
【事業再生#13】再生プロジェクト失敗で見えたもの|多店舗展開美容室の再生プロジェクト失敗事例vol.3
破産寸前の会社に、希望の道は残されているのか──。
実際に再生支援の現場に立ち会った私が、再建に挑んだ企業の「リアル」を記録します。
今回のクライアントは中国地方の美容室多店舗経営法人。
今回は再生の失敗事例になります。
その事業再生失敗事例を3話に渡って綴ります。"机上の空論ではない"事業再生の記録です。
経営に悩む方、再建を模索する方、支援を仕事にする方にとって、現場感のあるヒントとなれば幸いです。
▼美容室多店舗経営法人の再生失敗事例の第1話~はこちらから▼
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【第3話】「事実を直視できなければ、再生はない」──契約解除とその先に残ったもの
三者面談のあと、数日が経過した。社長から連絡があったのは、ある平日の昼過ぎだった。
「申し訳ない。やっぱり今回は、契約を解除させてもらいたい」
その声には、疲弊と迷い、そして覚悟が混ざっていた。
📩 契約解除──再生支援は“信頼”が前提
私たちが行う再生支援は、初期段階ではほとんど報酬をいただかない。
相手企業には資金的余裕がないことが多く、まずは経営の立て直しを優先し、ある程度見通しが立ってから報酬を調整していく。
今回も着手からわずか2ヶ月程度。
報酬はまだ受け取っていなかった。
とはいえ、我々にとって損だったとは思わない。
この2ヶ月で、社内の構造や数字のクセ、人間関係まで徹底的に洗い出すことができた。
だが、再生支援は“手法”だけでは成り立たない。
“信頼”と“事実に向き合う姿勢”がなければ、どんなスキームも機能しない。
社長の「息子を信じたい」という気持ちは理解できる。
しかし、その感情が経営判断に優先してしまった時点で、再生の道は閉ざされた。
⚖ 再生支援に「正解」はない──我々の限界
契約解除にあたり、違約金などは請求しなかった。
そもそも再生支援は、相手と「同じ方向を見る」ことが前提にある。
納得のいかないまま進めても、互いにとって不幸な結果になる。
今回、私たちの提示したスキームは、正社員雇用の見直し、業務委託への移行、社保の整理、そして商品の横流し問題の是正。
どれも必要最低限の構造改革だった。
しかし、それは“痛み”を伴う。
従業員の反発、家族との軋轢、自分自身の過去との決別──
そうしたものを受け入れる覚悟がなければ、会社は変わらない。
「今のままでは沈む」という現実を前に、それでも変われない企業を、我々が無理に引っ張ることはできない。
🧾 それでも、我々がやる理由
このようなケースは珍しくない。
・数字上は再生可能に見えても、内部の人間関係で崩れる
・家族経営の“情”が判断を鈍らせる
・正しい構造改革を「悪者」に見立ててしまう
だが、我々がこの仕事をやり続けるのは、「変わる覚悟を持った経営者」と出会えるからだ。
過去には、同じようにどん底まで落ちた企業が、自らの甘さや未熟さを認め、数年後に再起した例もあった。
そうした企業には、共通して「事実から逃げない力」があった。
言い訳をせず、人のせいにせず、自分が何を見落としてきたかを直視できるか
──それが唯一、再生の入口なのだ。
🚪 その後、この会社はどうなったのか
正直に言えば、私たちはその後の状況を知らない。
再生支援が打ち切られた以上、こちらから連絡を取ることもない。
あの時、私たちが提示した選択肢の中に、最善の道があったと今も思っている。
しかし、それを選ぶかどうかは、最終的には“社長自身の決断”だ。
あの会社が別の方法で生き残ってくれていれば、それはそれで良い。
ただ、仮に立ち直れなかったとしても、それもまたひとつの結果として受け止めるしかない。
🔚 終わりに──再生支援とは、鏡である
再生支援の現場は、つまるところ“鏡”だと思う。
そこに映るのは、会社の数字だけではない。
経営者自身の生き様、価値観、人間関係、過去の決断
──あらゆるものが映し出される。
我々はただ、その鏡を曇らせずに差し出すだけだ。
その像を直視するか、背けるか。
選ぶのは、いつも経営者自身である。
🙌終わりに
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