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教皇庁に犁曞指定されたゞャンヌ・ダルク䌝䞊巻・第十四章 トゥヌルずセルアンベリヌのラ・ピュセルゞャック・ゞェリュずゞャン・ゞェル゜ンの意芋曞

【アナトヌル・フランス『ゞャンヌ・ダルクの生涯』完蚳プロゞェクト】1908幎発行の名著を、膚倧な独自泚釈ずずもに珟代日本語で蘇らせる個人翻蚳プロゞェクトです。継続的な掻動維持ず出版支揎のため、䞀郚を有料公開ずしおいたす。

▌総合目次・リンク集なぜ、21䞖玀に『ゞャンヌ䌝』を完蚳するのか

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【この章のポむント】
- ç¢©å­ŠãŸã¡ã«ã‚ˆã‚‹æ„èŠ‹æ›žã®æå‡º
- ã‚·ãƒ£ãƒ«ãƒ«äžƒäž–に戎冠を急ぐよう匷く迫る
- ã‚žãƒ£ãƒ³ãƒŒãžã®åŽ‡æ‹ãšå†…é¢äž–ç•Œã®è¡šå‡º


⚠第十四章のタむトルになっおいる「ゞャック・ゞェリュずゞャン・ゞェル゜ンの意芋曞」に぀いお。吉江よしえ孀雁こがん氏の旧日本語蚳版では、

助蚀や教蚓に満ちたものではあったが、ちぢめおしたえば、
「善良なれ。信心深く匷くあれ。謙虚に慎み深くあれ」ず蚀うだけのこず

  ず、ひずたずめに芁玄されおたす。
ですが、圓時のフランス最高の碩孊人による意芋曞は、シャルル䞃䞖ずその評議䌚が「乙女ゞャンヌ・ラ・ピュセルの扱い方・付き合い方」の参考にしおおり、政治的・宗教的な時代背景を知る䞊で、きわめお重芁な資料です。長文か぀難解ですが、できるだけ忠実に翻蚳しおみたす。

14.1 包囲戊の戊埌凊理

 月日、日曜日の朝、むングランド軍はムンおよびボヌゞャンシヌ方面に撀退した。

 同日の午埌、シャトヌダン総督のフロラン・ディリ゚卿は兵士たちずずもにオルレアンの町を発ち、自身が治めるシャトヌダンの指揮所ぞず盎行した。退华䞭のゎドンむングランド人ぞの蔑称がマルシェノワに駐屯し、ル・デュノワを襲撃しようずしおいたからである。

⚠ル・デュノワLe Dunoisオルレアン公爵領内にある地域のこず。のちに、オルレアンの私生児はデュノワ䌯に叙勲されお領䞻になる。

 翌日、ラ・ボヌスおよびガティネなど、各地の隊長たちもそれぞれの故郷や城塞ぞ垰っおいった。[1119]

 月日、ゞル・ド・レ卿が連れおきた兵士たちは、報酬も接埅もおなしもなかったため、各自の意向で勝手に立ち去った。

 乙女ゞャンヌ・ラ・ピュセルも長くずどたるこずはなかった。[1120]

 町の人たちが神に感謝を捧げる行列に参加したあず、ゞャンヌは苊難ず悲嘆のずきに助けを求めおやっおきた人々、そしお今や解攟ず歓喜のずきに去っおいった人々に別れを告げた。
 圌らは喜びの涙を流しお感謝し、自分たちの財産を奜きなように䜿っお欲しいず申し出た。ゞャンヌは圌らに優しく感謝を述べた。[1121]



 囜王は、自身の支配䞋にある町、特にラ・ロシェルずナルボンヌの䜏民に向けお、オルレアンから戊況が届いた月日の倜から10日の朝にかけお、回に分けおシノンから曞簡を送った。

 囜王はこの曞簡で、サン・ルヌ、レ・オヌギュスタン、レ・トゥヌレルの砊を奪取したこずを報告し、各地の䜏民に、神に感謝するよう促した。そしお、オルレアンで成し遂げられた偉業、特に「これらの偉業が成し遂げられたずき、垞にそこにいた」乙女を称えるよう呌びかけた。[1122]

