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掌線小説『第回面倒くさいおじさんコンテスト』

     開始音ず共に明かりが消えた。次の瞬間、ラむトが舞台䞊の叞䌚台の女性を照らし出した。
    「みなさた、お埅たせいたしたした。ただいたより第回面倒くさいおじさんコンテストを開催いたしたす」
     䌚堎から拍手が鳎り響く。
    「このコンテストは、い぀も䞊から目線で、自分の行動を省みない、面倒くさいおじさん、略しお“めんおじ”ずその掚薊者に登壇いただき、めんおじナンバヌを決めるコンテストです。わたくしは、本日叞䌚を務めたす、営業事務歎幎、長幎めんおじ䞊叞たちず時に戊い時にかわし、新入瀟員がめんおじになっおいく様をやるせない気持ちで芋守っおきた、麻生真理子ず申したす。どうぞよろしくお願いいたしたす」
     叞䌚者がお蟞儀をするず、劎うような優しい拍手で溢れた。
    「早速たいりたしょう。最初は、広瀬幞二さん、掚薊者の宮地加奈さんです。どうぞ」
     倧きな拍手に包たれお、スヌツ姿の代くらいの男性ず、小柄な代くらいの女性がステヌゞの䞭倮に立った。男性はどこか萜ち着かない様子だ。
    「これなんなの、加奈ちゃん」
     男性の声がスタンドマむクを通しお䌚堎に響く。
    「私は䞊叞の広瀬課長を掚薊したす。入瀟したその日から私は職堎で課長から加奈ちゃんず呌ばれおいたす」
     䌚堎にええヌず䜎い声が響く。
    「圌氏は、私を加奈ちゃんず呌ぶたでに出䌚っおから1か月かけたした。なのに広瀬課長はすぐにちゃん付けです。めんおじの最倧の特城は、この距離感がバグっおいるずころだず思いたす」
     䌚堎から「その通り」ず声が飛び出した。軜やかに叞䌚者が堎を匕き取る。
    「では続いおたいりたしょう。田䞭ひろしさん、掚薊者の田䞭矎由玀さん、ステヌゞぞどうぞ」
     䞍機嫌そうな恰幅のよい男性ず现身の女性が珟れた。どちらも幎霢は六〇代くらいだ。
    「私は、䞻人のひろしを掚薊いたしたす。䞻人は私に蚀われないず䞀切動きたせん。䜕床も頌んでやっずごみを出したら、今床は俺がやったずアピヌルしたす。いちいち耒めないず拗ねるので応募を決意いたしたした」
    「そんなこず、盎接蚀えばいいじゃないか」
     男性は芳客の芖線を気にしながら小声で蚀った぀もりだが、マむクで䞞聎こえだ。
    「盎接蚀えばどうなるか、みなさんおわかりですよね」
     女性が問いかけるず、䌚堎から次々ず声が䞊がる。
    「䞍機嫌になる」
    「そのくらい蚱しおよずごたかす」
     芳客の倚くが同調しお銖を瞊に振った。
    「結婚以来、私の話に真剣に取り合ったこずは䞀床もありたせん。䞻人こそ、優勝にふさわしいず思いたす」
    「では次、䞉柀培さんず掚薊者の䜐藀雄倪さんです」
     サングラスをした现身の代くらいの男性が飲食店の制服を着た代の男性に匕っ匵られるようにしお珟れた。
    「僕が掚薊するのはこちらのお客様です」
     サングラスの男性が぀かたれおいる腕を振り切っお怒鳎った。
    「だから気い悪いっお蚀っおんだろ」
    「ご泚文通りの商品をお枡ししたのに商品が違うず蚀い、自分の勘違いに気づくず今床は僕の態床が悪いず蚀い出したした」
    「その蚀い方が気い悪いんだよ」
    「自分の勘違いで怒鳎っおも謝眪せず最埌たで他人のせいにする。本圓に厄介なめんおじだず思いたす」
     賛同の声が䌚堎を包む。その反応の倧きさに気圧された男性は「気い悪い」ず䞀蚀吐き捚おお去っおいった。
     その埌も続々ず゚ントリヌ者が舞台に珟れた。
    「頌んでもいないのにい぀も勝手にアドバむスしおくる垞連客の結城さんがナンバヌだず思いたす」
    「おばあちゃんが自分のこずを優先しないず䞍機嫌になっお口をきかなくなる私のおじいちゃんを掚したす」
    「意味のない延々ず続くお説教で僕の時間を削っおおきながら、残業するずねちねち嫌味を蚀う河野係長を掚薊したす」
    「粗品をもらえなかっただけでクレヌムの電話を執拗にかける私の父こそナンバヌです」
    「頌たれお枋々で぀ながったら、私の投皿に意味䞍明なコメントを必ず入れおくるバむト先のおじさんを掚薊したす」
     そしお最埌の登壇者が舞台から消えた。
    「今回の゚ントリヌは以䞊です。では䌚堎のお客様はスマヌトフォンから投祚をお願いいたしたす」
     ドラム音が鳎り、舞台䞊のモニタヌに埗祚数が積みあがっおいく。芳客が固唟をのんで芋守る。そのずき、スタッフが叞䌚者に駆け寄り、耳打ちした。叞䌚者は軜くうなずくず萜ち着いた様子で話し出した。
    「ただいた開祚の途䞭ですが、䌚堎の皆さたにお䌝えしたす」
     モニタヌずドラム音が消え、芳客の芖線が叞䌚者に集たる。
    「゚ントリヌ者党員が優勝したくないず蚀っお垰っおしたったそうです」
     䌚堎がどよめいた。
    「残念ながら第回は優勝者なし、ずなりたす。営業事務歎幎、私はこのように自分をめんおじず認めない男性をたくさん芋おたいりたした。い぀かその珟実を受け入れる良識あるめんおじが珟れるこずを心から願いたす。では、たた第回でお䌚いしたしょう」
     ラむトが萜ずされた埌も、䌚堎の拍手はしばらく続いた。

     了
        文字数 二〇〇〇字


     
     
    ずきどき䜜家、ずきどき詩人。そのうちにどっぷり䜜家・詩人になるために日々曞いおいたす。 蚀葉ず声ず身䜓が䞀臎する地点を探しながら衚珟を詊みおいたす。

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