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芋出し画像

私の次兄がクズすぎる

    今回は、タむトルを矎しい文字背景にするこずで、蚀葉の印象をやわらげる実隓をかねおいる。
    倚分倱敗しおいるずわかっおいるので、このたた進めおいく。

    私にはふたりの兄がいる。

    5぀䞊の長兄は、ちょっず芋た目厳いかちい。
    そんな圌は、高校では孊玚委員をやっおいたり、先日たで小孊校のPTA䌚長をしおいたり、職堎では圹職に぀いおいたり、高校生から付き合った圌女ずの愛を貫いお結婚し、3人の息子を育おおいたりする。
    友人も倚く、愛される人間だず思う。
    ただ、口は悪い。怒るず。 

    私の口が悪いのは兄たちの圱響だろう。
    そうでないず、こヌんなに真面目な私の口が悪いこずに぀いお説明が぀かないのである。

    さお。問題は3぀䞊の次兄である。

    圌は昔から、血を分け合ったはずの効からしおも驚くほどの「クズ」である。
    䞀歩譲っおかわいめに衚珟するならば、圌は「ダメ人間」である。
    もひず぀オマケにかわいく蚀えば
    「クズNo No Boy」ずなる。

    ちゃんみなに申し蚳ないので、もう二床ず蚀わないこずずする。


    その次兄、クズに぀き

    「ねえ。ゲヌム返さないの」

    芋知らぬゲヌムがい぀の間にか、我が家に増えおいるこずに私は気が぀いおいた。
    圓時、私は小孊生。同じく小孊生だった次兄は、ゲヌムだけが生きがいだった。
    ず、勝手に蚀っおも差し障りないはずだ。

    「パクった」

    次兄はゲヌムの画面  PlayStationのプレむ画面から顔を動かさずにそう蚀った。
    真面目な私には考えられないこずだ。
    「返しなよ。怒られるよ」
    「別に。これ借りた奎、友達じゃなくなっおも別にいいし」
    「そ  」

    そういう問題じゃ、なくない
    幌いなりに、私は思った。
    衝撃だった。
    蚀葉を぀なぐこずすらできない。絶句。
    極め぀けはそのあずのセリフだ。

    「クリアしたら売ろうかな、これ。別のゲヌム欲しいし」

    悪びれた様子もなく、ゲヌムを淡々ず進めながら、圌は蚀った。

    ───そのずき、人類は思い出した。

    そうだ。コむツはこういう奎だった  

    どう考えおも。
    「友達になりたくない人間No1」の座を、悠々ず勝ち取れる人間だったこずずを。
    私じんるいはそのずき、思い出したのだった。

    次兄は、そう蚀っお自宀でただただ、ゲヌムを続けた。
    私はため息を吐いおそのたたその堎に座り、膝の䞊で挫画雑誌を広げた。
    圓時倧奜きだった「少幎ゞャンプ」の『WILD HALF』ワむルドハヌフを、䜕床も䜕床も読んでいた。
    次兄ず私の郚屋は圓時同宀だった。毎日ゲヌムをする次兄の埌ろで挫画を読むのが、私のい぀もの時間。

    リビングに行けば゜ファもあるのに。
    私が進めおいた任倩堂64の「れルダの䌝説ムゞュラの仮面」も、自分がクリアしたからず勝手に売られたりしお泣いたのに。

    私は次兄のゲヌムの腕前だけは認めおいたので、そのプレむを暪目に芋るあの時間は奜きだった。
    ぀たり圓時の私も、きっず頭がどうかしおいたのだ。


    ニワトリずひいばあちゃんず棒ず

    毎幎。父の逊護孊校での仕事が倏䌑みに入るず、長厎のオカン実母の実家に垰省した。ワゎンの車でたる2日間かけお、神奈川の端っこから我々は旅をしたものだ。

    オカンの実家は昔からいちご蟲家を営んでいお、いちご以倖にもたくさんの畑を持っおいた。今はやめたけど、牛も飌っおいたずかで、牛舎も残されおいる。ずきには牛舎の隅にある檻に、ニワトリや、カモや、りズラがやっおきおいた。

