メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

挢字を50,000字曞いおみた。

    葥󠄀蔊𩰃𪆵凇𥜗萘𚵌𚵰䱊觕󠄀䬰󠄀𪍎𚔙闁㚻

    ※䞀郚の挢字や画像が、スマヌトフォンの衚瀺に察応しない堎合がございたす。本投皿はパ゜コンでご芧いただくこずを匷くお勧めしたす。

     突然難字盡(笑) 皆様、埡機嫌劂䜕 吟茩、矀鳥安民也。
     挢字ばかりだず異様な文字列ですね。今回は、私の倧奜きな挢字の話だけをする回です。冒頭に矅列されおいる難字に関しおも、埌々玹介しおいきたす。

     前々回の投皿で、私が挢字の写経チャレンゞをする宣蚀をしおいたのはご存じでしょうか たるで修行の様な過酷さだったこずは前回の投皿で述べた通りです。䞞日で終わるかず思いきや、半月も掛かっおしたうずいう。
     この挑戊に際し、挢字に関する質問を頂いおいたので、ここで私なりの回答をしおいきたいず思いたす。

    音読みず蚓読みっおなに音は䜕ずなく分かりたすが蚓っおなに

     音読みはざっくり蚀えば、䞭囜語由来の読み方です。䞭囜語での発音を日本颚の発音に読み替えたものになりたす。「字」は zi→ゞ、「挢」は han→カン、みたいな。
     本呜の蚓読みに぀いお。先ずは、「蚓」ずいう字を字曞で匕いおみたしょう。その字の意味の䞀぀にこうありたす。

    よむ。ずく。字句の意矩を解釋する。

    倧挢和蟞兞 巻十 393

     ぀たり蚓読みは、挢字の意味を解釈する日本語の読みです。da だけでも、䞭囜人は文脈からそれが「倧」であるこずを刀別できたす。しかし、「これはダむだ」ず読んでも日本人には刀りたせん。もずもず䞭囜語なんで。だから、「倧」に「おおきい」ずいう和蚓、則ち、日本語に読み解いた意味の蚀葉を読みずしお䞎えおいたす。それが蚓読みなのです。

    最も長い蚓読みを持぀挢字は䜕

     前々回の投皿にも曞きたしたが、蚓読みの定矩を厳栌に芏定するのは難しいです。巷で「こんな長い蚓読みを持぀挢字があるよ」ず埗意気に蚀いふらしおいる人がいたすが、やたら長い文章になっおいるそれは、倧抵は字矩挢字の意味です。
     䟋えば、有名なのが「閄」。この字の説明、倧挢和蟞兞にはこうありたす。

    急にずびだしお人を驚かせるこゑ。

    倧挢和蟞兞 巻十䞀 709

     これを蚓読みずは蚀えないでしょう。「僕は物陰から、近づく圌女に閄を叫んだ」ずいう䟋文があったずしたす。「僕は物陰から、近づく圌女に閄急にずびだしお人を驚かせるこゑを叫んだ」ず読むでしょうか もうめんどくさくなっお「閄わあ」ず読みたくなりたすね。
     この様に、長ったらしい説明文は挢字の読みずしおは実甚的でないので、それを蚓読みずは蚀えたせん。
     基本的に、蚓読みは単語の和語です。しかし、単語でない「掌おのひら」や、和語でない「蔘チョりセンニンゞン」等、䟋倖は存圚したす。

     写経䞭、玛れもなく単語の和語である長い蚓読みを持぀挢字を探しおみたした。芋぀けた文字をご玹介したす。

    画像
    ながばもみじいちご
    画像
    ながみのいぬからし

     どちらも文字の怍物名。私が知る䞭で、最も長い蚓読みを持぀ず正匏に認定しおもよいず思う字はこの぀です。

    ã€Œð€Ÿ•ã€ã£ãŠã©ã†ã„ã†å­—ïŒŸã€€é¡”ã¿ãŸã„(笑)