 囜王の暩力王暩は、オルレアン勝利におけるゞャンヌの圹割をこのように衚珟した。

 ここに蚘されおいるゞャンヌの功瞟は、決しお指揮官隊長のものではない。ゞャンヌはいかなる指揮暩も持っおいなかった。
 だが、神によっお遣わされたず、少なくずもそう信じられるゞャンヌの存圚は、オルレアンに救いず慰めをもたらした。



 ゞャンヌは数人の貎族ずブロワに戻り、そこで日ほど滞圚し[1123]、それから王が到着する予定のトゥヌルぞ向かった。[1124]

 聖霊降臚祭む゚ス・キリストが埩掻した埌、50日目に、集たっおいた匟子たちの前に聖霊が降臚しお教䌚が誕生したこずを蚘念する祝祭日前の金曜日にゞャンヌはトゥヌルぞ着いたが、シノンを発ったシャルル䞃䞖はただ来おいなかった。

 ゞャンヌは旗を手に持ち、王を出迎えるために銬で出かけた。
 王を芋぀けるず垜子を取り、銬䞊でできるだけ深々ず頭を䞋げた。
 囜王はフヌドを䞊げ、ゞャンヌに顔を䞊げるように呜じ、キスをした。

 囜王はゞャンヌず再䌚しお喜んだず蚀われおいるが、実際にどう感じたか、本心はわからない。[1125]

14.2 ゞャック・ゞェリュの意芋曞神の救枈が䞎えられた理由

 1429幎月、王はゞャック・ゞェリュから乙女ゞャンヌ・ラ・ピュセルに関する意芋曞を受け取った。おそらく王自身は読たず、聎眪叞祭が代わりに読んだのだろう。
 か぀お王倪子の顧問を務め、珟圚はアンブラン倧叞教のゞャック・ゞェリュ[1126]は、圓初、王の敵が王を毒殺するためにこの矊飌いの少女を送り蟌んだのではないか、あるいは圌女が悪霊に取り憑かれた魔女ではないかず恐れおいた。

⚠アンブランEmbrunフランス東南郚、むタリアずの囜境に近い王倪子領ドヌフィネにある。アルプス山脈のふもずに䜍眮する。

 ゞェリュは圓初、性急に拒絶するのではなく、乙女を慎重に尋問しお泚意深く芳察するこずを勧めおいた。なぜなら、倖芋第䞀印象は欺くものであり、神の恩寵は人に理解できない神秘的な方法で動くからである。

 しかし、ポワティ゚の神孊者たちの結論を読み、オルレアンの解攟を知り、庶民の叫びを聞いた今、ゞャック・ゞェリュはもはや乙女の無実ず善良さを疑わなかった。

 神孊者たちの䞭でゞャンヌに察する意芋が分かれおいるのを芋お、ゞェリュは短い論文を曞き䞊げ、非垞に詳现で、非垞に謙虚で、非垞に䟡倀のある献蟞献呈の曞簡を添えお囜王に送った。



 その頃、ランス倧聖堂の舗装にはコンパスず定芏で迷路ラビリンスが描かれおいた。[1127] 忍耐匷く根気のある巡瀌者たちは、その曲がりくねった道をすべおたどった。

 アンブラン倧叞教ゞャック・ゞェリュの意芋曞もたた、緻密に蚈画されたスコラ哲孊的な迷路のようだ。

 前進するのは埌退するためであり、埌退するのは前進するためである。
 だが、十分な忍耐ず泚意を払っお歩けば、完党に道に迷うこずはない。

 すべおのスコラ哲孊者ず同様に、ゞェリュはたず自分の意芋に反する理由を述べる。反論者の䞻匵にしばらく付き合った埌、ようやく自分の意芋に取り掛かる。

 ゞェリュの耇雑な思考迷路をすべお理解するには、時間がかかりすぎるだろう。

 だが、囜王の偎近たちがこの神孊論考意芋曞を参考にしたこず、この意芋曞が囜王宛おだったこず、囜王ずその評議䌚がゞャンヌに察する評䟡ず察応をこの意芋曞に基づいお決定した可胜性がある。特異な状況䞋で、圌ら囜王ずその評議䌚が䜕を教えられ、䜕を掚奚されおいたのかを知りたいず思うのは圓然だろう。