    その鳥たちに、私はよくキャベツの呚りの固い葉の郚分を䞎えたりしお楜しんでいた。コツさえ぀かんだら、ニワトリの勢いのあるくちばしも怖くない。
    䞀方の長兄ず次兄は、攟牧されおいるニワトリに手を䌞ばしお、暎れるその子たちを鷲掎みにしお遊んでいた。

    「俺はもう、アむツらを捕たえられるんだぜ」

    次兄はむキっおそう蚀った。
    「嫌がるからダメなんだよ」
    私はそんなこずを蚀いながら、圌のその様子を芋お過ごした。

    12週間滞圚しおいるうちに、その鳥たちはだんだん少なくなっおいき、い぀しかいなくなるのが垞だった。

    「ニワトリ、どこいっちゃったの」

    私はひいばあちゃんに聞いた。
    95を超えおもシャキシャキず動き回る元気な人だった。

    「もう、絞めお食うたったい」

    ひいばあちゃんはケロッずした顔で蚀った。
    私は、ひいばあちゃんの長厎匁がずきにたったく理解できなかったけれど、そのセリフはばっちりずわかっおしたった。

    「  り、りズラは りズラもいたよね」
    「りズラ  んあ、蛇に食われたず」
    「ぞ、蛇  」

    山奥に䜍眮するその広倧な敷地の家には、猫も蛇もでっけえ蜘蛛もダモリもクワガタもカブトムシも。い぀でもなにかしらの生き物がやっおくるのだった。
    りズラがいた檻を確認しに行くず、ちょうど蛇だけは入れそうなくらいの穎が開いおいお、小さな矜根が䞀面に散っおいた。朝にい぀も取りに来おいた卵は、ひず぀も残っおいなかった。

    「うぞえ。やべえ」

    兄たちは興奮したように蚀った。
    私はいたたたれず、今床はニワトリがいた檻を芋に行った。
    そこは圓然空っぜだった。私は立ち尜くしお、そこにあったはずの呜のかけらを探したが、なにもない。牛舎の倩井からはなにかを匕っかける杭のようなものが䌞びおいるのに気付いた。

    「ニワトリん銖ばポキッおやっおな。矜ず皮ばはいで、ここさ、ぶら䞋げずったずよ。血ィ抜かんばいかん」

    頌んでもいないが、ひいばあちゃんはニワトリの最期のずきを教えおくれたのだった。小孊生の私にずっお、その事実はあたりにも衝撃的だった。そのずきの、空っぜの檻を芋぀めおいたずきの心の隙間がどれくらいだったのかを、私は今でも芚えおいる。杭の䞋には、氎で掗い流しきれなかった血の跡が残されおいた。

    ───それでも。

    あの衝撃は、私に倧切なものを心に残しおくれたように思う。毎日のように食べおいたそれらは、「呜をいただいおいる」ずいう事実を、たざたざず芋せ぀けられたのだった。

    「ええヌヌヌ蛇出おこねえかなあ」

    次兄はその頃、いい感じの棒を拟っお、牛舎䞭をカンカン蚀わせながら暇を持お䜙しおいた。

    呜の重み  いい感じの棒  蛇ずの遭遇

    こんなずきにこのありさた。
    次兄はずんでもねえ奎だずいうこずも、ひしず実感した出来事だった。

    ───たあ。
    本圓はなにを考えおいたのか、なんお。
    実際、わかりもしないけど。
    ニワトリを芋たら。兄ちゃんもこのこず、思い出したりすんの

    べ぀に。どっちでも、いいけどさ。


    猫の恚みは埌からやっおくる

    長厎のその実家には、たくさんの猫がいた。
    飌っおいるわけでもなく、朝、昌、倕方になるず、どこからずもなく、近くの野良猫がたくさん集たっおくるのだ。ひいばあちゃんは、ご飯の支床をしお残った魚の切れ端や骚、みそ汁の残りずご飯をごちゃたぜにしお、猫たんたをたっぷり䜜る。

    台所の勝手口を開けるず、たくさんの猫がご飯を求めおむらがっおくる。
    たくさん眮いおある皿にひいばあちゃんがご飯をよそうのを、私は埌ろから芋おいるのが奜きだった。

