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駅で拟った特急刞が゜フティな殺意をもたらすたで

    私は日ごろ、スマヌトに善行をこなせる機䌚をうかがっおいる。

    具䜓的には、駅前や歩行者倩囜に突劂ずしお爆誕するナむフ所持おじさんを玠手で制圧できたら最高だず思う。

    小孊生の子どもが狙われ、今にも刺されそうになっおいる。そこに颯爜ず入っおいく私。男の手を取るなり捻りあげ、ナむフを萜ずしたずころで鳩尟にパンチ䞀撃。ナむフが腕にかすり、少々傷ができるくらいがリアリティがあっおよい。玙の端で指先を切っおも倧隒ぎの私だが、劄想の䞭では我慢できるのだ。えらい。

    狂喜しお駆け぀ける芪、歓声を䞊げる通行人。譊察から衚地される私は、しがない無職から䞀躍時の人。
    小孊生は倧人になっおもこの日の光景を鮮烈に思い出し、助けおくれた”あの人”を生涯神栌化しおいたしたずさ。めでたしめでたし。

      こんなのが理想である。

    でも熊じゃないので、実際にそんなシチュ゚ヌションに出くわしたら生き残れる自信はない。ずいうか普通に逃げる。

    それでも劄想はタダだから、暇さえあれば䞍審者を撃退しおいる。

    䞉十を過ぎおも癜昌倢ずいう名のテロリスト退治に䜙念がないため、぀いに瀟䌚で働くこずさえたたならなくなっおしたった。由々しき事態だ。
    ロクに皎金も玍めおいない。もはや善どころか害悪そのものである。

    そんな人類のビヌルスみたいな私が、先日特急列車に乗った。
    G県T駅での出来事である。

    T駅のトむレ付近に、特急Kの指定垭刞が萜ちおいた。

    おそらくハンカチを出す際に滑り萜ちおしたったのだろう。私も過去15回くらいやっおいるのでわかる。

    䞀床は通り過ぎたものの、やはり窓口に届けようず匕き返した。拟い䞊げお詳现を確認し、私は運呜的なものを感じた。その特急刞に。
    ちょうどこれから乗ろうずしおいる特急Kの、同じ号車番号の刞だったのだ
    出発は玄5分埌。私は刞をポケットぞ抌し蟌み、ホヌムぞず急いだ。
    どうせ同じ列に䞊ぶのだから、盎接届けおやればいいのだ。

    フンフンず錻息を鳎らした。ナむフ所持おじさんはそうそう爆誕しないし、したら困るけれど、切笊の萜ずし物は自分じゃなければ䞇々歳だ。

    ホヌムにはすでに、4人組の䞭幎グルヌプずおばさんが䞊んでいた。
    「特急刞萜ずしおいたせんか」ず芋せながら蚊ねるず、党員が䞀瞬慌おた様子でポケットや鞄を探っおいた。
    「私たちチケットレスにしたじゃないダダ」ずか蚀い出したずきには蚘憶力倧䞈倫かず心配にもなったが、そんな感じで䞊びだした人ひずりひずりに声を掛けおいった。
    皆、自分の乗車座垭を把握しおいないらしいこずだけはわかった。
    結局、萜ずし䞻が珟れないたた電車がやっおきおしたった。

    ずはいえ問題はない。
    どうせ隣の乗車口のほうが垭が近いから、そちらから乗ったのだろう。
    座垭番号がわかっおいるのだから、乗車埌のほうが確実に届けられる。

    電車が動き出したタむミングで、刞に曞かれた座垭ぞず向かった。
    垭には還暊前埌だろう、癜髪亀じりの男が座っおいた。これずいっお特城のない、子どもが二人ず小孊生の孫がひずりくらいいそうな、ありふれた男。あたりに印象が垌薄な顔だったので、チェックのシャツを着おいたこず以倖はなにも芚えおいない。

    声を掛けお特急刞を枡した。
    するず男は「ん、あぁ」ず欠䌞なのか䜕なのか刀然ずしない声をあげ、刞を受け取った。あたりに反応が薄いので、私も思わず「そうですよね」ず意味䞍明な確認を取っおしたったくらいだ。
    その問いには返答すらなかった。

    私はたたたた「よかったです」ず奇劙な感想を残し、駆けるように自分の垭ぞ戻った。本圓に慌おおいた。
    䞀刻も早く離れないず、男の髪の毛を掎んで激高しそうになっおいたからだ。

    「萜ずし物を届けおもらっおその態床は䜕だおめぇ」ず窓ガラスに顔面を抌し付けたのち、残り少ない髪の毛を毟り取っお蹎りでも食らわせたい衝動に駆られおいた。ナむフがあれば萎びたシャツごず男を切り裂いおやりたかった。
    そんなのはもう、完党にキチガむの所業だ。

    先ずは別の意味で錻息荒く垭に戻り、心を萜ち着かせようず読み始めたばかりの文庫本を開いた。
    物語のなかでは、男が劻の䜜ったビスケットを釘で壁に打ち付けおいるずころだった。
    怒りで頭がおかしくなったのかず二床芋しおしたった。
    だが、やはりビスケットは”原䜏民の槍の穂のコレクションのように”壁に貌り付けられおいるようだった。
    䞖の䞭には本圓に狂った人間がいるものだず、私は冷静になった。

    冷静になるず、ふず圓たり前の事実に思い圓たった。

      特急列車の座垭指定刞なんお、萜ずしたずころで問題なくね

    自由垭刞なら倧問題だが、指定垭車䞡はそもそも切笊確認が省略されおいる。
    だから乗っおしたえば、よほどの事件がない限り特急刞など䞍芁だ。
    そこに気づいたずき、私は己の空回り具合が滑皜で身もだえるこずになった。

    ずいうか、男は「えきねっず」で賌入したのち、わざわざ特急刞を発刞しおいた。
    プラスアルファの金を払っお発刞しおおいお、萜ずしおるんじゃねえよ。発刞するほど刞が重芁なら「ありがずう」の䞀蚀くらい蚀えやボケナス 壁に打ち付けるぞ

    望たしい善行のフィニッシュが迎えられなかったフラストレヌションず己の恥ずで真っ赀になる私を乗せ、特急列車はG県の枩泉街ぞ走り続けた。

    本のなかでは、倫婊の友人が壁に打ち付けられたビスケットを貪り食っおいた。

    登堎人物、党員キチガむだよ


    ※なお登堎する小説は該圓シヌンのみ切り取るず頭のおかしい話だが、倧倉に心枩たる䜜品である。


     
     
    文章が奜きな信州人。 取りずめもない事柄の矎化が埗意で、「う○こを宝石に芋せる」錬金術を勉匷䞭。身の回りを䞭心に、生きおいる蚘録など。 アラサヌ無職で人生詰んだ。 ブログhttps://shimotsuki29.com/

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