 たず初めに教䌚の幞犏に぀いお論じおから、ゞャック・ゞェリュは「神が異端者を打ち負かすために乙女を立ち䞊げた」ず䞻匵する。圌の芋解によれば、異端者の数は決しお少なくない。

「神を信じる者を、信じおいないかのように混乱させるために」

「その衣ず腿に『王の王、䞻の䞻』ずいう名が蚘されおいる党胜の神は、身分の䜎い子䟛の手によっおフランス王を救うこずを喜ばれた望たれた」

 アンブラン倧叞教は、シャルル䞃䞖に神の救枈が䞎えられた理由を぀挙げおいる。

囜王の倧矩の正圓性
囜王の祖先の驚くべき功瞟
敬虔な魂の祈りず抑圧された人々の嘆き
王囜の敵の䞍正矩
むングランド囜民の飜くこずのない残酷さ

 神が軍隊を打ち砎るために乙女を遞んだこずは、ゞェリュにずっおたったく驚くべきこずではない。

「神は、人間の傲慢さをくじくために、パやノミなどの虫を創造した」

 これらの小さな生き物は、し぀こく私たち人間を悩たせ疲れさせ、私たちが勉匷したり行動したりするこずを劚げる。どんなに自制心が匷い人でも、ノミがはびこる郚屋で䌑むこずはできない。

 貧しく身分の䜎い䞡芪から生たれ、卑しい劎働に埓事し、蚀葉では蚀い衚せないほど無知で単玔な若い蟲民の手によっお、神は傲慢な者を打ち倒し、圌らを謙虚にさせ、滅びゆく者を救う。そうするこずで、神の嚁厳を明らかにするこずを喜ばれた望たれた。

14.3 ゞャック・ゞェリュの意芋曞乙女を倩䜿だず信じる理由

 たた、至高の神が、ナリの王囜フランス王囜に関する蚈画を乙女に明らかにしたずしおも驚くには圓たらない。
 かねおより神は、凊女に予蚀の力を授けおいる。すべおの異邊人に隠されおいた神秘を、シビュラ巫女、女預蚀者に明かすこずを神は喜ばれた望たれた。

 ニカノヌル、゚りリピデス、クリシッポス、ネンニりス、アポロドロス、゚ラトステネス、ヘラクレむデス・ポンティコス、マルクス・テレンティりス・りァロ、そしおラクタンティりスの暩嚁に基づき、ゞャック・ゞェリュは「歎史䞊、シビュラは10人いた」ず教えおいる。
 ペルシャ人、リビア人、デルフォむ人、キンメリア人、゚リュトラむ人、サモス人、クマ゚人、ヘレスポント人、フリギア人、そしおティブルティりス人の10人である。

 10人のシビュラは異邊人に察しお、①神の栄光ある受肉、②死者の埩掻、③䞖界の終焉を予蚀した。圌女たちの先䟋は、ゞャンヌに぀いお考察するにあたり考慮に倀するず思われる。



 ゞャンヌ自身に぀いおは、䞍可知の存圚である。
 アリストテレスは、こう教える。

「知性の䞭に存圚するものは、
 たず感芚を通じお経隓したものでないものは䜕䞀぀ない。
 そしお、感芚は、経隓の範囲を超えお理解するこずはできない」

⚠補足スコラ孊の公理「感芚に先んじお知性に存圚するものはないNihil est in intellectu quod non prius fuerit in sensu」を蚳したもの。

 しかし、粟神マむンドが盎接的に理解できないこずでも、迂回しお間接的に理解できるようになる堎合がある。

 未熟な人間が知るこずができる範囲で、ゞャンヌの業瞟を考慮するず、「この乙女は神から遣わされたものである」ず蚀わざるを埗ない。

 圌女は歊噚を取るこずを遞んだが、残酷な行為を勧めるこずはなかった。
 敵が圌女の慈悲にすがったずき、圌女は慈悲深く接し、和平を申し出た。

 最埌に、アンブランの倧叞教ゞャック・ゞェリュは、「この乙女は䞇軍の䞻である神が人々を救うために遣わした倩䜿であるず、私は信じる。圌女が倩䜿の本性性質を持っおいるからではなく、倩䜿の職務務めを果たしおいるからである」ず述べおいる。

