推薦戦線 0話
序章
【あらすじ】
「白金高校の生徒が飛び降りました」
明鏡大学の推薦枠がたった一枠だと発表された一か月後。
飛び降りたのは、その推薦に関わる生徒だった。
だが――この争いの主役は、生徒ではなかった。
推薦をめぐり火花を散らすのは教師たちだった。
「努力を見てきたから推したい」
「保護者の意向を無視できない」
「学校の実績になる子を選ぶべきだ」
正しさと打算、理想と現実。
教育の名のもとに交差する思惑の中で、静かに壊れていく。
推薦とは、希望か、それとも――。
校舎裏に生徒がひとりうつ伏せで倒れていることに気づいたのは、ちょうど例の会議が終わったときのことだった。
一目見て只事ではないと察し、反射的に駆け寄った。学年は上履きの色で判別ができる。三年生だ。
怪我は見当たらない。けれど意識はない。ひとまず顔をずらして呼吸の確保をしたタイミングで違和感を覚えた。
いや、今はそんなことを気にしている場合ではない。
すぐに救急車を呼ぶ手配をし、近くにいた生徒たちにも教員を呼ぶように伝えた。焦るな、と自分に言い聞かせる。こんな時期に問題は起きてほしくない。
周りを見渡す。そして、上を見上げた。
屋上だ。もし、仮に落ちたのだとしたら。
そして思ってしまう。
──どうして、このタイミングで。
例の結果発表は、もう明日に迫っていたというのに。