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合格奇岩【毎週ショートショートnote】

    深遠 たた

    父と並んで深い森を歩いていた。生暖かい湿気のある森の中、特有の土の匂い。その匂いが少し変わってくるのに気付くと、二人はちょうど森を抜けていた。そこは緑の丘陵が広がっていた。

    「あれだ」父が指を差しながら言った。

    父が示した方向を見ると、巨大な岩があった。

    まるで岩の巨人が座っているようだった。

    「昔、この村の住民は皆、あの岩をあがめていたんだ。漁に出る前や、家族が病気になった時、祈りを捧げていたんだよ」父は続けて、あの岩まで行こうと言って歩き始めた。

    僕は父の背中を追った。

    それに近づけば近づくほど、巨大さがわかってきた。

    信仰の対象になっていたのかと考えながら、そっと岩肌に触れると、巨大な岩自体に意識があるように感じた。

    「ほら、祈願しろよ」

    「え」

    「合格祈願だよ。今度大学受験だろ」

    「そうだね」僕は手を合わせて祈った。

    「これでお前が受かったら、ここは『合格奇岩』として、パワースポット化するかもな」

    父の皮肉に僕は苦笑いをした。


    (410字)


    たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

    ※今日のランチは温かい蕎麦とミニカツ丼のセットを食べました。


    *この記事は、以下の企画に参加しております。


     
     
     
    小説を書き始めたいと考えた男性51歳。小説書き方本等で独学で勉強中。書きたいことは頭の中にいろいろあります。公募してみたいと思っているがまだまだ全然の人。

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