14.4 ゞャック・ゞェリュの意芋曞王の行動指針

 この驚くべき状況においお、王が埓うべき行動指針に぀いお。
 ゞャック・ゞェリュは、「戊争においお、王は人間の知恵に埓っお行動すべきである」ずいう意芋を述べおいる。

「汝の神、䞻を詊しおはならない」

 もし人間が自分の䜿呜においお、それ知性を利甚しないのであれば、人間に胜動的な粟神が授けられたこずが無駄になっおしたう。

 迅速な実行の前には、長い熟考が必芁である。
 神の助けは、女性の願いや懇願によっお埗られるのではない。
 繁栄ずは、行動ず助蚀の成果賜物である。



 神の霊感を拒んではならない。したがっお、乙女ゞャンヌ・ラ・ピュセルの意志は、たずえそれが疑わしく、間違っおいるように芋えおも、成就されなければならない。

 もし、乙女の蚀葉が確かなものであるず刀明した堎合、王は圌女に埓い、圌女が蚗された䜿呜の遂行を神に委ねなければならない。

 もし王に䜕らかの疑い疑念が生じた堎合は、人間の知恵よりもむしろ神の知恵に頌るべきである。なぜなら、有限を無限ず比范するこずができないように、人間の知恵を神の知恵ず比范するこずはできないからである。

 したがっお私たちは、この子䟛を遣わした神は、「人間の助蚀よりも優れた助蚀を圌女に䞎えるこずができる」ず信じなければならない。



 このアリストテレス的な掚論から、アンブラン倧叞教ゞャック・ゞェリュは二぀の結論を導き出しおいる。

「䞀方では、戊闘の指揮、兵噚、はしご、その他すべおの戊争道具の䜿甚、橋の建蚭、十分な物資の配送、資金の調達、そしお奇跡なしではいかなる事業も成功し埗ないすべおの事柄においお、この䞖の知恵に頌らなければならないこずを理解しおもらいたい。

しかし、他方で、神の知恵が䜕か特別な方法で働いおいるこずが明らかな堎合、人間の理性は謙虚になり、退くべきである。そのずきこそ私たちは、乙女の助蚀を求め、探求し、受け入れなければならないず私は考える。

呜を䞎える者は、呜を支えるための手段を䞎えおくださる。
神は、働き手たちに、仕事に必芁な道具を授けおくださる。

それゆえに、私たちは神を信頌しよう。
神は、王の倧矩をみずからのもの倧矩ずする。
それを支える者には、勝利に必芁な知恵を授けおくださる。
神は、いかなる仕事も䞍完党なたたにはしない」



 ゞェリュは、「乙女が聖なる考えを呌び起こし、敬虔な行いをする」こずを理由に、乙女を王に掚薊し、この意芋曞を締めくくっおいる。

「王に、神の目にかなうこずを毎日行い、それに぀いお乙女ず話し合うようにすすめる。乙女の助蚀を受けたら、それを敬虔か぀熱心に実践するように。そうすれば、神は王から手を離すこずなく、王に愛ず優しさを䞎え続けるだろう」[1128]

14.5 ゞャン・ゞェル゜ンの意芋曞老いたオルレアン掟

 か぀おパリ倧孊で総長を務めた偉倧な神孊者ゞャン・ゞェル゜ンは、1429幎圓時、圌の兄匟が修道院長を務めおいたリペンのレ・セレスタン修道院で晩幎を過ごしおいた。

 圌の人生は、仕事ず疲劎に満ちおいた。[1129]

 1408幎、圌はパリのサン・ゞャン・アン・グレヌノ教䌚の叞祭だった。
 その幎、圌は教区教䌚で、ブルゎヌニュ公の呜什で暗殺されたオルレアン公の葬儀挔説をおこない、矀衆の怒りを激しく煜ったため、呜を倱う危険にさらされた。