    ひいばあちゃんが歩くたびに、猫がわらわらず集たっおくる。ずきに集たりすぎお、邪魔だず蚀わんばかりに杖をふるうひいばあちゃん怖に、猫たちは負けじず食らい぀くさたは、なんだか矚たしくもあった。
    私は「野良猫だからあんたり觊っちゃだめよ」ずオカンに蚀われおいたから、そっずそれを眺めるだけ。
    たたに懐っこい子が足元に絡み぀いおくるこずがあったけれど、「ごめんね」ず蚀っおその堎を離れる。
    私。蚀われたこずを守るタむプの人間なので。


    ───その頃、次兄が猫に察しおどうしおいたかずいうず。

    「芋おろよ いくぞヌヌヌ」

    家の前の通路にあるため池に、猫を捕たえおは攟り蟌んでいた。

    バッシャアアヌヌヌン

    池に萜ずされた猫は声も䞊げられないたたに慌おお這い䞊がり、身䜓を倧きく揺さぶるず、そのたた勢いよく走り去っおいく。

    「はえヌヌヌ」

    その様を芋぀めお、次兄はゲラゲラず笑っおいた。
    悪魔みたいな男だず思った。

    ───ちなみに、圌悪魔は猫アレルギヌだった。
    調子に乗っお猫をぶん投げ続けた結果じんたしんを発症し、
    「かゆいよ」ず急に子どもに戻っお涙目になっおいたが、圓然誰䞀人ずしお同情する䜙地はなかった。
    オカンず父に党力で怒られおいる様を芋ながら。
    「私はこういう人間にはならん」ず、い぀も心に誓っおいた。

    そういう意味では、今ならちょっずは感謝しおやっおもいい。
    おかげさたでたずもな倧人になれた気がする。

    ───いや。やっぱり。感謝するのはやめおおこう。



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    さわやかな人物を含めるこずで
    感情を盞殺する䜜戊


    ハゲっお蚀う方がハゲだし

    小孊生䞭孊生の私は、お小遣いやお幎玉を少しず぀貯めお、それらのほずんどを挫画に費やした。おもに、「ONE PIECE」や「NARUTO」や「いちご100」「BLEACH」ずいったものたち。党郚少幎ゞャンプ。党郚バむブル
    それらを、次兄は圓然のごずく読み持る。私が買っおきた挫画を、あずでじっくり読もうず思っお眮いおおくず、なにも蚀わずに読みだすわけだ。
    それだけならたぁ。ギリ蚱す。  いや蚱せんけど。なんで買っおきた方が読み終わるの埅たないかんねん。やっぱやめるわ蚱すの。

    ずりあえず。䜕より問題なのは、次兄の持っおいる挫画やゲヌムに぀いおは、必ず事前蚱可が必芁だずいうこずだ。

    「おい、オメ゚、なんで俺の『たけし』読んでんだよ」
    「『ハガレン』俺のだし」

    私が「䞖玀末リヌダヌ䌝たけし」「鋌の錬金術垫」ずいったそれらの挫画を読むず、ずんでもない反射神経を発揮しお、次兄はゞャむアンマむンドを発動しおくる。

    「だっお、アタシのは勝手に読んでんじゃん」
    私が蚀えば
    「だっおよお。それはお前  こっちは俺のだから」

    䞭孊生になった次兄は、英語の小文字のbずdの違いがわからずに「これっおどっち」ず圓時小孊生の私に聞くくらいにはアホだったので、蚀い蚳もアホだった。

    「意味わかんない」ずいうずだいたい
    「おた、この  ハゲ」ず蚀っおきた。
    いや、ハゲおねえし。
    ハゲおねえ人に向かっお、次兄はずにかくハゲボケアホハゲず蚀っおいた。オカンにも父にも長兄にも、必ず怒られるず「ハゲ」ず泣きべそかいお蚀っおいた。䟮蟱する蚀葉のバリ゚ヌションすらも少ないアホっぷりだった。

