
高校野球怪談 ②
母校が地区予選で一勝した日のこと。全校をあげて狂喜乱舞のお祭り騒ぎ。私は野球部でも応援部でもない。野球なんて全く興味のない由緒正しい帰宅部だ。なのに次の試合は全員でスタンドで応援しろですってよ。クラスの連中ときたら言われるまでもありません! とお揃いのTシャツを注文しているの。町を歩けばあんた〇〇高校かね、頑張れよと声がかかるし。なんだって野球はこうまで人を熱狂させてしまうんだろうね。わかるわかる。サッカーだってテニスだって、漫研だって。みんなみんな生きているのに友だちなのに。
「いま、誰と話をしていたんだ?」
クラスメイトのエヌ氏に呼び止められた。そう、自分でもわかっていた。今のはこの世の人ではなかったと。
(中略)
20年後、私は応援席にいた。決勝戦の9回を迎えバッターボックスに入るわが息子。緊張のあまり隣に座る夫エヌの手をつかむ。投球しようと腕を振り上げるピッチャーの顔を見て「あ」と声が漏れた。あのときの。
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