 コンスタンツ公䌚議では、異端者を火あぶりにするこずを匷いた、いわゆる「慈悲深い残酷さ」に取り憑かれ[1130]、皇垝から安党通行蚌を䞎えられおいたダン・フスの有眪刀決を促した。
 公䌚議に集たっおいたすべおの教父たちず同じく、ゞェル゜ンもたた「神ず人間の法にしたがい、カトリック信仰に有害な堎合はいかなる玄束も守られるべきではない」ず信じおいたからである。

 ゞェル゜ンはダン・フス断眪ず同じ熱意で、ゞャン・プティによる暎君殺害の合法性に関する意芋曞を非難し、公䌚議で有眪刀決を求めた。

⚠ゞャン・プティJean Petitパリ倧孊の神孊者。ブルゎヌニュ無怖公の王匟殺害を正圓化し、被害者の王匟オルレアン公を䞍敬眪で告発した䞊に「暎君王匟殺害は囜家のためである」ず無眪を䞻匵した。本皿のゞャン・ゞェル゜ンは、プティの挔説ずブルゎヌニュ無怖公の犯眪を匷く非難した。

 䞖俗的なこずも粟神的なこずも、ゞャン・ゞェル゜ンは統䞀された服埓ず確立された暩嚁ぞの敬意尊重を䞻匵した。

 ある説教で、ゞェル゜ンはフランス王囜を『ネブカドネザルの像』に䟋え、商人ず職人を像の足ずし、「その足は、䞀郚は鉄、䞀郚は粘土でできおいる。それは、奉仕ず服埓における圌らの劎働ず謙虚さのためである 」ず述べた。
 鉄は劎働を、粘土は謙虚さを意味する。すべおの悪は、王ず偉倧な垂民が身分の䜎い者たちに服埓させられるこずから生じおいる。[1131]

⚠ネブカドネザルの金の像旧玄聖曞『ダニ゚ル曞』に登堎するバビロニアの王。王が倢で芋た金の像を建立し、民衆にひれ䌏すように呜じた。ダニ゚ルたち人は拝たなかったため火の炉に投げ蟌たれたが、「第四の者倩䜿たたは受肉前のキリスト」に救い出された。



 苊しみず悲しみに打ちひしがれたゞェル゜ンは、今や、幌い子䟛たちに教えを説いおいた。「改革は圌らから始めなければならない」ず信じお。[1132]

 オルレアン垂の解攟は、老いた「オルレアン掟」の支持者であるゞェル゜ンの心を喜ばせたに違いない。

⚠オルレアン掟アルマニャック掟の前身。フランス王囜の内乱に぀いお、元をただせば、シャルル六䞖発狂で摂政の座をめぐり、王匟オルレアン公ず無怖公ブルゎヌニュ公が宮廷闘争を繰り広げた末に、王匟が殺害されたこずが発端。

 シャルル䞃䞖の顧問たちは、乙女ゞャンヌ・ラ・ピュセルに仕事をさせるこずに熱心で、ポワティ゚での審議の経緯をゞャン・ゞェル゜ンに䌝えた。そしお、フランス王家の忠実な臣䞋ずしお、圌の意芋を求めた。

 それに応えお、ゞェル゜ンは乙女に関する簡朔な意芋曞を曞いた。

14.6 ゞャン・ゞェル゜ンの意芋曞信仰ず献身を区別する

 この意芋曞の䞭で、ゞェル゜ンは終始「信仰faithの問題ず献身devotion、信心の問題を区別するこず」に泚意を払っおいる。

 信仰の問題に関しおは、疑うこずは犁じられおいる。
 献身の問題に関しおは、俗っぜい衚珟をすれば、䞍信心者が必ずしも眪に問われるわけではない献身的じゃないからずいっお地獄に萜ちるわけではない。

 ある事柄を、信仰の問題ずしお扱うには぀の条件が必芁だ。

それは啓発的教化的でなければならない。
それは劥圓であり、䞀般の評刀や信者の蚌蚀で裏付けられおいなければならない。
それは、信仰に反するいかなる内容にも觊れおはならない。

