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2047 「灰色の海」


    自分がわからない。

    どこから来たのか。
    誰なのか。

    そして、なぜここにいるのか。

    ただ、ここに立っているということは、この場所を知っているということなのだろうか。

    目の前に広がるのは、灰色の海。

    透き通ることもなく、海の底まで濁っているように見える。

    ここに、何の意味があるのだろう。

    確か、記憶に残っている海はこんな海ではない。

    もっと綺麗で、もっと気持ちのいい潮風が吹いていた。

    ウミネコの鳴き声も聞こえていたはずだ。

    なのに、今は何も聞こえない。

    見えないものを探したり、わからないものを理解しようとしたり。

    そんな必要が、今の僕にあるのだろうか。

    遠くに古びた看板が見える。

    その下に数字が見えた。

    目を凝らす。

    「2047」

    数字だけが、やけにはっきり見えた。

    2047?

    あれは何だ。

    建物の番号か。

    それとも、過ぎ去った年号なのか。

    誰かに聞きたい。

    だが、人の気配がない。

    車の音もしない。

    全ての気配を感じない。

    なんだ、この不気味な静けさは。

    生ぬるい風だけが、頬をなでていく。

    聞こえるのは、汚れはてた海の泣き声。

    2047年。

    もし、本当にそうなら。

    僕がいたのは、確か2026年だった。

    21年。いや、それ以上?未来の年号なのか?

    何があった?

    ここは異次元の世界なのか。

    それとも僕は、未来へ来たのか。

    ポケットに手を入れる。

    スマホがあった。

    電源が入っている。

    少しだけ安心して画面を開く。

    だが、何もない。

    アプリもない。

    メールもない。

    写真もない。

    電話帳さえ空っぽだった。

    まるで、僕だけを残して、すべて消されたようだった。

    ただひとつ。

    カレンダーに印がついている。

    2026年9月30日。

    なぜ、この日だけ。

    指で触れた瞬間、頭の奥で何かが弾けた。

    光。

    大きな音。

    そして・・・

    僕の身体が宙を舞った。

    突然の出来事だった。

    頭の中が真っ白になり、自分がどこへ飛ばされていくのかもわからなかった。

    花もない。

    川もない。

    誰かに呼ばれた記憶もない。

    ただ、知らない空間へ吸い込まれていった。

    光だけが見えた。

    それからは、何も覚えていない。

    そして目を覚ますと、僕はこの海の前に立っていた。

    もう一度スマホを見る。

    2026年9月30日。

    あの日に、何があった。

    そしてなぜ、僕だけがここにいる。

    自分の名前さえ思い出せないのに、不思議と怖くはなかった。

    怖いよりも、知りたいと思った。

    僕は手すりから手を離した。

    誰かを捜すためじゃない。

    2026年9月30日のことを知りたい。

    なぜ、この場所に居るのかを知りたい。

    そして・・・

    僕が誰なのかを知るために。

    灰色の海を背にして、僕は叫んだ「誰か、いませんかー」。

    そのときだった。

    背後で、初めて波の音がした。



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    空を見上げて星を眺める。 砂浜でイカ釣り漁船の灯りを追う。自然体で、ありのままで生きていたい。 「愛する」ことの意味を、遠回りしてやっと知った。 深い闇の中に、明かりを見つける話を書いています

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