     写経の途䞭経過を茉せた写真を芋おくれた方から、そんなコメントを頂きたした。

    ïŒˆð€Ÿ•ïŒ‰
     ↑
     こうするずより顔っぜい笑 「幞せのきっかけなんお、そこら䞭に萜っこちおるもんだぜ」みたいな、ちょっず良い台詞を口にする時の衚情ですね。
     こや぀の正䜓ずはこれいかに。この字に初めたしおの方が殆どでしょう。しかし、こい぀を調べ䞊げおみたら、実はあの身近な字の本圓の姿だったのです。
     それが「替」。字圢は䌌おたすよね。䞊の「竝」「㚘」は人が人䞊んだ字です。䞋の字は「日」の様ですが、字源を遡るずどうやら「日」ずは異なるみたい。「替」の郚銖である「曰」ずも違う様で、「癜」なのかず蚀われるず「癜」の字源もはっきりしない。挢字が生たれたのは3000幎以䞊も前の事なので、字の由来に぀いおは分からないこずが盛り沢山なのです。
    ã€€å› ã¿ã«ã€ã€Œæ›¿ã€ã®åˆ¥äœ“ã«ã¯ã€Œæšœã€ã€Œð€œœã€ãªã©ã‚‚ã‚ã‚ŠãŸã™ã€‚æ™®é€šã®ã€Œæ™®ã€ãšã”ã£ã¡ã‚ƒã«ãªã£ãŠã‚„ã‚„ã“ã—ã„ã€‚

     人の顔に芋える字で私が奜きな字がありたす。それが「昔」の金文です。こちら。

    画像
    「昔」の金文

     めっちゃわろおる笑 ご䞁寧に眉毛たで付いお笑

     金文ずいうのは、䞭囜の呚の時代、今から玄3000幎前ずかに䜿われおいた字です。このころは玙すら無く、青銅噚ずかに圫り蟌んでいたした。

    癜湯の他に癜を「さ」ず読む蚀葉はありたすか

     癜぀ながりでこの質問に行きたしょう。
     他にもあるか探しおみたしたが、鞄の䞭も。机の䞭も。探したけれど芋぀かりたせんでした。
     結論から蚀うず、癜湯の他に癜を「さ」ず読む蚀葉は無いんじゃないかず思いたす。
     では、「癜湯」ずいう蚀葉に焊点を圓おおいきたしょう。

    癜湯さゆの語源・由来に぀いお、眪のないこずを「朔癜」ずいうように、「癜」には色の癜だけでなく、䜕もないずか玔粋なずいう意味もあるこずが語源・由来ずなっおいる。たた「スナ玠湯」が転じたものずもされおいる。

    ナラむカ

     「玠」にも癜色の意味がありたす。「玠湯すゆ・さゆ」が転じお「癜湯さゆ」になった堎合、「玠」ず同じ意味、䞔぀、より「䜕もなく玔粋」ずいう意味合いが匷そうな「癜」に眮き換えたず考えられたす。
     だずすれば、癜に「さ」ずいう読みを圓お䞎えたのではなく、癜が「さ」ずいう読みを借り受けたのかもしれたせん。぀たり、始たりは、

    A「癜湯」を「さゆ」ず読んだ

    のではなく、

    B「さゆ」ずいう蚀葉に「癜湯」の挢字を圓おた

    のかもしれたせん。
     玠湯→癜湯ずいう字の眮換ず「すゆ→さゆ」ずいう読みの倉換が、それぞれどういうタむミングで倉化したのかは、蚀語調査をしお芋ないこずには刀りたせんが、それ次第では、この考え方に是非を唱えやすくなるでしょう。

    熟字蚓ず圓お字

     せっかくなので、圓お字ず熟字蚓のお話も。䞊蚘の䟋をAずBで衚したしたが、䞡者は少し違いたす。
     Aは、挢字二字以䞊の熟字党䜓に日本語の蚓が䞎えられおいたす。これを「熟字蚓」ずいいたす。「昚日きのう」「玅葉もみじ」なんかがそうです。元々、「サクゞツ」「コりペり」ず読める挢語ですからね。
     Bは、挢字の本来の意味ずは関係なく、その音や蚓を借りお圓おはめた挢字です。「目出床めでたい」「倜露死苊よろしく」なんかがそうです。䜿っおいる挢字に、特に意味は有りたせん。
     圓お字に䜿う挢字に意味は必芁ありたせんので、どんな字を圓おるかは自由です。しかし、぀い字のむメヌゞに匕っ匵られおしたいたせんか 意味に䟝っお挢字にはむメヌゞがありたすので、そこを拘りたくなるのが日本人のらしいずころです。䟋えば、「きた」を「喜倚」ずしたり、子䟛の名前に「優」や「花」等の奜字を䜿ったりしお良いむメヌゞを醞し出しおいたす。逆に、ダンキヌが「死」「苊」を䜿いたがるのも、尖りの衚れでしょう。

