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赤、白、みどり- 本物のマルゲリータ

    磯崎シンゴ


    ミラノに来て間もない頃、僕の知っている「ピザ」は、コーンやツナやマヨネーズが所狭しと乗った、にぎやかな食べ物だった。

    だから、運ばれてきた一枚を見て、正直うろたえた。
    赤いトマトソース。白いモッツァレラ。そこに、緑のバジルが数枚。
    それだけ。

    (具は……これで全部?)

    中央は少し汁気を帯びて、フォークを入れるとくたっと沈む。縁だけがぷっくりと膨らみ、薪窯の焦げが豹のような斑を描いていた。

    ひと口。
    熱で溶けたモッツァレラが、ミルクの匂いと一緒に伸びる。トマトの酸味は思ったより鋭く、そこへバジルの青い香りがすっと差し込む。生地は、噛むと香ばしく、奥で小麦が甘い。

    足りないどころではなかった。
    むしろ、これ以上のせたら、全部が濁ってしまう。

    赤、白、緑。イタリアの三色旗。
    その昔、女王マルゲリータに捧げられたという言い伝えのとおり、たった三つの色だけで、一枚の絵のように完結していた。

    本物とは、足すことではなく、引くことなのかもしれない。
    素材に自信があるから、隠す必要がない。
    言葉も通じない異国で、僕はピザ一枚から、そんなことを教わった。
    タバスコをもらおうとしても「なんだそれは?」の世界(笑)
    あとからタバスコに変わるオリオ・ピッカンテというものがあることを
    知りました。

     
     
     
    ミラノ在住経験6年。イタリアの食卓の「へぇ!そうなんだ」を毎日エッセイ&4コマ漫画でお届け。カプチーノは午前だけ?魚介にチーズはNG?——日本の常識と真逆の世界へようこそ。『シンゴのイタリア食卓』連載中🍝

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