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Photo bychise2021

カワウソ字 あるいは獺児

    shibakaoruko

     収入を得るには仕事を見つけなければ。まず彼らの言葉を覚えなくては。教室に案内された。黒板には文字が並んでいる。
    「可愛いのカ」
    「若いのワ」
    「売れるのウ」
    「即決のソ」
    だんだんと慣れてきたかも。
    「では皆さん場所をあらためて合宿先で特訓しましょう」
    リゾート地らしき水辺の施設で文字を音読し暗誦する。
    「そろそろ実践を開始しますよ」
    礼記にあるように岸辺に書物でも並べるのだろうか。それとも夕刻に無礼講の飲み会で獺祭が振る舞われるのだろうか? 
    「皆さん、かなり向上しましたね日本語力が。では一旦は全て水に流して忘れてください。費用は持ちますので帰国してくださって結構。ただし」インストラクターは言葉を切る。
    「我々が河で釣り上げたあなた方カワウソさんたちが口の中にあるお魚たるお子さんたちを全部吐き出して岸辺に並べてからですけどね」

     遠ざかる船から見た岸辺に並ぶ子供たちはなんだか文字に見えなくない。読み方はもう覚えていなかったけど。

    410字


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    短編小説、エッセイなど。一日一更新を目標にショートショート、54字、などを書きます。 #毎週ショートショートnote #シロクマ文芸部 #54字の物語に参加中です。

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