 ぀の条件がそろっおいる堎合、䞀抂に非難したり承認したりするのではなく、教䌚に刀断を仰ぐのが適切である。

 䟋えば、聖母マリアの受胎、免眪笊、聖遺物に぀いお。これらは信仰の問題であり、献身の問題ではない。

 聖遺物は、耇数の堎所に存圚し、同時に厇拝されるこずがある。
 最近、パリ高等法院は、フランスのサン・ドニずパリの倧聖堂カ所で厇拝されおいる聖ドニの頭郚に぀いお論争した。これは献身の問題である。[1133]

⚠聖ドニSaint Denysフランスの守護聖人。パリの叞教。パリ近郊のモンマルトルの䞘で斬銖刑に凊せられたが、遺䜓は斬り萜ずされた自分の頭を拟い䞊げ、説教しながら数キロ歩いた。圌が立ち止たり絶呜した堎所に瀌拝堂が建おられ、歎代フランス王の霊廟サンドニ倧聖堂になった。

 したがっお、乙女ゞャンヌ・ラ・ピュセルに関する事柄を、献身の問題ずしお考えるこずは劥圓であるず結論づけられる。特に、圌女の動機が、囜王の王囜を回埩するこず、頑固な敵を正圓に远攟たたは滅がすこずだったず考えれば、なおさらである。

 圌女の無駄話、軜薄さ、狡猟さに぀いおも、さたざたな意芋がある。
 ならば、今こそカトヌの蚀葉を匕甚すべきだ。

「䞖間の評刀は、我々の刀断基準裁刀官ではない」

 䜿埒の蚀葉によれば、神のしもべを疑うのはよくない。
 刀断を差し控えるか、疑わしい点に぀いおは教䌚の長にゆだねる方がはるかに良い。

 これは聖人の列聖においお、教䌚が埓う原則である。
 聖人のリスト目録は厳密に蚀えば、必ずしも信仰の問題ではなく、敬虔な献身の問題である。

 したがっお、いかなる人であっおもゞャンヌの振る舞いに぀いお厳しく非難するべきではない。



 今回の件に぀いおいえば、以䞋の状況に泚目する必芁がある。

 第䞀に、王宀の評議䌚ず兵士たちは、圌女を信じお埓うよう促された。少女の指揮䞋で敗北した堎合、恥をかく危険に盎面した。

 第二に、人々は歓喜しおおり、圌らの敬虔な信仰は、神の栄光ず敵の混乱に぀ながった。

 第䞉に、敵は、君䞻さえ隠れおおり、倚くの恐怖に襲われおいる。
 圌らは、身重の女性のように匱さに屈する。モヌセの姉ミリアムが小倪錓を手に、圌女に埓う女性たちずずもに歌い螊っおいたずきの゚ゞプト人のように、圌らは打ち倒される。

「䞻に歌え、䞻は栄光のうちに勝利を収め、銬ずその乗り手を海に投げ蟌たれた」[1134]

 私たちも、それぞれの立堎・状況にふさわしい献身をもっお、ミリアムのように歌を歌おう。

⚠ミリアムMiriam旧玄聖曞に登堎する女預蚀者。モヌセの姉。むスラ゚ルの民を率いおモヌセが゚ゞプトを脱出した時、远いかけおきたファラオの軍勢が玅海に飲み蟌たれた。ミリアムは小倪錓を手に、仲間の女性たちの音頭をずっお歌い螊った。

14.7 ゞャン・ゞェル゜ンの意芋曞男装に぀いお

⚠小芋出しタむトル「男装に぀いお」は䞉぀星たで飛ばしおください。

 第四に、そしお結論ずしお、この点は考慮に倀する。乙女ゞャンヌ・ラ・ピュセルずその兵士たちは、人間の知恵を軜蔑せず、神を詊さない。

 それゆえ、乙女は、神から受けたず解釈される指瀺や啓瀺以䞊のこずをしないのは明らかである。



 圌女の人生に぀いお、幌少期からの倚くの出来事が豊富に収集されおおり、ここで匕甚するこずもできるが省略する。

 ここでは、デボラ、50人の博士や修蟞孊者を奇跡的に改宗させた聖カタリナ、ナディト、ナダ・マカバむの先䟋を匕甚するのがふさわしい。よくあるこずだが、圌女たちの人生には、玔粋か぀自然な状況が倚くあった。

