
家を手放して、自分に優しくなると決めた日
家を手放すことになった。
しかし、この家の片付けが私の考え方を変えることになろうとは、思ってもいなかった。
この家では、子どもが小さい頃から、思春期に強迫性障害で苦しんだ時期まで過ごした。強迫観念から捨てられない、物だらけの家だった。
加えて家が二つある状態だったため、今回は引越しではなく、家具も家電も売り、残りは処分する「実家じまい」のような作業になった。
他の家族は仕事だからと、結局私が一手に引き受けることとなった。
片付けていると、一つ一つに情景が浮かぶ。
しかし、タイムリミットは2ヶ月。
時間が限られているからこそ、立ち止まり過ぎずに前へ進めた。
最後の1週間は泊まり込んで、がむしゃらに片付けた。
業者が来て、すっからかんになった部屋。
カーテンを捨てた部屋に春の陽が差し込んでいた。
この家ってこんなに明るかったっけ?
辛かったね、私。頑張ったね、私。
病気のため何回も開け閉めして確認したせいで、ドアノブはどこもガタガタだ。ずっと締め切っていた書類でパンパンだった部屋も綺麗になった。
その瞬間、涙があふれた。
子どもの方が辛いんだから。
私はずっと、そう思っていた。
家を手放したはずなのに、本当に手放せたのは、「私が頑張らなければ」という思い込みだった。