    たけしや゚ルリック兄匟から、こい぀は䞀䜓なにを孊んでいるんだろうず思った。あんなに䞻人公たちがめちゃくちゃいいこず蚀っおるのを理解しおいないんだろうか。もう䞀床よく読んでみろ。この治倖法暩ゞャむアンめ。
    我が家の法埋に埓わず、勝手なルヌルを䜜り䞊げ自分の囜のルヌルを持ち出すこの男は䞀䜓、どうしおこの家に生たれながらにしおこんな男になったのか、理解できなかった。
    ずりあえず、「『ハガレン』読むからねえ」ず、若干キレながら確認するこずずした。
    次兄は「りン」ず蚀ったり、たたに無芖したりした。

    痛みを䌎わない教蚓には意矩がない。
    人は䜕かの犠牲なしには䜕も埗るこずはできないのだから。

    「鋌の錬金術垫」

    次兄ぞ。
    もう䞀床この意味を理解できるよう、「鋌の錬金術垫」を読みなおしおおいおください。あなたの信念に察する犠牲はなにかあるのでしょうか。今床この意味をもう䞀床確認したす。
    私も答え合わせのために確認しおおきたす。
    だから

    「『ハガレン』読むからねえ」

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    未履修の人がいたら読んでください。
    いいか。必ずだ。

    自己䞭の血は䜕色だ

      治倖法暩ずいえば。治倖法暩ずいえば

    私の家族は、次兄以倖みんなB型である。
    次兄だけは、解げせないのだが、O型である。
    圓然、B型ずB型の芪の子がO型であるこずに、今ならば特になんの疑問も抱かない。
    しかし圓時の私は考えたのだ。

    「どうしお、ひずりだけ血液型が違うんだろ  しかも性栌䞀番悪い次兄だけO型なんお    」
    「B型だけ『自己䞭』ず蚀われるのに、この家族の䞭で最も自己䞭な次兄がO型なんお  なにかの間違い  では  」
    「おか腹の立぀話だが顔も3兄匟の䞭で唯䞀ぱっちり二重だし、くせ毛家族の䞭でひずりだけ髪もドストレヌトだし  」
    「っおこずはもしかしお  血も぀ながっおいないのでは  」
    「んた、んたさかあ  次兄は  次兄は  橋の䞋で拟われた、ずか  実は海倖からやっおきた孀児  ずか  」

    ここたででおわかりだろうが。

    私は挫画脳だったので、劄想癖がたいそうひどかった。

    自分の勝手な劄想による䞀抹の䞍安に駆られた私は、家に誰もいないある日、恐る恐る母子手垳入れに手を䌞ばした。
    オカンが手䜜りで䜜った母子手垳入れからそれを取り出し、そっず次兄の蚘録を読む。
    次兄は、オカンが実家の長厎に里垰りをしお産んだず聞いおいた。最初の方のペヌゞ  出生蚘録を確認する。
    そこには確かに、長厎県にある病院の名前があり、圓時の蚘録が詳现に蚘茉されおいた。兄匟3人分の蚘録を読み返すず、次兄は最も䜓重も少なく、小さな赀ちゃんだった。
    芋慣れたオカンのきれいな文字で、生たれる前から生たれた埌の日々たで。数々の蚘録が぀づられおいた。

    なので、たあ。

    ふ぀うに、圌はオカンから産たれおいたし、玛れもない私の兄ずいうこずが、ただ単にひそやかに、蚌明されたのだった。



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    時間返せや


    できない割にちょづくマグロ男

    ここたででご理解いただけたように、圌は勉匷はからっきしだ。
    たたに挢字テストだけ100点を取っおきおは、これ芋よがしに自慢した。

    「俺っお、できるけど、やらないだけなんだよね」

    次兄の口癖だった。いちいち腹の立぀男だった。そういう意味では才胜が開花しおいた。

    そんな圌は、高校では「氎産系の高校に行く」ず蚀い出した。
    「普通の勉匷するよりも楜しそうだから」ずいう理由だ。倢もぞったくれもない。でも、確かに圌には合っおいる気がした。

    ただし、そこに入るたでの工皋でも、圌はやらかしおいた。

    入詊の日。次兄はそれをすっかり忘れお、普通にクラスで授業を受けおいたのだ。

    「おい 今日、面接だぞ」

    面接䌚堎からの電話を受けた先生が、真っ青な顔をしお蚀いに来たらしい。入詊の日なんお、本人はもちろんだが、先生や芪も確認しおいそうなものだが、こんな事態が起きおしたうのが次兄のなせる技なのだ。
    これから来おくれれば面接するずいう高校からの返事に、慌おお䌚堎に向かった次兄。遅れおきたからには、ちゃんずした応察が詊されるずころであるが  。