 最初の奇跡の埌に、人々が期埅する他の奇跡が続くずは限らない。

 たずえ乙女が、圌女自身ず人々の期埅を裏切った倱望する結果になったずしおも——神よ、そんなこずがありたせんように——、そのこずを根拠に、圌女が起こした最初の奇跡たでも「倩の恵みではなく悪霊から生じたものだ」ず結論づけるべきではない。

 むしろ、人々の恩知らずず冒涜のせいで、あるいは神の正圓で䞍可解な裁きによっお、私たちは裏切られたのだず考えるべきだ。私は、神が私たちに察する怒りを捚お、神の恩恵を䞎えおくださるよう懇願する。



 ゞャン・ゞェル゜ンの意芋曞には、①王ず王家の血を匕く者、②王の軍隊ず王囜、③聖職者ず民衆、④乙女ゞャンヌぞの教蚓が芋受けられる。

 教蚓の目的はすべお同じだ。すなわち、神に捧げられ、他者に察しお公正で、節床があり、高朔で、穏やかで、善良な生掻を心がけるこず。

 乙女ゞャンヌぞの特別な教蚓に関しおは、
 圌女に啓瀺された神の恵みに぀いお、小さなこずたで気を配るこず。
 䞖俗的な利益、党掟的な憎悪、暎力的な扇動、過去の行為ぞの埩讐、愚かな自己顕瀺のためにそれ神の恵み・奇跡を甚いるのではなく、柔和さ、祈り、感謝に甚いるべきである。

 そしお、平和が確立され、正矩が再び執行され、敵の手から解攟され、神が私たちに奜意を寄せ、私たちは神聖さず正矩をもっお神に仕えるこずができるように、すべおの人が珟䞖の財産を惜しみなく提䟛しよう。



 ゞェル゜ンはこの意芋曞の結論で、ポワティ゚の神孊者たちが芋萜ずしおいた教䌚法の䞀点に぀いお簡単に考察しおいる。

 圌は、乙女が男性の服装をするこずは犁じられおいないず断蚀しおいる。

 たず第䞀に、叀代の法埋は、女性が男性の服装をしたり、男性が女性の服装をしたりするこずを犁じおいた。この制限は、厳密な法的芳点から蚀えば、新しい法埋では斜行されなくなった。

 第二に、この法埋服装芏定は、道埳的な意味においお䟝然ずしお拘束力を持぀。しかし、これは単に瀌儀の問題にすぎない。

 第䞉に、法的および道埳的な芳点から、この法埋服装芏定は、正矩の敵を蚎぀ために倩の王神が階手に任呜した乙女に、男性的な軍服を着るこずを拒吊するものではない。神の力の働きにおいお、目的は手段を正圓化する。

 第四に、聖なる歎史ず䞖俗的な歎史の䞡方から、特にカミラずアマゟネスの先䟋を匕甚するこずができる。

⚠カミラCamillaロヌマの建囜神話をもずにしたりェルギリりスの叙事詩『ア゚ネむス』に登堎する女戊士。

⚠ アマゟネスAmazonsギリシア神話に登堎する女性だけの郚族。実圚した母系郚族で、女性の地䜍が高く、女性も戊う蚓緎を積んでいた。

 ゞャン・ゞェル゜ンは、オルレアン解攟の週間埌の聖霊降臚祭の日曜日にこの意芋曞を完成させた。これが圌の最埌の著䜜ずなった。

 1429幎月、圌は65歳で亡くなった。[1135]

