
第7話 理想は忘れずに、現実から逃げない
娘たちへ。
今日は「理想は忘れずに、現実から逃げない」という話をしたいと思う。
最近、妹が姉に憧れている姿を見て、お父さんはとてもいいことだなと思いました。
「お姉ちゃんみたいになりたい」
そう思える人が近くにいることは、とても幸せなことです。
憧れは、人を前に進ませてくれます。
「あんなふうになりたい」
「自分もできるようになりたい」
そう思う気持ちは、人生にとって大切な力になります。
でも、同時に知っておいてほしいことがあります。
憧れだけでは、その人には近づけないということです。
お姉ちゃんみたいになりたいなら、お姉ちゃんの見えている部分だけではなく、見えない努力も見なければいけない。
勉強をがんばること。
苦手なことから逃げないこと。
やるべきことを続けること。
時には我慢すること。
失敗しても、またやり直すこと。
そういう小さな積み重ねがあって、今のお姉ちゃんがいます。
人は、誰かの結果には憧れやすい。
でも、その結果の裏側にある努力や苦労には、なかなか目が向きません。
これは、大人になっても同じです。
あんな仕事がしたい。
あんな人になりたい。
あんな家庭を作りたい。
あんな生き方をしたい。
理想を持つことは、とても大切です。
でも、理想だけを見て、目の前の現実から逃げてしまうと、いつまでもそこには近づけません。
反対に、現実だけを見て理想を忘れてしまうと、人生は少しずつ苦しくなっていきます。
お父さんは、理想は遠くに見える灯台のようなものだと思っています。
そして、現実は今、自分が立っている足元です。
灯台だけを見て、足元を見なければ転んでしまう。
足元だけを見て、灯台を忘れてしまえば、どこに向かっているのかわからなくなる。
だから大事なのは、理想を忘れずに、現実から逃げないことです。
これは、リーダーとは何かという話にもつながると思っています。
お父さんは昔、劇団を運営していたことがあります。
そして今は、会社でチームリーダーとして働いています。
場所も、やっていることも違います。
でも、リーダーに必要なことは、あまり変わらないように思います。
リーダーとは、理想をみんなに語る人です。
「こういう場所にしたい」
「こういう作品を作りたい」
「こういうチームでありたい」
「こういう仕事をしたい」
そうやって、みんなに向かう先を伝えることは、とても大切です。
でも、リーダーは夢を語るだけの人ではいけません。
その理想を信じてもらうためには、誰よりも現実の中で、地道なことを続けなければいけない。
劇団なら、稽古場を押さえる。
予定を調整する。
台本を考える。
人の気持ちを聞く。
お金のことを考える。
お客さんに来てもらうために動く。
会社なら、資料を準備する。
声をかける。
確認をする。
困っている人を支える。
失敗した時にはフォローする。
面倒な調整も引き受ける。
表に見えるのは、夢やビジョンかもしれません。
でも、その夢を支えているのは、いつも地味で、目立たない作業です。
お父さんは、リーダーとは、理想を言葉にし、現実を背負う人だと思っています。
かっこいいことを言うだけでは、人はついてきません。
反対に、現実の作業だけをしていても、向かう先が見えなければ、人は不安になります。
だから、理想と現実の両方が必要なのです。
夢を語ること。
でも、足元の小さなことから逃げないこと。
憧れを持つこと。
でも、その人の見えない努力にも目を向けること。
理想を忘れないこと。
でも、今日やるべきことを大切にすること。
お父さんは、君たちに理想を持って生きてほしいと思っています。
こんな人になりたい。
こんなことをしてみたい。
こんな人生を歩きたい。
そういう気持ちは、大切にしてほしい。
でも同時に、その理想に近づくための小さな一歩から逃げない人であってほしい。
大きな夢は、突然叶うものではありません。
今日の勉強。
今日のあいさつ。
今日の片付け。
今日の練習。
今日の小さな勇気。
そういう地味な現実の積み重ねが、いつか理想につながっていきます。
理想は、人生の向かう先を照らしてくれる。
現実は、そこへ向かうための今日の一歩を教えてくれる。
どちらか片方ではなく、両方を大切にしてほしい。
理想を語れる人でありなさい。
そして、その理想を支える地味な現実から逃げない人でありなさい。
それが、お父さんが今日、君たちに伝えたいことです。