メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【企業再生#18】全国の“追いつけなかった企業”を救うモデルへ|印刷・看板制作会社の再生プロジェクトVol.5

    破産寸前の会社に、希望の道は残されているのか──。

    実際に再生支援の現場に立ち会った私が、再建に挑んだ企業の「リアル」を記録します。

    今回のクライアントは印刷・看板制作会社の事例です。

    その事業再生事例を5話に渡って綴ります。"机上の空論ではない"事業再生の記録です。

    経営に悩む方、再建を模索する方、支援を仕事にする方にとって、現場感のあるヒントとなれば幸いです。

    ▼印刷・看板制作会社の再生プロジェクトの第1話~はこちらから▼

    ▼過去の事業再生事例はマガジンからご覧ください▼


    第5話|「破産しない」という決断と、その後の道筋


    再生スキームの実行から約1年が経過した。

    印刷と看板製作を生業とするこの地場企業は、第二会社を立ち上げ、少しずつではあるが新しい地盤を築き始めていた。

    そして、このフェーズで最も重要だったのが「第一会社と代表個人の扱い」である。


    ■ 破産は“選ばない”という選択


    通常、第二会社方式を採用する際、第一会社は破産または特別清算に至るケースが多い。

    だが今回は、破産は選ばなかった。

    理由は明確だ。

    • 第一会社の主な負債は、借入と税金・社保滞納。債権者の数が限定されていたこと。
    • 代表者個人保証の範囲が読み切れていたこと。
    • 「破産することで失われるもの」と、「破産せず時間を稼ぐことで得られる再建の可能性」を天秤にかけた結果、後者の方がメリットが大きかったからである。


    ■ 税金・社保への対応は“粘り強く”


    当初から問題だったのが、税金・社会保険料の滞納分。総額は約2,000万円にのぼった。

    ・社会保険料については、時効(原則2年)を見据えて、無理に支払うことはせず、督促が届いても耐える方針を取った。
    ・税金については、あくまで“第二会社での利益”の範囲内で少しずつ支払っていくことで、第一会社名義での差し押さえを防ぐバランスを保った。

    もちろん、これは“逃げ”ではない。

    時間を稼ぎながら、確実に支払える手段を見極め、段階的に対応していくための戦略的判断だった。


    ■ 代表個人の借入は「放置」、債権譲渡を待つ


    代表個人には、第一会社の借入に連帯保証していた案件も複数存在した。

    破産という選択肢も当然浮かんだが、最終的には自己破産は行わず、“放置”する道を選んだ。

    なぜなら、これらの債権の多くは、時期が来れば債権回収会社などに譲渡されることが想定されていたからだ。

    実際、金融機関からの督促はすでに減少傾向にあり、一部はサービサー(債権回収会社)への譲渡が進みつつある。

    ここから先は、「元金だけ返す形」での和解交渉が可能になる可能性が高い。

    この交渉は、返済原資の目処がついたタイミングで行う予定だ。


    ■ 再生支援のゴールは「自立」


    このように、第一会社・代表個人・第二会社それぞれの立場で、適切なリスク分散と対応を進めてきた。

    そして今、ようやく第二会社では:
    • 月商が安定的に600万円を超え
    • 主要取引先との関係も再構築され
    • ECサイト経由の売上も上昇傾向にあり

    キャッシュフローの見通しが立ち始めている。

    ここで重要なのは、「我々の関与が永続するわけではない」ということ。

    最終的には、自分たちで資金繰りを管理し、営業を仕掛け、人を育て、未来を描いていくことが必要だ。


    ■ 全国の“追いつけなかった企業”を救うモデルへ


    代表には、ひとつのビジョンがある。

    「自分たちと同じように、時代の変化についていけなかった会社を、もう一度立て直せる仕組みを作りたい」

    シルクスクリーン印刷を軸に成長してきたこの会社が、時代に置いていかれた。

    同様の課題を抱える印刷業・看板業・製造業の中小企業は、全国に存在する。

    今後、この会社が中心となり、再生案件に特化した支援ネットワークを形成していく構想がある。

    すでに、協力関係にある法人との打ち合わせも始まっている。


    ■ おわりに:再生は“再起”の第一歩


    今回のケースでは、第二会社方式の典型的な成功モデルと言える道を歩み始めている。

    ただし、それは「再生のスタート地点に立てたに過ぎない」という意識が必要だ。

    本当の意味で、社会的信用と持続可能な収益モデルを再構築できるかは、ここからの数年にかかっている。

    我々としても、引き続きこの会社を支えながら、より多くの“追いつけなかった会社”のための支援モデルを磨いていきたい。


    🙌終わりに


    最後までお読みいただき、ありがとうございました!
    この記事が少しでもあなたのお役に立てたらうれしいです!

    スキ・コメント・フォローなどいただけますと嬉しいです。
    今後とも有益な情報を発信していきますのでよろしくお願いいたします。
    もし、

    • 今まさに資金繰りが苦しい

    • 税や社保の滞納がある

    • 経理が属人化していて、現金の流れが不透明

    • 社内に不正の可能性がある

    といった悩みを抱えている方がいれば、ぜひ一度ご相談ください。匿名でも構いません。まずは、無料の個別相談であなたの状況を整理し、次の一手を共に考えませんか?


    ~進撃の事業再生屋 プロフィール~

    ~以下掲載中のマガジン・有料記事です~

    ①事業再生事例


    事業が失敗した、破産・倒産したい、弁護士に相談しても断られてしまった・・・そんな方に読んでいただきたい、事業再生の事例をまとめました。

    【有料記事:第二会社方式”完全ガイド”】


    上記の事業再生事例は第二会社方式を活用した再生事例が大半です。その第二会社方式を使った事業再生方法のガイドを作成しました。

    このガイドを読むことで、破産せずに、会社を守り抜くための現実的な方法を知っていただくことができます(有料記事になります)

    ②数字は語る、経理の不正


    実際の経理の現場で起こった不正から考える、管理体制のあり方とは?
    一人経理の多い中小企業、信頼関係だけで決済できる体制になっていませんか?

    私が実際に行ってきた横領調査や相談内容をもとに、バックオフィスをどのように構築すればいいのかを書いていきます。

    ③「倒産寸前からの逆転劇」——経営者のための再生ノート

    「会社が潰れそう」「差押え通知が届いた」「銀行から電話が鳴り止まない」――。

    そんな経営者にこそ読んでほしい、リアルな再生の知恵と選択肢をまとめました。

    自己破産、第二会社方式、競売、任意売却、リースバック…実務経験をもとに、現場で使える情報をお届けします。


    ~サイトマップ🌟リンク付き全記事一覧~

     
     
    弁護士に「破産しかない」と言われた経営者と最後まで戦う元銀行員。銀行員15年・再生屋10年、第二会社方式での再生100件超、累計300件の事業再生に伴走。諦めなかった社長と、共に進む。 X→https://x.com/shingeki_saisei

    あなたへのおすすめ