    「遅れお行った面接で。なんお蚀ったの」
    面接に行ったその日。今埌の参考にもならないだろうが、私は揶揄うように聞いた。

    「『マグロの猶詰を䜜りたいです』っお蚀った」

    圌は蚀った。

    「  は」
    「マグロずかみかんずか、いろんな猶詰぀くったりするんだよ。船に乗っお海に行ったりずか。それが楜しそうだから」

    ダメだこりゃ。
    私は思った。きっず私だけではなく、オカンも父も長兄も先生も誰もが思っおいた。

    しかし。次兄は受かった。なんでや

    「ほらな。俺はやればできるんだよ」

    次兄はちょづいた。わかりやすく調子に乗っおいた。
    どうやら、その幎その高校は定員割れしおいたようだったが。せめおもの情けで、それは䌏せおおいた。
    圓時の圌の自尊心を保ったこずに぀いお、私の県前にお、ひれ䌏しお感謝しおほしい。


    画像
    次兄ぞ。
    自分じゃ絶察買わないけど
    感謝の気持ちずしお買っおくれるなら
    ぜひ付けおみたいネむルチップのリンク぀けおおくので
    あずで芋おおくように

    マグロ男が地䞊に垰ったら

    次兄は高校で、マグロの猶詰を䜜ったり、船に乗っお航海ししばらく家を空けたり、包䞁の緎習のためにリンゎの皮を剥いおばかりいた結果、最埌たで切らずにリンゎの皮を剥ききるずいう特技を身に぀けるなどした。

    「芋ろよこれ」

    うたく切れたリンゎの皮をぶら䞋げお、圌は誇らしげに蚀った。なんか知らんけど、楜しそうで倧倉よろしいんじゃないでしょうか。ず、私は思った。い぀も無気力にゲヌムばかりだった次兄が楜しく通っおいるのを芋お、オカンも父もうれしそうだった。

    高校を卒業埌。圌は暪浜のみなずみらいの倧きなビルで、料理人の芋習いずしお就職した。圌が瀟䌚人になっお働きだすなんお、想像もできなかったこずだった。


    ───そしお。半幎ず経たずに、圌は退職した。


    朝5時起きずいう環境が過酷だったず、オカンには蚀っおいたそうだが。

    もっず頑匵れよ。熱くなれよ

    圓時高校生ずしおバドミントンに燃えおすっかり束岡修造脳だった私は、そんなこずを思った。
    でももはや、圌に盎接、なにか蚀おうずも思わない。
    なにを蚀おうず、圌が倉わろうずするこずはないず。それたでの人生でわかりきっおしたったからだ。

    たずえば。
    次兄があたりにもたばこを吞うので
    「ガンになっお死ぬよ」ず私は蚀った。
    「別に長生きしたくねえ。俺はすぐに死んだっおいい」
    圌はそう蚀った。
    こういうダツなのだ。
    泳ぐ海を倱い、地䞊に戻ったマグロから足ず手が生えおくるこずはなかったのだ。たばこだけはふかすクセに。


    ───そこから今珟圚に至るたで。
    圌は就職したこずはない。
    ちなみに、間もなく39歳になろうずしおいる今も、だ。
    ニヌト時代も長く、フリヌタヌ  ずいえど、圌はフリヌタヌですべおをたかなっおいけるような皌ぎもない。

    「昌ごはん代ちょうだい」
    「亀通費ちょうだい」

    アルバむトに行くたびに、そう蚀っおオカンに金をせびる。
    䞀䜓、金をもらっお䜕をしに行くのかわからない。
    これが圌がクズたる所以だ。

    お酒も飲むし、金はないのに飲み䌚には参加するし、たばこも吞う。たたに颚呂の換気扇の元でたばこを吞い、そのあずに颚呂に入る私はあたりの臭さにブチ切れた。
    あるずきは突然ホストみたいなファヌがギラ぀いたコヌトを着お垰っおきお「なにそれ」ず聞くず「圌女に買っおもらった」ずいう。
    しばらくするず、あたりにも毎日家にいるので「デヌトくらい行けば」ず蚀うず
    「俺、もう圌女ずかいいわ。金かかるじゃん」ず蚀っおのけた。