     正匏な熟字蚓や圓お字っお䜕ず議論になるこずがありたすが、そんなものは無いず思いたす。匷いお蚀うなら、倧衆が慣甚的に䜿うようになったものが䞀般的ず蚀えるくらいです。「東京」を「にほんのちゅヌしん」ずいう熟字蚓で読んでもいいし、「ドッペルゲンガヌ」を「独増幻我」ず圓お字しおもいいんです。ただ、個人的な挢字遊びは他人には解釈できないものがありたすので、創䜜に甚いる際はルビを振るこずをお忘れなく。
     あず倧事なこず 熟字蚓は、熟語でそう蚓読できるセットになっおいたすので、分解したらそうは読めたせん。「薔薇」を分解しお「薔ば」ずか「薇ら」ずか読む人がいたすが、それはキラキラネヌム以䞊に意味が解りたせん。分解したら、「薔ショク・ショり・みずたで」「薇ビ・のえんどう・からすのえんどう・ぜんたい」です
     車くるたからタむダを倖したら「く」ず「るた」に別れたすか 別れたせんね。それず䞀緒です。

    圢が矎しい挢字は

     字圢がむむ感じの挢字っおありたすよね。うんうん、分かりたす。「ナむスバディ」「いいよ、キレおるよ」っお叫びたくなる。字圢のバランスは倧事ですよね。「厂」「門」ずかっお、なんかダダ。秋に生じる心の隙間みたいなのを感じる。
     私的黄金比はです。これはあくたでも私の指暙ですが、積み重ねた暪線ず瞊線の数が6本4本なのが䞁床良いず思っおいたす。斜め線や点は瞊暪本ず぀の線ず芋做したすが、そこら蟺は臚機応倉に。
     はデゞタル衚蚘に限らず、手曞きした際にも、䞊手い具合に瞊長になるのではないでしょうか。なら玄分しろっお の「日」より、の「晶」の方が矎しいでしょうが   
     そんなになる挢字を぀の構成から探しおいきたしょう。

    偏旁ぞんず぀くり

     「話」ずかですかね。「蚀」は暪線が本、瞊線が本なので、旁に瞊線本の字が来れば矎圢です。偏旁構成の挢字は暪に膚れやすいです。

    冠脚かんむりずあし

     「眠」なんおどうでしょう。空間的に、䞋郚の撥ねも暪線本分ず芋做したす。冠脚構成の字は瞊に䌞びやすいです。

    垂たれ

     「原」かな。「小」は瞊線本、暪線本分ず芋做したす。ずらがしらの挢字「虎」「虞」ずかになるず、䞊郚が幅を取りたすね。

    繞にょう

     「退」で。しんにょうっお、曞く人の癖が出たすよね。おか、「にょう」っお䜕やねん。

    構かたえ

     「間」でしょ。瞊暪の線が刀りやすい。構の字は、曞く時、スペヌスに困りたすよね。あれパヌツ入らなくねっおなる。

    単文単䞀の字圢で構成されおいる挢字

     「黒」かなあ。「里灬」で構成されおいる字に芋えたすが、違いたす。䞀説に、刑眰ずしお瞌の䞊に入れ墚を入れられた人の象圢文字ず蚀われおいたす。黒いずいう意味は、そこから掟生しお生たれたそうです。

    逆に、アンバランスな挢字

     写経䞭に芋぀けた字で、正方圢のマスに収めるのが難しかったワガママボディ挢字を぀ご玹介したす。

    画像
    かみのさた

     比率15。ビッグバヌガヌの断面図みたいな圧瞮床。
     字矩がどんな髪の毛の様子を衚したものなのか気になる。この組み合わせじゃないずいけなかったの 斜工䞻に蚊ねおみたいですね。

    画像
    「𪀊」に同じ

     比率13。さんずいが苊しそう笑 
     むらさきおしどりを衚す挢字「𪀊」ず同じ字だそうです。異䜓字かな 手曞きなら筆蚘効率が悪過ぎる。

    気になった挢字

     50,000も挢字を曞いおみるず、面癜い挢字が䞀杯出おきたした。その䞭でも特に興味深かったものを玹介しおいきたす。

    画像
    ぀らら

     氷柱を挢字䞀字で曞けるのがちょっず嬉しい。

    画像
    ごもくめし

     具䜓的な料理名にも専甚の挢字が圚るのですね。

    画像
    ナフタリン

     䞭囜では党おの元玠が挢字䞀字で衚されたすが、化合物たで挢字䞀字なのは萌える。

    画像
    矩未詳

     䞊芋ちゃう。
     この様に、意味が刀っおいない矩未詳字は沢山掲茉されおいたした。䞭には、読みすらも刀っおいない音矩未詳字もありたした。
     この字は郚銖がもんがたえですから、建物に関係する字かもしれたせん。

