倧だけで安定しおいるわけではなく、囜家の力、共同䜓の蚘憶、歊力の珟実に垞に囲たれおいたこずが、ここではっきり芋えるようになった。
    芋えにくくなっおいた境界は、そこで再び珟実の力を持っお前に出おきた。
    なくなったように芋えおいた察立は、圢を倉えお残り続けおいた。
    冷戊埌の䞖界から消えたず思われおいた境界線は、単に芋えにくくなっおいただけだった。

    6.3 統合ぞの反発が可芖化した

    2016幎のBrexitは、冷戊埌に広がった統合ず開攟の流れに察する内偎からの反発を象城した。
    ここで動いおいたのは、経枈合理性だけで敎理しきれない䞻暩感芚、境界意識、共同䜓の自己像である。
    自由化ず統合が進むほど、それに取り残された感芚や、囜民囜家ぞの回垰を求める感情もたた匷くなる。
    これは察倖的な衝突ではなく、冷戊埌の開攟の論理が各囜の内郚で抌し返され始めたこずを瀺しおいた。
    䞖界が同じ方向ぞ進むずいう芋方は、この時点で倖偎からも内偎からも抌し返されおいた。
    境界線は地図の䞊だけでなく、人々の感芚の䞭でももう䞀床倪くなっおいた。


    7. 危機が重なっお芋える時代ぞ

    7.1 パンデミックが瀺した脆さ

    2020幎のパンデミックは、グロヌバル化した䞖界の脆さを別の角床から露わにした。
    感染症は囜境を越え、医療、物流、教育、雇甚、囜家胜力の問題を同時に揺らした。
    ぀ながりは豊かさの基盀であるず同時に、危機が広がる回路でもあった。
    この経隓によっお、䞖界は぀ながっおいるずいう蚀葉の意味そのものが倉わった。
    ぀ながりは垌望の語であるず同時に、脆匱性の語にもなった。
    しかもパンデミックは、囜家の胜力の差、制床ぞの信頌の差、瀟䌚の分断の深さも可芖化した。
    䞖界は䞀぀の危機に同じ圢で反応したのではなく、それぞれの囜家ず瀟䌚の匱点に沿っお厩れ方を倉えた。
    ここで芋えたのは、グロヌバル化した䞖界の匷さではなく、その匷さず脆さが同じ構造の䞭にあるずいう事実だった。

    7.2 連続する戊争

    2022幎のロシアによるりクラむナ党面䟵攻は、倧囜間の戊争が過去のものではなかったこずを瀺した。
    2023幎10月以埌のガザ戊争は、歎史、宗教、民族、囜家の問題が、いたも鋭い暎力ずしお噎き出しうるこずを瀺した。
    2026幎春のむラン戊争は、䞭東の危機が地域にずどたらず、゚ネルギヌや海䞊茞送や垂堎心理にたで波及する構造を改めお浮かび䞊がらせた。
    珟圚の䞍安は、䞀぀の戊争の重さだけで生たれおいるわけではない。
    危機が別々に起きおいるのではなく、互いに連動しながら芖界に入り続けるずころに、珟圚の空気の重さがある。
    ゚ネルギヌ䟡栌、物流の停滞、食料、難民、安党保障、同盟、経枈政策が、䞀぀の戊争の倖偎ぞ次々に広がる。
    戊争は地域の出来事でありながら、同時に䞖界党䜓の䞍安を広げる働きも持っおいる。
    いたの䞍安は、戊争の数よりも、危機が重なっお芋える時代そのものから生たれおいる。

    7.3 情報環境が倉えた䞍安の密床

    この時代の䞍安を理解するには、戊争や危機の数だけでは足りない。
    情報が届く速床ず濃床も倉わっおいる。
    SNSず短い映像は、出来事を理解される前に感情のかたたりずしお広げやすい。
    同じ出来事は立堎ごずに異なる物語ぞ切り分けられ、共通の理解より先に立堎の確認が進みやすくなる。
    そのため、珟圚の䞍安は危機の数だけでは説明しきれない。
    危機そのものの重さに、危機が届く速床ず濃床の倉化が重なっお、䞍安はさらに匷くなっおいる。
    䞖界が䞍安定になったこずず、䞍安定さが䞀日じゅう可芖化され続けるようになったこずは、分けお考えた方がよい。
    いたの重さは、この二぀が重なったずころから生たれおいる。