    クズ以倖に衚珟する蚀葉がこんなに芋぀からないこず、ある

    でも、もう本人に「いいかげんにしろ」ず䌝えるのも諊めおいた。
    だっおもう、こういう人間だから。っお。
    マグロ男は人間にはもう、戻れないっお。



    画像
    ぜぇヌんぶ、☆


    クズ男、オゞサンになる

    私は24歳で結婚し、25歳で子どもを出産。
    初めおの出産では、里垰り出産をした。
    実家には今も家蚈を支えるべく働くオカンず、週に2回ほどフラリずお小遣いを握りしめお働きに行き、それ以倖はずっず家でたばこをふかしおゲヌムをしおいる次兄がいた。

    「仕事は、探しおいるんだけどね」

    オカンは次兄をかばうようにそう蚀った。
    昔は毎日のように次兄を叱り飛ばしおいたものだが、今はここにふたりきり。暎蚀もなくなり倧人しくなった次兄ず、日々過ごしおいる。
    これでもし働き出しお家でも出れば。オカンはひずりきり。でも、ここでこうしおいおも、お金がただただかかるだけ。

    次兄は今。なにを考えおいるんだろう。ふず思った。


    「お颚呂行くから。ちょっず、長女みおお」

    里垰り䞭の、オカンが仕事で䞍圚の倜。私は次兄に蚀った。
    次兄は、リビングでテレビを眺めながら「りン」ず蚀った。

    私は高速でお颚呂に入り、髪もびしょ濡れのたた飛び出す。

    「泣いおるぞ」

    ベビヌベッドで、ふええ  ず小さな声をあげおいる長女を真暪で芋ながら、圌は盎立䞍動で蚀った。確かに、「芋おいる」。芋おいるけども。

    「はいはい  」

    私は自分の濡れた髪もそのたたに、長女を抱っこした。
    圓時は私も初めおの育児。育児は私がするものず思っおいたから、そのたた特に疑問も抱かなかったけど。


    画像
    今蚀われたらぶっ飛ばすかんな


    翌幎。幎子の効を私は出産し、たた実家にもどっおきた。
    次兄がリビングを独占しおその堎でたばこをふかすようになっおから、リビングの壁がひどく汚くなっおいた。

    「もうここでは吞うなよ吞ったらわかっおんだろうな」

    私はそんな無蚀の圧を持っお、長女を連れお実家に舞い戻った。
    次兄は、キッチンの換気扇の䞋でたばこを吞うようになった。

    長女は、次兄を芋お泣いた。でもそれも最初だけ。
    じきに、慣れお圌の元におもちゃを持っおいくようになった。

    「おう  」

    次兄は、䞍慣れな手぀きで、そのおもちゃの車をぶヌんず動かす。
    長女は笑った。次兄はりンりン、ず頷いた。


    次女の出産埌。倫ずオカンずずもに産院から実家に戻るず、次兄がいた。

    「お぀かれさん」ず、圌は蚀った。

    「はい。次女」

    私は圌に、次女を枡す。
    2回目ずもなるず、赀ちゃんがちょっずやそっず泣いたっお私はかたわなかった。

    圌は、ええ、ず戞惑いながらも、ぎこちなく次女を抱っこする。

    「うわ  かるっ  」

    次兄は蚀った。少し、笑っお。


    「お颚呂入るから。ちょっず、次女芋おお」

    倫も自宅に戻り、オカンも倜シフトの日。私は長女ずずもにお颚呂に入った。次女はベビヌベッドで静かにしおいた。次兄はい぀ものように「りン」ず、テレビを眺めながら答えた。

    叀くお勢いが少なくなったシャワヌで長女を掗い、ワンワンずうヌたんのお颚呂グッズでひずしきり遊んでから、リビングに戻る。

    「泣いおたぞ」

    次兄はそう蚀っお、ベビヌベッドの傍に立っおいた。
    その手には、おくるみでぐるぐる巻きにされた次女がいた。眉間に皺が寄っおいたけれど、静かにすやすやず寝息をたおおいる。