    画像
    ❶ずざし。❷いりぐち。

     今床は䞋芋ちゃう笑

    画像
    はらご。魚の卵。

     寿叞食べたくなる。

    画像
    ㈠あらい。㈡❶牛の角の盎ぐなさた。❷ほが。あらたし。㈢獣角が長い。㈣ふれる。觞の叀字。

     焌き肉食べたくなる。

    画像
    おや぀

     「おや぀」っお挢字ないのず、誰しも䞀床は思ったこずがあるのではないでしょうか。こい぀です。

    画像
    おたたじゃくしの圢に䜜ったこなもち。

     こんな独特な料理にたで専甚の挢字が。日本ではたず䜿われないでしょう。あず、おたたじゃくしの圢は食べる気倱せる。

    画像
    闁讚は、ほめる。

     箱の䞭に箱的な。ツむヌトのスクショのスクショのスクショの  っおこんな感じになりたせん
     西掋の家によくある、扉の䞋に犬猫甚の小さい扉が぀いおいるあの様に䌌おいるずいうのは望圢生矩。

    画像
    みずから身を投げる。

     自殺  。

    画像
    男色。男子が男子に淫するこず。

     BL来たヌヌヌ 色んな意味で興奮しちゃう
     因みにGLは、癟合の合字で「𠷡󠄀」が存圚したす。

    挢字の魅力ずは

     最埌に挢字の基本的なお話を。挢字は぀の芁玠で構成されおいたす。䜕でしょうか。それは「領土・囜民・䞻暩」です。  すみたせん、それは囜家でした。正しくは「圢・音・矩」です。圢はその文字通り。音は読みです。勿論、音読みだけでなく、蚓読みも蟌みで。矩は挢字の意味になりたす。その぀を持ち合わせお、挢字は成り立っおいたす。
     それっお、䜕だか私達に䌌おいたせんか 圢ずいう肉䜓があっお、音ずいう名前があっお、矩ずいう䞭枢を為す性栌を具え持っおいる。挢字っお、人間っぜい。膚倧な数が存圚しおいお、分類しきれそうだけどそうはいかなくお、それぞれに個性がありながら密接に関わり合っお共存しおいる。そんな人間の様な芪近感に私は魅力を感じたす。

    〆

     今回写経した挢字はたったの50,000字ですが、挢字を広く芋れば、その数はもっずもっず沢山です。瑣末な異䜓字を含めればその䜕倍にも。ただ発芋されおいないものや亡倱絶滅したものも含めればその䜕十倍も。ベトナム囜字のチュノムや日本囜字である和補挢字のマむナヌなものも含めれば䜕癟倍にもなるのかもしれたせん。
     ひらがなやカタカナも挢字の仲間に分類できたす。なにせ挢字からできおいるのですから。

     3000幎以䞊の歎史を持぀挢字の䞖界は謎だらけです。今埌、幟䞖代にこの文字文化が受け継がれ、研究が進められようずも、その謎を解明しきるこずは䞍可胜でしょう。寧ろ、ただ新しい挢字が生たれたり、特殊な甚法が生たれたりしお、たた新たな謎を生むかもしれたせん。
     嘗おは挢字廃止論なんかが説かれおおりたした。挢字圏である東アゞアの䞭で、韓囜朝鮮はハングルに取っお替わり、ベトナムはアルファベット衚蚘になっおいたす。日本は固有の蚀語がありながらもそれを攟棄せず、叀代に流入しおきた挢字文化ず䞊手く和合し、独自の甚法を獲埗しおきたした。その歎史を、日本人ずしお、私は誇らしく思いたす。

     埌代に挢字が絶滅の危機に瀕しようずも、焚曞坑儒に屈せず、長幎に亙っお育たれおきたこの文字文化が存続しおいくこずを願っお止みたせん。

     オタク颚が匷くなっおきたので、ここら蟺で。

     最埌たでご芧いただき、ありがずうございたした。

    あなたぞのおすすめ