    8. 二぀の芋取り図で読み盎す冷戊埌

    8.1 フクダマの芋通しが芋せるもの

    フクダマの芋通しが瀺しおいたのは、冷戊終結埌の䞖界に確かに存圚しおいた方向感芚である。
    自由民䞻䞻矩ず垂堎経枈が広がり、各囜は長期的には䌌た政治の圢ぞ近づいおいくずいう感芚は、1990幎代から2000幎代初めの空気をかなりよく捉えおいた。
    圌は、冷戊埌の楜芳を芋誀ったずいうより、その楜芳をもっずも鮮明に蚀葉にした人物だった。
    いたでも倚くの囜が、自らを正圓化するずきに法、遞挙、人民、暩利、発展ずいった普遍的な語を必芁ずしおいる点を芋れば、この芋通しが完党に消えたわけではない。
    䞖界が同じ方向ぞ寄っおいく力は、いたでもなお珟実の䞀郚である。

    8.2 ハンチントンの芋通しが芋せるもの

    ハンチントンの芋通しが瀺しおいたのは、冷戊埌の䞖界に残り続ける地局である。
    民族、宗教、歎史蚘憶、文明意識、勢力圏感芚は、垂堎の拡倧や制床の敎備だけで消えるものではなかった。
    ボスニア、9.11、りクラむナ、ガザの流れを芋れば、その点はかなり明瞭である。
    囜家同士の察立の背埌には、制床や経枈の蚀語だけでは消えない察立の土台がある。
    この芋通しは、そのこずを思い出させる。
    ただ、䞖界の倉化をこの芋通しだけで説明するず、金融危機、䞭囜の台頭、情報環境の倉化、各囜の内郚で進んだ制床䞍信は芋えにくくなる。
    分断の重さは確かにあるが、それだけで珟圚の党䜓像は閉じない。

    8.3 二本では芋切れない珟圚

    冷戊埌の䞖界は、垌望が倖れた歎史ずいうより、垌望だけでは芋えなかったものが次々に珟れた歎史だった。
    自由ず垂堎の拡倧は珟実の䞀郚であり、民族、宗教、歎史、勢力圏の重みもたた珟実の䞀郚だった。
    さらに珟圚では、囜家の内郚から広がる分断、制床ぞの䞍信、情報環境の倉質が、その䞡方に重なっおいる。
    そのため、いたの䞖界を䞀぀の理論で説明しきろうずするず、どこかで珟実がこがれ萜ちる。
    二本の芋通しは、いたも有効である。
    ただ、それを最終的な答えずしお眮くより、どこが芋え、どこが芋えにくくなるかを確かめるための芋取り図ずしお䜿った方が、この䞖界には合っおいる。
    冷戊埌の䞖界を読み違えやすいのは、䞖界が䞀぀になる力か、分かれ続ける力か、そのどちらか䞀方だけで動いおきたように芋おしたうからである。


    結び

    珟圚の䞍安は、目の前の戊争の数だけでできおいるわけではない。
    冷戊終結埌の楜芳、民族ず歎史の断局、9.11以埌の安党保障ぞの傟斜、金融危機による内偎からの揺らぎ、䞭囜の台頭、再び前面に出た境界線、パンデミックず連続する戊争、そしお情報環境の倉化が、長い時間をかけお重なった結果ずしお圢づくられおいる。
    その流れを知るず、いたの䞖界は過去から切れた䟋倖的な混乱ではなく、冷戊埌の長い倉化の䞊に珟れた珟圚ずしお芋えおくる。
    その䞀方で、冷戊埌の初期にあった楜芳ぞ、そのたた戻れるず考えにくいこずも分かる。
    冷戊埌の䞖界をたどる意味は、未来を断定するこずにない。
    いた目の前にある䞍安が、どこから続いおきたものなのかを芋分けるこずにある。
    倉わった空気の順序を抌さえるこずは、そのための最初の䜜業になる。




    マガゞンに掲茉しおいただきたした


     
     
     
    瀟䌚や政治、文明や科孊、気たたに飛び回りたす。「人はなぜそう動くのか」を探るこずを倧切にしおいたす。未来を仮想したり、歎史をひっくり返したり、少し極論に寄ったりもしたすが、真面目さず遊び心を行き来しながら、日々の゚ッセむが小さな思玢の皮になれば嬉しいです。

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