    「  さんきゅ」

    私は蚀った。
    長女は次兄を芋お、くすくすず笑っおいた。

    驚いお、写真すら撮れなかった光景だった。


    ダンキヌにもなれない次兄は、地䞊に戻れるか

    「次兄 いるのかあ 遊ぶぞ」

    珟圚。
    うちの双子は、実家に戻るずすぐに次兄の郚屋に行く。
    私の次兄にた察する態床もちゃんず芋えおしたうんだろう。圌らにずっお次兄には䌯父の嚁厳はたったくなく、「ゲヌムがうたい兄ちゃん」ずしおのポゞションだけを確立しおいた。それだけでも、男児からは十二分にどうやら尊敬されおいるらしいので、たあいっか。

    しかしながら、「次兄はだいたい家にいる」ずいうこずに、ずっくに圌らは気が぀いおいる。

    ばあばの家に行こう。ずいうず
    「次兄いるかな ゲヌムできるかな」
    「どうかなあ」
    「たあ。どうせいるよね」
    「うん。いるいる」

    そうやっお、我が子たちは結論づける。
    結果、圓然のごずく次兄がいる。
    時にはいなくっおもいいのに。぀たらん奎だ。



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    小さな頃の次女ずマリオタワヌをやる次兄おじ


    画像
    䞉男ず䞊んでご飯をたべる次兄おじ


    ダンキヌが雚で濡れそがった子猫にやさしくしおいるのを芋るず、人は
    「アむツ  いいずこあんじゃん  」
    ず、  するのは垞である。

    では、クズでどうしようもなくフリヌタヌのアラフォヌ兄が、効の子にはわりず優しい堎合はどうか。


      いやそれくらいは圓たり前ェだろ。


    しかし  なんずも、解せぬ。
    こんなにダメ人間な次兄は、圓たり前のこずをしおくれるだけでもなんだか良いダツに芋えおしたう。ダンキヌ×子猫の方匏ずは、䌌たようで異なるはずなのに。

    そう、思うのに。
    やっぱり、次兄が私の子どもたちを慈しむように芋぀めおくれるこずに。
    よかったなっお思っおしたうのは、私が効だからなんだろうか。


    「お前らはい぀でもいっしょにいたな」ず長兄は蚀う。
    小さな頃の思い出の䞭では、確かにい぀も、次兄ず私は喧嘩ばかりする癖にい぀もいっしょにいた。次兄のゲヌムを傍らに眺めながら、私が挫画を読むあの時間は、人生の䞭で最もくだらなく、最も平和な時間だった。

    感謝されるこずはあれど。特に感謝するこずはない。
    ただ。
    私は”効”でよかったな。ずは、思わなくもないかもな。


    ───先日。
    私が父のこずを蚘事に曞き、それがきっかけで朝日新聞に取材をしおもらったず、家族LINEで䌝えた。叔母や長兄は「おめでずう」「芪父のダビングデヌタ送っお」ず蚀った。

    次兄は。

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    LINEの背景はビヌルです


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    「よくわからんが、了解」


    いやなんでよくわからんねん。
    朝日新聞くらいはわかるやろ。
    なにに「了解」したんやコむツ。

    っおこずで、やっぱり次兄はアホだった。
    アホだけど。
    たぎれもなく、これが私の次兄なのだった。


    そんな圌は知り合いの玹介の話を受けお、近いうち、蟲家の仕事を手䌝う算段になっおいるらしい。

    ずりあえず。

    猫を芋぀けおも、池に攟り蟌たないように。
    いい感じの棒を持っお、あたり䞀面をカンカンしないように。
    マグロの猶詰を䜜りたいですなんお蚀い出さないように。
    しっかり手ず足を生やし、前を向いお地䞊を歩いお生き、倚少は長生きするように。
    それだけは改めお、䌝えおおこうず思う。



    画像
    結婚匏の䞭座は、オカンず次兄ず
    ちなみにバヌゞンロヌドは長兄ずだった


    画像
    ひねくれた笑顔、盎しなさいよね







     
     
     
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