 この意芋曞は、亡呜䞭の偉倧な倧孊博士の政治的遺蚀である。
 乙女によるオルレアン勝利は、圌の人生の最埌の数日間を喜ばせた。圌は死にゆく声でミリアムの歌を歌う。

 しかし、この喜ばしい出来事に察するゞェル゜ンの歓喜には、掞察力のある長老の悲痛な予感が混じっおいる。

 乙女の䞭に、人々を喜ばせ啓発する性質歓喜ず教化の察象を芋出す䞀方で、ゞャンヌが呌び起こす垌望がすぐに倱望されるのではないかず、ゞェル゜ンは恐れおいる。

 勝利のずき、すなわち今、ゞャンヌを称える人々に、灜難の日に圌女を芋捚おないようにず譊告しおいる。

14.8 意芋曞の総括「王は乙女をむやみに信じるな、ただし民衆には信じさせよ」

 ゞャン・ゞェル゜ンの冷静で緻密な意芋曞は、前述したゞャック・ゞェリュのより豊かで華麗な意芋曞ず根本的に異なるものではない。どちらも同じ理由、同じ裏付けを含んでおり、結論では、䞡者ずもポワティ゚の審理に同意しおいる。

 ポワティ゚の孊者たち、アンブラン倧叞教ゞャック・ゞェリュ、パリ倧孊の元総長ゞャン・ゞェル゜ンなどアルマニャック掟の神孊者党員にずっお、乙女ゞャンヌ・ラ・ピュセルの件は信仰faithの問題ではない。

 教皇ず公䌚議が刀断を䞋す前に、どうしおそうなり埗ようか
 乙女を信じるか信じないかは人々の自由である。

 しかし、ゞャンヌの存圚は、教化・啓発人々の暡範の察象になりうる。偏芋の目で疑い続けるよりも、心を開き、キリスト教の信仰に埓っお、長い目で熟考するこずがふさわしい。

 ゞェル゜ンの助蚀に埓っお、ゞャンヌに奜意的な人は「乙女は神から遣わされた」ず信じるだろう。それは、パリの倧聖堂やフランスのサン・ドニ修道院教䌚で、信者が聖ドニの銖を厇拝し、本物だず信じおいるのず同じである。

 圌らは、文字通りの真実よりも霊的な真実を重芖し、あたり深く探究しお眪を犯すこずはないだろう。

⚠最埌の䞀文をわかりやすく補足
①文字通りの真実よりも霊的な真実を重芖し
衚面的な事実や蚌拠にこだわりすぎるのではなく、その背埌にある粟神的な意味合いや信仰の重芁性を理解しようずするこずを勧めおいる。圌女が本圓に神の声を聞いたのかどうかを厳密に蚌明しようずするのではなく、圌女の信仰が人々に垌望を䞎え、囜を救う原動力になったずいう事実を重芖するずいうこず。
②あたり深く探究しお眪を犯すこずはないだろう
ゞャンヌの奇跡や神聖さを疑い深く詮玢しすぎるず、信仰を損ない、神を冒涜する眪を犯す可胜性があるずいう譊告。圌女の蚀動を现かく分析し、矛盟や䞍合理な点を指摘するこずに固執するのではなく、圌女の信仰を受け入れ、その粟神的な䟡倀を尊重するこずが重芁だず述べおいる。

 ようするに、意芋曞は、囜王ずその評議䌚にそれほど圱響を䞎えなかった。
 どちらの意芋曞も蚓戒に満ちおいたが、そのどれもが「善良であれ。敬虔であれ。匷くあれ。考えは謙虚で思慮深くあれ」ず蚀っおいるに過ぎなかった。

 最も重芁な点、すなわち「ゞャンヌを戊争遂行にどう生かすか」ずいうこずに関しお、アンブラン倧叞教ゞャック・ゞェリュは賢明にも次のように勧めた。

「乙女が呜じたこずを、人の思慮深さで吟味しお遂行せよ。
 それ以倖のこずは、敬虔な行いず献身的な祈りに身を捧げよ」

 この助蚀は、ゎヌクヌル卿のような隊長や、トレノ卿のような高朔な人物にずっお、いくぶん圓惑困惑するものだった。

 聖職者たちは、囜王に刀断ず行動の完党な自由を䞎え、最終的に「乙女を信じないように」、しかし民衆ず兵士たちには「乙女を信じさせるように」ず助蚀したようだ。

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